成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)
成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)(中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策))の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。
Go-Tech事業は、中小企業が大学・公設試と組んで行う研究開発を、最大3年間・通常枠で9,750万円まで支える制度
成長型中小企業等研究開発支援事業(通称Go-Tech事業)は、中小企業者等が大学や公設試験研究機関などと連携して行う、研究開発・試作品開発・販路開拓の取組を支援する国の補助事業です。令和3年度まで別々に行われていた「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」と「商業・サービス競争力強化連携支援事業(サビサポ事業)」が統合され、令和4年度から始まりました。中小機構のJ-Net21は、この事業を「ものづくり技術やサービスモデルを高度化したい時に役立つ制度」と紹介しています。
ProdX Crowd編集部が、J-Net21の解説(2024年8月内容改訂)と、近畿経済産業局が2026年10月付けでまとめた資料(令和8年度公募の内容を反映)を読み、制度の仕組みを整理しました。まず全体像を表で示します。
| 項目 | 内容(令和8年度公募の資料より) |
|---|---|
| 目的 | 特定ものづくり基盤技術、およびIoT・AIなど先端技術を活用した高度なサービスに関する研究開発や試作品開発を支援し、製造業・サービス業の国際競争力強化を図る |
| 申請できる主体 | 中小企業者等を中心とした共同体。単独では申請できない |
| 共同体の構成 | 研究等実施機関と事業管理機関を含む2者以上 |
| 補助事業期間 | 2年度または3年度 |
| 補助率 | 中小企業者等は2/3以内。A機関・B機関は定額(要件あり) |
| 補助上限(通常枠) | 単年度4,500万円以下、2年間合計7,500万円以下、3年間合計9,750万円以下 |
| 補助上限(大型研究開発枠) | 単年度1億円以下、2年間合計2億円以下、3年間合計3億円以下 |
| 申請方法 | e-Rad(府省共通研究開発管理システム)上のみで受付。申請は事業管理機関が行う |
| 令和8年度の公募期間 | 2026年2月16日(月)から4月17日(金)17時まで |
| 採択予定件数 | 通常枠120件程度、大型研究開発枠5件程度 |
この制度は「設備を買うための補助金」ではありません。近畿経済産業局の資料には、「生産を目的とした設備備品の導入や営利活動に関する補助事業ではありません」と明記されています。研究開発の中身と、その事業化までの道筋、そして共同体の組み方が、審査の中心になります。以下、順に掘り下げます。
誰が、何を目的に使う制度なのか
Go-Techが想定しているのは、自社の持つものづくり基盤技術やサービスの技術を、一段高いレベルに引き上げたい中小企業です。例えば、J-Net21が紹介する令和6年度の採択案件の研究開発名には、次のような分野があります。
| 分野(J-Net21の分類) | 採択された研究開発名の例 |
|---|---|
| バイオ | AIによる素材が腸内環境へ与える影響の評価システムの開発 |
| 測定計測 | スクリーニング分析装置の自動分析対応化・利用分野拡大を狙う高度化開発 |
| 情報処理 | 学習データの偏在を防ぎ、データ構築からモデル化までを一気通貫で構築できるAIシステムの研究開発 |
3件とも、単に機械を導入する計画ではなく、技術的な課題を解いて新しい製品や評価の仕組みを作る計画です。近畿経済産業局の資料も、対象を「高度化指針を踏まえた研究開発等で、事業化までの道筋が明確に描けているもの」と説明しています。ここでいう高度化指針は、「中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化等に関する指針」のことです。自社の研究テーマがこの指針のどの技術分野に当たるのかを、最初に確認する必要があります。
近畿経済産業局の資料は、この事業を「当省における中小企業向けの分野を絞らない研究開発補助事業は、本事業のみ」と位置づけています。分野を絞らない、つまり業種や技術領域を限定せず研究開発そのものを支える枠が、この制度です。
申請できるのは誰か:共同体の組み方
Go-Techで最初につまずきやすいのが「単独では申請できない」点です。申請者は、中小企業者等を中心とした共同体であり、共同体には研究等実施機関と事業管理機関を含む2者以上が必要です。J-Net21も、この事業は「他の補助金等と比べると複雑で、少しわかりづらく感じるかもしれません」と述べています。
共同体を構成する主体の役割を、資料にある言葉で整理します。
| 主体 | 役割 | 補助率(令和8年度の資料) |
|---|---|---|
| 中小企業者等 | 共同体の中心。自社の成長を目標として研究開発を行う | 2/3以内 |
| 大学・公設試などの研究機関(A機関) | 中小企業者等と連携して研究開発に参画する | 定額(要件あり) |
| B機関 | A機関に準じる形で共同体に参画する機関 | 定額(要件あり) |
| 事業管理機関 | 申請手続き、経理、共同体全体の管理を担い、e-Radで申請する | 公募要領で確認 |
A機関・B機関の具体的な範囲、事業管理機関になれる法人の要件、中小企業者等の定義の細部は、公募要領の定義の章で確認してください。令和8年度の資料には、「中小企業者等」の定義が一部変わったことが記されています。定義に該当しないNPO法人は補助対象外とされ、該当する場合でも補助率は1/2以内となる、というのが主な変更です(別表に4つの要件)。NPO法人が共同体に入る計画を立てるときは、この点を最初に確かめる必要があります。
また、「みなし大企業」として扱わない法人の範囲も広がりました。投資専門会社が株式を保有する事業承継会社と、その会社が株式を保有する法人が、追加されています。株主構成が複雑な会社は、自社が中小企業者等に当たるかどうかを、公募要領の定義と照らして確かめてください。
いくら支援されるのか:上限額と計算の考え方
補助額の上限は、枠と補助事業期間によって決まります。
| 枠 | 単年度当たり | 2年間合計 | 3年間合計 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 4,500万円以下 | 7,500万円以下 | 9,750万円以下 |
| 大型研究開発枠(令和8年度から新設) | 1億円以下 | 2億円以下 | 3億円以下 |
通常枠で3年間とした場合、単年度の上限4,500万円を3回分足すと1億3,500万円になりますが、3年間合計の上限は9,750万円です。つまり、実際に受け取れる額の上限は「合計上限」で決まり、毎年4,500万円ずつ使えるわけではありません。2年間でも、4,500万円の2年分9,000万円ではなく7,500万円が上限です。計画を作るときは、単年度の上限と合計の上限の両方を見て、年度ごとの配分を決めます。
補助率が2/3以内の場合、上限に達するために必要な経費の規模を逆算すると、次の表のようになります。これは、補助対象経費のすべてに2/3が適用されると仮定した、あくまで目安の計算です。A機関・B機関の定額部分や、補助対象外の経費がある場合は、数字が変わります。
| 枠・期間 | 補助金の上限 | 上限に達する補助対象経費の目安(÷2/3) |
|---|---|---|
| 通常枠・2年間 | 7,500万円 | 1億1,250万円 |
| 通常枠・3年間 | 9,750万円 | 1億4,625万円 |
| 大型研究開発枠・2年間 | 2億円 | 3億円 |
| 大型研究開発枠・3年間 | 3億円 | 4億5,000万円 |
つまり、通常枠の3年間で上限まで使い切る計画は、総事業費が1億4,000万円台の規模です。上限は「もらえる額」ではなく「上限」であり、実際の交付額は、審査で認められた経費の範囲で決まります。
経費の内訳を考えるとき、間接経費の上限も計算に入ります。令和8年度の資料では、間接経費は、物品費・人件費・旅費・その他の合計(直接経費)の30%が上限とされています。直接経費が1億円なら、間接経費の上限は3,000万円という計算です。
補助対象になる経費と、ならない経費
近畿経済産業局の資料に掲載された経費区分を、表にまとめます。細部は公募要領で必ず確認してください。
| 区分 | 含まれる経費 |
|---|---|
| 物品費 | 設備備品費(機械装置備品費、土木・建設工事費、保守・改造修理費、外注費)、消耗品費 |
| 人件費 | 人件費、補助員人件費、謝金 |
| 旅費 | 旅費 |
| その他 | 外注費、印刷製本費、運搬費、クラウドサービス利用費、諸経費(技術導入費、通訳・翻訳費、知的財産権関連経費、マーケティング調査費(国内外の展示会等事業費を含む)、賃貸借費) |
| 委託費 | 研究開発環境の改善や研究・事業管理全体の機能向上に活用するために必要な経費。直接経費として充当すべきものは対象外 |
| 間接経費 | 上記の直接経費の合計の30%が上限 |
令和8年度の資料では、人件費の区分が整理され、研究員費・管理員費の区分が廃止されて、「人件費」と「補助員人件費」の2区分になりました。計上できる研究内容そのものは変わっていません。過去の公募の様式を参考にして計画を書く場合は、この区分の変更を踏まえる必要があります。
補助対象外となる経費の例も、資料に示されています。
| 対象外の例 | 注意する点 |
|---|---|
| 交付決定日より前に発注・購入・契約等を行ったもの | 採択の連絡を受けても、交付決定日の前に発注すると対象外になる |
| 販売を目的とした製品・商品等の生産に係る経費 | 研究開発のための試作と、販売用の量産を、帳簿上も分ける |
| 経済産業局等による検査・評価等への対応に係る費用 | 検査対応のための社内作業は計上できない |
| 汎用性があり目的外使用になり得るもの | 一般的なパソコンや事務機器などは、研究専用であることの説明が要る |
| 中古品の購入費 | 新品で見積もる |
さらに、外部への支出には上限のルールがあります。各年度において、その他の外注費と委託費の合計額が、共同体全体の補助対象経費総額(間接経費を含む)の1/2を超えてはならない、とされています。例えば、総額が1億3,000万円の年度なら、外注費と委託費の合計は6,500万円までです。加えて、研究開発計画のうち本質的な部分(研究開発要素がある業務)を、従たる研究等実施機関以外へ委託・外注することはできません。「自社で考えず、外部に任せる」型の計画は、この制度の趣旨に合わないことが、ルールからも読み取れます。
令和8年度公募で何が変わったか
近畿経済産業局の資料は、令和7年度からの主な変更点を8項目で示しています。過去の情報を読むときに特に注意が要るため、全項目を表にします。
| 変更の内容 | 令和8年度の扱い |
|---|---|
| 給与支給総額の目標 | 事業終了後5年以内に15%以上(年率平均3.0%以上)の向上目標が必要。令和7年度は7.5%以上(年率平均1.5%以上) |
| 枠の構成 | 出資獲得枠を廃止し、大型研究開発枠を新設 |
| 大型枠の要件 | 主たる研究等実施機関に、直近3か年連続の研究開発実績と、うち年間1億円以上を投じた年度があること。それを確認できる財務諸表等の提出が必要 |
| A・B機関の補助率 | 一律定額(要件あり) |
| 人件費の区分 | 研究員費・管理員費を廃止し、人件費と補助員人件費に整理 |
| 収益納付 | 事業化状況報告書に基づく収益納付(補助金額が上限)の規定を廃止 |
| 中小企業者等の定義 | 定義に該当しないNPO法人は補助対象外。該当する場合の補助率は1/2以内 |
| みなし大企業の扱い | 投資専門会社が株式を保有する事業承継会社、およびその会社が株式を保有する法人を追加 |
J-Net21の解説は2024年8月の改訂で「出資獲得枠」を説明しています。出資獲得枠は、ファンド等からの出資が見込まれる事業で、3年間合計3億円以下の補助を受けられる枠でした。令和8年度の資料では、この枠が廃止され、研究開発に意欲的で大型の研究開発投資に一定の見通しが立っている中小企業者等が対象の「大型研究開発枠」に置き換わっています。上限額(3年間合計3億円以下)は同じですが、要件の考え方が「出資の見込み」から「研究開発の実績と投資規模」へ変わっています。旧来の出資獲得枠の解説を前提に計画を立てている場合は、そのまま使えません。
同じく給与支給総額の目標が重くなった点も重要です。令和7年度の7.5%以上から、令和8年度は15%以上へ、基準が倍になりました。研究開発の事業化によって、社員の賃金を実際に引き上げる計画が求められています。
申請時に約束する3つの数値目標
Go-Techの申請では、事業化の成果を、次の3つの要件で数値目標にします。近畿経済産業局の資料に示された内容です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 付加価値額 | 年率3%以上の増加 |
| 1人当たり給与支給総額 | 年率3.0%以上の増加(事業終了後5年以内に15%以上) |
| 事業場内最低賃金 | 地域別最低賃金+30円以上 |
この要件は、補助事業期間が終わったあと5年以内を目途に事業化を達成する目標を立てる、という枠組みの中で設定されます。近畿経済産業局の資料は、「かつ、中小企業者等自身の成長を目標として策定できる事業であることが必要」とも書いています。研究開発が成功するだけでは足りず、その成果で自社の売上と収益が伸び、賃金に還元される筋書きまで、計画書の中で示す必要があります。
目標の意味を、数字で確かめておきます。ここで使うのは、制度の数字を使った仮の例です。
| 目標 | 仮の例 | 計算 |
|---|---|---|
| 付加価値額が年3%増 | 現在の付加価値額が1億円の会社 | 5年間、毎年3%ずつ増えると約1億1,600万円(1.03の5乗は約1.159) |
| 給与支給総額(1人当たり)が15%増 | 現在の1人当たり給与が年400万円 | 15%増で年460万円 |
| 事業場内最低賃金 | 事業場の地域別最低賃金が仮に1,000円の地域 | 1,030円以上を事業場内で確保 |
賃金の目標は、会社の資金繰りにも関わります。研究開発の期間中は売上が立たない場合が多く、その間も人件費や研究費は出ていきます。補助金は事業終了後の精算払いが中心になるため、立替えの資金をどう用意するかも計画に織り込みます。この点は、公募要領の「交付の時期」の項で、概算払いの扱いがあるかを含めて確認してください。
審査では何が見られるか
J-Net21は、審査項目を次のように説明しています。通常枠では技術面、事業化面、政策面の3つです。
| 審査項目 | 見られる内容(J-Net21の説明より) |
|---|---|
| 技術面 | 我が国製造業・サービス業の国際競争力強化につながる研究開発か。目的が明確で、適切に実施できる研究開発体制があるか |
| 事業化面 | 成果が事業化された場合の経済効果(共同体の事業化能力を含む)、市場のニーズを捉えているか、コスト面で市場導入の可能性があるか |
| 政策面 | 申請された研究開発が、各政策に沿った計画になっているか |
旧出資獲得枠では、これに加えて出資獲得面(公的支援の必要性、出資者のハンズオン支援体制など)が審査されていました。令和8年度の資料では、政策面の項目に追加と廃止があります。追加されたのは、事業管理機関の執行体制・採択実績、研究開発費の計上状況、イノベーション・プロデューサーの参画による加点です。廃止されたのは、給与支給総額等の増加を誓約することによる加点です。審査基準の細かい配点は、公募要領で確認してください。
審査で見られる点を、計画書づくりの観点に置き換えてみます。
| 見られる点 | 計画書で用意しておくこと |
|---|---|
| 技術的な新しさと課題の明確さ | 解くべき技術課題、現在の到達点、目標とする性能値を、数字で示す |
| 実施できる体制 | 誰が何を担当するか。大学・公設試の研究者と自社の技術者の役割分担 |
| 市場のニーズ | 想定する顧客、使われる場面、競合製品との差 |
| コストと価格 | 量産したときの原価の見通し、市場価格との比較 |
| 事業化の筋道 | 補助事業終了後5年以内に、いつ・何を・どこへ売るか |
| 政策との整合 | 高度化指針の該当技術分野、賃上げ目標との関係 |
申請から採択までの流れと日程
制度の流れを、J-Net21は次のように説明しています。公募要件を確認し、事業計画書等を作成して申請します。申請書類は採択審査委員会で審査され、採択された事業が発表されます。採択後に補助事業を実施し、実績を報告して補助金の支払いを受けます。令和8年度の日程は次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 例年2月から4月 | 公募期間(近畿経済産業局の資料では例年2月〜4月に公募) |
| 2026年2月16日 | 令和8年度の公募開始 |
| 2026年4月17日17時 | 令和8年度の申請締切(e-Radで受付) |
| 2026年6月下旬 | 採択結果の公表(各経済産業局が発表) |
| 採択後 | 交付申請、交付決定を経て補助事業を開始 |
| 補助事業期間(2年度または3年度) | 研究開発の実施。実績報告 |
| 補助事業終了後5年以内 | 事業化の達成を目途とする |
令和8年度の公募は終了しています。次回以降の公募は、例年と同じ時期(2月から4月)になる可能性が高いものの、時期や内容は年度ごとに公表されます。近畿経済産業局の資料も、日程と要件は最新の公募要領を確認するよう求めています。
申請の準備には、時間がかかります。最も時間を要するのは、共同体づくりと、e-Radの登録です。申請書類の提出はe-Rad上でのみ受け付けられ、所属研究機関と研究者の登録が先に必要です。近畿経済産業局の資料は、申請手続きを「e-Radへの登録」「申請書類の作成」「e-Radへの申請」の順に示しています。また、申請書類の下中央に通しページ数を記載することや、公募要領の様式を必ず使用することが、資料に注意として書かれています。
公募開始から締切までは約2か月(令和8年度は2026年2月16日から4月17日)です。共同体づくりを公募開始後に始めると、間に合わない可能性があります。前年のうちに、連携先の大学・公設試と、研究テーマを詰めておく進め方が現実的です。J-Net21は、公募が始まる時期には各地の経済産業局で公募説明会・個別相談会が開かれると案内しています。
令和6年度の採択状況から読めること
J-Net21は、令和6年度の公募結果を次のように紹介しています。公募期間は令和6年2月16日から4月19日まで。申請は230件(通常枠228件、出資獲得枠2件)で、採択は115件(通常枠114件、出資獲得枠1件)でした。
令和8年度の採択結果は、公募を担当する各経済産業局の発表で確認してください。
| 年度 | 申請件数 | 採択件数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 230件(通常枠228、出資獲得枠2) | 115件(通常枠114、出資獲得枠1) | J-Net21の紹介 |
通常枠の採択件数を申請件数で割ると、令和6年度は114/228で5割です。この数字は、他の補助金と同様に、申請したすべての計画が採択されるわけではないこと、そして枠によって競争の状況が異なることを示しています。ただし、年度や枠が違う数字なので、単純に比べて有利不利を言うことはできません。採択の可否は、その年の申請内容と審査の結果で決まります。
つまずきやすい点
資料の記述から、計画づくりで特に注意が必要な点を、表にまとめます。
| つまずきやすい点 | 資料での根拠 | 対処の方向 |
|---|---|---|
| 単独で申請しようとする | 単独では申請できない。2者以上の共同体が必要 | 早めに大学・公設試等と連携し、事業管理機関を決める |
| 設備投資の計画になっている | 生産を目的とした設備備品の導入は対象外の趣旨 | 研究開発の要素(技術課題の解決)を前面に出す |
| 交付決定前の発注 | 交付決定日より前の発注・契約は対象外 | 見積は取っても、発注は交付決定後にする |
| 外注・委託に頼りすぎる | 外注費と委託費の合計は総額の1/2が上限。本質的部分は従たる研究等実施機関以外に委託できない | 研究の核心部分は共同体の内部で行う計画にする |
| 賃金目標の見積もりが甘い | 給与支給総額は事業終了後5年以内に15%以上。最低賃金は地域別最低賃金+30円 | 現在の賃金水準から、目標達成に必要な収益を逆算する |
| 古い公募要領を参考にする | 令和8年度に出資獲得枠の廃止、NPO法人の扱い、人件費区分の変更など | 最新年度の公募要領と様式を使う |
| e-Radの登録が間に合わない | 申請はe-Rad上のみ。事前登録が必要 | 公募開始前に所属研究機関・研究者の登録を済ませる |
向く会社と、向かない会社
制度の性質から、向く会社・向かない会社を整理します。
| 観点 | 向く会社 | 向かない会社 |
|---|---|---|
| 目的 | 新しい技術・製品・サービスの研究開発や試作が主題 | 既存製品の生産設備を増やしたい |
| 体制 | 大学・公設試との連携が組める、または既に関係がある | 外部の研究機関と連携する予定がない |
| 時間軸 | 2〜3年の研究開発のあと、5年以内の事業化を計画できる | 半年以内に売上につなげたい |
| 資金 | 精算払いまでの立替えを自己資金等で賄える | 資金繰りの余裕がなく、研究期間中の支出を賄えない |
| 賃金 | 事業化の成果を賃金に還元する計画を立てられる | 賃金引上げを計画に織り込めない |
| 規模感 | 通常枠で最大9,750万円、総事業費1億円超の計画 | 数百万円規模の小さな試作 |
小さな規模の開発や、設備導入が中心の事業には、他の制度が向いています。次の表で、近畿経済産業局の資料に載っている近い制度との違いを示します。
| 制度 | 主な目的 | 補助上限の例(資料より) | Go-Techとの違い |
|---|---|---|---|
| Go-Tech事業 | 大学・公設試等と連携した研究開発、試作品開発、販路開拓 | 通常枠3年間で9,750万円以下 | 共同体で申請。生産設備の導入は目的ではない |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(革新的新製品・サービス枠) | 技術的革新性のある新製品・新サービスの開発 | 従業員1〜5人で750万円、51人以上で2,500万円(賃上げ特例で3,500万円) | 単独で申請でき、機械装置・システム構築費が必須。補助率は原則1/2 |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 人手不足に対応する省力化投資 | 従業員5人以下で750万円、101人以上で8,000万円(大幅賃上げで1億円) | 設備導入・システム構築が中心。研究開発ではない |
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の革新的新製品・サービス枠は、「新製品・新サービスの開発」を扱いますが、機械装置・システム構築費を必須の経費とし、事業実施期間も交付決定日から10か月以内と短い設計です。数年かけて技術課題を解く研究開発は、Go-Techのほうが合っています。逆に、既にある技術で製品化を急ぐ場合は、前者のほうが手続きが軽くなります。
他制度との関係と、税制の使い方
Go-Techの対象経費は研究開発の費用なので、同じ経費を他の補助金に重ねて申請することはできません。国の補助金は、同一の経費に対する二重の補助を認めないのが一般的な考え方です。他の補助金を同じ年度に使いたい場合は、対象経費が重ならないように、事業を切り分けます。
研究開発に関する税制の優遇は、補助金とは別の制度です。補助金は、受け取ったあとの会計・税務の扱いも含めて、顧問税理士に事前に確認しておくと安全です。研究開発税制の詳細は、国税庁と経済産業省の資料で確認してください。本記事では、適用条件や控除率は扱いません。
よくある質問
Q. 個人事業主でも申請できますか。A. 申請主体は「中小企業者等を中心とした共同体」です。中小企業者等の範囲は、公募要領の定義と別表で決まります。個人事業主が含まれるかどうかは、公募要領の「中小企業者等」の定義で確認してください。
Q. 大学とのつながりがありません。どうすればよいですか。A. 共同体には、研究等実施機関が必要です。J-Net21は、各経済産業局で公募説明会・個別相談会が開かれると案内しています。最寄りの経済産業局に、公募時期に確認する方法があります。また、J-Net21は、中小企業基盤整備機構でもGo-Techの相談ができると案内しています(ものづくり支援のページ)。
Q. 補助金はいつ受け取れますか。A. J-Net21は、採択後に補助事業を実施し、実績を報告したうえで補助金の支払いを受ける、と説明しています。つまり、事業中の支出は先に自社が賄う前提で計画する必要があります。概算払いの有無と手続きは、公募要領の交付に関する項で確認してください。
Q. 事業化に成功したら、補助金を返す必要はありますか。A. 令和8年度の資料では、事業化状況報告書に基づく収益納付(補助金額を上限)の規定が廃止されたと記されています。ただし、補助事業終了後も、事業化状況の報告などの義務は公募要領で定められています。
Q. 令和8年度の申請はまだできますか。A. 令和8年度の公募は2026年4月17日17時に締め切られています。次の公募の時期と内容は、経済産業省・中小企業庁および各経済産業局の公表で確認してください。
Q. 不採択だったら、同じ内容で再度申請できますか。A. 公募要領の定めによります。計画を改善して次の公募に応募する場合は、審査項目(技術面、事業化面、政策面)のどこが弱かったかを、公表されている審査基準に照らして見直してください。
公募要領を読むときの確認表
最後に、公募要領を開いたら、次の項目を順に確かめてください。ここに挙げた項目は、この記事で触れた内容の確認先です。
| 確認する項目 | 見るべきこと |
|---|---|
| 公募期間と締切時刻 | 令和8年度は2026年2月16日から4月17日17時。次回の日程は最新の公募要領で確認 |
| 申請枠 | 通常枠か大型研究開発枠か。大型枠の実績要件(直近3か年連続の研究開発実績、年間1億円以上の投下)を満たすか |
| 共同体の構成要件 | 研究等実施機関、事業管理機関、A機関・B機関の定義 |
| 中小企業者等の定義 | 資本金・従業員数の基準、みなし大企業の扱い、NPO法人の扱い |
| 補助率と上限額 | 中小企業者等2/3以内、A機関・B機関は定額。単年度・合計の上限 |
| 補助対象経費と対象外経費 | 経費区分、外注費・委託費の1/2ルール、間接経費30% |
| 数値目標 | 付加価値額、給与支給総額、事業場内最低賃金の達成条件と、未達の場合の扱い |
| 審査基準 | 技術面・事業化面・政策面の評価項目、加点項目(イノベーション・プロデューサーの参画など) |
| 申請方法 | e-Radの登録手順、様式、通しページの記載 |
| 交付と支払いの時期 | 交付決定日、概算払いの有無、実績報告の期限 |
情報の出どころは、次の公式資料です。最新の内容は、公募要領で確認してください。
| 資料 | 場所 |
|---|---|
| J-Net21「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」(中小機構) | https://j-net21.smrj.go.jp/publicsupport/2018111503.html |
| 令和8年度 成長型中小企業等研究開発支援事業 公募要領(中小企業庁) | https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/dl/260216001_01.pdf |
| 近畿経済産業局「ものづくり中小企業が活用できる支援策について」(2026年10月) | https://www.ostec.or.jp/ostec_wp/pdf/mono/1meti.pdf |
自社の研究テーマがGo-Techに合うか、共同体をどう組むか、賃金目標をどう設計するかで迷う場合は、補助金の申請実務に慣れた専門家に早めに相談すると、準備の見落としを減らせます。ProdX Crowdは、月額10,000円、初期費用0円、成果報酬0円、最低契約期間なし、いつでも解約OKで、補助金の活用を支援しています。
この制度を一言でいうと
「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」は、中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策)が実施する補助金・助成金です。対象の地域は全国です。
「成長型中小企業等研究開発支援事業」は、中小企業等が大学・公設試等と連携して行う取組を支援するものです。さまざまな条件はありますが、採択されれば通常枠で9,750万円以下(3年間合計)の補助を受けることが可能です。 ファンド等からの出資が見込まれる事業の場合は補助額がさらに大きくなります。出資獲得枠として3億円以下(3年間合計)の補助を受けることが可能です。 「成長型中小企業等研究開発支援事業」の大まかな流れ 「成長型中小企業等研究開発支援事業」は、他の補助金等と比べると複雑で、少しわかりづらく感じるかもしれません。大まかな流れを見ていきましょう。
受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。
| 制度名 | 成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業) |
|---|---|
| 実施機関 | 中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策) |
| 種類 | 補助金・助成金 |
| 対象地域 | 全国 |
| 受付期間 | 通年(随時)で受け付けています |
「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」の対象になる方
対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。
- 1地域全国
- 2規模従業員数の制約は示されていません
| 確認すること | この制度の内容 |
|---|---|
| 地域 | 全国 |
| 規模 | 従業員数の制約は示されていません |
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 中小企業 | 中小企業者・小規模事業者の定義に当たることが条件です。業種ごとに、資本金や従業員数の上限が決まっています。自社が当たるかを、定義の表で確認します。 |
「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」の経費で気をつけたいこと
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 開発 | 試作・開発・試験・実証に関する費用が含まれています。目的と、試験の方法、評価の基準を、計画書に書いておくと、経費の必要性を説明しやすくなります。 |
「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」の手続きの流れと日程
この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。
- 申請計画書・見積書を提出
- 審査1〜3か月
- 交付決定ここから発注できる
- 発注・実施期間内に支払いまで
- 実績報告証拠書類を提出
- 検査・確定補助額が決まる
- 入金お金が入るのは最後
発注・契約は「交付決定」の後。お金が入るのは、最後の「入金」です。
「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」についてのよくある質問
Q&A成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)
Q. 成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)の受付期間はいつですか?
通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。
この制度を検討するときの確認リスト
| 確認項目 | 状況 |
|---|---|
| 対象の地域(全国)に、事業所がある | □ はい □ いいえ |
| 交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない | □ はい □ いいえ |
| 後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている | □ はい □ いいえ |
情報の確認元:中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策)の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関等のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。
補助金・経営支援顧問