企業版ふるさと納税
企業版ふるさと納税(松崎町)の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。
松崎町の企業版ふるさと納税は、補助金ではなく「寄附をした企業が、法人関係税の軽減を受ける」税制の制度
最初に、この制度の位置づけを正しておきます。静岡県賀茂郡松崎町の「企業版ふるさと納税」は、国や町が企業にお金を出す補助金ではありません。企業のほうが、町の地方創生の事業に寄附をします。その寄附に対して、国の税制が、法人住民税、法人事業税、法人税の軽減を認める仕組みです。補助金の検索に載っていても、お金の流れは逆向きだと理解してください。
町の公式ページ(公開日2026年10月6日)は、松崎町が取り組む「松崎町デジタル田園都市構想推進計画」に掲げる事業に対して、企業版ふるさと納税による寄附を募集していると案内しています。申し込み先は、松崎町役場の企画観光課です。
制度の骨格を、先に表で押さえます。
| 項目 | 内容(町の公式ページ、内閣府の資料より) |
|---|---|
| 制度の性格 | 税制(地方創生応援税制)。補助金・助成金ではない |
| 寄附先 | 静岡県賀茂郡松崎町。国が認定した地域再生計画「松崎町デジタル田園都市構想推進計画」の事業 |
| 寄附する人 | 松崎町外に本社(地方税法上の「主たる事務所または事業所」)がある法人 |
| 最低の寄附額 | 1回あたり10万円以上 |
| 税の軽減 | 損金算入による軽減に、税額控除による軽減を上乗せし、寄附額の最大約9割(内閣府の資料) |
| 見返り | 寄附の代償として、経済的な利益を受けることは禁止 |
| 制度の期限 | 令和7年度税制改正で、税額控除の特例が令和9年度まで延長 |
| 町の計画期間 | 2025年4月1日から2028年3月31日まで |
| 町が示す寄附額の目安 | 240,000千円(2025年度から2027年度の累計) |
| 窓口 | 松崎町役場 企画観光課 美しい村推進係 TEL 0558-42-3964 |
この記事では、税の仕組み、町の計画と事業の中身、寄附の流れ、禁止されている見返りと許される感謝の形、つまずきやすい点、向く会社と向かない会社を、公式資料にもとづいて整理します。税額の具体的な計算は、会社の決算の状況で変わるので、仮の数字で考え方を示すにとどめ、実際の判断は顧問の税理士の方と進めてください。
企業版ふるさと納税とは、どんな仕組みですか
内閣府の資料は、この制度を、地方創生の取組に対して企業が寄附した場合に、法人関係税を税額控除するものと説明しています。平成28年度に創設され、地方公共団体が地方版総合戦略をもとに「地域再生計画」を作り、内閣総理大臣の認定を受けることが前提です。
町の公式ページに載っている概要図(内閣府の資料の引用)は、次の流れを示しています。
| 順番 | 誰が | 何をする |
|---|---|---|
| 1 | 地方公共団体 | 地方版総合戦略を作る |
| 2 | 地方公共団体 | 総合戦略をもとに、地域再生計画を作る |
| 3 | 内閣府 | 計画を認定する |
| 4 | 企業 | 認定を受けた事業に、寄附する |
| 5 | 国と、企業の所在地の自治体 | 寄附をした企業に、税額控除を適用する(法人税は国、法人住民税・法人事業税は企業が所在する自治体) |
つまり、寄附を受けられるのは、認定を受けた地域再生計画の事業だけです。松崎町の場合は、「松崎町デジタル田園都市構想推進計画」が、その計画にあたります。計画期間は、2025年4月1日から2028年3月31日までです。
個人のふるさと納税とは、何が違いますか
名前は似ていますが、別の制度です。個人のふるさと納税は、寄附の返礼品がある仕組みとして知られています。企業版は、経済的な見返りが禁止されています。企業が寄附をする目的は、返礼を受けることではなく、地域の課題への貢献にあります。
| 比べる点 | 企業版ふるさと納税(この制度) | 個人のふるさと納税 |
|---|---|---|
| 寄附する主体 | 法人 | 個人 |
| 見返り | 経済的な利益は禁止 | この記事の資料の範囲外 |
| 寄附先の条件 | 国が認定した地域再生計画の事業 | この記事の資料の範囲外 |
| 最低額 | 1回10万円以上 | この記事の資料の範囲外 |
| 本社所在地への寄附 | 対象外 | この記事の資料の範囲外 |
右側の列は、松崎町と内閣府の資料に書かれていないので、ここでは扱いません。個人の制度の詳細は、お住まいの市区町村や総務省の資料で確認してください。
税の軽減は、どのくらいですか。仕組みを、順に読みます
内閣府の資料(令和7年度税制改正の資料、令和8年4月1日付の概要資料)は、税の軽減効果を次のように示しています。
| 税目 | 軽減の内容 | 上限 |
|---|---|---|
| 法人住民税 | 寄附額の4割を税額控除 | 法人住民税法人税割額の20% |
| 法人税 | 法人住民税で4割に達しない場合、その残額を税額控除 | 寄附額の1割まで。法人税額の5%が上限 |
| 法人事業税 | 寄附額の2割を税額控除 | 法人事業税額の20% |
| 損金算入 | 通常の寄附と同じく、損金に算入できる効果が約3割 | (内閣府の図では、税額控除とあわせて最大約9割) |
資料の例は、1,000万円を寄附すると、最大で約900万円の法人関係税が軽減されるというものです。企業の実質的な負担は、約1割まで抑えられます。町の公式ページにも、同じ趣旨が書かれています。
ここで大事なのは、「最大」という言葉です。軽減の額は、会社が納める法人住民税の法人税割額、法人税額、法人事業税額に対して、上限が決まっています。たとえば法人住民税の控除は、法人税割額の20%が上限です。納税額が小さい会社では、寄附額に応じた満額の控除を受けきれません。
仮の数字で、控除の上限がどう働くか見てみます
以下は、仮の数字による考え方の例です。実際の金額は、会社の納税額、課税所得、決算の内容で変わります。
| 項目(仮の数字) | 金額・条件 | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 寄附額 | 100万円 | 1回あたり10万円以上の条件を満たす |
| 法人住民税の法人税割額 | 100万円と仮定 | 控除の上限は、その20%の20万円 |
| 法人住民税の控除 | 20万円 | 寄附額の4割(40万円)は、上限20万円で止まる |
| 法人税で埋められる額 | 最大10万円 | 法人住民税で4割(40万円)に届かない残額は20万円だが、法人税での控除は寄附額の1割(10万円)まで |
| 法人税額 | 400万円と仮定 | 上限は5%の20万円。10万円は、この上限の内側 |
| 法人事業税の控除 | 20万円 | 寄附額の2割。法人事業税額が300万円と仮定すると、上限は20%の60万円で、内側 |
| 税額控除の合計 | 約50万円 | 20万円と10万円と20万円の合計 |
| 損金算入の効果 | 別途約3割の軽減 | 実際の額は、会社の課税所得と実効税率で変わる |
この仮の例では、法人住民税の法人税割額が小さいために、住民税の4割分(40万円)を使いきれませんでした。その残りを法人税で補えますが、そこにも寄附額の1割という限度があります。したがって、寄附額をいくらにするかは、会社の納税額を見て決めるのが、現実的な考え方です。
最適な額の試算、どの決算期にいくら寄附するかの判断は、会社の顧問の税理士の方に、決算書と法人税等の見込み額を見せて相談してください。この記事の仮の数字は、考え方を示すものであり、会社の納税額に当てはめた結果ではありません。
制度の期限は、いつまでですか
内閣府の資料(令和7年度税制改正)は、税額控除の特例措置を3年間、令和9年度まで延長することを示しています。町の公式ページにも、「令和7年度税制改正により、制度の適用期限は令和9年度まで延長されています」と書かれています。町の計画の期間は、2028年3月31日までです。
令和9年度より先の取り扱いは、資料に書かれていません。長期の寄附計画を立てる場合は、内閣府の企業版ふるさと納税ポータルサイトで、最新の改正内容を確認してください。
寄附の対象になる会社は、どんな会社ですか
町の公式ページの「制度活用に関する留意事項」と、内閣府の資料から、条件を整理します。
| 条件 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 寄附の額 | 1回あたり10万円以上 | 町の公式ページ、内閣府の資料に共通 |
| 本社の所在地 | 松崎町外に本社がある法人 | 地方税法における「主たる事務所または事業所」。本社が所在する自治体への寄附は対象外 |
| 見返りの禁止 | 寄附の代償として、経済的な利益を受けることは禁止 | 次の節で詳しく説明 |
| 寄附額の範囲 | 年度ごとの寄附対象事業の実施に要する費用の範囲内 | 町の寄附申出書の注記 |
本社が松崎町にある会社は、松崎町への寄附が、この制度の対象外です。支店や工場が松崎町にあるだけで、本社は他の地域にある会社は、条件の文面上は松崎町外に本社がある法人にあたります。ただ、個別の判断は、町の企画観光課に確認してください。
また、内閣府の資料には、対象外の団体も示されています。東京都、および地方交付税の不交付団体で三大都市圏の既成市街地等にある市区町村は、本制度の対象外です。松崎町は寄附を受ける側なので、この除外の対象ではありませんが、会社が別の自治体に寄附を考える場合は、寄附先の自治体が対象かどうかを確認する必要があります。
見返りが禁止されているとは、具体的にどういうことですか
この制度で、最も誤解されやすいのが、見返りの扱いです。内閣府の「寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」に関するQ&A(令和7年4月1日改定)が、具体例を示しています。
| 区分 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 禁止(地域再生基本方針) | 寄附の代償として補助金を交付すること | Q&A A5-1-1 |
| 禁止 | 寄附の代償として、他の法人に対する金利よりも低い金利で貸付金を貸し付けること | Q&A A5-1-1 |
| 禁止 | 寄附の代償として、入札や許認可で便宜を図ること | Q&A A5-1-1 |
| 禁止 | 寄附の代償として、合理的な理由なく市場価格より低い価格で財産を譲渡すること | Q&A A5-1-1 |
| 禁止の例 | 商品券やプリペイドカードなど、換金性が高い商品を提供すること | Q&A A5-1-1 |
| 禁止の例 | 寄附を、公共事業の入札参加要件とすること | Q&A A5-1-1 |
| 禁止の例 | 寄附で整備された施設を、寄附した法人に専属的に利用させること | Q&A A5-1-1 |
| 許容される例 | 寄附企業に感謝状などを贈呈すること | Q&A A5-1-2 |
| 許容される例 | 自治体のホームページや広報誌で、事業を紹介する際に、寄附企業の名称を他の寄附者と並べて紹介すること | Q&A A5-1-2 |
| 許容される例 | 整備した施設に、銘板を設置して寄附企業の名称を他の寄附者と並べて列挙すること | Q&A A5-1-2 |
| 許容される例 | 社会通念上許容される範囲内で、記念品などを贈呈すること | Q&A A5-1-2 |
内閣府のQ&Aは、寄附企業を自治体が契約の相手方とする場合にも触れています。自治体が、入札や契約の法令と条例を守り、寄附したことを理由に特別に扱わない限り、寄附法人をまち・ひと・しごと創生寄附活用事業の契約の相手方にすることは、一般的に、経済的な利益の供与にあたらないと考えられる、という整理です(A5-2-1)。たとえば、寄附した法人しか応札できない条件を、合理的な理由なく設けることは、特別な扱いにあたります。
そして、寄附の代償として経済的な利益を供与したことが明らかになった場合、地域再生計画の認定が取り消されるなど、自治体に不利益が生じることがあります。企業の側も、寄附の後に、その自治体から仕事を受ける、補助金をもらう、といった関係に進む場合は、特に慎重さが必要になります。
松崎町は、感謝の気持ちを、どんな形で用意していますか
松崎町は、「松崎町ベネフィット一覧」という資料で、寄附額に応じた感謝の形を示しています。町は、寄附した企業に経済的な利益にあたるものを提供することが禁止されているため、寄附に対する感謝の気持ちとして、次のものを用意するとしています。
| 寄附額 | 内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| 10万円以上 | 公式ホームページへの企業名掲載 | 希望する場合、企業名、ロゴ、紹介文、企業ホームページへのリンクURL等を1年間掲載 |
| 10万円以上 | 下田記者クラブへの情報提供 | 寄附があったことを情報提供 |
| 100万円以上 | 上の2つ | 同様 |
| 100万円以上 | 役場での感謝状贈呈式 | 町長からの感謝状の贈呈と、意見交換の場の設定 |
| 1,000万円以上 | 上記に加えて | 都度検討 |
どれも、内閣府のQ&Aが許容する例(感謝状、ホームページでの紹介)の範囲に収まる内容です。企業にとっては、地域への貢献を対外的に示す機会として、使い道があります。ただ、広報を目的に寄附を考えるのではなく、地域の課題への貢献として寄附し、その事実を適切に伝える、という順序が、制度の趣旨に合います。
松崎町は、寄附を何に使うのですか
寄附金は、「松崎町デジタル田園都市構想推進計画」の事業に使われます。計画(地域再生計画)の本文に、町の現状と目標、事業の内容が詳しく書かれています。
町が抱えている課題
計画は、町の人口の推移を、数字で示しています。
| 区分 | 1990年 | 2020年 | 2050年(推計) |
|---|---|---|---|
| 総人口 | 9,262人(ピーク) | 6,038人 | 2,840人 |
| 年少人口(0〜14歳) | 1,459人 | 463人 | 151人 |
| 生産年齢人口(15〜64歳) | 5,837人 | 2,620人 | 986人 |
| 老年人口(65歳以上) | 1,970人 | 2,948人 | 1,703人 |
2050年の推計は、計画の本文によれば、国立社会保障・人口問題研究所の推計によるものです。構成比でみると、年少人口は1990年の15.7%から2020年に7.7%、生産年齢人口は63.0%から43.4%へ下がり、老年人口は21.3%から48.9%に上がっています。
自然動態は、2005年から一貫して、死亡数が出生数を上回っています。2023年は、出生11人、死亡138人で、127人の自然減です。社会動態では、2010年を最後に転出者数が転入者数を上回る状態が続き、2023年は転入172人、転出192人で、20人の社会減です。計画は、こうした状況が続くと、地域経済の衰退や、子育て・教育環境の衰退が懸念されるとして、4つの基本目標を掲げています。
4つの基本目標と、事業の中身
| 基本目標 | 事業 | 具体的な事業(計画の本文より) |
|---|---|---|
| 1 地域経済を強くする循環 | 風光明媚な地域や温泉、桜葉など、地域外に販売できる特産品を発信し、地域経済循環を強化する | なまこ壁の保全・修繕による景観保全と観光振興、特産品・農産物の高付加価値化と販売促進、ICT活用による戦略的情報発信 |
| 2 人が活躍し、人を呼び込む循環 | 「関係人口」を増やし、将来の交流人口、定住人口の増加につなげる | 大学等連携事業、交流のある他の地域の自治体との交流事業、移住者受入体制の整備 |
| 3 子どもを育て、教育する循環 | 観光業の特性に応じた子育て支援環境を整え、子どもの居場所や遊び場を提供する | 子育て支援の充実、就学支援の充実、学力・運動能力の向上支援の充実 |
| 4 健康で安心して暮らす循環 | 少子・高齢化のなか、健康長寿の考え方による高齢社会のコミュニティ形成を進める | 健康増進に関連する活動支援、地域公共交通の改善、防災施設整備の推進 |
町の公式ページは、具体的な募集事業の一例として、「石部棚田保全事業」を挙げています。これは、農林水産省が選定した「つなぐ棚田遺産」の石部棚田を、次の世代に残すための事業です。
数値目標は、何が設定されていますか
計画には、事業の実施状況を測る重要業績評価指標(KPI)が設定されています。基本目標ごとの一部を、表に示します。現状値は計画開始時点、目標値は2027年度です。
| 基本目標 | 指標 | 現状値 | 目標値(2027年度) |
|---|---|---|---|
| 1 | 教育旅行人数(単年度) | 220人 | 300人 |
| 1 | スポーツ体験型観光人数(単年度) | 10,889人 | 15,400人 |
| 1 | 文化財(重文・旧依田邸)入込客数(単年度) | 13,593人 | 15,000人 |
| 1 | 松崎ブランド認定商品数 | 42種類 | 53種類 |
| 1 | 起業者数(単年度) | 0組 | 3組 |
| 1 | 石部棚田を活用した体験等の参加者数(単年度) | 1,564人 | 1,600人 |
| 2 | 地域おこし協力隊登録人数 | 9人 | 10人 |
| 2 | 移住相談件数 | 67件 | 70件 |
| 3 | 奨学金利用者(単年度) | 6人 | 5人 |
| 3 | ICT支援者の配置 | 0人 | 1人以上 |
| 4 | 地域での健康増進活動参加者数 | 205人 | 650人 |
| 4 | 特定健診受診率 | 36% | 44% |
| 4 | 津波避難タワー整備 | 1基 | 4基 |
| 4 | 町主体運行公共交通利用者数(単年度) | 43,296人 | 45,000人 |
指標は、この表に載せたもの以外にも、計画の本文に多数設定されています。企業が寄附先として選ぶときは、自社の事業や価値観に近い分野の指標を、計画の本文で確認すると、寄附の効果を後から振り返りやすくなります。
事業の評価は、どう行われますか
計画の本文には、事業の評価の方法が書かれています。毎年度の9月ごろに、外部有識者による効果検証を行い、翌年度以降の取組方針を決定する、検証後は速やかに町のウェブサイトで公表する、という流れです。寄附をした企業にとって、使い道がどう評価されているかを後から確認できる点は、社内への説明にも役立ちます。
石部棚田保全事業は、どんな事業ですか
町が、公式ページで具体例として挙げている事業です。町が公開している「石部棚田保全事業」の資料に、課題、取組み、将来像、企業へのメッセージがまとまっています。
| 項目 | 内容(町の資料より) |
|---|---|
| 抱えている課題 | 日本の原風景である棚田を次世代に引き継ぐため、保全に努めているが、地元保存会の高齢化で作業効率が落ち、担い手不足で維持管理が難しくなっている |
| 課題に対する取組み | 棚田での農作業体験と、人と人との交流のために、オーナー制度を設け、地元だけでなく都市部からも棚田に関わる仕組みを導入 |
| 目指している将来像 | 地元だけでなく、地域外からも石部棚田保存会の運営に関わってもらい、棚田を次の世代に残していくこと |
| 企業へのメッセージ | 石部棚田は、農林水産省選定の「つなぐ棚田遺産」の1つ。かつて全体の9割が耕作放棄地となり、復活した棚田。運営は、会員の会費と、町の補助金で支えている |
| 現場の実情 | 保存会の平均年齢は75歳。以前は3日でできた作業が5日かかることもあり、人件費は年々増している。台風や大雨による石積の崩れ、農道や作業小屋の整備も必要。次の担い手が見つからなければ、早ければ5年後には今の規模での運営が困難 |
町の資料には、オーナー制度の会費も載っています。1口年間35,000円で1区画を割り当て、田植えや稲刈りなどの作業体験をしてもらう制度、1口年間10,000円のトラスト会員で、作業参加が自由なもの、の2種類です。これらは、棚田の会員になるための会費であり、企業版ふるさと納税の寄附とは別のものです。会費を企業版ふるさと納税として扱えるかどうかは、資料に書かれていません。迷う場合は、企画観光課に確認してください。
寄附は、どう進めますか。申し込みから税の申告まで
町の公式ページに、寄附の流れが書かれています。まずは、企画観光課に相談する、というのが入り口です。
| 順番 | 手続き | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 寄附のお申し出 | まずは企画観光課に相談する。様式第1号(松崎町企業版ふるさと納税寄附申出書)を使う |
| 2 | 寄附申出書の提出 | 提出先は、松崎町企画観光課 美しい村推進係。郵送先は、〒410-3696 静岡県賀茂郡松崎町宮内301-1 |
| 3 | 寄附金の納付 | 納付書または銀行振込のどちらかを選ぶ |
| 4 | 受領証の発行 | 入金の確認後、寄附金受領証が発行される |
| 5 | 税申告 | 受領証を使い、企業版ふるさと納税の適用に必要な税申告を、企業が行う |
納付の方法は、2通りあります
| 比べる点 | 納付書 | 銀行振込 |
|---|---|---|
| 手順 | 寄附申出書の受領後、町が納入通知書を郵送。指定の金融機関で納付する | 町が、振込口座を記載した文書を郵送。指定の口座に振り込む |
| 手数料 | 振込手数料は不要 | 企業が振込手数料を負担する |
| 領収 | 納付後に領収書を受け取る | 入金の確認後、受領証が発行される |
申出書には、何を書きますか
様式第1号の寄附申出書には、法人名、法人番号、代表者氏名、所在地、連絡先を書きます。そのうえで、寄附対象事業、寄附金額、希望する納付方法(納付書か銀行振込か)を選びます。さらに、寄附情報の公開について、法人名、寄附金額、活用した事業名称のうち、同意できる項目にチェックを入れる欄があります。
申出書の注記には、「寄附金額は、年度ごとの寄附対象事業の実施に要する費用の範囲内となります」と書かれています。大きな寄附を考える場合は、希望する事業の年度ごとの事業費を、町に確認しておくとよいでしょう。
税の申告は、どうしますか
町の公式ページは、寄附金受領証を使って、企業版ふるさと納税の適用に必要な税申告の手続きをお願いする、と書いています。内閣府のポータルサイトには、地域再生法施行規則の「別記様式第3 受領証」が掲載されています。申告の具体的な様式、時期、添付書類は、この記事が読んだ資料には書かれていません。顧問の税理士の方に、決算と申告のスケジュールを見て、確認してください。
いつ寄附すれば、よいですか。日程の考え方
この制度に、決まった公募期間は、資料にありません。町のページに、募集の締切も書かれていません。そこで、日程は、会社の決算期から逆算して考えます。
| 時期 | 考えること | 確認する先 |
|---|---|---|
| 決算の数か月前 | 寄附額の候補を決める。納税額の見込みと、控除の上限を試算する | 顧問の税理士 |
| 寄附の1〜2か月前 | 町に相談し、寄附の対象事業と、年度内に受け入れられる額を確認する | 松崎町企画観光課 TEL 0558-42-3964 |
| 申出書の提出 | 様式第1号を提出する | 松崎町企画観光課 |
| 納付 | 納入通知書が届いたら、指定の金融機関で納付。銀行振込なら、案内の文書を待って振り込む | 町からの郵送物 |
| 受領証の受け取り | 入金の確認後に発行される | 町 |
| 決算・申告 | 受領証をもとに、税の申告で控除を受ける | 顧問の税理士 |
納入通知書や振込口座の案内は、郵送で届きます。申出書の提出から、納付、受領証の発行まで、日数がかかる可能性があります。決算期の直前に動くと、年度をまたぐおそれがあるので、余裕を持って町に相談してください。具体的な所要日数は、町の資料に書かれていません。
過去には、どんな企業が寄附していますか
町は、公式ページで、寄附した企業の一覧を、年度ごとにPDFで公開しています。令和5年度、令和6年度、令和7年度の3年分があり、企業名、本社所在地、寄附活用事業、寄附額、企業のホームページが載っています(掲載する項目は、企業の同意の範囲で異なります)。
| 年度 | 掲載されている企業数 | 資料から読み取れる金額 | 寄附の使い道として書かれたもの |
|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 4社 | 10万円の記載が2件 | デマンド型交通実証実験事業、地域経済を強くする循環事業など |
| 令和6年度 | 5社 | 10万円の記載が2件、100万円の記載が1件 | 石部棚田保全事業 |
| 令和7年度 | 3社 | 10万円の記載が2件、100万円の記載が1件 | 石部棚田保全事業、健康で安心して暮らす環境 |
金額の欄は、企業が公表に同意した場合のみ載るため、すべての寄附が書かれているわけではありません。ただ、この一覧から、10万円という下限に近い額から、100万円の寄附まで、規模の違う会社が寄附していることが、読み取れます。本社所在地は、静岡県内の会社もあれば、神奈川県、千葉県、富山県、東京都の会社もあります。町内の会社だけに限られた制度ではないことが、実例から確認できます。
制度全体の最近の動きと、注意点
内閣府の資料から、制度全体の最近の動きも確認しておきます。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 寄附実績(令和6年度) | 631.4億円(前年比34%増)、寄附企業8,464社(前年比10%増) | 令和8年4月1日の概要資料 |
| 計画策定自治体 | 1,613団体(令和8年4月1日時点) | 同上 |
| 令和元年度から令和5年度の推移 | 33.8億円から470.0億円へ | 令和7年度税制改正の資料 |
| 令和7年度税制改正 | 税額控除の特例を3年間(令和9年度まで)延長 | 同上 |
| 制度改善策(令和6年12月) | 自治体のチェック機能の強化、実施状況の透明化、認定取消し後の再申請の欠格期間(2年間)の創設など | 同上 |
延長の背景には、寄附活用事業の契約手続の公正性に問題がある事案があり、認定が取り消されたことがあります。改善策として、チェックリストの導入、一定の場合の国への報告、寄附法人名の公表、寄附活用事業の発注先の自治体による公表などが示されました。
同じ資料に載っている実態調査は、令和5年度に寄附を受けた1,462団体(5,258事業、寄附総額約470億円)を対象にしました。寄附活用事業の契約先等に、寄附した法人等が含まれていたのは、4,228事業のうち30事業(0.7%)でした。
これらは、企業にとって、次の意味を持ちます。寄附をしたあとの、自治体との取引関係は、以前より厳しく見られるということです。寄附をきっかけに、自治体の事業を受注しようと考える場合は、寄附法人が契約先になるケースの扱いを、内閣府のQ&Aで確認し、公正な手続きを経てください。
つまずきやすいのは、どこですか
| つまずき | なぜ起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 補助金と思って検索する | 補助金の検索に載っているため、お金がもらえる制度と誤解する | 寄附をする側の税制だと、最初に理解する |
| 本社が松崎町にある | 本社が所在する自治体への寄附は対象外 | 本店所在地を確認する |
| 寄附額が、納税額の上限を超える | 控除には、各税目の上限がある | 決算の見込みをもとに、税理士と試算する |
| 見返りを期待する | 寄附の代償としての経済的な利益は禁止 | 感謝状やホームページ掲載の範囲で、受け止める |
| 寄附後の取引が問題になる | 契約手続の公正性が、強く求められている | 内閣府のQ&Aを確認し、取引は公正な手続きで |
| 年度をまたぐ | 納付書の送付や納付に、日数がかかる | 決算期の前に、余裕を持って町に相談する |
| 事業費の範囲を超える | 寄附額は、年度ごとの対象事業の費用の範囲内 | 町に、事業費と受入額を確認する |
| 令和10年度以降のことを考える | 特例の期限は令和9年度まで | 最新の税制改正を、内閣府のポータルで確認する |
どんな会社に向いていて、どんな会社に向かないですか
| 向いている会社 | 理由 |
|---|---|
| 一定の法人関係税を納めている会社 | 寄附額に応じた税額控除を、活用しやすい |
| 地域貢献や、地方との関係づくりに関心がある会社 | 町の計画の4分野(観光、関係人口、子育て、健康・防災)と、事業の関心が重なりやすい |
| 棚田や景観、観光、農産物など、松崎町の資源に関心がある会社 | 石部棚田保全事業など、具体的な募集事業がある |
| 10万円以上の寄附を、決算の中で調整できる会社 | 下限が、10万円と、設定されている |
| 取引関係とは切り離して、純粋な貢献として寄附できる会社 | 見返り禁止の趣旨に、合う |
| 向かない会社 | 理由 |
|---|---|
| 本社が松崎町にある会社 | 本社所在地の自治体への寄附は、対象外 |
| 納税額がほとんどない、赤字が続く会社 | 税額控除の上限が、納税額に対して決まるため、軽減を受けきれない |
| 寄附の見返りとして、仕事や優遇を期待する会社 | 経済的な利益の供与は、禁止 |
| 数十万円の資金が、すぐに必要な会社 | 補助金ではなく、資金が出ていく制度 |
類似する制度や、関連する制度との違いは何ですか
| 制度・仕組み | この制度との違い |
|---|---|
| 補助金・助成金 | 国や自治体が、企業に資金を出す仕組み。企業版ふるさと納税は、逆に企業が資金を出す |
| 通常の寄附(損金算入のみ) | 約3割の軽減効果。企業版は、これに税額控除を上乗せして最大約9割 |
| 企業版ふるさと納税(人材派遣型) | 内閣府の資料にある別の使い方。企業の人材を、自治体等に派遣し、人件費分の寄附も行う。松崎町のこのページが案内しているのは、寄附の募集 |
| 地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)との連携 | 内閣府のポータルに、企業版ふるさと納税と連携する資料がある。詳しくは、内閣府の資料と、助成金の担当窓口で確認 |
人材派遣型は、内閣府のポータルサイトに専用のQ&Aや概要が掲載されています。松崎町が、この記事の資料の範囲で募集しているのは、寄附です。人材派遣型に取り組めるかは、町の企画観光課に、直接問い合わせてください。
よくある質問
| 質問 | 答え(資料に基づく) |
|---|---|
| 最低いくらから寄附できますか | 1回あたり10万円以上です |
| 本社が静岡県内にあれば、寄附できますか | 松崎町外に本社があれば、条件上は対象です。松崎町内に本社がある場合は、対象外です |
| 寄附すると、いくら税が軽くなりますか | 内閣府の資料では、最大で寄附額の約9割(損金算入約3割と、税額控除最大6割の合計)です。実際の額は、納税額の上限などで変わるので、税理士に相談してください |
| 返礼品は、もらえますか | 経済的な利益の見返りは禁止です。町は、ホームページへの企業名掲載、記者クラブへの情報提供、100万円以上で感謝状贈呈式を用意しています |
| 寄附の使い道は、選べますか | 申出書に、寄附対象事業を書きます。事業の例として、石部棚田保全事業や、4つの基本目標があります。細かい扱いは、企画観光課に確認してください |
| 振込手数料は、かかりますか | 納付書なら不要、銀行振込は企業の負担です |
| 申し込みの締切は、ありますか | 町の資料には、締切は書かれていません。特例の期限は、令和9年度までです |
| 寄附した企業の名前は、公開されますか | 申出書で、法人名、寄附金額、活用した事業名称について、公開に同意する項目を選べます |
| 寄附した後、町と取引してもよいですか | 内閣府のQ&Aは、公正な手続きを前提に、一般的には経済的な利益の供与にあたらないと整理していますが、手続きの公正性が厳しく見られます。事前に確認してください |
| 町の計画の全体像は、どこで読めますか | 町の公式ページから、「松崎町デジタル田園都市構想推進計画」のPDFが開けます |
| 問い合わせ先は、どこですか | 松崎町役場 企画観光課 美しい村推進係。TEL 0558-42-3964、FAX 0558-42-3183、メール kankou@town.matsuzaki.lg.jp |
申し込む前の、確認の順番
| 確認すること | 確認先 | 見るところ |
|---|---|---|
| 本社の所在地 | 登記事項証明書 | 松崎町外にあるか |
| 決算の見込みと、寄附額の候補 | 顧問の税理士 | 法人住民税の法人税割額、法人税額、法人事業税額に対する控除の上限 |
| 寄附する事業 | 松崎町の公式ページ、計画のPDF | 4つの基本目標、石部棚田保全事業などの事業 |
| 受入額と時期 | 松崎町企画観光課 TEL 0558-42-3964 | 年度ごとの事業費の範囲、納付の日数 |
| 寄附情報の公開 | 様式第1号の記入欄 | 法人名、金額、事業名称のどれを公開するか |
| 見返りの扱い | 内閣府のQ&A | 取引や優遇を、寄附の代償として受けていないか |
| 税の申告 | 顧問の税理士 | 受領証の使い方、申告の時期 |
| 最新の制度 | 内閣府 企業版ふるさと納税ポータルサイト | 特例の期限、改正の内容 |
松崎町の公式ページは、https://www.town.matsuzaki.shizuoka.jp/docs/2023050100016/ です。内閣府の企業版ふるさと納税ポータルサイトは、https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html です。制度の細かい取り扱いは、変わることがあるので、寄附を決める前に、最新の内容を確認してください。
この制度を一言でいうと
「企業版ふるさと納税」は、松崎町が実施する税制優遇です。対象の地域は松崎町・静岡県です。
松崎町が取り組む「松崎町デジタル田園都市構想推進計画」に掲げる事業に対し、企業版ふるさと納税による寄附を募集しています。
受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。
| 制度名 | 企業版ふるさと納税 |
|---|---|
| 実施機関 | 松崎町 |
| 種類 | 税制優遇 |
| 対象地域 | 松崎町・静岡県 |
| 受付期間 | 通年(随時)で受け付けています |
| 問い合わせ先 | 松崎町役場 企画観光課 |
「企業版ふるさと納税」の対象になる方
対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。
- 1地域松崎町・静岡県(市区町村の制度のため、その市区町村内に事業所があることが基本)
- 2規模従業員数の制約は示されていません
| 確認すること | この制度の内容 |
|---|---|
| 地域 | 松崎町・静岡県(市区町村の制度のため、その市区町村内に事業所があることが基本) |
| 規模 | 従業員数の制約は示されていません |
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 納税 | 税金や社会保険料の滞納がないことが条件になっています。納税証明書を取得するのに、日数がかかることがあります。 |
この制度の内容
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| その他 | 松崎町が取り組む「松崎町デジタル田園都市構想推進計画」に掲げる事業に対し、企業版ふるさと納税による寄附を募集しています。 |
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 納税 | 税金や社会保険料の滞納がないことが条件になっています。納税証明書を取得するのに、日数がかかることがあります。 |
「企業版ふるさと納税」の手続きの流れと日程
この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。
- 要件の確認対象設備・期限
- 認定・証明書の取得取得の前に
- 設備の取得事業に使い始める
- 決算利益の見通し
- 申告で適用特別償却・税額控除
申請の方法:〒410-3696 静岡県賀茂郡松崎町宮内301-1
「企業版ふるさと納税」についてのよくある質問
Q&A企業版ふるさと納税
Q. 企業版ふるさと納税の受付期間はいつですか?
通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。
Q. 企業版ふるさと納税の申請は、どのように行いますか?
〒410-3696 静岡県賀茂郡松崎町宮内301-1
Q. 企業版ふるさと納税の問い合わせ先はどこですか?
松崎町役場 企画観光課
この制度を検討するときの確認リスト
| 確認項目 | 状況 |
|---|---|
| 対象の地域(松崎町・静岡県)に、事業所がある | □ はい □ いいえ |
| 交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない | □ はい □ いいえ |
| 後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている | □ はい □ いいえ |
情報の確認元:松崎町の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。
補助金・経営支援顧問