設備投資と賃上げに取り組む事業者を支援!「業務改善助成金」&「大分県業務改善奨励金」のご案内
設備投資と賃上げに取り組む事業者を支援!「業務改善助成金」&「大分県業務改善奨励金」のご案内(日田商工会議所)の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。
大分県の事業者は、国の「業務改善助成金」に県の「業務改善奨励金」を上乗せして受けられる
この記事のもとになっているのは、日田商工会議所が掲載した、大分県からのお知らせです。内容は、2つの制度を重ねて使う、という案内です。1つ目は、厚生労働省の「業務改善助成金」(正式名は中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金)。2つ目は、大分県が独自に設けている「業務改善奨励金」(令和8年度の名称は、大分県物価高騰対応業務改善奨励金)です。
どちらも、事業場で最も低い時給(事業場内最低賃金)を引き上げ、生産性を高める設備投資などを行った事業者に、費用の一部を支給する制度です。国の助成金を受けた事業者に、県が、国の助成額に上乗せする形で、奨励金を出します。
最初に、押さえておきたい日付を表にします。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 国の交付申請の期間 | 令和8年9月1日から、事業場の都道府県で適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または11月30日のいずれか早い日まで | 厚生労働省の業務改善助成金のページ、リーフレット |
| 大分県の令和8年度の地域別最低賃金 | 時間額1,096円(現行1,035円から61円の引き上げ)、発効日は令和8年11月1日 | 厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」 |
| 大分県の事業場の国への申請期限 | 発効日の前日にあたる令和8年10月31日(土) | 上記2つから算出。日田商工会議所のお知らせにも同じ日付 |
| 事業の完了期限 | 交付決定の属する年度の1月31日(納品、支払い完了、賃金引き上げのいずれも) | 厚生労働省 |
| 県の奨励金の申請期限 | 国から交付額確定の通知を受けた日から、令和9年3月15日まで | 大分県のページ、支給要綱 |
この記事を書いているのは10月12日です。国への申請期限の10月31日まで、残りは約3週間です。日田商工会議所のお知らせも、「昨年度よりも申請期間が短くなっているのでご注意ください」と呼びかけています。
この記事は、厚生労働省の業務改善助成金のページ、令和8年度のリーフレット、交付要綱・交付要領、大分県の奨励金のページ、チラシ、申請マニュアル、支給要綱を読んで、制度ごとに整理しています。
国の助成金と県の奨励金は、それぞれ何を支給するのか
2つの制度の関係を、表で見ます。
| 項目 | 国の業務改善助成金 | 県の業務改善奨励金 |
|---|---|---|
| 実施機関 | 厚生労働省(申請先は事業場の所在地を管轄する都道府県労働局。大分県なら大分労働局) | 大分県商工観光労働部 雇用労働室 |
| 支給の条件 | 事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資などを行う | 国の助成金を受け、交付額確定の通知を受けていること |
| 金額の決まり方 | 対象経費×助成率と、コース・人数ごとの上限額を比べて、低い方 | (対象経費の支出額-国の助成額)×補助率と、上限額を比べて、低い方。国の助成額が上限 |
| 最大額 | 600万円(特例事業者が、10人以上の賃金を90円以上引き上げた場合) | 180万円(重点枠) |
| 社会保険労務士等への報酬 | 対象にならない | 最大10万円を上乗せ |
| 申請の順番 | 先に、交付申請 | 国の交付額が確定した後に、申請 |
日田商工会議所のお知らせは、概要として、国の助成金は最大600万円、県の奨励金は最大180万円、社会保険労務士等への委託費用は最大10万円、と書いています。ただし、これは上限額を並べた数字です。会社ごとの支給額は、賃金の引き上げ額、引き上げる人数、設備投資の額、事業場の規模によって、大きく変わります。お知らせにも、「国助成金および県奨励金の支給額は、要件により異なります」との注記があります。
国の助成金は、いくら出るのか
国の助成金は、設備投資などにかかった費用に助成率を掛けた額と、助成上限額を比べて、いずれか低い方が支給されます。助成対象経費の下限は10万円です。1,000円未満の端数は切り捨てです。
助成率は、事業場内最低賃金で決まる
| 引き上げ前の事業場内最低賃金 | 助成率 |
|---|---|
| 1,050円未満 | 4/5 |
| 1,050円以上 | 3/4 |
令和7年度までは、この境目が1,000円でした。令和8年度は1,050円に見直されています。
助成上限額は、引き上げ額と人数で決まる
令和8年度は、50円、70円、90円の3つのコースです。引き上げる額が大きいほど、また、引き上げる労働者が多いほど、上限額が上がります。事業場の規模が30人未満の事業者には、より高い上限額が適用される区分があります。交付要綱の別表第1の数字を、表にします(金額の単位は万円、カッコ内が事業場規模30人未満の事業者の場合)。
| 引き上げる労働者数 | 50円コース(50円以上) | 70円コース(70円以上) | 90円コース(90円以上) |
|---|---|---|---|
| 1人 | 30(40) | 40(50) | 90(100) |
| 2〜3人 | 40(70) | 50(100) | 150(240) |
| 4〜5人 | 70 | 130 | 270 |
| 6〜7人 | 90 | 180 | 360 |
| 8人以上 | 110 | 230 | 450 |
| 10人以上(特例事業者のみ) | 130 | 300 | 600 |
表の「10人以上」の区分が使えるのは、特例事業者だけです。最大600万円を受けられるのは、特例事業者が、10人以上の労働者の賃金を90円以上引き上げた場合です。日田商工会議所のお知らせの「※」にも、同じ趣旨が書かれています。お知らせの書き方は、「一定要件を満たす事業者が、設備投資額750万円以上の取組を行い、対象労働者10人以上の賃金を90円以上引き上げた場合」です。750万円という数字は、600万円を助成率4/5で割った額にあたります。
特例事業者とは
| 要件 | 内容 | 受けられる優遇 |
|---|---|---|
| 賃金要件 | 申請する事業場の事業場内最低賃金が、1,050円未満 | 助成上限額の拡大(10人以上の区分) |
| 物価高騰等要件 | 原材料費の高騰など外的な要因で、申請前の最近6か月間平均の売上高総利益率または売上高営業利益率が、前年同期より3%ポイント以上低下している | 助成上限額の拡大に加えて、助成対象経費の拡大(パソコン等の新規導入) |
物価高騰等要件で申請するときは、「事業活動の状況に関する申出書」を提出し、月次損益計算書や試算表などで、数値を裏付けます。事業場内最低賃金が1,050円以上の事業場でも、この要件に当てはまれば、特例事業者になれます。
県の奨励金は、いくら上乗せされるのか
県の奨励金は、次の2つを合算した額です。
| 部分 | 計算 |
|---|---|
| 国の助成金への上乗せ分 | (国の助成金の対象経費支出額-国の助成額)×補助率と、上限額を比べて、低い方。ただし、国の助成金の額の範囲内 |
| 社会保険労務士等への報酬 | 国の助成金の交付申請に際して、就業規則等の改正や申請手続きのために支払った報酬額(実支出額)と、上限10万円を比べて、少ない方 |
千円未満の端数は、上乗せ分と報酬分それぞれで切り捨ててから、合算します。
令和8年4月1日以降に、国へ交付申請した事業者の補助率と上限額
| 枠 | 補助率 | 上限額 | 対象になる条件 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 2/3 | 140万円 | 令和8年4月1日以降に国へ交付申請し、国の交付額確定の通知を受けている |
| 重点枠 | 9/10 | 180万円 | 通常枠の条件に加え、事業場内最低賃金を、令和8年度の大分県の最低賃金の改定幅を超えて引き上げた |
いずれの枠も、国の助成金の額が上限額を下回る場合は、国の助成金の額が上限です。
大分県のチラシは、重点枠の条件を、「令和8年度の最低賃金の改定幅を超えて(62円以上)事業場内最低賃金を引き上げた場合」と書いています。大分県の令和8年度の改定幅は、現行の1,035円から1,096円への61円です。つまり、62円以上の引き上げが、重点枠の線引きです。日田商工会議所のお知らせにある「賃金を62円以上引き上げた場合」の180万円とも、一致します。
令和7年度の国助成金を申請した事業者にも、別の枠がある
令和8年3月31日以前に国へ交付申請し、令和7年4月1日以降に交付決定の通知を受け、令和9年3月15日までに交付額確定の通知を受ける事業者にも、奨励金があります。この場合は、令和8年度の枠とは別の、次の表が適用されます。
| 枠 | 補助率 | 上限額 | 重点枠の条件 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 1/2 | 75万円 | なし |
| 重点枠 | 2/3 | 100万円 | 令和7年4月1日以降に国へ申請し、事業場内最低賃金を82円以上引き上げた |
令和7年度の国助成金の申請者向けと、令和8年度の申請者向けは、チラシも、電子申請の入力フォームも、分かれています。間違えないでください。この記事の読み手の多くは、これから国に申請する事業者なので、以降は令和8年度分を前提に書きます。
具体的に、いくら受け取れるのか
次の計算は、大分県の申請マニュアルの算定例と、この記事の編集部が組んだ仮の数字の例です。実際の金額は、見積書と労働局の審査で決まります。
例1:大分県の申請マニュアルにある算定例(令和8年度・通常枠)
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 事業場内最低賃金 | 1,035円(国の助成率4/5) |
| 事業場 | 従業員20名の飲食業(事業場規模30人未満) |
| 設備投資の対象経費 | 200万円 |
| 賃金の引き上げ | 8名を61円引き上げ |
| 社会保険労務士への報酬 | 14万円 |
| 計算の段階 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 国の助成金の額 | 対象経費200万円×4/5=160万円。8人以上・50円コースの上限は110万円 | 110万円(上限が適用) |
| 県の上乗せ(通常枠) | (200万円-110万円)×2/3=60万円。上限140万円、国の助成額110万円より小さい | 60万円 |
| 社会保険労務士等の報酬分 | 実支出14万円、上限10万円 | 10万円 |
| 県の奨励金の合計 | 60万円+10万円 | 70万円 |
例2:同じ事業場が、賃金を62円引き上げた場合(大分県の算定例・重点枠)
条件は例1と同じで、引き上げ額だけが、62円に変わります。
| 計算の段階 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 国の助成金の額 | 例1と同じ | 110万円 |
| 県の上乗せ(重点枠) | (200万円-110万円)×9/10=81万円 | 81万円 |
| 社会保険労務士等の報酬分 | 実支出14万円、上限10万円 | 10万円 |
| 県の奨励金の合計 | 81万円+10万円 | 91万円 |
引き上げ額が1円増えただけで、奨励金が70万円から91万円へ、21万円増えています。重点枠の境目が、実際に金額を動かす例です。
例3:編集部の仮の数字(30人未満で、3人を70円引き上げる場合)
| 条件(仮の数字) | 内容 |
|---|---|
| 事業場内最低賃金 | 1,040円(国の助成率4/5) |
| 事業場 | 従業員12名(事業場規模30人未満) |
| 設備投資の対象経費 | 150万円 |
| 賃金の引き上げ | 3人を70円引き上げ(70円コース、2〜3人) |
| 社会保険労務士への報酬 | 8万円 |
| 計算の段階 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 国の助成金 | 150万円×4/5=120万円。70円コース・2〜3人・30人未満の上限は100万円 | 100万円 |
| 県の上乗せ(重点枠、70円は62円以上のため) | (150万円-100万円)×9/10=45万円 | 45万円 |
| 社会保険労務士等の報酬分 | 実支出8万円、上限10万円 | 8万円 |
| 県の奨励金の合計 | 45万円+8万円 | 53万円 |
| 国と県を合わせた支給額 | 100万円+53万円 | 153万円 |
この例の経費は、設備150万円と報酬8万円の合計158万円です。支給の合計は153万円、事業者の持ち出しは、約5万円という計算になります。ただし、持ち出しが小さくなる計算になるのは、国と県の上限、経費の対象、消費税の扱いがすべてかみ合ったときです。実際には、助成対象外の経費や、消費税の取り扱いによって、持ち出しは大きく変わります。
例4:編集部の仮の数字(30人未満ではない事業場で、同じ内容の場合)
例3の条件で、事業場規模だけが30人未満ではない場合を計算します。
| 計算の段階 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 国の助成金 | 120万円と、70円コース・2〜3人の上限50万円を比べる | 50万円 |
| 県の上乗せ(重点枠) | (150万円-50万円)×9/10=90万円。上限180万円。ただし国の助成額50万円が上限 | 50万円 |
| 社会保険労務士等の報酬分 | 実支出8万円 | 8万円 |
| 県の奨励金の合計 | 50万円+8万円 | 58万円 |
県の上乗せ分は、国の助成額を超えられません。計算上は90万円になっても、国の助成額が50万円なら、奨励金は50万円です。国の上限額が小さい事業場ほど、県の上乗せも小さくなります。
例5:編集部の仮の数字(特例事業者の最大額に近い例)
| 条件(仮の数字) | 内容 |
|---|---|
| 事業場内最低賃金 | 1,040円(1,050円未満のため、特例事業者の賃金要件に該当。助成率4/5) |
| 賃金の引き上げ | 10人以上を90円以上引き上げ(90円コース、10人以上の区分) |
| 設備投資の対象経費 | 750万円 |
| 社会保険労務士への報酬 | 10万円 |
| 計算の段階 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 国の助成金 | 750万円×4/5=600万円。上限600万円 | 600万円 |
| 県の上乗せ(重点枠) | (750万円-600万円)×9/10=135万円 | 135万円 |
| 社会保険労務士等の報酬分 | 実支出10万円、上限10万円 | 10万円 |
| 県の奨励金の合計 | 135万円+10万円 | 145万円 |
県の上限180万円まで受けるには、(対象経費-国の助成額)×9/10が180万円以上、つまり、国の助成額を引いた残りが200万円以上必要です。国の助成金が600万円なら、対象経費は800万円以上(助成率3/4の事業場の場合)になります。
助成の対象になる経費、ならない経費
対象になる経費の区分は、交付要綱の別表第3にあります。
| 経費区分 | 内容 |
|---|---|
| 謝金 | 専門家の謝金。外部講師による従業員向けの研修、導入機器の操作研修などで、上限は1回あたり10万円、5回まで |
| 旅費 | 専門家の旅費(公共交通機関を用いた最も経済的な経路の実費。グリーン車などの割増運賃は対象外) |
| 借損料 | 機器の借料、損料など(会場借料を除く) |
| 印刷製本費 | 機械装置等にかかる研修資料、マニュアルの作成費用 |
| 原材料費 | 資材の購入費用 |
| 機械装置等購入費 | 機器・設備類の購入、製作、改良の費用(特殊用途自動車以外の自動車と、パソコン、タブレット、スマートフォンおよびその周辺機器は除く) |
| 造作費 | 助成対象となる機器・設備の設置費用 |
| 経営コンサルティング経費 | 中小企業診断士、社会保険労務士などの国家資格者や金融機関が行う経営コンサルティング(人員削減、労働条件の引き下げを内容とするものを除く) |
| 委託費 | 調査会社、システム開発会社などへの委託費用(就業規則の作成・改正と賃金制度の整備を除く) |
令和8年度のリーフレットは、対象になる例として、POSレジシステムの導入による在庫管理の短縮、リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮、国家資格者による顧客回転率向上のための業務フロー見直し、顧客管理情報のシステム化を挙げています。
次のものは、対象外です。
| 対象外のもの | 備考 |
|---|---|
| 単なる経費削減が目的のもの | LED電球への交換、通信費削減のためのプラン変更、資料作成の外注など |
| 快適化が目的の職場環境の改善 | レイアウト変更、エアコンの設置、内装工事、机・椅子の増設、空調服など |
| 通常の事業活動に伴う経費 | 事務所借料、光熱費、従業員賃金、消耗品費、汎用事務機器の購入費など。広告宣伝費・販売促進費(パンフレット、動画、展示会の出展など)も対象外 |
| 建築物の構築、再生可能エネルギー設備、移動に要する費用 | 工場建屋、簡易建物、太陽光発電設備、船舶・航空機の購入費など |
| 法令で義務づけられた整備の経費、事業に必須の資格の取得費 | |
| 交付決定前に発生した費用 | いかなる理由でも、事前着手は認められない |
| 自動車(特殊用途自動車を除く) | 令和8年度は、助成対象外になった |
パソコン、スマートフォン、タブレットなどの端末と周辺機器は、通常は対象外です。物価高騰等要件に当てはまる特例事業者だけ、新規導入に限って、助成対象になります。POSシステムや会計給与システムなど、特定業務専用のシステムを動かす目的であることが明らかな場合は、一般の事業者でも対象とされることがあります。
申請できるのは、どんな事業者か
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 事業者の区分 | 中小企業・小規模事業者であること。大企業と密接な関係を有する、いわゆるみなし大企業は除く |
| 事業場内最低賃金 | 令和8年度の地域別最低賃金未満であること(大分県なら1,096円未満) |
| 申請の単位 | 工場や事務所など、労働者がいる事業場ごと。同じ事業主が複数の事業場で申請する場合は、事業主単位で年間の申請額の上限が600万円 |
| 年度内の申請回数 | 同一事業場につき、1回まで。過去に受給した事業場も対象 |
| 労働者がいない場合 | 助成の対象外 |
| 不交付になる事由 | 申請日の前日から6か月前の日から、実績報告の前日までの間などに、解雇、賃金の引き下げ、所定労働時間の短縮などがあった場合。労働関係法令違反が明らかになった場合、労働保険料の滞納などがある場合 |
事業者の区分は、業種ごとに、資本金または常時使用する労働者の数で決まります。
| 業種 | 資本金・出資の総額 | 常時使用する労働者数 |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
県の奨励金は、国の助成金の交付額確定の通知を受けた中小企業・小規模事業者(個人事業者を含む)が対象で、暴力団員などと関係する者は対象外です。
賃金は、いつ、どう引き上げるのか
ここが、この制度の最も間違えやすい点です。
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 引き上げの時期 | 申請より後。令和8年9月1日以降、かつ、申請事業場に適用される地域別最低賃金の発効日の前日まで。大分県は、10月31日が最後 |
| 申請より前の引き上げ | 認められない。令和7年9月5日以降、最低賃金の改定日の前日までに引き上げていれば計画の提出は不要とされていたが、令和8年度は、賃金引き上げ後の申請はできなくなった |
| 発効日当日の引き上げ | 対象外。リーフレットの例では、発効日(例として10月1日)の前日までに引き上げた場合が対象で、発効日の当日に引き上げた場合は対象外 |
| 複数回に分ける引き上げ | 認められない |
| 就業規則 | 引き上げ後の事業場内最低賃金額を、就業規則等に定める |
| 引き上げる労働者 | 週所定労働時間が20時間以上の雇用保険被保険者で、雇入れ後6か月を経過した労働者 |
| 所定労働時間 | 賃金額の引き上げは、所定労働時間の短縮や所定労働日の減少を伴わないこと |
大分県の最低賃金は、令和8年11月1日から1,096円になります。この日以降、1,096円未満の時給で働かせることは、法律上できません。したがって、事業場内最低賃金が1,096円未満の事業場は、そもそも11月1日までに時給を引き上げる必要があります。業務改善助成金は、その引き上げを、申請より後、10月31日までに実施する事業者に支給されます。
引き上げる労働者の数え方にも、決まりがあります。事業場内最低賃金である労働者に加えて、その人の賃金を引き上げることで賃金額が追い抜かれる労働者も、申請コース以上の額を引き上げていれば、「引き上げる労働者」に数えられます。反対に、申請コースの額以上に引き上げていない労働者や、すでに引き上げ後の事業場内最低賃金以上の労働者は、数えられません。
申請から入金まで、どんな流れで進むのか
| 段階 | 国の助成金 | 県の奨励金 |
|---|---|---|
| 1 | 交付申請書、事業実施計画書、見積書(二者以上)、申請前6か月分の賃金台帳の写しなどを、大分労働局へ提出(持参、郵送、電子申請) | |
| 2 | 労働局が審査し、交付決定。申請書が届いてから原則3か月以内に通知 | |
| 3 | 賃金の引き上げと、設備投資の実施、代金の支払い(交付決定後から、交付決定の属する年度の1月31日まで) | |
| 4 | 事業実績報告書と支給申請書を提出(完了日から1か月を経過する日か、翌会計年度の4月10日のいずれか早い日まで) | |
| 5 | 労働局が審査し、交付額を確定して通知(報告書等が届いてから原則20日以内)。助成金が振り込まれる | |
| 6 | 国の交付額確定の通知を受けたら、支給申請書兼請求書(第1号様式)と添付書類を、県に提出(令和9年3月15日まで) | |
| 7 | 県が審査し、不備がなければ、指定の口座へ振り込み |
県への添付書類は、国の交付決定通知書、交付額確定通知書、実績報告書と国庫補助金精算書、事業実施結果報告の写し(賃金の引き上げ前後の額が書かれた箇所に、原本と相違ない旨、日付、代表者名を記入)、社会保険労務士等への報酬が確認できる領収書等の写し、誓約・同意書(第2号様式)です。
県の奨励金の申請は、オンライン(入力フォーム)か、郵送です。県の申請マニュアルには、令和8年4月1日以降に国へ交付申請した人は、国への申請時期に応じて指定の入力フォームを使う、とあります。郵送先は、〒870-8501 大分市大手町3-1-1 大分県商工観光労働部雇用労働室 労働相談・啓発班です。
今日から10月31日まで、何をするか
| 日にち | やること |
|---|---|
| 今日(10月12日)から数日 | 事業場内最低賃金を確認する。引き上げる労働者と人数、引き上げ額、コース(50円・70円・90円)を決める |
| 同じ週のうち | 導入する設備を絞り、二者以上から見積書を取る。助成対象経費の下限は10万円。見積書の内容が、対象経費の区分に当てはまるか確認する |
| 10月中旬 | 申請前6か月分の賃金台帳の写しなど、必要書類をそろえる。特例事業者の物価高騰等要件を使う場合は、月次損益計算書や試算表から、利益率を計算する |
| 10月下旬 | 大分労働局へ、交付申請書を提出する(持参、郵送、電子申請のいずれか。期限の10月31日に間に合う方法を、労働局に確認する)。申請の後に、賃金の引き上げと、就業規則等の改正を行う |
| 10月31日まで | 賃金の引き上げ(就業規則への記載を含む)を完了する |
| 交付決定後 | 設備を発注し、納品、検収、支払い。令和9年1月31日までに完了させる |
| 交付額の確定後 | 県の奨励金を申請する(令和9年3月15日まで) |
交付決定の前に設備を発注・購入すると、助成の対象になりません。申請より先に、設備を発注しないでください。
つまずきやすい点
| つまずく場面 | 内容 | 対処 |
|---|---|---|
| 申請より前に賃金を引き上げてしまう | 引き上げ後の申請は、令和8年度は認められない | 申請書の提出を済ませてから、賃金を引き上げる |
| 発効日の当日に引き上げる | 大分県は、11月1日の発効に対して、10月31日までに引き上げる必要がある | 給与規程、就業規則の改正日を、10月31日以前にする |
| 交付決定前の発注 | 事前着手は、いかなる理由でも認められない | 交付決定の通知を待ってから発注する |
| 国の確定が遅れる | 県の奨励金は、令和9年3月15日までに国の交付額確定の通知を受けていることが条件 | 納品や支払いを前倒しし、実績報告を早めに出す |
| 支払い方法 | 経費の支出は振込払い。ポイントやギフトカードによる支払いは不可。クレジットカード、小切手、約束手形で、交付決定の属する年度の3月31日までに口座から引き落とされないものは対象外 | 銀行振込で支払う |
| 納期が間に合わない | 納品、支払い完了、賃金引き上げのうち最も遅い日が、1月31日まで | やむを得ない理由がある場合は、あらかじめ理由書を添えて申請すると、3月31日まで延長される場合がある |
| 計画の変更 | 助成対象経費や助成金額が変わる場合、引き上げる労働者数の変更で上限が変わる場合は、労働局長の承認が必要 | 変わりそうなときは、早めに労働局へ相談する。調達の結果が見積額より安くなった場合は、承認は不要 |
| 消費税の扱い | 助成金に係る消費税の仕入控除税額は、減額して申請するか、確定後に報告して返還する | 税込で申請した場合は、国と県の両方へ報告が必要 |
| 社会保険労務士等への報酬 | 年間契約を結んでいる場合は、奨励金の申請手続きを頼んだことで増加した額に限られる | 見積書や請求書で、増加分が確認できるようにしておく |
国の交付要領は、社会保険労務士または弁護士を代理人として、申請や手続きを行わせることを認めています。ただし、見積書を出した者や、助成対象経費の契約の相手方は、代理人になれません。
ほかの制度と、どう違うのか
| 比較する制度 | 違い |
|---|---|
| 国の業務改善助成金だけを使う場合 | 県の上乗せがない。県の奨励金を使うと、国の助成額に、最大180万円(重点枠)と、報酬分10万円が加わる |
| 同じ経費に、ほかの補助金を使う場合 | 国または地方公共団体から同様の事由で補助金等を受けていると、併給調整の対象になる場合がある(交付要領)。申請前に、労働局と、他制度の窓口の両方へ確認する |
| 令和7年度の国助成金に対する県の奨励金 | 令和7年度の申請者向けの枠で、通常枠の上限75万円、重点枠の上限100万円。令和8年度の枠とは、補助率も上限も違う |
この制度が向く事業者、向かない事業者
| 向く事業者 | 理由 |
|---|---|
| 最低賃金の改定で、事業場内最低賃金を引き上げる必要がある事業者 | 引き上げが、助成の前提条件と重なる。引き上げた分の人件費の増加を、設備投資の助成で、一部補える |
| 生産性向上に資する設備(POSレジ、機器、システム、コンサルティング)を、計画的に導入したい事業者 | 助成率が最大4/5で、県の上乗せが加わる |
| 10月31日までに、申請と賃金の引き上げの両方を、実行できる事業者 | 日程が短いため、実行力が必要 |
| 向かない事業者 | 理由 |
|---|---|
| すでに、賃金を引き上げてしまった事業者 | 引き上げ後の申請は、令和8年度はできない |
| 事業場内最低賃金が、すでに1,096円以上の事業者 | 令和8年度の地域別最低賃金未満であることが、条件 |
| 交付決定前に、設備を発注した事業者 | その経費は、対象にならない |
| 設備投資の中身が、経費削減や快適化、通常の事業活動に伴う経費だけの事業者 | 助成対象経費の対象外 |
| 労働者がいない事業者 | 助成の対象外 |
よくある質問
Q. 日田商工会議所のお知らせにある、国の申請期限10月31日は、どの県でも同じですか。同じではありません。国の申請期限は、申請事業場の都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日、または11月30日のいずれか早い日です。令和8年度の地域別最低賃金の発効日は、都道府県ごとに違います(たとえば、北海道は10月1日、福岡は10月4日、岩手は12月1日)。大分県は11月1日なので、前日の10月31日が期限です。
Q. 県の奨励金の「最大180万円」は、誰でも受けられますか。いいえ。180万円は、重点枠の上限額です。重点枠は、令和8年度の最低賃金の改定幅(大分県は61円)を超えて、62円以上、事業場内最低賃金を引き上げた場合が対象です。しかも、(対象経費の支出額-国の助成額)×9/10で計算した額が上限に届き、かつ国の助成額以内でなければ、180万円にはなりません。
Q. 国の助成金の600万円も、誰でも受けられますか。いいえ。600万円は、特例事業者が、10人以上の労働者の賃金を90円以上引き上げた場合の上限額です。お知らせにも、「設備投資額750万円以上」の取組であることが、条件として書かれています。
Q. 社会保険労務士に頼んだ費用は、全額、戻ってきますか。県の奨励金から、実支出額と10万円のうち、少ない方が支給されます。10万円を超える報酬は、対象になりません。
Q. 申請書は、自分で書くのですか。国の助成金は、事業者が申請します。社会保険労務士または弁護士を代理人にすることもできます。県の奨励金は、オンラインの入力フォームを使えば、第1号様式と第2号様式の作成は、入力で済みます。
Q. 県の申請は、いつまでですか。国から交付額確定の通知を受けた日から、令和9年3月15日までです。国への申請期限(10月31日)とは、別の期限です。
Q. 計算を試せるものはありますか。大分県が、支給額シミュレーションシート(Excelファイル)を公開しています。ただし、県は、「実際の支給を保証するものではありません」と注記しています。
問い合わせ先
内容は、年度ごとに改正されます。申請の前に、最新の交付要綱、交付要領、申請マニュアルで、条件を確認してください。
| 内容 | 連絡先 |
|---|---|
| 県の奨励金について | 大分県商工観光労働部 雇用労働室 労働相談・啓発班 電話097-506-3354(日田商工会議所のお知らせ)。県の奨励金のページには、097-506-3351から3354までが載っている。受付は平日8時30分から17時15分 |
| 国の助成金について | 業務改善助成金コールセンター 電話0120-366-440(平日9時から17時)。申請書の提出先は、事業場を管轄する大分労働局 雇用環境・均等部(室) |
| 賃金の計算方法や、事業場内最低賃金の算出に迷うとき | 管轄の労働局 雇用環境・均等部(室)または賃金課室 |
| 日田商工会議所のお知らせ | https://hitacci.com/post-9970/ |
| 厚生労働省の業務改善助成金のページ | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html |
| 大分県の業務改善奨励金のページ | https://www.pref.oita.jp/soshiki/14330/gyoumukaizen-syoureikin2026.html |
厚生労働省は、業務改善助成金のページで、厚生労働省から委託を受けたと装って、助成金の活用を勧誘する事業者がいるとの注意を出しています。厚生労働省や労働局が、特定の事業者に助成金の勧誘を委託することはありません。不正受給は、処罰の対象で、公表されることもあります。
ProdX Crowd編集部は、制度ごとに公式資料を読み、日程と条件を整理しています。10月31日までに間に合わせるには、賃金の引き上げ額と人数、設備の見積もりを、今週中に並べるのが出発点です。
この制度を一言でいうと
「設備投資と賃上げに取り組む事業者を支援!「業務改善助成金」&「大分県業務改善奨励金」のご案内」は、日田商工会議所が実施する補助金・助成金です。対象の地域は大分県です。
【大分県よりお知らせ】設備投資と賃上げに取り組む事業者を支援!「業務改善助成金」&「大分県業務改善奨励金」のご案内 | 【大分県内の中小企業・小規模事業者の皆様へ】 大分県および厚生労働省では、設備投資等による生産性向上と事業場内最低賃金の引き上げに取り組む事業者を強力に支援しています。 国の「業務改善助成金」に加えて大分県独自の「業務改善奨励金」を活用することで、設備投資や社労士費用等の自己負担を大幅に軽減することができます。
受付の期間は、—から2026年10月31日まで。
| 制度名 | 設備投資と賃上げに取り組む事業者を支援!「業務改善助成金」&「大分県業務改善奨励金」のご案内 |
|---|---|
| 実施機関 | 日田商工会議所 |
| 種類 | 補助金・助成金 |
| 対象地域 | 大分県 |
| 受付期間 | —から2026年10月31日まで |
「設備投資と賃上げに取り組む事業者を支援!「業務改善助成金」&「大分県業務改善奨励金」のご案内」の対象になる方
対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。
- 1地域大分県
- 2規模従業員数の制約は示されていません
| 確認すること | この制度の内容 |
|---|---|
| 地域 | 大分県 |
| 規模 | 従業員数の制約は示されていません |
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 賃上げ | 賃上げに関する要件があります。いつの時点の賃金を、何%引き上げるのかの基準が厳密です。給与の改定の時期と、事業の期間の関係を、先に確認します。 |
| 中小企業 | 中小企業者・小規模事業者の定義に当たることが条件です。業種ごとに、資本金や従業員数の上限が決まっています。自社が当たるかを、定義の表で確認します。 |
「設備投資と賃上げに取り組む事業者を支援!「業務改善助成金」&「大分県業務改善奨励金」のご案内」の経費で気をつけたいこと
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 賃金 | 人件費に関する項目があります。対象になる人の範囲(新規採用者のみ、など)と、計算の方法が決まっていることが多いので、算定の方法を、先に確認します。 |
「設備投資と賃上げに取り組む事業者を支援!「業務改善助成金」&「大分県業務改善奨励金」のご案内」の手続きの流れと日程
この制度の受付は—から2026年10月31日まで。締切の2026年10月31日から逆算した、準備の目安は次の表のとおりです。
- 申請計画書・見積書を提出
- 審査1〜3か月
- 交付決定ここから発注できる
- 発注・実施期間内に支払いまで
- 実績報告証拠書類を提出
- 検査・確定補助額が決まる
- 入金お金が入るのは最後
発注・契約は「交付決定」の後。お金が入るのは、最後の「入金」です。
| 時期(目安) | やること |
|---|---|
| 2026年8月31日ごろ | 公募要領を読み、対象かどうかを確認する |
| 2026年9月15日ごろ | 見積書の依頼、電子申請のアカウント取得、決算書・納税証明書の準備 |
| 2026年9月30日ごろ | 事業計画書の作成を始め、第三者(商工会議所・よろず支援拠点など)にも見てもらう |
| 2026年10月23日ごろ | 書類の最終確認。入力を前倒しで済ませる |
| 2026年10月31日 | 受付の終了日。この日までに提出が完了していること |
「設備投資と賃上げに取り組む事業者を支援!「業務改善助成金」&「大分県業務改善奨励金」のご案内」についてのよくある質問
Q&A設備投資と賃上げに取り組む事業者を支援!「業務改善助成金」&「大分県業務改善奨励金」のご案内
Q. 設備投資と賃上げに取り組む事業者を支援!「業務改善助成金」&「大分県業務改善奨励金」のご案内の受付期間はいつですか?
—から2026年10月31日まで。
この制度を検討するときの確認リスト
| 確認項目 | 状況 |
|---|---|
| 対象の地域(大分県)に、事業所がある | □ はい □ いいえ |
| 受付期間(—から2026年10月31日まで)に間に合う | □ はい □ いいえ |
| 交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない | □ はい □ いいえ |
| 後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている | □ はい □ いいえ |
情報の確認元:日田商工会議所の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関等のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。
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