支援事例土木・建設 / 被災からの段階的な再建
社屋倒壊から仮設拠点での事業再開、本格復旧へと進める土木会社の再建計画
土木工事、法面工事、緑化造園工事、管工事、塗装工事などを手がけ、行政や民間企業との継続的な取引関係を持つ地域密着型の土木工事会社が、大きな災害によって社屋、倉庫、建設機械、事業用の備品に重大な損害を受け、通常の営業が難しくなったという状況から、第1段階として仮設の事務所で最低限の業務機能を復旧し、第2段階として本格的な社屋と倉庫の再建に進める取り組みとして整理した事例です。災害復旧は、設備を購入するだけではなく、最低限の業務機能の復旧、営業活動の再開、工事の受託能力の回復、本格的な拠点の再建、そして地域の復興の需要への対応へと進む、段階的な事業継続の戦略だという点が読みどころです。2つの関連する資料は、同じ企業の関連する計画であるため、1つの事例として時間の流れに沿って整理しています。

- 課題大きな災害で社屋・倉庫・建設機械・事業用備品に重大な損害を受け、通常営業が困難になった。
- 支援した打ち手第1段階の仮設事務所による業務の再開と、第2段階の本格的な社屋・倉庫の再建を、時間の流れに沿った事業継続の戦略として整理した。
- 目指す状態復旧の効果を「売上増加の実績」とは扱わない。後続の資料に記載された完了情報は、限定的なもの(倉庫の建て替え)にとどまり、全体の復旧の完了とは推測しない。
+OUR SUPPORT
この事例での、ProdX Crowdの支援
事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。
- 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
- 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
- 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
- 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。
01BEFORE
この企業の事業と、強み
この企業は、地域に密着した土木工事会社です。土木工事、法面工事、緑化造園工事、管工事、塗装工事などを提供し、行政や民間企業との継続的な取引関係を持っていました。
02PROBLEM
直面していた課題と、その本当の原因
大きな災害によって、社屋、倉庫、建設機械、事業用の備品などに、重大な損害が出ました。通常の営業が難しくなりました。
経営上の因果は次のとおりです。建物が壊れて拠点の機能が失われ、図面や報告書などの事務の処理が止まり、営業活動と工事の管理に制約が生じ、案件に対応する能力が低下します。真因は、事務所という拠点の機能が止まると、現場の能力が残っていても、受注と管理ができなくなる構造です。
- 1被害社屋・倉庫・建設機械・事業用備品。
- 2連鎖拠点の機能の喪失→事務処理の停止→営業・工事管理の制約→対応力の低下。
- 3真因拠点の機能が、受注と管理の前提になっている。
03PROBLEM TREE
課題を掘り下げる
目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。
- 1建物の損壊社屋・倉庫・機械・備品。
- 2拠点機能の喪失事務処理の停止。
- 3営業・工事管理の制約案件対応力の低下。
04ALT
なぜこの打ち手か|他の選択肢との比較
完全な復旧を待ってから営業を再開する選択は、整った状態で始められますが、再開が遅れ、取引関係と雇用を失うおそれがあります。
仮設の拠点で再開し、並行して再建する選択は、収入と雇用を保てますが、二重の費用と調整の負担がかかります。段階を分ける考え方は、事業の継続を優先する選択です。
05PHASE1
第1段階|仮設事務所で、最低限の業務機能を戻す
まず仮設の事務所を設置します。ただし、仮設事務所だけでは営業を再開できません。電気、水道、空調、パソコン、プリンタなどが必要です。
箱を用意するだけでなく、図面の作成や報告書の作成といった、日々の事務が動く状態にすることが、営業再開の条件です。この段階の狙いは、最低限の業務の機能を取り戻し、営業活動を再開することです。
06PHASE2
第2段階|本格的な社屋・倉庫の再建
次に、本格的な社屋と倉庫の再建を進めます。構想には、地盤の工事、事務所の建て替え、倉庫の建て替えなどが含まれます。
後続の資料には、倉庫の建て替えが完了したと記載されています。これは、資料に明記された限定的な完了の情報です。事務所を含む全体の復旧が完了したとは、推測しません。
- 1被災拠点機能の喪失
- 2仮設事務所最低限の業務機能
- 3営業再開受託能力の回復
- 4本格再建社屋・倉庫
- 5復興需要への対応地域への貢献
07ESSENCE
経営上の知見|設備の購入ではなく、段階的な事業継続
災害復旧は、設備を購入するだけではありません。最低限の業務機能の復旧、営業活動の再開、工事の受託能力の回復、本格的な拠点の再建、地域の復興需要への対応という、段階的な事業継続の戦略です。
最初から完全な復旧を目指すと、再開が遅れます。まず稼働できる最小限の状態を作り、仕事を受けながら、本格的な再建を進めることで、収入と雇用を保ちながら復旧できます。
- 1最優先業務が動く最小限の状態。
- 2次に営業活動の再開と受託の回復。
- 3最後に本格的な拠点の再建。
08STAKEHOLDERS
関係者ごとに見る|誰にとって何が変わるか
事業の再建は、複数の立場に関わります。
- 1従業員雇用の維持と、働く場所の回復を求める。
- 2行政・民間の発注者工事の受託能力の回復を確認する。
- 3地域復興の工事を担う担い手の存在を期待する。
- 4金融機関・支援機関再建の計画と資金の状況を確認する。
09ACTION STEPS
実行に向けた段階(目標)
事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。
- 1最低限の機能の復旧仮設事務所と設備を整えます。
- 2営業の再開図面・報告書などの事務を動かします。
- 3受託能力の回復案件への対応を戻します。
- 4本格再建社屋・倉庫を再建します。
10NOTE
補足|自社で試すときの順序
最初に、被害の状況を、建物、設備、データ、人員に分けて整理します。次に、営業を再開するために必要な最小限の機能(電気、水道、空調、パソコン、プリンタなど)を決め、仮設の拠点で優先して整えます。
営業が再開できたら、受託できる案件の種類と量を確認しながら、本格的な再建の計画を段階的に進めます。復旧の効果は、売上の実績とは区別して記録します。
11NOTE
補足|雇用と技術の継承
拠点の機能が止まっても、技術を持つ人が離れなければ、事業は再開できます。復旧の期間に、雇用をどう維持するかは、再建の重要な条件の一つで、仮設の拠点で仕事を受けることが、その助けになります。
12DIAGNOSTIC QUESTIONS
自社に当てはめるときの問い
被災からの再建を考えるときの問いです。
- 1業務が止まる、最小限の要素は何か電気・水道・空調・パソコンなど。
- 2仮設の状態で、どの業務を再開できるか優先順位を決める。
- 3本格再建の順序と資金は、どうするか段階ごとに整理する。
- 4データや図面は、どこに保管していたか再発時の備え。
- 5次の災害に備えて、何を変えるかBCPの見直し。
13POINT
読み方のポイント|まず、動ける最小の状態を作る
大きな被害を受けたとき、完全な元の状態を目指すと、再開が遅れ、取引関係と人を失いかねません。動ける最小の状態を先に作り、仕事を受けながら段階的に整える考え方は、どの業種にも応用できます。
また、事前に、業務が止まる最小の要素を洗い出し、備えておくことが、次の備えになります。
14SUMMARY
この支援で整理した主なポイント
- 課題は、被災により拠点機能を失い、事務処理と営業活動、工事管理が制約されたこと。
- 打ち手は、第1段階で仮設事務所を整え、第2段階で社屋・倉庫を再建する段階的な事業継続。
- 災害固有の情報から企業が特定されるおそれがある。写真・住所・施設概要・時系列・費用・復旧実績は公開承認が必要。
15RELATED SERVICES
関連するサービス
※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。
16RELATED CASES
関連する支援事例
大きな災害で被災した地域家電店が、店舗と在庫保管機能を復旧し営業再開を目指す
店舗と在庫保管の機能を復旧し、地域へのサービス継続を図る計画。
- 当初の課題
- 災害で店舗の入口・ショーウィンドウ・内装・在庫保管施設が損傷し、来店対応と在庫の保全が難しくなった。
- 支援した打ち手
- 入口ドア、ショーウィンドウ、内装、在庫保管用の物置を修繕・更新し、来店対応と在庫管理の機能を復旧する取り組みとして整理した。
- 目指す方向
- 店舗と在庫保管の機能を復旧し、地域へのサービス継続を図る計画。
夏季の現場作業環境を改善し、水回り工事の生産性と事業継続力を強化
夏季の作業環境への投資を、提供能力と事業継続力の基盤として見る計画。
- 当初の課題
- 夏の屋外・工場作業で暑さの負担が増え、作業の中断、安全上のリスク、対応件数の制約、工期への影響が懸念された。
- 支援した打ち手
- ファン付き作業服、スポットクーラー、工場扇、保冷温庫などを導入し、作業環境を改善する取り組みとして整理した。
- 目指す方向
- 夏季の作業環境への投資を、提供能力と事業継続力の基盤として見る計画。
被災した船舶関連事業者が、マリンランプの事業再開と地域産業の復旧を構想
事業の復旧と、商品・ブランドの再展開を結びつける構想。
- 当初の課題
- 大きな災害で、事業の拠点、工場、船舶関連の事業の継続に課題が生じた。
- 支援した打ち手
- 拠点を復旧し、船舶の照明を住宅や店舗でも楽しめる商品として再展開し、資金調達と需要の検証にクラウドファンディングを使う構想として整理した。
- 目指す方向
- 事業の復旧と、商品・ブランドの再展開を結びつける構想。
同じような課題を検討している方へ
同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。
補助金・経営支援顧問

