支援事例飲食 / 完全個室化による価値向上

高単価飲食店の個室ニーズに応え、空間価値による価格決定力を高める

高品質な肉料理などを提供し、記念日や特別な食事の利用を想定した高単価の飲食店が、「完全個室で利用したい」という顧客の要望に、カウンター席やパーテーションによる仕切りの構造では応えきれず、予約の機会を逃していた課題を、店舗の完全個室化で解決する取り組みを整理した事例です。高付加価値化とは、設備を高価にすることではなく、顧客が支払ってもよいと考える価値を増やすことだという視点が読みどころです。

業種
飲食
支援テーマ
空間価値と価格決定力
区分
経営コンサルティング
飲食のイメージ
イメージ画像です。実際の支援先を撮影したものではありません。

+OUR SUPPORT

この事例での、ProdX Crowdの支援

事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。

  • 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
  • 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
  • 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
  • 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。

01BEFORE

この企業の事業と、強み

この店は、高品質な肉料理などを提供する飲食店で、記念日や特別な食事の場面での利用を想定した、高単価の業態です。料理の質と、特別な日に選ばれることが、店の価値の中心にあります。

特別な日の食事では、料理と同じくらい、「誰にも邪魔されずに過ごせるか」が重要になります。お客様は料理を買いに来ていますが、同時に、その時間を過ごす空間も買っています。

02PROBLEM

直面していた課題と、その本当の原因

お客様から、「完全個室で利用したい」という要望がありました。しかし、店にはカウンター席があり、仕切りはパーテーションによるものでした。構造上、完全な個室として提供できない場面がありました。

起きていたのは、予約の問い合わせ、完全個室の希望、対応できない、予約の機会損失という流れです。真因は、料理や接客の問題ではなく、お客様が求める利用目的と、店が提供できる空間が一致していないことでした。

  • 1見えていた課題完全個室の希望に応えられない。
  • 2一段奥の原因カウンター席とパーテーションの構造。
  • 3真因利用目的に合う空間を、提供できていない。

03PROBLEM TREE

課題を掘り下げる

目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。

  • 1予約の機会を逃している完全個室の希望に応えられない。
  • 2利用目的に空間が合わないカウンター席とパーテーションの構造。
  • 3価値に見合う価格にできていない空間の価値が、価格に反映されていない。

04STRATEGY

選んだ打ち手と、その理由

構想は、店舗を完全個室にすることです。これにより、完全個室を希望する顧客の予約に応えられるようになり、予約の機会損失が解消されます。

重要なのは、高付加価値化の考え方です。設備を高価なものにすることが、付加価値ではありません。顧客が「支払ってもよい」と考える価値が増えることが、付加価値です。完全個室化は、設備の投資であると同時に、顧客の利用目的に合う価値を提供する投資です。

図解|顧客の利用目的 → 空間価値 → 価格
  1. 1利用目的記念日・特別な食事
  2. 2求める価値プライバシー・落ち着き
  3. 3空間の提供完全個室
  4. 4支払ってもよい価値価値の増加
  5. 5価格決定力価格を高められる

05CUSTOMER

顧客が求めている価値

完全個室を求める顧客が買いたいのは、料理に加えて、プライバシー、落ち着き、会話のしやすさ、記念日などの場面への適性です。これらは、料理そのものとは別の価値で、空間によって決まります。

同じ料理でも、周りを気にしながら食べるのと、気兼ねなく過ごすのとでは、体験の質が変わります。この体験の差に、お客様はお金を払う意思があります。

  • 1プライバシー周囲の目や声を気にしない。
  • 2落ち着き落ち着いて食事を楽しめる。
  • 3会話のしやすさ大切な人と、ゆっくり話せる。
  • 4記念日等での適性特別な日にふさわしい空間。

06PRICING

価格の考え方|値上げの前に、確かめること

価値が高まったからといって、価格をすぐに上げられるわけではありません。値上げ後に、来店数が減るかどうかを見る必要があります。来店数が減れば、売上の合計は、期待ほど増えません。

完全個室には、追加の費用もあります。席数が減る可能性、内装の費用、スタッフの配置の変更などです。これらの費用を上回るかを、確かめておく必要があります。

  • 1席数の変化個室化で、席数が減るか。
  • 2内装の費用工事費用と、減価償却。
  • 3人員の配置個室に対応するスタッフの動き方。
  • 4来店数の変化値上げ後に、予約がどう変わるか。

07ACTION STEPS

実行に向けた段階(目標)

事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。

  • 1要望の記録完全個室を希望した件数を数えます。
  • 2設計の検討席数と動線を整理します。
  • 3改装個室化を行います。
  • 4価格の設定価値に見合う価格を検討します。

08DIAGNOSTIC QUESTIONS

自社に当てはめるときの問い

空間への投資を考えるときの問いです。

  • 1お客様は、何のために店を使っているか利用目的が、求める空間を決めます。
  • 2断っている予約は、何件あるか機会損失の大きさを数えます。
  • 3空間の価値で、価格を高められるか値上げ後の来店数も見ます。
  • 4設備の投資は、価値に結びついているか高価な設備が、顧客の価値とは限りません。
  • 5既存のお客様は、何を大切にしているか変えてはならない価値を確かめます。

09POINT

読み方のポイント|空間は、料理の「外側」の商品

この事例で見落としやすいのは、お客様が料理以外の価値にお金を払っているという点です。料理の質が同じでも、空間の条件で、支払ってもよい金額が変わります。空間の価値は、料理の外側にあって、価格に影響するのです。

同時に、空間を変えることは、元に戻しにくい投資です。個室を作れば席数が変わり、雰囲気も変わります。そのため、顧客の声を集めて需要の広がりを確かめ、変えてよい部分と変えてはならない部分を整理してから、投資を決めます。小さな実験で反応を見られるなら、先に試すことも有効です。

記念日や特別な食事では、お客様が店に期待するものも、普段の食事より高くなります。期待に応えられた時の満足は大きく、紹介や再来店にもつながります。その分、期待を下回った時の落差も大きいため、空間とサービスの水準をそろえる運営が必要です。

10LEARNINGS

他社が学べること

価格を高める力は、料理や商品だけでなく、それを楽しむ場面や空間でも決まります。お客様が支払ってもよいと思う価値は、利用の目的によって変わります。

ただし、価格を上げたときの来店数を、数字で確かめることが前提です。

11SUMMARY

この支援で整理した主なポイント

  • 課題は、完全個室を希望する顧客に、構造上応えられず予約を逃していたこと。
  • 真因は、料理の質ではなく、提供できる空間が顧客の利用目的と合っていないことにある。
  • 構想は、空間の価値を高めて価格を高めても選ばれる状態をつくり、利益の改善につなげる内容である。

12RELATED SERVICES

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※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。

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同じような課題を検討している方へ

同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。