支援事例農業 / 収穫能力と作業記録の整備

高性能農機と農作業データの活用で、ブランド米の生産能力と輸出対応力を高める

米、大豆、野菜などを生産し、複数の品種の米を栽培して、商社、飲食店、酒造業者、海外市場などへ直接販売する農業法人が、ブランド米の生産の拡大にあたって、収穫の期間の制約、収穫作業の負荷、耕作の精度、作業記録の負担、輸出先に応じた栽培管理という課題を、高性能なコンバインとトラクター、農作業のデータの活用で解こうとした取り組みを整理した事例です。農業のDXは現場の作業を省力化するだけでなく、作業の履歴が取引先への説明の情報となり、品質管理や商談を支える場合がある点が読みどころです。

業種
農業
支援テーマ
供給・記録の能力を整えてから新販路へ
区分
公的支援制度・設備投資
公的支援制度
公的支援制度を活用
農業のイメージ
イメージ画像です。実際の支援先を撮影したものではありません。

+OUR SUPPORT

この事例での、ProdX Crowdの支援

事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。

  • 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
  • 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
  • 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
  • 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。

01BEFORE

この企業の事業と、強み

この農業法人は、米、大豆、野菜などを生産しています。複数の品種の米を栽培し、商社、飲食店、酒造業者、海外市場などへ直接販売しています。強みは、作物の構成を柔軟に変える経営と、新しい取引先を開拓する力です。既存の資産は、複数品種の栽培技術、商社などとの直接取引、農作業のノウハウ、新規の販路の開拓です。

02PROBLEM

直面していた課題と、その本当の原因

ブランド米の生産を広げるにあたって、収穫の期間の制約、収穫作業の負荷、耕作の精度、作業記録の負担、輸出先に応じた栽培の管理が課題でした。

真因は、販売の拡大に対して、収穫の能力と、作業履歴を説明できる記録の仕組みが追いついていないことです。

  • 1見えていた課題収穫期間・作業負荷・耕作精度・記録・輸出先ごとの管理。
  • 2一段奥の原因作業記録と報告書の作成が手作業。
  • 3真因生産能力と履歴管理が、販路の広がりに追いついていない。

03PROBLEM TREE

課題を掘り下げる

目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。

  • 1収穫期間の制約作業負荷。
  • 2記録が手作業報告書の負担。
  • 3輸出先ごとの管理要件の違い。

04STRATEGY

選んだ打ち手と、その理由

投資の計画は三つです。大型のコンバイン、直進走行の補正などの機能を持つトラクター、そして農作業のデータの活用です。

従来は作業の記録と報告書の作成を手作業で管理していましたが、農機のデータを活用して、収穫の工程の記録を自動化する計画です。戦略は、生産の能力、記録と品質の管理、直接販売の顧客基盤を組み合わせて、ブランド米の供給を拡大し、輸出などの新しい販路につなげることです。

図解|生産能力 → 記録・品質管理 → 直接販売の顧客基盤 → ブランド米の供給拡大 → 新販路
  1. 1生産能力コンバイン・トラクター
  2. 2記録・品質管理農機データ
  3. 3直接販売の顧客基盤商社・飲食店・酒造
  4. 4供給拡大ブランド米
  5. 5新販路輸出など

05ALT

なぜこの打ち手か|他の選択肢との比較

従来の機械と手作業の記録を続ける選択は、投資を避けられますが、拡大の制約は残ります。

機械だけを更新する選択は、収穫の能力を高められますが、記録と説明の課題は残ります。機械と記録の両方を整える選択は、供給と説明の両面を支えます。

06ACTION STEPS

実行に向けた段階(目標)

事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。

  • 1工程の分解制約を特定します。
  • 2導入農機と記録を整えます。
  • 3履歴の活用取引先に説明します。
  • 4新販路の検討要件を確認して進みます。

07NOTE

補足|履歴の情報を、商談で使えるようにする

作業の履歴は、記録されているだけでは、取引先の説明の材料になりません。取引先が知りたい項目(作業の日、使用した資材、品種、圃場の区画など)に、整理して出せる形にしておくことが、商談を支えます。

輸出を考える場合は、輸出先の国と品目ごとに、残留農薬の基準や栽培管理の要件が異なります。公式な情報で現行の要件を確認し、必要な記録の項目と、現在の記録の項目を、突き合わせます。

08NOTE

補足|自社で試すときの順序

最初に、収穫の期間、作業人数、作業記録にかかる時間を、前提を揃えて数字にします。人数、日数、1回あたりの時間を掛け算で確かめ、合計の数字が合っているかを必ず検算します。

次に、取引先に、どんな履歴の情報を求めているかを聞き取ります。輸出を考える場合は、輸出先の国と品目ごとの要件を、公式な情報で確認し、現在の記録の項目との差を埋める計画を立てます。農機のデータの活用は、この差を埋める手段の一つとして位置づけます。

09NOTE

補足|工数の計算は、前提を揃えて検算する

作業記録の時間のように、人数、日数、1回あたりの時間を掛け合わせて求める工数は、前提が混ざりやすい項目です。対象の人数、作業の日数、1回の時間を一つずつ書き出し、掛け算の結果が合っているかを検算してから、削減の効果として使います。

前提が確認できていない工数は、削減の効果として示さず、確認ができた時点で計画に入れます。

補助の対象となる投資と、自己資金で行う関連の投資は、金額と効果を分けて管理します。収穫の期間は天候に左右されるため、年ごとの条件の違いも、記録に添えておきます。

10DIAGNOSTIC QUESTIONS

自社に当てはめるときの問い

供給と記録の整備を考えるときの問いです。

  • 1収穫の期間はどの工程が制約か工程を分解。
  • 2取引先は、どんな履歴の情報を求めるか説明の必要性。
  • 3補助対象と自己資金の投資を分けているか範囲の管理。
  • 4輸出先の要件は最新か公式資料。

11POINT

読み方のポイント|新しい販路の前に、供給と説明の準備

新しい販路を開く前に、必要な量を作れる能力と、取引先へ説明できる履歴を整えると、商談が進みやすくなります。

ただし、数字は前提をそろえて検証し、輸出の要件は現行の公式な情報で確認します。

12HOW TO USE

自社の計画に使うときの読み方|販路を広げたい農業の事業者

この事例を、自社の検討に使うときは、業種の違いに引きずられず、構造を取り出して当てはめると役に立ちます。次の問いに、自社の場合を書き込んでみてください。

  • 1取引先が求める履歴の情報は何か説明の必要性を聞く。
  • 2収穫の能力は、販売の拡大に足りるか供給の確認。
  • 3補助の対象の投資と自己資金の投資を分けているか範囲の管理。

13SUMMARY

この支援で整理した主なポイント

  • 課題は、収穫期間・作業負荷・耕作精度・手作業の記録・輸出先ごとの栽培管理。
  • 打ち手は、大型のコンバイン、直進補正付きのトラクター、農機データによる作業記録の自動化。
  • トラクターは補助対象外で自己資金の計画。

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※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。

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同じような課題を検討している方へ

同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。