募集中地域・自治体の補助金

土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助

実施機関
宇部市
募集期間
通年(随時受付)
地域
山口県・宇部市

土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助(宇部市)の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。

宇部市の土砂災害特別警戒区域にある既存建物は、改修費の23%(1棟あたり772千円まで)と、危険住宅の除却等費用の補助を受けられる

宇部市の「土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助」は、事業者向けの設備投資補助ではありません。山口県宇部市内の、土砂災害特別警戒区域(いわゆるレッドゾーン)に建っている建物の所有者に向けた、住まいと建物の安全対策の補助です。ただし、区域内には店舗併用住宅、事務所、工場の居室部分、賃貸住宅などを所有する事業者もいます。そうした方にとっては、建物の維持と事業継続の費用を軽くする制度として検討する価値があります。

宇部市の案内ページ(更新日2026年4月1日)には、2つの事業が並んでいます。ProdX Crowd編集部は、市のご案内ページ、交付要綱、様式、パンフレットを読み、仕組みを整理しました。

事業何に対する補助か補助の水準根拠となる要綱
土砂災害対策改修事業特別警戒区域内の既存不適格建築物を、土砂災害に対して安全な構造に改修する工事改修費用に23%を乗じた額。1棟あたり772千円を限度宇部市住宅・建築物耐震化促進事業費補助金交付要綱
がけ地近接等危険住宅移転事業危険住宅を、土砂災害警戒区域以外の区域へ移転するときの、危険住宅の除却等の費用除却工事費(国の標準建設費等の通知で算出)と、動産移転費等(1戸あたり975千円が上限)の合計が限度宇部市がけ地近接等危険住宅移転事業補助金交付要綱

この記事では、主役である土砂災害対策改修事業を中心に、金額の計算、対象になる建物、申請の順番、事前相談の期限、つまずきやすい点を、要綱と様式の文言に沿って解説します。後半では、がけ地近接等危険住宅移転事業の除却等についても触れます。

最初に、最も大事な点を表にします。

確認する点結論
申請者建物の所有者(市税の滞納がないこと)
先にやること申請しようとする前年度の9月末日までに、事前相談
着手の時期交付決定のあと。決定前に工事を始めてはいけない
予算予算の範囲内。市の案内に「予算状況により、事業の実施ができない場合があります」とある
問い合わせ先宇部市都市政策部建築指導課 電話0836-34-8434

なぜ「前年度の9月末」の事前相談が、この制度の入口になっているのか

宇部市の案内ページの「受付備考」には、「事前相談は随時受付(補助金申請の前年度9月末日までに事前相談が必要です。)」とあります。交付要綱の第6条にも、土砂災害対策改修事業の補助金の交付申請をしようとする者は、申請を行おうとする前年度の9月末日までに事前相談を行わなければならない、と書かれています。

この規定が示すのは、市が来年度の予算を組む前に、どの建物でどの程度の改修需要があるかを把握したい、という運用です。補助金は年度ごとの予算で動きます。事前相談が前年度の9月末なのは、予算要求の材料を得るためと読むのが自然です。ここで注意したいのは、「9月末までに相談した人だけが翌年度に申請できる」という構造になっている点です。

今日(2026年10月12日)の時点で、日程を要綱の規定どおりに当てはめると、次のようになります。

申請したい年度事前相談の期限2026年10月12日時点の状況
令和9年度(2027年4月〜2028年3月)に申請前年度である令和8年度の9月末日、つまり2026年9月30日期限は過ぎている。個別の事情があるときは、建築指導課に確認する
令和10年度(2028年4月〜2029年3月)に申請令和9年度の9月末日、つまり2027年9月30日準備期間がある。この日に向けて計画を進める

この表は、要綱の「前年度の9月末日」という文言を、年度の区切り(4月から翌年3月)に当てはめた編集部の整理です。年度ごとの受付開始日や予算額、期限を過ぎた相談の扱いは、案内ページと要綱からは読み取れません。建築指導課(電話0836-34-8434)で確認してください。

事前相談そのものは「随時受付」です。9月末は最後の期限であって、相談は早くてかまいません。むしろ早いほうが得です。相談の時点で、市は事業予定内容が補助対象として適当かどうかを確認し、申請時に必要となる書類や条件があれば、事前確認書に条件を付けて通知します。条件を早く知れば、設計や見積りの段取りを直す時間が残ります。

いくら補助されるのか。計算の仕組みと、772千円の読み方

土砂災害対策改修事業の補助額は、交付要綱第5条に定められています。要綱の文言は2段階です。

段階要綱の定め
補助対象額土砂災害対策改修工事に要する経費の額から消費税を除いた額。1棟あたり3,360,000円を限度とする
補助金の額補助対象額の23%以内

案内ページには「土砂災害対策改修費用に23%を乗じた額とし、一棟あたり772千円を限度とする」と書かれています。要綱の数字で計算すると、3,360,000円に23%を乗じて772,800円になります。市の案内は772千円と表示しているので、実際の交付額の端数処理や最終の限度額は、事前相談のときに確認すると安心です。

ここから、補助額が頭打ちになる工事費の目安が分かります。補助対象額の上限が336万円(税抜)なので、税抜の対象経費が336万円を超えても、補助額は増えません。

次の表は、計算の仕組みを確認するための仮の数字です。実際の工事費や補助額ではありません。

仮の対象経費(税抜)補助対象額(336万円が上限)補助額の目安(23%)自己負担の目安
100万円100万円23万円77万円
200万円200万円46万円154万円
336万円336万円77万2,800円(市の案内は772千円)258万7,200円
500万円336万円同上(上限)約422万7,200円
800万円336万円同上(上限)約722万7,200円

読み取れることは3つあります。1つ目は、補助率が23%と控えめなので、補助金で工事費の大半をまかなう設計にはなっていない点です。2つ目は、工事費が大きくなっても補助額は772千円前後で止まる点です。3つ目は、消費税が補助対象額に含まれない点です。見積書は税抜と税込を分けて見てください。

この水準をどう受け止めるかは、立場で変わります。区域内の建物を所有し続ける方にとって、構造改修は建物の安全性と将来の売却や相続に関わる大きな支出です。補助金は、その費用を一部軽くする位置づけです。補助金が出るから工事をする、という順番ではなく、必要な工事があり、そのうえで補助が使えるか確認する、という順番で考えるのが、実務では失敗しにくいです。

どんな建物が対象になるのか

案内ページと要綱で、対象建築物の条件は一致しています。

条件内容確認の方法の例
区域土砂災害特別警戒区域内の建築物であること宇部市土砂災害ハザードマップで区域の指定状況を確認する
居室居室を有するものであること建築確認済証や図面で、居室の有無を確認する
基準への適合状況区域の指定前から、土砂災害に対する構造基準(建築基準法施行令第80条の3)を満足していないこと(既存不適格)建築年と区域の指定時期を照らし合わせ、設計者に適合状況を確認してもらう
工事の内容建築基準法施行令第80条の3の規定に適合させる改修工事であること設計者が作成する適合検討書で確認する
設計・監理建築士事務所に所属する建築士により、構造設計と工事監理が行われること設計者の資格と事務所登録を確認する

宇部市のパンフレット(令和7年4月作成)には、特別警戒区域に指定されると建築物の構造規制等が行われると説明されています。つまり、区域の指定後に新築する建物は、構造基準に適合させて建てなければなりません。一方、指定の前から建っていた建物は、そのままでは基準を満たさない既存不適格の状態になりえます。このギャップを埋める改修を、市が補助する仕組みです。

要綱では、特別警戒区域の定義を、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)第9条第1項に規定する区域としています。区域は山口県知事が指定します。自分の建物が区域内にあるかどうかは、市のハザードマップで確認できると案内されています。区域の境界付近の建物は、図面上の判断が微妙なことがあるので、事前相談の際に位置図を持って確認するのが確実です。

申請できるのは誰か。所有者であることと、市税の納付状況

要綱第4条は、補助金の交付を受けようとする者を、建物の所有者とし、市税を滞納していない者に限る、としています。ただし、特段の事由により所有者が実施できない場合で、市長が特に認めた場合は、この限りではない、というただし書きがあります。

区分扱い
所有者本人申請できる(市税の滞納がないこと)
共有の建物交付申請書に「共有者の住所・氏名」の欄がある。共有者がいる場合は記入する
所有者が実施できない特段の事由がある市長が特に認めた場合に限り例外。事前に建築指導課へ相談する
暴力団員、または暴力団・暴力団員と密接な関係を有する者対象外。申請書で、そうでないことを確認・誓約する

事業者として申請する場合は、法人名義の建物か、代表者個人名義の建物かで、申請者が変わります。登記事項証明書の所有者名と、申請者が一致しているかを、最初に見てください。名義が先代のまま残っている建物は、相続登記が済んでいないと、所有者として申請できない可能性があります。この点は要綱に直接の記載がないため、事前相談で確認する項目に入れてください。

市税の納付状況は、交付申請の添付書類に「市税の滞納がないことがわかる書類(市税の滞納がないことの証明書、納税証明書等)」として出てきます。固定資産税や法人市民税、個人市民税の未納がないか、申請前に確認しておくと、書類の取得で慌てません。

工事の中身はどこまでが対象か。外壁補強、門・塀の築造、そして設計と監理

土砂災害対策改修の事業実施計画書(様式第3-5号)には、「土砂災害対策改修の内容」の選択欄があり、外壁補強と門・塀の築造の2つのチェック項目があります。特別警戒区域では、土砂や岩石が建物に当たったり堆積したりする力に、居室の外壁が耐えられるかが問われます。外壁の補強が代表的な工事で、敷地側の門や塀を築造して建物を守る方法も、選択肢として書式に載っています。

どの工事が必要になるかは、建物の構造、がけとの位置関係、想定される力によって変わります。ここは、建築士が構造設計をして、適合検討書にまとめる部分です。要綱は、建築基準法施行令第80条の3の規定に適合させる改修であることと、建築士事務所に所属する建築士による構造設計と工事監理を条件にしています。事前相談書の事業予定書(様式第1-2号)には、構造設計を行う建築士の資格、氏名、事務所名、登録番号の欄があります。つまり、相談の段階で設計者が決まっている必要があります。

費用の線引きについて、読み取れる範囲を整理します。

項目資料に書かれていること実務での注意
補助対象額の考え方「土砂災害対策改修工事に要する経費の額から消費税を除いた額」消費税と地方消費税は含めない。事業予定書の費用欄も「消費税及び地方消費税相当額を除いた額」と明記されている
見積書の内訳交付申請書の添付書類として、設計費・工事監理費・工事費の見積書の写しを提出する設計費と監理費が補助対象額に入るかは、要綱の文言からは断定できない。事前相談で確認する
対象外の工事を併せて行う場合リフォーム等の対象外工事を併せて行うときは、土砂災害対策改修工事に要する部分の内訳を示す見積書を、対象部分と対象外部分に分けて書いてもらう
他の補助金との関係国、山口県、宇部市が行う他の補助金、資金貸付、利子補給金等を受けている事業は、補助対象としない(要綱第3条)同じ工事に、別の補助や制度を重ねる予定があれば、事前相談の時点で必ず申告する

リフォームとの同時施工は、現実によくあります。たとえば、外壁を補強するついでに内装を直す、屋根を葺き替える、という場合です。このとき、見積書が一式で出ていると、どこまでが土砂災害対策改修なのか、市は判断できません。施工業者に、補強工事の部分を別行で出してもらう依頼を、見積りの段階で伝えておくことが大切です。

申請から入金まで、どの順番で動くのか

要綱と様式から読み取れる流れを、順番に並べます。

段階提出・手続き主な内容注意点
事前相談事前相談書(様式第1-1号)と事業予定書(様式第1-2号)建築物の所在地、床面積、構造・階数、建築時期、設計する建築士、改修の概要、改修費用の予定額(税抜)、改修予定時期。添付は住宅等の位置図(付近見取図)申請しようとする前年度の9月末日まで
事前確認市から事前確認書(様式第1-3号)が通知される事業予定内容が補助対象として適当かどうか、市が確認する。必要な書類や条件があれば付される確認書は補助金の交付を決定したものではない(要綱第6条第4項)
交付申請交付申請書(様式第2-5号)と事業実施計画書(様式第3-5号)対象建築物の概要、確認と誓約、改修の内容、工事の概要、構造設計をする建築士、事業費、施工者、事業期間補助対象事業に着手する前に提出する(要綱第6条の2)
交付決定補助金交付決定通知書(様式第4号)市が審査し、適当と認めると決定する事業の着手は交付決定後(要綱第7条)
工事設計、施工、工事監理計画に沿って実施する内容を変える場合は事業変更申請書(様式第5号)、中止する場合は事業中止届(様式第7号)
完了報告土砂災害対策改修事業完了報告書(様式第9号)完了を報告する完了の日から30日を経過した日、または交付決定のあった年度の3月10日(土日祝日の場合は直前の平日)のいずれか早い日まで
額の確定補助金確定通知書(様式第10号)市が報告を審査して、交付額を確定する確定額は、交付決定額と同じとは限らない
請求・入金補助金交付請求書(様式第11号)確定通知を受けたら、速やかに請求する補助金は請求後に交付される後払い

流れの中で、資金の動きを確認します。補助金は、工事が完了して、報告書が審査されて、額が確定したあとに、請求して受け取ります。つまり、工事費は、いったん全額を自分で支払うことになります。工事の支払いの時期と、補助金が入る時期のずれを、資金計画に入れてください。

日程の逆算を、仮の例で示します。ここでは、令和10年度(2028年4月〜2029年3月)の補助を使う場合を考えます。

時期やること
2026年10月〜2027年3月区域内であることの確認。建築士に現地を見てもらい、必要な改修の見立てを聞く
2027年4月〜8月設計者の決定。適合検討書の方向性、概算の改修費用を固める。建築指導課へ事前相談の予約をする
2027年9月30日まで事前相談書と事業予定書を提出(令和10年度に申請する場合の期限)
2027年10月以降事前確認書の条件に沿って、設計と見積りを進める
2028年4月以降交付申請。交付決定を待つ。決定後に契約・着工
工事完了後完了報告。額の確定。請求。入金

この表は、要綱の規定を当てはめた編集部の仮の工程です。令和10年度の受付時期や予算は、市の発表を待つ必要があります。

交付申請に必要な書類は何か

交付申請書(様式第2-5号)の添付書類は、次の5種類です。

書類中身入手先・作成者
対象建築物の所有者、建築年、建築確認年月日等がわかる書類登記事項証明書、建築確認済証等法務局、建築確認の控え
図面一式付近見取図、配置図(特別警戒区域内であることが分かる図を含む)、平面図、立面図、断面図、構造図、外観写真設計者、自分で撮影した写真
適合検討書建築基準法施行令第80条の3の規定への適合を検討した書類構造設計をする建築士
見積書の写し土砂災害対策改修事業費(設計費・工事監理費・工事費)。対象外工事を併せて行う場合は、対象部分の内訳施工業者、設計者
市税の滞納がないことがわかる書類市税の滞納がないことの証明書、納税証明書等市役所の税務担当課

申請書の「確認、誓約等」では、次の3つにチェックを入れます。申請条件を全て理解したうえで申請し、内容と添付書類に虚偽がないこと。要綱に違反したとき、不正があったとき、市長が交付決定を取り消す必要があると認めたときは、補助金を返還すること。暴力団または暴力団と密接な関係のある個人・団体ではなく、今後も関係を持つ意思がないこと。

要綱第13条は、申請書その他の書類に偽りがあったとき、そのほか市長が補助金の交付を不適当と認めたときに、交付決定を取り消せると定めています。すでに交付された補助金があれば、返還命令書により返還を命じられます。書類は、正確さを最優先にして作ってください。

同じ要綱にある、ほかのメニューとの関係

土砂災害対策改修事業は、宇部市住宅・建築物耐震化促進事業費補助金交付要綱の中の1つのメニューです。要綱は、地震に対する安全性の向上と、土砂災害に対する既存不適格建築物の安全確保の、2つを目的に書かれています。同じ要綱に、耐震診断や耐震改修、除却のメニューがあります。区域内に昭和56年5月31日以前の木造住宅を持つ方は、関係が出てきます。

メニュー補助の概要(要綱第5条)土砂災害対策改修との関係
木造住宅耐震改修補助事業耐震改修工事の経費(設計・工事監理を含む、消費税を除く)の5分の4以内、かつ1棟あたり1,150,000円が限度特別警戒区域内の住宅は、土砂災害対策改修事業を併せて実施するもの、または実施したものに限る(要綱第3条)
木造住宅除却補助事業除却工事の経費(消費税を除く)に23%を乗じた額以内、かつ1棟あたり500,000円が限度。対象額は1㎡あたり27,000円が限度倒壊する可能性があると診断された木造住宅を全て除却する事業。居住誘導区域内に住み替えるなどの要件がある
共同住宅・建築物の耐震診断事業費は1棟あたり1,500,000円(消費税を除く)が限度で、その3分の2以内特別警戒区域内の改修とは別の目的の補助

特に大事なのは、木造住宅の耐震改修との関係です。要綱は、特別警戒区域内の住宅の耐震改修は、土砂災害対策改修とセットでなければ補助対象にならない、と読める書き方をしています。区域内の古い木造住宅の所有者は、耐震と土砂災害の両方を見て、設計者に一体で計画してもらう必要があります。事前相談も、両方を話題にしてください。

なお、木造住宅耐震改修補助事業には、昭和56年5月31日以前に着工された一戸建ての木造住宅であること、耐震診断で上部構造評点が1.0未満であること、市内に本店、支店または営業所を有する施工業者を利用することなど、別の要件があります。この記事の対象は土砂災害対策改修なので、耐震改修の詳細は触れません。要件の確認は、建築指導課で行ってください。

がけ地近接等危険住宅移転事業は、どんなときに使うのか

案内ページのもう1つの事業が、がけ地近接等危険住宅移転事業です。危険住宅を、土砂災害警戒区域以外の区域へ移転する場合に、危険住宅の除却等に要する費用を補助します。案内ページには、「危険住宅に代わる住宅の建設事業の補助金は、現在休止中です」と注記があります。この記事では、現在受け付けている除却等の部分を扱います。

対象となる危険住宅は、要綱第2条で次のように定義されています。

区域の種類内容
災害危険区域建築基準法第39条第1項に基づき、地方公共団体が条例で指定した区域
擁壁を設けなければならない区域山口県の条例第7条に規定する区域
土砂災害特別警戒区域土砂災害防止法に基づき、山口県知事が指定した区域
指定される見込みのある区域土砂災害防止法第4条第1項の基礎調査を完了し、特別警戒区域に指定される見込みの区域
災害救助法の適用を受けた区域事業着手時点で、過去3年間に災害救助法の適用を受けた区域

これらの区域に存する既存不適格の戸建住宅(区域の指定等により建築制限の基準に適合しないことになったものに限る)、または、これらの区域の戸建住宅のうち、建築後の大規模地震、台風等により安全上の支障が生じ、宇部市が是正勧告等を行ったものが、危険住宅です。

補助の水準と要件を表にします。

項目内容
補助事業の種類危険住宅除去等事業(移転を行う者に対して、危険住宅の除却等に要する費用を交付する)
除却費用1戸あたり、事業実施年度における国の「住宅局所管事業に係る標準建設費等について」(国土交通事務次官通知別紙)第9により算出した除却工事費を限度とする
その他除却等の費用動産移転費等は、1戸あたり975千円を限度とする
対象の要件危険住宅であること。移転先が、区域以外(土砂災害警戒区域を含む)であること。居住の用に供する部分の床面積が延べ面積の2分の1以上であること
申請者移転事業を行う建築物の所有者で、市税を滞納していない者
事前相談申請しようとする前年度の9月末日まで(様式第1-1号、第1-2号)

実施計画書(様式第2-2号)では、経費の種類として、撤去費用、動産移転費、跡地整備費、仮住宅費、その他移転に伴う諸経費の選択肢が示されています。つまり、家を壊す費用だけでなく、荷物を動かす費用や、跡地を整える費用、仮住まいの費用も、補助の対象に含めて相談できる形になっています。

添付書類には、危険住宅の所有者・用途・構造・床面積等がわかる書類、危険住宅と移転先の位置図、危険住宅の写真、施工業者の見積書の写しがあります。申請者と所有者が異なる場合は、所有者の同意書が必要です。

土砂災害対策改修と、がけ地近接等危険住宅移転は、選択肢として並んでいます。同じ建物について、改修して住み続けるのか、除却して区域外へ移るのかを、費用、建物の残存年数、家族の事情で比べて決めることになります。

固定資産税の減価補正という、見落としやすい軽減

パンフレットの下部に、補助金とは別の情報が載っています。土砂災害特別警戒区域と土砂災害警戒区域は、指定による規制の影響が大きいため、固定資産税に係る減価補正を行う、という説明です。

区域減価補正
土砂災害特別警戒区域20%
土砂災害警戒区域5%

お問い合わせ先は、宇部市資産税課(電話0836-34-8193)です。補助金の申請とは別の手続きなので、自分の土地や建物がどう扱われているかは、資産税課に確認してください。この減価補正は、補助金ではなく、土地の評価に関する取り扱いです。

この補助は、どんな人に向いているのか、向かないのか

制度の骨格を踏まえて、向き不向きを整理します。

向いている理由
特別警戒区域内の建物を、今後も所有し、使い続ける方改修で安全性を高める効果が、長い期間にわたって続く
すでに区域の指定があり、既存不適格の状態の建物を持つ方対象の条件に、指定前から基準を満たしていないことが入っている
建築士に設計を頼む前提で、計画を進められる方構造設計と工事監理を建築士に依頼する要件を、自然に満たせる
翌年度の予算の動きを待って、年単位で計画できる方事前相談が前年度の9月末と、早い段階の手続きになっている
古い木造住宅の耐震改修も、検討している方区域内では、耐震改修と土砂災害対策改修をセットで考える
向かない・注意が必要理由
区域外の建物を所有している方対象は特別警戒区域内の建築物に限られる
区域の指定後に建てた建物で、すでに基準に適合している方既存不適格であることが条件
工事を急いでいて、交付決定を待てない方交付決定前の着手は認められない
改修費の大半を、補助金でまかないたい方補助率は23%で、上限772千円と、金額が限られている
居室のない建物(倉庫など)を改修したい方居室を有するものであることが条件

申請でつまずきやすい点は何か

要綱と様式から、起こりやすい失敗を、原因と対策つきで整理します。

つまずき原因対策
事前相談を忘れて、翌年度の申請ができない前年度の9月末日が期限と、年度をまたぐ規定年間のスケジュールに、9月末の期限を書き込む。相談は随時受付なので、早めに行く
事前確認書を、交付の約束と取り違える確認書という名称から、決定済みと誤解しやすい要綱第6条第4項に、交付を決定したものではないとある。交付決定通知が出るまで、契約も着工もしない
交付決定の前に、工事の契約や着工をしてしまう見積りが出た段階で、すぐ始めたくなる要綱第7条は、着手を交付決定後と定めている。契約書の日付も、決定後にする
見積書が一式で、対象外工事と区別できないリフォーム等を併せて行う場合に起こる業者に、土砂災害対策改修工事の部分を別行で出してもらう
消費税込みで費用を考える工事費を、請求書の金額で見てしまう事前相談書も補助対象額も、税抜が基本。見積書は税抜表示のものを用意する
設計者が決まっていないまま相談に行く事業予定書に、構造設計を行う建築士の記入欄がある先に建築士に連絡し、改修の見立てを聞いてから相談する
完了報告の期限を過ぎる完了の日から30日、または3月10日の早いほう工事の工程を決めるとき、報告書の作成期間を逆算して入れる
他の補助や制度と重ねてしまう同じ工事に、複数の支援を考える要綱第3条は、国、山口県、宇部市の他の補助金、資金貸付、利子補給金等を受けている事業を対象外としている。重ねる予定があれば、先に相談する

特に、工事の完了報告の期限は、年度をまたぐ工事で問題になります。補助金は年度ごとの予算なので、交付決定のあった年度の3月10日が期限の目安になります。年度末に近い時期に交付決定を受けて着工する場合は、工事期間が3月10日までに収まるかを、設計者と施工者に確認してください。

類似の制度とは、何が違うのか

区域内の建物の安全対策には、似た名前の制度が並びます。違いを整理します。

制度目的補助の対象補助の水準
土砂災害対策改修事業区域内の既存建物を、土砂災害に耐える構造にする外壁補強、門・塀の築造など、改修工事対象額(税抜、336万円が上限)の23%以内。1棟あたり772千円まで
木造住宅耐震改修補助事業古い木造住宅の地震への安全性を高める耐震改修の設計、工事監理、工事対象額(税抜)の5分の4以内、かつ1棟あたり1,150,000円まで
木造住宅除却補助事業倒壊の可能性がある木造住宅を無くす除却工事除却工事費(税抜)の23%以内、かつ1棟あたり500,000円まで
がけ地近接等危険住宅移転事業危険住宅から、安全な区域へ移る危険住宅の除却等(撤去、動産移転、跡地整備、仮住宅など)除却工事費と、動産移転費等(1戸あたり975千円まで)の合計が限度

選び方の目安は次のとおりです。区域内で住み続けるなら、土砂災害対策改修。さらに古い木造住宅なら、耐震改修も併せて計画します。危険な場所から離れる決断をしたなら、がけ地近接等危険住宅移転事業です。倒壊のおそれが診断された木造住宅を壊して、居住誘導区域内に住み替えるなら、木造住宅除却補助事業が候補に入ります。

事業者が、この補助を検討するときの視点

宇部市の案内は、住宅の所有者を主に想定した書きぶりですが、要綱の対象は「建築物」です。事業者の立場で、検討する場面を整理します。

場面考えること
区域内に、店舗併用住宅を所有している居室を有すること、既存不適格であることを確認する。事業用部分と住宅部分の改修内容を、設計者に整理してもらう
区域内の賃貸住宅を所有している所有者であれば申請できる。入居者の安全確保と、物件の価値の維持という両面で、改修の意味がある
区域内の事務所や工場に、居室がある居室を有する建築物が対象。建物の用途ごとの扱いは、事前相談で確認する
区域内の建物を、将来売却や譲渡する予定改修済みであることが、取引で説明しやすくなる場合がある。ただし、補助金の交付を受けた建物について、財産処分の制限があるかは、要綱からは読み取れないため、市に確認する

財産処分の制限について、要綱には書かれていません。補助を受けた建物を、一定期間内に売却したり、用途を変更したりする場合の取り扱いは、事前相談のときに聞いておくと安心です。

よくある質問

質問答え
補助金額は、いくらまでですか改修費用の23%で、1棟あたり772千円が限度です。補助対象額は税抜で336万円が上限です
申請はいつからできますか交付申請は、事前相談を済ませた年度に行います。事前相談は、申請しようとする前年度の9月末日までです。年度ごとの受付期間は、建築指導課に確認してください
工事を先に始めてもよいですかいいえ。補助対象事業の着手は、交付決定のあとです
自分の建物が特別警戒区域内かどうか、どう調べますか宇部市土砂災害ハザードマップで、指定の状況を見られます。境界付近は、事前相談で位置図を見せて確認してください
設計は誰に頼みますか建築士事務所に所属する建築士が、構造設計と工事監理を行う必要があります
事前確認書が届けば、補助金は確実ですかいいえ。確認書は交付を決定したものではありません。交付決定通知書が届いてから、着手します
予算がなくなったら、どうなりますか案内ページに、予算状況により事業の実施ができない場合があると書かれています。早めの相談が大切です
賃貸している建物でも使えますか申請者は建物の所有者です。賃貸中かどうかは、要綱に条件として書かれていません。事前相談で用途を伝えて確認してください
完了報告はいつまでですか完了の日から30日を経過した日、または交付決定のあった年度の3月10日(土日祝日なら直前の平日)の、早いほうです
古い木造住宅の耐震改修も使いたいです特別警戒区域内の住宅は、土砂災害対策改修事業を併せて行うことが、耐震改修補助の条件になっています

確認先と、次の一歩

最後に、確認先と、今日からできることをまとめます。

項目内容
窓口宇部市都市政策部建築指導課(〒755-8601 宇部市常盤町一丁目7番1号)
電話・FAX電話0836-34-8434 FAX0836-22-6013
公式ページhttps://www.city.ube.yamaguchi.jp/shisei/hojyojyosei/hojyojyosei_kojin/1009206.html
固定資産税の減価補正宇部市資産税課 電話0836-34-8193
区域の確認宇部市土砂災害ハザードマップ
今日からできること内容
区域の確認ハザードマップで、建物が特別警戒区域内かどうかを調べる
書類の整理登記事項証明書、建築確認済証、図面など、建物の情報がわかる書類を揃える
建築士への連絡改修の見立てと、概算の費用を聞く。設計者を決める
納税状況の確認市税に滞納がないか、確認する
日程の確認令和10年度の申請を目指すなら、2027年9月30日が事前相談の期限。建築指導課で、年度ごとの受付の予定を確認する

土砂災害対策改修は、補助額だけで判断する制度ではありません。区域内の建物の安全をどう守るか、という本来の目的に立ち返って、必要な工事を設計者と固めたうえで、補助が使える部分を丁寧に確認していくのが、いちばん確実な進め方です。ProdX Crowd編集部は、要綱の文言と様式をもとに整理しました。最新の受付状況、予算、期限は、宇部市建築指導課の案内に従ってください。

この制度を一言でいうと

「土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助」は、宇部市が実施する補助金・助成金です。対象の地域は宇部市・山口県です。

土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助 土砂災害特別警戒区域内における既存不適格建築物の土砂災害対策改修や危険住宅の移転などに対して費用の一部を補助します。ただし、申請の前には事前相談が必要です。(予算状況により、事業の実施ができない場合があります) 土砂災害特別警戒区域内の既存不適格建築物を土砂災害に対して安全な構造となるよう、土砂災害対策改修を行う者に、その改修に要する費用の一部を補助します。 土砂災害対策改修費用に23%を乗じた額とし、一棟あたり772千円を限度とする

受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。

制度名土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助
実施機関宇部市
種類補助金・助成金
対象地域宇部市・山口県
受付期間通年(随時)で受け付けています

「土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助」の対象になる方

対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。

対象かどうかを、この順に確認します
  1. 1地域宇部市・山口県(市区町村の制度のため、その市区町村内に事業所があることが基本)
  2. 2対象者土砂災害対策改修事業 / 次の要件を満たす建築物 / 土砂災害特別警戒区域内の建
  3. 3規模従業員数の制約は示されていません
確認することこの制度の内容
地域宇部市・山口県(市区町村の制度のため、その市区町村内に事業所があることが基本)
対象者土砂災害対策改修事業 / 次の要件を満たす建築物 / 土砂災害特別警戒区域内の建築物であること。 / 居室を有するものであること。 / 土砂災害特別警戒区域の指定前から、土砂災害に対する構造基準(建築基準法施行令第80条の3)を満足していないこと。 / がけ地近接等危険住宅移転事業
規模従業員数の制約は示されていません
この制度の文章にある言葉ProdX Crowd編集部の見方
団体NPO・組合・団体も対象に含まれています。定款や規約、会員の名簿など、団体としての実態を示す書類が必要になることがあります。
指定認定・登録・承認を受けていることが、条件になっている場合があります。取得に時間がかかるものは、申請より先に手続きを始めます。

「土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助」の経費で気をつけたいこと

この制度の文章にある言葉ProdX Crowd編集部の見方
改修工事・設置・施設整備に関する経費が含まれています。着工が交付決定の前だと対象外になる制度が多く、工事の写真(施工前・中・後)が証拠として求められます。天候や工期の遅れで期間内に終わらないリスクも、先に見ておきます。

補助率・金額の区分(この制度の定め)

区分内容
その他土砂災害対策改修費 / 宇部市住宅・建築物耐震化促進事業費補助金交付要綱 (PDF 309.7KB) / がけ地近接等危険住宅移転事業 / 土砂災害特別警戒区域内にある構造基準に適合していない住宅(危険住宅)を、土砂災害警戒区域以外の区域に移転するものに対して、危険住宅の除去等に要する費用の一部を補助します。 / ※危険住宅に代わる住宅の建設事業の補助金は、現在休止中です。
金額土砂災害対策改修費用に23%を乗じた額とし、一棟あたり772千円を限度とする
申請の方法事前相談書・交付申請書 (PDF 437.1KB) / 事前相談書・交付申請書 (Word 23.1KB)

申請の方法と、そろえる書類

この制度の文章にある言葉ProdX Crowd編集部の見方
事前相談事前の相談や確認が、申請の条件になっている可能性があります。相談の予約が埋まることがあるため、早めに窓口へ連絡します。

「土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助」の手続きの流れと日程

この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。

手続きの流れ
  1. 申請計画書・見積書を提出
  2. 審査1〜3か月
  3. 交付決定ここから発注できる
  4. 発注・実施期間内に支払いまで
  5. 実績報告証拠書類を提出
  6. 検査・確定補助額が決まる
  7. 入金お金が入るのは最後

発注・契約は「交付決定」の後。お金が入るのは、最後の「入金」です。

「土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助」についてのよくある質問

Q&A土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助

経営者のイメージ写真
経営者

Q. 土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助の受付期間はいつですか?

解説役のイメージ写真
ProdX Crowd編集部
A.

通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。

経営者のイメージ写真
経営者

Q. 土砂災害特別警戒区域内の既存建物に関する対策・移転にかかる費用の一部補助の対象になるのは、どんな事業者ですか?

解説役のイメージ写真
ProdX Crowd編集部
A.

土砂災害対策改修事業

この制度を検討するときの確認リスト

確認項目状況
対象の地域(宇部市・山口県)に、事業所がある□ はい □ いいえ
対象者の条件に当てはまる□ はい □ いいえ
交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない□ はい □ いいえ
後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている□ はい □ いいえ

情報の確認元:宇部市の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。