支援事例農業 / 収穫能力と作業記録の整備
高性能農機と農作業データの活用で、ブランド米の生産能力と輸出対応力を高める
米、大豆、野菜などを生産し、複数の品種の米を栽培して、商社、飲食店、酒造業者、海外市場などへ直接販売する農業法人が、ブランド米の生産の拡大にあたって、収穫の期間の制約、収穫作業の負荷、耕作の精度、作業記録の負担、輸出先に応じた栽培管理という課題を、高性能なコンバインとトラクター、農作業のデータの活用で解こうとした取り組みを整理した事例です。農業のDXは現場の作業を省力化するだけでなく、作業の履歴が取引先への説明の情報となり、品質管理や商談を支える場合がある点が読みどころです。

- 課題収穫期間の制約、収穫の負荷、耕作の精度、手作業の記録、輸出先に応じた栽培管理が、ブランド米の拡大の制約になっていた。
- 支援した打ち手大型のコンバインと直進走行補正等の機能を持つトラクターを導入し、農機のデータで作業記録を自動化して、生産能力と取引先への説明力を高める取り組みとして整理した。
- 目指す状態出荷期間57.5日→49.8日(目標)。
+OUR SUPPORT
この事例での、ProdX Crowdの支援
事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。
- 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
- 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
- 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
- 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。
01BEFORE
この企業の事業と、強み
この農業法人は、米、大豆、野菜などを生産しています。複数の品種の米を栽培し、商社、飲食店、酒造業者、海外市場などへ直接販売しています。強みは、作物の構成を柔軟に変える経営と、新しい取引先を開拓する力です。既存の資産は、複数品種の栽培技術、商社などとの直接取引、農作業のノウハウ、新規の販路の開拓です。
02PROBLEM
直面していた課題と、その本当の原因
ブランド米の生産を広げるにあたって、収穫の期間の制約、収穫作業の負荷、耕作の精度、作業記録の負担、輸出先に応じた栽培の管理が課題でした。
真因は、販売の拡大に対して、収穫の能力と、作業履歴を説明できる記録の仕組みが追いついていないことです。
- 1見えていた課題収穫期間・作業負荷・耕作精度・記録・輸出先ごとの管理。
- 2一段奥の原因作業記録と報告書の作成が手作業。
- 3真因生産能力と履歴管理が、販路の広がりに追いついていない。
03PROBLEM TREE
課題を掘り下げる
目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。
- 1収穫期間の制約作業負荷。
- 2記録が手作業報告書の負担。
- 3輸出先ごとの管理要件の違い。
04STRATEGY
選んだ打ち手と、その理由
投資の計画は三つです。大型のコンバイン、直進走行の補正などの機能を持つトラクター、そして農作業のデータの活用です。
従来は作業の記録と報告書の作成を手作業で管理していましたが、農機のデータを活用して、収穫の工程の記録を自動化する計画です。戦略は、生産の能力、記録と品質の管理、直接販売の顧客基盤を組み合わせて、ブランド米の供給を拡大し、輸出などの新しい販路につなげることです。
- 1生産能力コンバイン・トラクター
- 2記録・品質管理農機データ
- 3直接販売の顧客基盤商社・飲食店・酒造
- 4供給拡大ブランド米
- 5新販路輸出など
05ALT
なぜこの打ち手か|他の選択肢との比較
従来の機械と手作業の記録を続ける選択は、投資を避けられますが、拡大の制約は残ります。
機械だけを更新する選択は、収穫の能力を高められますが、記録と説明の課題は残ります。機械と記録の両方を整える選択は、供給と説明の両面を支えます。
06ACTION STEPS
実行に向けた段階(目標)
事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。
- 1工程の分解制約を特定します。
- 2導入農機と記録を整えます。
- 3履歴の活用取引先に説明します。
- 4新販路の検討要件を確認して進みます。
07NOTE
補足|履歴の情報を、商談で使えるようにする
作業の履歴は、記録されているだけでは、取引先の説明の材料になりません。取引先が知りたい項目(作業の日、使用した資材、品種、圃場の区画など)に、整理して出せる形にしておくことが、商談を支えます。
輸出を考える場合は、輸出先の国と品目ごとに、残留農薬の基準や栽培管理の要件が異なります。公式な情報で現行の要件を確認し、必要な記録の項目と、現在の記録の項目を、突き合わせます。
08NOTE
補足|自社で試すときの順序
最初に、収穫の期間、作業人数、作業記録にかかる時間を、前提を揃えて数字にします。人数、日数、1回あたりの時間を掛け算で確かめ、合計の数字が合っているかを必ず検算します。
次に、取引先に、どんな履歴の情報を求めているかを聞き取ります。輸出を考える場合は、輸出先の国と品目ごとの要件を、公式な情報で確認し、現在の記録の項目との差を埋める計画を立てます。農機のデータの活用は、この差を埋める手段の一つとして位置づけます。
09NOTE
補足|工数の計算は、前提を揃えて検算する
作業記録の時間のように、人数、日数、1回あたりの時間を掛け合わせて求める工数は、前提が混ざりやすい項目です。対象の人数、作業の日数、1回の時間を一つずつ書き出し、掛け算の結果が合っているかを検算してから、削減の効果として使います。
前提が確認できていない工数は、削減の効果として示さず、確認ができた時点で計画に入れます。
補助の対象となる投資と、自己資金で行う関連の投資は、金額と効果を分けて管理します。収穫の期間は天候に左右されるため、年ごとの条件の違いも、記録に添えておきます。
10DIAGNOSTIC QUESTIONS
自社に当てはめるときの問い
供給と記録の整備を考えるときの問いです。
- 1収穫の期間はどの工程が制約か工程を分解。
- 2取引先は、どんな履歴の情報を求めるか説明の必要性。
- 3補助対象と自己資金の投資を分けているか範囲の管理。
- 4輸出先の要件は最新か公式資料。
11POINT
読み方のポイント|新しい販路の前に、供給と説明の準備
新しい販路を開く前に、必要な量を作れる能力と、取引先へ説明できる履歴を整えると、商談が進みやすくなります。
ただし、数字は前提をそろえて検証し、輸出の要件は現行の公式な情報で確認します。
12HOW TO USE
自社の計画に使うときの読み方|販路を広げたい農業の事業者
この事例を、自社の検討に使うときは、業種の違いに引きずられず、構造を取り出して当てはめると役に立ちます。次の問いに、自社の場合を書き込んでみてください。
- 1取引先が求める履歴の情報は何か説明の必要性を聞く。
- 2収穫の能力は、販売の拡大に足りるか供給の確認。
- 3補助の対象の投資と自己資金の投資を分けているか範囲の管理。
13SUMMARY
この支援で整理した主なポイント
- 課題は、収穫期間・作業負荷・耕作精度・手作業の記録・輸出先ごとの栽培管理。
- 打ち手は、大型のコンバイン、直進補正付きのトラクター、農機データによる作業記録の自動化。
- トラクターは補助対象外で自己資金の計画。
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補助金・経営支援顧問

