中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内
中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内(北九州市)の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。
先端設備等導入計画の認定は、補助金ではなく「設備投資の計画を市が認定し、固定資産税の特例への入口を開く」制度
北九州市の「先端設備等導入計画」は、中小企業等経営強化法にもとづく認定制度です。お金を交付する補助金ではありません。中小企業者が、設備投資で労働生産性を高める3年から5年の計画を作り、その計画が北九州市の「導入促進基本計画」に合っていれば、市長が認定します。認定を受けた事業者は、取得した設備について固定資産税の特例措置を受けられる道が開けます。税の特例は「納める税額が小さくなる」仕組みで、現金が口座に入る仕組みではありません。ここを最初に押さえると、補助金との違いが見えます。
ProdX Crowd編集部は、北九州市産業経済局中小企業振興課の案内ページ(2026年6月3日更新)、同市の導入促進基本計画のページとPDF、市が公開している申請書・確認書・賃上げ方針の書面などの様式(Word、Excel、PDF)を読み、税の特例の中身は愛知県新城市の公式ページで説明されている国の制度内容と突き合わせて整理しました。中小機構のJ-Net21にも、この制度の紹介記事(掲載日2026年4月17日)があります。
まず、制度の骨格を表にします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度の性格 | 認定制度(税制の特例を受けるための前提)。補助金ではない |
| 根拠 | 中小企業等経営強化法 |
| 認定する人 | 北九州市長(受付は産業経済局中小企業振興課) |
| 計画期間 | 3年間、4年間、または5年間 |
| 労働生産性の目標 | 基準年度(直近の事業年度末)と比べて、年平均3%以上の向上 |
| 投資利益率の目標 | 年平均5%以上(固定資産税の特例を受ける場合のみ認定要件) |
| 事前の確認 | 認定経営革新等支援機関による計画内容の確認が必要 |
| 審査の目安 | 書類が整ってから2週間ほど |
| 特例の対象になる設備 | 令和7年4月1日から令和9年3月31日までに導入する設備 |
| 市の受付時間 | 平日8時30分〜17時15分(窓口または郵送) |
認定を受けると、何がどれだけ有利になるのか
北九州市の案内ページは、認定を受けた中小企業者は固定資産税の特例措置などを受けられると書いています。同ページは、令和7年度の税制改正により、令和7年4月1日から令和9年3月31日までの間に導入する設備が新たな特例の対象になること、令和7年3月31日以前に認定を受けていた事業者でも、4月1日以降に導入する設備について特例を希望するなら、新しい様式で計画を作り直して改めて認定を受ける必要があることを伝えています。
では、軽減の中身は何か。北九州市のページ自体には率が載っていないため、同じ国の制度を説明している新城市の公式ページ(2026年9月1日更新)で確かめました。次の表は、そのページが説明する内容です。
| 計画に位置づける賃上げ方針 | 特例の内容(取得した対象設備にかかる固定資産税) |
|---|---|
| 雇用者給与等支給額を1.5%以上増やす方針を表明 | 3年間、課税標準を2分の1に軽減 |
| 雇用者給与等支給額を3%以上増やす方針を表明 | 5年間、課税標準を4分の1に軽減 |
| 賃上げの表明なし | 特例措置なし(新城市のページは、認定自体も受けられないと書いている) |
なお、新城市のページは、令和9年3月31日までに取得した設備が対象だと書いています。北九州市のページも、令和9年3月31日までの導入を対象と書いており、日付は一致します。軽減の率と年数は国の制度として全国共通ですが、細かい扱いは、北九州市中小企業振興課(電話093-873-1433)に確かめてください。
軽減を数字で考える(仮の数字)
固定資産税は、課税標準に税率を掛けて決まります。課税標準が2分の1や4分の1になれば、税額も同じ割合で小さくなります。次の表は、仮の数字による考え方の例です。実際の課税標準は、設備の取得価額や償却の進み方によって年ごとに変わるため、市の償却資産の担当部署に確認してください。
| 仮の条件 | 軽減がない場合の課税標準(仮) | 軽減後の課税標準 | 軽減される年数 |
|---|---|---|---|
| 賃上げ方針1.5%以上 | 1,000万円 | 500万円(2分の1) | 3年間 |
| 賃上げ方針3%以上 | 1,000万円 | 250万円(4分の1) | 5年間 |
同じ設備でも、3%以上の賃上げを方針として表明すれば、軽減の幅も期間も大きくなります。ただし、賃上げの方針は「従業員に説明して表明する」ものです。後で述べるように、表明した方針は書面で市に出します。方針の水準は、自社の負担能力を確かめたうえで決めるのが、順番として自然です。
誰が対象になるのか:認定の要件と、税の特例の要件は別
北九州市のページは、認定の対象を、中小企業等経営強化法第2条第1項に掲げる中小企業者のうち、次の要件をすべて満たす方としています。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 設備投資の場所 | 北九州市内で行う設備投資であること |
| 税金 | 北九州市税を滞納していないこと |
| 暴力団 | 暴力団、暴力団員、これらと密接な関係を有する者でないこと |
| 事業の性格 | 公序良俗に反する事業を行う者でないこと |
| その他 | 市長が計画の認定をすることが不適当と認める者でないこと |
中小企業者の規模は、業種ごとに資本金の額または出資の額、あるいは常時使用する従業員の数で決まり、どちらか一方が当てはまれば足ります。
| 業種分類 | 資本金の額または出資の額 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
| ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ・チューブ製造業と工業用ベルト製造業を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
| ソフトウエア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業 | 5千万円以下 | 200人以下 |
「製造業その他」は、卸売業から旅館業までに当たらない業種すべてです。ここで見落としやすいのが、固定資産税の特例だけは規模の物差しが別になる点です。北九州市のページは、特例の対象を、資本金1億円以下の法人(一定の大企業の子会社を除く)と、従業員1,000人以下の個人事業主と書いています。
| 比べる点 | 認定の対象 | 固定資産税の特例の対象 |
|---|---|---|
| 法人 | 上の表の業種別の規模に収まる | 資本金1億円以下(一定の大企業の子会社を除く) |
| 個人事業主 | 上の表の業種別の規模に収まる | 従業員1,000人以下 |
| 見るもの | 業種ごとの資本金または従業員数 | 資本金額(法人)、従業員数(個人) |
たとえば、製造業で資本金2億円、従業員200人の会社は、認定の対象の規模には入ります。しかし資本金が1億円を超えるため、固定資産税の特例の対象にはなりません。認定だけを受けても、税の軽減が目的なら意味が薄いことになります。申請の前に、自社が税の特例の対象に入るかを、認定の要件と別に確認してください。
計画の要件:労働生産性3%と投資利益率5%を、どう計算するのか
認定を受ける計画には、数字の目標が二つあります。ひとつは労働生産性、もうひとつは投資利益率です。
労働生産性は「年平均3%以上」
北九州市のページが示す算定式は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 労働生産性 | (営業利益+人件費+減価償却費)÷ 労働投入量 |
| 労働投入量 | 労働者数、または労働者数×1人当たり年間就業時間 |
| 基準 | 直近の事業年度末の数値 |
| 目標 | 計画期間を通じて、年平均3%以上の向上 |
申請書の様式(様式第22)の記載要領も、労働生産性は営業利益、人件費、減価償却費の合計を労働投入量で割ったものを用いるよう求めています。申請書の目標欄は、「現状(A)」「計画終了時の目標(B)」「伸び率(B−A)÷A」の3つを千円単位と%で書く形です。
次の表は、仮の数字による計算例です。
| 仮の数字 | 金額 |
|---|---|
| 営業利益 | 500万円 |
| 人件費 | 3,000万円 |
| 減価償却費 | 300万円 |
| 合計 | 3,800万円 |
| 労働者数 | 10人 |
| 労働生産性(現状A) | 380万円 |
この会社が3年計画を立てる場合、年平均3%以上の向上を、3年間の伸び率に直して考えます。単純に3%×3年と置けば、計画終了時の目標は、380万円の約9%増にあたる約414万円以上です。ただし、年平均の換算の仕方は、国の手引きや北九州市の窓口の考え方に従うものなので、実際の計画では必ず窓口で確かめてください。計画が4年なら、同じ考え方で12%、5年なら15%という目安になります。
注意したいのは、分子が「営業利益+人件費+減価償却費」である点です。設備を入れると減価償却費が増えます。人件費を減らして営業利益を増やしても、分子の合計は動きません。つまり、人を減らして数字を作る計画では、この指標は上がりにくく、そもそも北九州市は、人員の削減を目的とした取組を認定の対象としないと基本計画に定めています。設備導入に伴う新規雇用については、労働生産性の評価で不利にならないよう、市が適切な調整を行ったうえで評価するとも書かれています。
投資利益率は「年平均5%以上」だが、特例を受けるときだけ
投資利益率は、固定資産税の特例を受ける場合のみ、認定の要件になります。市が公開しているExcel様式「基準への適合状況」は、次の構造です。
| 記号 | 内容 |
|---|---|
| ① | 設備の取得等をする年度に取得する設備の取得価額の合計額(設備投資額) |
| ②〜⑤ | 売上高、売上原価(減価償却費以外と減価償却費)の変化額 |
| ⑥〜⑨ | 販管費の変化額(減価償却費以外と減価償却費) |
| ⑩ | 営業利益の変化額(売上高の増加額から売上原価と販管費の増加額を引く) |
| ⑪ | 減価償却費の変化額(⑤と⑨の和) |
| ⑫ | 営業利益+減価償却費(⑩+⑪) |
| ⑬ | 投資年度の翌年度以降3か年度の⑫の単純平均 |
| ⑭ | 投資利益率=⑬÷① |
様式は、投資年度と、その翌年度以降の1年度後、2年度後、3年度後の4列で記入する形です。投資利益率は、設備投資額に対して、設備投資によって増える「営業利益+減価償却費」の3年平均がどれだけかを見る指標です。
次の表は、仮の数字による計算例です。
| 仮の数字 | 1年度後 | 2年度後 | 3年度後 |
|---|---|---|---|
| 設備投資額(①) | 1,000万円 | ||
| 営業利益+減価償却費の増加額(⑫) | 60万円 | 80万円 | 100万円 |
| 3年度の平均(⑬) | 80万円 | ||
| 投資利益率(⑬÷①) | 8%(5%以上を満たす) |
同じ設備投資額でも、増える利益の見込みが年40万円(平均)なら、40万円÷1,000万円で4%となり、5%に届きません。投資利益率の根拠は、見込みの売上増加や原価削減の説明(様式の「本件設備投資による効果」)で示します。売上高への効果、売上原価への効果、販管費への効果の3つを書く欄があり、数字の根拠資料との整合を、認定支援機関が確認します。
どの設備が対象になるのか
北九州市の導入促進基本計画(令和7年4月1日から令和9年3月31日まで)は、対象を広く取っています。
| 項目 | 基本計画の内容 |
|---|---|
| 先端設備等の種類 | 中小企業等経営強化法施行規則第7条第1項で規定する先端設備等のすべて |
| 対象区域 | 市内のすべての地域 |
| 対象業種・事業 | すべての業種・事業 |
| 導入計画の認定件数の目標 | 120件 |
| 労働生産性の目標伸び率 | 年平均3%以上 |
| 計画の対象としない事業 | 市税を滞納している者の事業、暴力団等が計画する事業、公序良俗に反する事業、市長が認定を不適当と認める事業 |
北九州市のページは、設備の種類を、労働生産性の向上に必要な生産・販売活動等の用に直接供される設備と説明し、減価償却資産の種類として、機械装置、測定工具及び検査工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェアを挙げています。そのうえで、固定資産税の特例は対象設備の要件が異なり、一部の設備は特例の対象にならないと注意しています。
固定資産税の特例の対象設備について、新城市のページは、次のように説明しています。
| 減価償却資産の種類 | 最低取得価格(1台または1基・1件あたり) |
|---|---|
| 機械装置 | 160万円以上 |
| 工具 | 30万円以上 |
| 器具備品 | 30万円以上 |
| 建物附属設備 | 60万円以上(家屋と一体で課税されるものは対象外) |
あわせて、生産・販売活動等の用に直接供されるものであること、中古資産でないこと、投資利益率が年平均5%以上と見込まれると認定経営革新等支援機関に確認された投資計画の目的に必要不可欠な設備であること、償却資産として課税されるものに限ることが書かれています。ソフトウェアは認定の対象設備には入るものの、固定資産税の特例で軽減される対象としては、新城市のページの表に載っていません。ソフトウェアを計画に入れる場合は、「認定の対象」と「税の特例の対象」が別であることに気をつけてください。
設備の導入と、認定の順番
最も大事な順番の規則です。北九州市のページは、認定の後に設備を設置すること、計画の認定前に導入した設備は対象とならないことを、はっきり書いています。新城市のページも、先端設備等は認定後に取得することが必須だと注意しています。見積を取る、比較する、といった準備は認定前でもかまいませんが、発注・納品・設置は、認定書を受け取ってからです。
申請から認定、特例の適用までの流れ
北九州市のページが示す流れを、表にします。
| 段階 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 対象の確認 | 適用対象者の要件(資本金1億円以下など)と手続きを確認 | 認定の規模と税特例の規模は別 |
| 計画の作成 | 「導入促進基本計画」に沿っていることを確認し、先端設備等導入計画を作成 | 申請書は市の様式を使う |
| 認定支援機関の確認 | 計画内容の確認を、認定経営革新等支援機関に依頼 | 労働生産性が年平均3%以上向上するか、投資利益率が5%以上と見込まれるか(特例の場合) |
| 賃上げ方針 | 賃上げ方針を計画に位置づけ、従業員に説明 | 説明したことを証する書面を出す |
| 申請 | 申請書類一式を、北九州市中小企業振興課へ提出(窓口または郵送) | 受付は平日8時30分〜17時15分 |
| 審査・認定 | 市が審査し、計画を認定 | 審査には2週間ほどかかる |
| 設備の導入 | 認定後に設備を設置 | 認定前に導入した設備は対象外 |
| 税務申告 | 取得した先端設備等が固定資産税の対象となる場合は、税務申告を行う | 償却資産の申告で特例を申告する |
北九州市のページは、必要書類が全部そろい、問題がなければ認定書の交付は2週間程度を予定していること、設備取得までに認定を受ける必要があるため、期間に余裕を持って申請することを、繰り返し求めています。
固定資産税の特例の申告
新城市のページによれば、特例を受けるには、毎年1月31日が申告期限の固定資産税(償却資産)申告書を出すとき、認定書の写し、認定申請書の写し、認定支援機関の確認書の写し(計画と投資計画の2種)、賃上げ方針を表明したことを証する書面の写しなどを添える必要があります。償却資産の申告先は、市区町村の税の担当部署です。北九州市での具体的な手続や様式は、固定資産税(償却資産)の担当部署に確認してください。
申請書類は何をそろえるのか
北九州市のページが挙げる書類を、種類ごとに整理します。
| 区分 | 書類 | 中身の要点(市の様式より) |
|---|---|---|
| 必須 | 先端設備等導入計画に係る認定申請書(様式第22) | 名称等、計画期間、現状認識、導入の内容、労働生産性の目標、設備の種類と導入時期、資金の額と調達方法、雇用に関する事項 |
| 必須 | 認定経営革新等支援機関による「先端設備等導入計画に関する確認書」 | 設備が目標を達成しうる労働生産性の向上につながるかについての所見 |
| 必須 | 暴力団排除に関する誓約書 | 役員を含めて、暴力団・暴力団員・密接な関係者に当たらないことを誓約。認定取消の場合の損害賠償請求をしないことにも触れている |
| 必須 | 役員名簿 | Word様式 |
| 必須 | 連絡先 | Word様式 |
| 必須 | 市税の滞納がない旨の納税証明書(原本) | 各区役所で発行 |
| 特例の設備を含む場合 | 認定経営革新等支援機関による「投資計画に関する確認書」 | 投資計画が投資利益率の要件を満たすことの確認 |
| 特例の設備を含む場合 | 従業員へ賃上げ方針を表明したことを証する書面(記入例あり) | 1.5%または3.0%の割合を書く |
| 認定書の郵送を希望する場合 | 返信用封筒 | A4の認定書を折らずに返送できるもの。宛先と「送料不足分受取人払」の文言を書き、切手を貼る |
投資計画の確認を依頼するときは、次の資料を事業者側で作成します。
| 依頼時に作る資料 | 内容 |
|---|---|
| 投資計画に関する確認依頼書 | 事業者の名称等、導入の目的、導入場所の住所、事業の改善等に資する説明、設備投資の内容、基準への適合状況 |
| (別紙)設備投資の内容(Excel) | 取得年月、設備名と型式、所在地、設備の種類、単価、数量、金額、用途。記入例は「プレス機器」「空調設備」「測定機器」で、種類は機械装置、建物附属設備、器具備品 |
| (別紙)基準への適合状況(Excel) | 投資利益率の計算表と、売上高・売上原価・販管費への効果の説明 |
認定支援機関は、何を確認するのか
認定経営革新等支援機関の確認書は、様式の注記に、確認する観点が書かれています。事業者にとっては、「何を準備すれば確認が通るか」を知る手がかりです。
| 確認書の種類 | 確認される観点 |
|---|---|
| 先端設備等導入計画に関する確認書 | 導入する先端設備等が生産・販売活動等に直接利用されるか。導入によって労働生産性向上の目標の達成に寄与するか |
| 投資計画に関する確認書 | 設備投資の内容が、導入の目的と事業の改善に資するという説明に照らして整合しているか。説明が「本件設備投資による効果」と整合しているか。設備投資額が「設備投資の内容」と「基準への適合状況」で一致しているか。投資利益率と「営業利益+減価償却費」の各年度と3年平均が、売上高、売上原価、販管費、減価償却費の各年度の金額から算定されているか。効果の金額が算出根拠資料と整合しているか |
同じ金額が書類の中で食い違っていないか、数字の積み上げが根拠資料と合うかという、一貫性の確認が中心です。複数の事業所や工場を持つ場合の投資利益率の単位についても、様式に注記があります。投資計画の対象範囲が各事業所や各工場の単位に収まるなら、その単位で投資利益率を出すのが基本ですが、投資効果を会社単位でしか測れない場合は、会社単位の数値でも計画を作ってよいとされています。
賃上げ方針の表明とは、どういう手続きか
令和7年度の税制改正以降、先端設備等導入計画では賃上げ方針が重要になりました。北九州市のページの流れにも、「賃上げ方針を計画に位置づけ、従業員に賃上げ方針を説明」が入っています。また、変更申請の注意として、新規申請時に賃上げ方針を位置づけていれば、変更申請時にも賃上げ表明を行えると書かれています。
市の様式「従業員へ賃上げ方針を表明したことを証する書面」と、その記入例(PDF)は、次の形です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が出すか | 事業者(代表者)が、市区町村長あてに出す |
| 何を書くか | 対象とする事業年度(個人事業主は暦年)、前の事業年度との比較、給与総額(雇用者給与等支給額)を増加させる割合(1.5%または3.0%)、従業員代表への説明と従業員への表明 |
| 対象の事業年度 | 計画の申請日を含む事業年度(令和7年4月1日以降に開始するものに限る)、またはその翌事業年度 |
| 比較の対象 | 計画の申請日を含む事業年度の直前の事業年度の雇用者給与等支給額 |
| 割合の書き方 | 小数点第1位まで記載 |
| 従業員側の確認 | 従業員代表が、表明を受けた日と方法を書き、署名する。署名は記名・押印でも可だが、記名のみは不可 |
| 表明の方法の例 | 社員全員へのメール、朝礼での口頭説明、社内の掲示板への掲載、社内のポータルサイトへの掲載、書面の配布 |
記入例は、令和7年度の当社事業年度で、雇用者給与等支給額を令和6年度と比べて3.0%以上増やす方針を従業員代表に説明した、という形です。これは様式の「記入例」であり、実在する会社の例ではありません。自社の事業年度、比較の年度、割合に置き換えて書きます。
賃上げ方針は、「表明した」という事実を書面で残す手続きです。実際に給与総額を増やす見込みが立っていない水準を書けば、あとで説明に困ります。人件費の見通しを先に立ててから、1.5%か3%かを決めるのがよいでしょう。
申請の日程を、いまの時点から逆算するとどうなるか
この記事を書いている2026年10月12日の時点で、特例の対象となる設備の導入期限(令和9年3月31日)まで、約5か月半あります。北九州市のページは受付の締切を設けていません(随時の受付)が、設備の取得までに認定を受ける必要があります。次の表は、仮の日程の例です。
| 時期(仮) | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 2026年10月中旬 | 導入したい設備と見積を決める。自社が認定・特例の対象かを確認する | 市のページ |
| 10月下旬〜11月上旬 | 認定支援機関に、計画内容と投資計画の確認を依頼する。賃上げ方針を決め、従業員に説明して書面を整える | 市のページ(流れ4・5) |
| 11月中旬 | 納税証明書を取り、申請書類一式を市中小企業振興課へ提出する | 市のページ(流れ6) |
| 11月下旬〜12月上旬 | 審査(書類がそろってから2週間ほど)。認定書を受け取る | 市のページ(流れ7) |
| 認定書を受け取った後 | 設備を発注・納品・設置する | 市のページ(流れ8) |
| 令和9年3月31日まで | 特例の対象となる設備の導入期限 | 市のページ |
| 設備取得の翌年の1月31日 | 償却資産の申告で特例を申告する | 新城市のページが説明する国の手続 |
3月末に導入が集中すると、書類の修正や認定支援機関の確認に時間がかかる可能性があります。市の「審査に2週間ほど」という目安は、書類がそろった後の時間です。確認書の取得や、納税証明書の発行、賃上げ方針の説明にかかる期間は含まれていません。余裕を持つなら、設備の納期から逆算して、認定書を受け取りたい日を先に決めておくのが現実的です。
計画を変更するときは、どうなるのか
認定を受けた計画を変えるときの規則も、市のページにあります。
| 場面 | 手続き |
|---|---|
| 設備の追加取得など、計画を変更しようとする場合 | 北九州市の変更認定を受ける必要がある |
| 設備の取得金額・資金調達額の若干の変更、法人の代表者の交代など、認定された計画の趣旨が変わらない軽微な変更 | 変更申請は不要 |
変更申請に必要な書類は、次のとおりです。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 先端設備等導入計画の変更に係る認定申請書 | すでに認定された計画を修正して作成し、変更・追記部分に下線を引く |
| 変更認定申請に係る補足資料 | 変更時点の導入状況や経営状況を分析して、変更理由を書く(記入例あり) |
| 認定支援機関による確認書 | 計画に関する確認書 |
| 前回認定を受けた計画(認定書含む)の写し | |
| 役員名簿 | |
| 特例の設備を含む場合の投資計画に関する確認書と、その依頼資料 | 確認依頼書、設備投資の内容、基準への適合状況 |
| 返信用封筒(認定書の郵送を希望する場合) |
市の補足資料の記入例は、NC旋盤と三次元測定器の導入が予定どおり完了し、製造工程から検査工程を自動化したこと、設備導入後に営業利益が前年同月比で約1.2倍になったこと、さらに受注増・人手不足に対応するため、新たにマシニングセンタを導入する計画であることを、変更理由として書く形になっています。この例のように、これまでの導入状況と経営状況の実績を踏まえて、なぜ追加するのかを説明するのが、補足資料の考え方です。
つまずきやすい点
| つまずき | 起きること | 避け方 |
|---|---|---|
| 設備を先に発注・導入してしまう | 認定前に導入した設備は対象外 | 認定書を受け取ってから発注・納品する |
| 認定の規模と税特例の規模を混同する | 認定を受けても、資本金1億円超のため特例を使えない | 申請前に、税特例の対象かを別に確認する |
| 令和7年3月以前に認定を受けていた | 4月以降に導入する設備で特例を希望するなら、新様式で再度認定が必要 | 過去の認定書があっても、新様式で計画を作り直す |
| 賃上げ方針の書面の記載漏れ | 提出書類が不足し、審査が進まない | 市の記入例に合わせ、割合を小数点第1位まで書き、従業員代表の署名をもらう |
| 投資利益率の数字が、書類間で合わない | 認定支援機関の確認で止まる | 設備投資額、効果の金額、根拠資料を突き合わせる |
| ソフトウェアや中古設備を特例の対象と思い込む | 認定は受けても、税の軽減を受けられない | 税特例の対象設備の条件(種類、最低取得価格、中古不可)を確認する |
| 認定支援機関への依頼が遅れる | 申請書類がそろわず、設備取得に間に合わない | 申請の前に、確認の依頼先と時期を決める |
| 認定書の郵送の準備不足 | 返送が遅れる | 返信用封筒に宛先、「送料不足分受取人払」の文言、切手を用意する |
| 納税証明書が取れていない | 申請書類が不備になる | 市税の滞納がない旨の証明書(原本)を、区役所で取得する |
| 計画の変更を軽く見る | 設備を追加しても、変更認定を受けていなければ対象外になり得る | 設備の追加取得は変更認定を受ける |
向く会社、向かない会社
| 向く会社 | 理由 |
|---|---|
| 北九州市内で、機械装置や測定機器などへの設備投資を予定している | 認定の対象が、市内の設備投資に限られる |
| 資本金1億円以下の法人、または従業員1,000人以下の個人事業主 | 固定資産税の特例の対象になる |
| 賃上げの方針を持つ、または持てる | 賃上げ方針の水準が、特例の年数と軽減の幅を決める |
| 設備投資の効果を、数字で説明できる | 労働生産性と投資利益率の計画が必要 |
| 設備の発注を、認定まで待てる | 認定前に導入した設備は対象外 |
| 向かない会社 | 理由 |
|---|---|
| すでに設備を導入し終えた | 認定前に導入した設備は対象にならない |
| 人員削減を主な目的にする設備投資 | 基本計画が、人員の削減を目的とした取組を認定の対象としない |
| 市税を滞納している | 認定の要件を満たさない |
| 北九州市外に設備を置く | 市内で行う設備投資が条件 |
| 今すぐ現金の補助を受けたい | 税の特例であり、現金は交付されない |
| 資本金1億円を超える法人(税の軽減が目的の場合) | 認定は受けられても、特例の対象外 |
補助金や、似た制度とどう違うのか
| 比べる制度 | 先端設備等導入計画の認定との違い |
|---|---|
| 設備投資の補助金 | 補助金は、審査に通ると経費の一部が交付される。認定は、計画が要件に合えば認定され、税の軽減を受けられる。公募の期間や予算の枠による採択の競争が前提ではなく、市が定めた要件への適合を審査する |
| 経営革新計画 | 経営革新計画は、新事業活動を3年から5年の計画にまとめ、都道府県知事等の承認を受ける制度。先端設備等導入計画は、設備投資と労働生産性の向上が中心で、認定するのは市区町村 |
補助金で設備を取得する場合の扱い(補助金と税の特例を同時に使えるか)は、北九州市のページに記載がありません。両方を考えている場合は、補助金の事務局と、北九州市中小企業振興課の双方に、先に確認してください。
この制度の考え方を一言で言えば、認定は「設備投資と賃上げの計画を、市が認める」ことであり、補助金のように「お金を出してもらう」ことではありません。投資が先に決まっている会社が、その投資の税負担を軽くするために、計画の形に整える制度です。
なお、北九州市のページと中小機構の紹介記事は、認定を受けた事業者は固定資産税の特例措置や金融支援を受けられると書いています。この記事は、融資・貸付にあたる支援を取り扱わないため、金融支援の中身には触れていません。
よくある質問
| 質問 | 回答(市の案内ページ、様式、基本計画に基づく) |
|---|---|
| 先着順ですか。募集期間はありますか | 市のページに、締切や募集期間の記載はありません。ただし、設備の取得までに認定を受ける必要があるため、早めの申請が求められています |
| 申請から認定書までどのくらいですか | 必要書類をすべて提出し、問題がなければ、2週間程度での認定書の交付を予定しています |
| どこに出しますか | 北九州市産業経済局中小企業振興課へ、窓口または郵送で提出します |
| 認定前に買った設備は対象ですか | 対象になりません。計画の認定前に導入した設備は対象外です |
| 令和7年3月31日以前に認定を受けています | 令和7年4月1日以降に導入する設備について特例を希望するなら、新様式で計画を作り、改めて認定を受ける必要があります |
| 計画の期間は何年ですか | 3年間、4年間、または5年間です |
| 労働生産性の目標はいくつですか | 基準年度の末と比べて、年平均3%以上の向上です。算定式は(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量です |
| 投資利益率の5%は誰が必要ですか | 固定資産税の特例を受ける場合のみ、認定の要件になります |
| 計画の確認は誰がしますか | 認定経営革新等支援機関です。計画内容の確認書と、特例の設備を含む場合は投資計画の確認書が必要です |
| 計画を変えるときは | 設備の追加取得などは変更認定が必要です。金額の若干の変更や代表者の交代など、趣旨が変わらない軽微な変更は不要です |
| 賃上げ方針は必ず書くのですか | 北九州市の書類一覧では、賃上げ方針の書面は、固定資産税の特例の対象となる設備を含む場合の書類として挙がっています。一方、新城市のページは、賃上げ表明がなければ認定を受けられないと書いています。どちらの扱いになるかは、北九州市中小企業振興課に確認してください |
| 認定された後に、市に何か報告しますか | 基本計画は、市が、導入促進基本計画と、事業者の先端設備等導入計画の進捗・実施状況の把握に必要な調査を行い、事業者はこれに協力する、と定めています |
| 納税証明書はどこで取りますか | 北九州市税の滞納がない旨の証明書(原本)で、各区役所で発行されます |
| 市外の事業所に導入する設備は対象ですか | 対象は、北九州市内で行う設備投資です |
問い合わせ先と、公式資料
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 担当 | 北九州市産業経済局 地域経済振興部 中小企業振興課 |
| 所在地 | 〒804-0003 北九州市戸畑区中原新町2番1号 北九州テクノセンタービル1階 |
| 電話 | 093-873-1433 |
| FAX | 093-873-1434 |
| 受付時間 | 平日8時30分〜17時15分 |
| 市の案内ページ | https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/10700365.html |
| 導入促進基本計画のページ | https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/09901196.html |
| 紹介記事(J-Net21) | https://j-net21.smrj.go.jp/snavi2/articles/180735 |
北九州市の案内ページは、申請書類の作成前に、中小企業庁のホームページで書類の記載方法を確認するよう求めています。中小企業庁のページ(chusho.meti.go.jp)は、ProdX Crowd編集部の取得環境では読めなかったため、この記事では参照していません。記載方法や最新の手引きは、各自で中小企業庁のサイトを確認してください。
ProdX Crowd編集部が、この制度の記事を書くうえで大切だと考えた点は、三つあります。ひとつ目は、補助金ではなく税の特例への入口だという位置づけ、ふたつ目は、認定を受けてから設備を取得するという順番、三つ目は、賃上げの方針という社内の約束を、書面にして出す点です。設備の投資が決まっているなら、計画の数字、認定支援機関の確認、賃上げ方針、納税証明書の4つを、設備の発注より先に整えてください。
この制度を一言でいうと
「中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内」は、北九州市が実施する認定制度です。対象の地域は北九州市・福岡県です。
中小企業者が、設備投資を通じて労働生産性の向上を実現するための計画を策定し、その計画が北九州市の「導入促進基本計画」等に合致する場合に、北九州市から計画の認定を受けることができます。 認定を受けた中小企業者は、固定資産税の特例措置や金融支援を受けることができます。
受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。
| 制度名 | 中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内 |
|---|---|
| 実施機関 | 北九州市 |
| 種類 | 認定制度 |
| 対象地域 | 北九州市・福岡県 |
| 受付期間 | 通年(随時)で受け付けています |
「中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内」の対象になる方
対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。
- 1地域北九州市・福岡県(市区町村の制度のため、その市区町村内に事業所があることが基本)
- 2規模従業員数の制約は示されていません
| 確認すること | この制度の内容 |
|---|---|
| 地域 | 北九州市・福岡県(市区町村の制度のため、その市区町村内に事業所があることが基本) |
| 規模 | 従業員数の制約は示されていません |
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 認定 | 認定・登録・承認を受けていることが、条件になっている場合があります。取得に時間がかかるものは、申請より先に手続きを始めます。 |
| 中小企業者 | 中小企業者・小規模事業者の定義に当たることが条件です。業種ごとに、資本金や従業員数の上限が決まっています。自社が当たるかを、定義の表で確認します。 |
「中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内」の経費で気をつけたいこと
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 認定 | 認証・規格の取得に関する費用が含まれています。審査費用、コンサルティング費、更新費用のうち、どれが対象かを、制度の定めで確認します。 |
申請の方法と、そろえる書類
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 計画作成 | 事業計画書の提出が求められています。課題→取り組み→効果を、一貫した流れで書くことが基本です。数字の根拠(見積書、市場の資料、過去の実績)を添えると、説得力が増します。 |
この制度で、特に注意したいこと
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| その他 | くらしの情報 / 住民異動・証明・税金・健康保険 / 子育て・教育 / 環境・住まい / 防災・防犯・消費生活 / ペット・動物愛護 / 主な出来事から探す / 新着情報一覧 |
「中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内」の手続きの流れと日程
この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。
- 計画の作成現状・目標・内容
- 支援機関の確認制度による
- 申請期限・申請先を確認
- 認定設備取得の前に
- 優遇措置の利用税制・融資・加点
- 毎年の報告実施状況
「中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内」についてのよくある質問
Q&A中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内
Q. 中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内の受付期間はいつですか?
通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。
Q. 中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内で、注意すべきことはありますか?
くらしの情報
Q. 中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定申請のご案内で、注意すべきことはありますか?
住民異動・証明・税金・健康保険
この制度を検討するときの確認リスト
| 確認項目 | 状況 |
|---|---|
| 対象の地域(北九州市・福岡県)に、事業所がある | □ はい □ いいえ |
| 交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない | □ はい □ いいえ |
| 後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている | □ はい □ いいえ |
情報の確認元:北九州市の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。
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