募集中地域・自治体の補助金

医工連携グローバル展開事業

実施機関
中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策)
募集期間
通年(随時受付)
地域
全国

医工連携グローバル展開事業(中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策))の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。

医工連携グローバル展開事業は、米国など海外展開を前提にした医療機器の「非臨床」「治験・臨床研究」段階の開発費を、補助率2/3で支える国の補助事業

医工連携グローバル展開事業は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する医療機器開発の支援事業です。高度なものづくり技術を持つ中小企業や、先端的なシーズを持つスタートアップが、米国をはじめとする国際展開を見据えて医療機器を開発するとき、その研究開発費の一部を補助します。令和6年度まで続いた「医工連携イノベーション推進事業」を引き継ぎ、令和7年度から始まりました。AMEDの事業案内ページでは、事業年度は令和7年4月から令和13年3月、令和7年度の予算額は14億円と示されています。

ProdX Crowd編集部が確認した範囲では、この事業は3本の柱で構成されています。ただし、自社の開発テーマで応募するのは、そのうち研究開発事業だけです。この記事は、研究開発事業を中心に、AMEDの令和8年度公募要領、公募説明会資料、FAQ、令和7年度の公募ページ、J-Net21の解説を読み合わせて整理しました。

柱実施形態何をするか自社が直接応募できるか
研究開発事業補助事業(補助率2/3)非臨床または臨床(治験・臨床研究)段階の医療機器開発費を補助中小企業・スタートアップが代表機関として応募
国際展開伴走支援事業委託事業研究開発事業の採択者に、規制・許認可、知財・法務などの伴走支援を行う採択課題を支える仕組み。令和7年度は1課題程度の公募
グローバル進出拠点事業委託事業地域の医療機器開発支援拠点に事業化人材を置き、シーズとニーズのマッチングなどを進める医療機器開発の支援を主な目的とする法人が対象

後ろの2つは、事業者に補助金を出す仕組みではなく、支援の体制を整える事業です。この記事では、研究開発費の補助である研究開発事業を詳しく扱い、残る2つは関係を説明するにとどめます。

令和8年度の公募は終わっている。いまから何を確認すればよいか

結論から書くと、令和8年度の研究開発事業の公募は終了しています。AMEDの公募ページでは、提案書類の受付期間は令和8年1月26日から2月25日(正午厳守)でした。採択課題は令和8年4月30日に公表されています。2026年10月時点で、次の公募の予告や要領は、確認した範囲では見当たりませんでした。したがって、いま検討する会社がやるべきことは、次の公募に間に合わせるための準備です。

時期の目安やること根拠・補足
今から開発段階が「非臨床」か「臨床(治験・臨床研究)」かを、公募要領の定義で判定する令和8年度要領の2.3.4(D)
今から医療機関との共同体制を組む。製造販売業許可を持つ企業の参画も検討する令和8年度要領3.1
今からe-Radに研究機関と研究者を登録する登録には2週間以上の余裕を見るようAMEDが案内
公募予告が出たら公募要領・FAQ・説明会資料を読み、経費の内訳を作るAMEDの「公募情報」ページで掲載を確認
公募開始後提案書、基本情報・財務状況、承諾書、DMPなどを作成し、e-Radで提出郵送・持ち込みは不可

公募の開始時期は、令和7年度が4月7日から5月7日、令和8年度が1月26日から2月25日と、年度によって大きく違いました。次回がいつになるかは、資料からは分かりません。AMEDの公募情報ページ(https://www.amed.go.jp/koubo/)と、事業の案内ページ(https://www.amed.go.jp/program/list/12/01/018.html)を定期的に見てください。問い合わせ先は、AMED 医療機器・ヘルスケア事業部 医療機器研究開発課の医工連携グローバル展開事業担当で、連絡はE-mail(ikou_nw@amed.go.jp)のみです。電話とFAXは受け付けていません。

いくら補助されるのか。非臨床は年間7,000万円、臨床は年間1億円まで

研究開発事業の金額は、開発段階(ステージ)によって2つに分かれます。令和8年度の公募要領の2.1と2.3.2に書かれた数字は次のとおりです。

区分研究開発費の規模(間接経費等を含まず)補助率実施予定期間採択予定
非臨床ステージ1課題あたり年間70,000千円(上限)2/3令和8年6月(予定)から令和9年度末非臨床と臨床の合計で0〜5課題程度
臨床(治験・臨床研究)ステージ1課題あたり年間100,000千円(上限)2/3令和8年6月(予定)から令和10年度末同上

ここで大事なのは、70,000千円や100,000千円は「もらえる額」ではなく、「補助の対象にできる経費の上限」だという点です。公募要領の注記には、研究開発費とは直接経費の総額または補助対象経費(間接経費・一般管理費を除く)の総額を指し、研究開発費に補助率を掛けた金額を交付すると書かれています。公募説明会資料でも、研究開発費は「直接経費+委託費」で、間接経費を含まないと図示されています。

要領の数字だけで計算すると、次のようになります。

想定対象経費(年間)補助率補助金(年間・概算)自己負担(年間・概算)
非臨床で上限いっぱい7,000万円2/3約4,667万円約2,333万円
臨床で上限いっぱい1億円2/3約6,667万円約3,333万円
非臨床で対象経費が3,000万円3,000万円2/32,000万円1,000万円

予定期間をそのまま当てはめると、非臨床は令和8年6月から令和9年度末までの2年間(説明会資料の表記は「2年」)、臨床は令和10年度末までの3年間(同「3年」)です。対象経費が毎年上限いっぱいだと仮定すると、非臨床は2年で1億4,000万円、臨床は3年で3億円が対象経費の上限の合計になり、その2/3が補助の上限という計算です。実際の申請額は、年度ごとに内訳を作って出します。要領には「申請額がそのまま認められることを確約するものではない」とあります。

また、申請額が公募要領に記載の予算上限を超えていた場合は、形式審査の段階で不受理になります。上限ぎりぎりで書く場合は、直接経費の合計と委託費の合計を、提案書の「各年度別経費内訳」で何度も突き合わせてください。

補助金は後払いの精算が基本の補助事業ですが、要領の経理の章には、支払額は四半期ごとに、当該年度の直接経費と間接経費の合計額を均等4分割した額を原則とすると書かれています。事業期間中の資金繰りは、この支払いの仕組みと、自己負担の3分の1を合わせて組み立てることになります。

何が補助の対象になるのか。対象経費と間接経費の線引き

補助対象になるのは、研究開発のために使う経費です。AMEDは府省共通経費取扱区分表に準じて費目を分けています。令和8年度要領の4.2.1には、次の構成が示されています。

費目含まれるもの(要領の記載)
物品費研究用設備・備品・試作品、既製品のソフトウェア、書籍、研究用試薬・材料・消耗品
旅費研究参加者の旅費、外部専門家の招聘旅費、臨床研究等の被験者・介助者の旅費
人件費・謝金当該研究開発のために雇用する研究員等の人件費、講演・指導助言・被験者・通訳翻訳などの謝金
その他成果発表費用、会議費、運搬費、機器リース、修理費、印刷費、外注費(試験・検査など役務)、ライセンス料など
間接経費・一般管理費補助事業では、直接経費に対して一定比率(要領には間接経費30%上限、一般管理費10%上限の記載)で手当てされる
委託費研究開発課題の一部を第三者(分担機関)に委託する経費

令和7年度の公募ページには、間接経費の上限を大学等は30%、中小企業は20%、大企業は10%とすると書かれていました。令和8年度の要領は、委託先の間接経費・一般管理費を「事業が定める率を上限に」計上できるとしていて、率は事業ごとに定めると読めます。具体的な率は、提案書の様式と要領の最新版で確認してください。

補助事業では、消費税を計上することはできません。この点は令和8年度要領の注記に明記されています。見積書をそのまま転記すると税込額が混ざりやすいので、費目ごとに税抜に直してから積み上げます。

支払いの方法にも制約があります。要領の4.2.2は、手形決済、相殺決済、ファクタリングを認めないとしています。また、費目間の流用は、費目ごとの流用額が当該年度の直接経費総額の50%(その額が500万円に満たない場合は500万円)を超えない範囲で、研究開発計画との整合性が取れていればAMEDの承認なしに可能です。大きく計画を組み替えるときは、事前に事業担当課と相談する必要があります。

研究開発代表者や分担者の人件費は、競争的研究費の制度見直しにより、直接経費から支出できる場合があります(PI人件費)。この制度を使いたい場合は、研究開発提案書に必ず記載することが条件で、計上額は年度の途中で増額できません。

誰が応募できるのか。共同体の組み方が最初の関門

応募するのは、国内の研究機関等に所属し、その機関を主たる研究場所として、研究開発の計画づくりと成果のとりまとめに責任を持つ研究開発代表者です。令和8年度要領3.1の要件を整理します。

要件内容
所属民間企業の研究開発部門、研究所等に所属していること
施設・設備採択された場合に、機関の施設・設備が使えること
事務契約手続や交付申請の事務を行えること
知財・データ事業で生まれる知的財産権と研究開発データに責任ある対処ができること
調査への回答事業の実施中、研究の進捗、治験届、薬事申請などの状況調査に回答できること
事業終了後引き続き研究開発を進め、追跡調査にも協力すること
スタートアップ財務状況の健全性が確認できること(著しく脆弱と判断されると不採択や契約不可もあり)
経理専任の経理担当者を置けること

体制については、令和8年度から表現が変わっています。令和7年度の要領は、共同体に「中小企業」「製造販売業許可を有する企業」「医療機関」を置くことを必須としていました。令和8年度の要領は、研究開発分担機関として「医療機関」を置いた体制を必須とし、「製造販売業を持つ企業」が体制に入ることは「推奨」としています。令和7年度のFAQには、代表機関が製造販売業許可を持たなくても、許可を持つ分担機関が共同体に入っていれば要件を満たすという回答がありました。令和8年度要領の表現では、製販企業の位置づけが緩んだことになりますが、審査では海外展開の体制を見られるため、実務上は連携先を探しておく意味があります。

医療機関を代表研究機関にすることは、令和7年度の要領では認められていませんでした。令和8年度のFAQには、次のような回答が載っています。

質問の主旨回答の要点(令和8年度FAQ)
医療機関も基本情報・財務状況(様式2-2)が必要か中小企業(スタートアップを含む)は提出必須。大企業、大学、病院などは不要
分担機関が複数ある場合の承諾書全ての分担機関の承諾書(様式3)を応募時に提出する
米国の医療機関を分担機関にできるか可能。承諾書は国内の医療機関と同様に、先方のものを必ず添付する
「みなし大企業」の扱い中小企業でない企業(みなし大企業を含む)は人件費の計上ができない

「みなし大企業」とは、発行済株式の2分の1以上を同一の大企業が持っている場合、3分の2以上を複数の大企業が持っている場合、大企業の役員・職員を兼ねる者が役員総数の2分の1以上を占める場合のいずれかに当たる中小企業のことです。出資の構造が複雑なスタートアップは、ベンチャーキャピタルや事業会社からの出資比率を、応募前に株主名簿で確認してください。該当すると、人件費という大きな費目が使えなくなります。

また、AMEDはスタートアップ等を「中小企業のうち、設立10年以内」と定義しています。中小企業の基準は、中小企業基本法に沿って、製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、ソフトウェア業は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下などと、要領に表で示されています。資本金基準と従業員基準は、どちらか一方を満たせば足ります。

「非臨床」と「臨床」はどこで分かれるのか

金額の上限がステージで違うため、自社がどちらに入るかの判定は重要です。令和8年度要領の2.3.4(D)は、応募時に次のいずれかであれば「臨床(治験・臨床研究)」ステージと見なすと定めています。

地域臨床ステージと見なす条件
国内製造販売承認申請を行うことを目的とした、臨床研究または治験のプロトコールが作成されていること
海外FDA等の事前相談制度(プレサブミッションプログラム等)を活用することを目的とした、臨床研究または治験のプロトコールが作成されていること

つまり、治験を始めているかどうかではなく、承認申請や事前相談を目的としたプロトコールが「作成されているか」が基準です。プロトコールが未作成であれば、非臨床ステージで応募することになります。なお、応募時に「非臨床」か「臨床」のどちらかの段階にあることは必須条件で、基礎研究や応用研究の段階では応募できません。J-Net21の解説も、臨床研究は対象外としたうえで、非臨床または臨床(治験)が対象と書いています。ここは、AMEDの要領の表現(臨床研究あるいは治験のプロトコールが作成されていること)と食い違って見えるため、実際の判定は、AMEDが案内する「医療機器の研究開発マネジメントにおけるチェックポイント/ステージゲート」のページで確認してください。

ステージごとに、事業終了時までに求められる到達点が決まっています。

ステージ求められる到達点(要領2.3.4)
非臨床事業終了時に、臨床(治験・臨床研究)ステージへの移行準備、または許認可承認(薬事や510(k)等)の申請準備が完了していること
臨床初年度に、PMDAやFDA等と臨床研究または治験のプロトコール相談を行い、治験が必要と判断されれば治験届を提出して受理結果の写しを出すこと。事業終了時は、製造販売承認が得られていることが望ましいが、申請中または申請の目途がついた状態でも可

臨床ステージの初年度に求められるステージゲートは重い条件です。PMDAの相談(相談業務は医療機器・体外診断用医薬品の相談業務のページで案内されています)の予約と準備の時間を、補助事業の初年度の工程に最初から入れておかないと、年度末に間に合いません。治験を事業で行う場合は、企業治験が原則です。

対象になる医療機器は何か。A〜Gの7つの応募区分

公募対象は、次の7つの応募区分のいずれかに該当し、米国をはじめとする海外展開を目指す医療機器の開発です。令和7年度と令和8年度で区分は共通でした。

区分テーマ
A日常生活における健康無関心層の疾病予防、重症化予防に資する医療機器
B予後改善につながる診断の一層の早期化に資する医療機器
C臨床的なアウトカムの最大化に資する個別化医療に向けた診断と治療が一体化した医療機器
D高齢者等の身体機能の補完・向上に関する医療機器
E医療従事者の業務の効率化・負担軽減に資する医療機器
F従来にはない革新的な治療や低侵襲治療の実現
G従来にはない革新的な診断や高度化・簡素化された画像・光学診断の実現

要領によると、AからEは、国民が受ける医療の質の向上のための医療機器の研究開発及び普及の促進に関する基本計画(令和4年5月31日)が示す重点分野で、FとGは、社会の変化と要素技術の変化に対応した注目領域の一部として加えられたものです。開発対象物は、医薬品医療機器等法上の医療機器に該当するものでなければなりません。健康機器や一般のウェルネス製品で、医療機器に当たらないものは、この事業の対象外です。

疾患領域は「全て」が対象で、がんや難病など特定の領域に限りません。開発フェーズは、非臨床研究・前臨床研究、臨床試験、治験、観察研究等がチェックされています。

審査では何を見られるのか。海外展開の出口戦略が採択条件に入っている

令和8年度要領の2.3.4は、次の(A)から(H)を全て満たす課題を支援すると定めています。補助金の事業としては珍しく、出口戦略が採択の条件として書かれています。

条件内容の要点
(A)事業趣旨と応募区分ごとの目標に合致し、成果が期待できること
(B)医薬品医療機器等法上の医療機器で、応募区分のいずれかに該当すること
(C)海外展開(特に米国)を見据えた「ニーズ、臨床的位置付け」「市場、対象顧客」「薬事、上市、保険、収益等の出口戦略(中長期的なロードマップ)」がまとまっていること
(D)臨床ステージと見なす条件を満たすこと(前の章を参照)
(E)(F)ステージごとの到達点を満たすこと
(G)ISO13485の取得、輸出管理体制、販売・保守体制などの海外展開体制が整っていることが望ましい。整っていなければ、事業終了時までに全部または一部の構築の目処がつくこと。大手企業等との連携でも可(国内に法人を持つ企業が条件)
(H)事業で治験を行う場合は、企業治験を原則とする

実際の審査は、外部有識者による課題評価委員が、非公開の書面審査とヒアリング審査で行います。審査項目と観点は、要領の5.1.2に次のように示されています。

審査項目主な観点
事業趣旨等との整合性事業の趣旨と目標に合っているか
科学的・技術的な意義及び優位性現在の技術レベルと実績、独創性・新規性・革新性、社会的ニーズへの対応
計画の妥当性全体計画の目的の明確さ、年度ごとの計画の具体性と実現可能性、生命倫理・安全対策の法令遵守
実施体制申請者を中心とした体制の適切さ、連携体制、エフォート、不合理な重複・過度の集中がないか
所要経費経費の内訳と支出計画の妥当性
データマネジメントプランDMPの妥当性
事業で定める項目米国等への国際展開を見据えた計画・体制、ニーズ・市場性分析、技術や知財の優位性、非臨床・臨床フェーズに対応した計画、国内の中小企業やスタートアップの技術を生かす計画、スタートアップの場合は大手企業等との連携(関心表明を含む)を見据えた体制

注目したいのは、最後の「事業で定める項目」です。スタートアップには、大手企業等との連携(関心表明を含む)を見据えた計画が求められています。令和8年度の要領は、初期段階から医療機器企業への導出(M&Aを含む)や海外販路の活用を前提とした出口戦略が明確な研究開発支援を強化する、という方針を書いています。技術の説明だけでなく、「誰が、どの国で、どの販路で売るのか」を、提案書の段階で書けることが、評価の分かれ目になります。

また、事業の目標として、助成終了後5年で採択課題の30%以上の製品を国内で上市し、8年で30%以上の製品を海外で上市することが掲げられています。この数値は事業全体の目標で、個別の企業に課される義務ではありませんが、フォローアップ調査への協力が応募資格に含まれている以上、上市まで追いかけられることは覚悟しておく必要があります。

申請から交付までの流れと、逆算した日程

令和8年度の実績をもとに、標準的な流れを表にします。次回以降の日程は変わる可能性があるため、「令和8年度の実績」として読んでください。

段階令和8年度の日程申請者がすること
公募説明会令和8年1月30日(16時から)資料とFAQを読む。質問はE-mailで受け付け
提案書類の受付令和8年1月26日から2月25日(正午厳守)e-Radで提出。登録済みの研究者番号が必要
書面審査令和8年2月下旬から3月上旬(予定)AMEDからの事務的な確認に速やかに回答する
ヒアリング審査令和8年3月下旬(予定)研究開発代表者が説明する。日程は変更できない
採択可否の通知令和8年4月下旬(予定)採択後は計画や経費の修正を求められることがある
研究開発開始令和8年6月上旬(予定)契約・交付決定の手続き。開始日は約束ではない

受付期間がちょうど1か月と短いため、応募を決めてから体制を作るのでは間に合いません。公募要領には「期限を過ぎた場合には一切受理できない」と書かれ、AMEDは公募ページで、締切に間に合わず不受理となるケースが発生していると警告しています。e-Radに新規登録する機関や研究者は、登録手続に2週間以上かかる場合があるため、早めの登録が求められています。

提出書類は、令和8年度の要領で次のとおりでした。

書類必須かどうか注意点
研究開発提案書(様式1)必須字数・枚数の制限を守る。文字サイズは原則10.5ポイント
基本情報および財務状況(様式2)中小企業(スタートアップ含む)は必須様式1と同じファイル
分担機関の承諾書(様式3)必須押印済みの写し。分担機関が複数なら全て
データマネジメントプラン(DMP)必須提案書とは別
医療機器開発マネジメントに関するチェック項目記入表該当する場合は必須AMEDのウェブサイトの様式
ヒト全ゲノムシークエンス解析プロトコール様式解析を行う場合未提出だと不受理
財務状況資料研究開発代表者の所属機関がスタートアップ等の場合は必須ヒアリング対象になったときにAMEDから連絡

財務状況資料の中身は、財務スコアリング、直近3年分の決算報告書(貸借対照表と損益計算書)、資金繰り表です。財務スコアリングは、中小機構の無料診断「経営自己判断システム」の利用が案内されています。資金繰り表の様式に指定はなく、作成期間は研究開発開始予定日から1年後の前月までが最短です。採択後も、毎年度、法人税申告書一式(直近1年分)と資金繰り表の提出が必要です。上場企業は財務状況資料の提出が不要で、設立後1年を経過していないなど法人税の申告実績がない企業は、直近の残高試算表と資金繰り表を出します。

つまずきやすい点は何か

読んだ資料から、不受理や不採択につながりやすい点を整理します。

つまずき内容避け方
締切に間に合わないe-Radでの受理が期限内にできないと不受理研究者・機関の登録を早めに済ませ、締切の数日前までに提出する
上限超過申請額が予算上限(非臨床7,000万円、臨床1億円、いずれも直接経費と委託費の合計)を超えると不受理各年度の内訳と総額を再計算する
承諾書の欠落分担機関が複数あるのに一部の承諾書がない分担機関の一覧と承諾書をチェックリストで突き合わせる
提案書とe-Radの齟齬AMEDはe-Radの入力情報を評価システムに取り込む提案書とe-Radの記載を並べて確認する
消費税の混入補助事業では消費税を計上できない見積を税抜に直して積み上げる
みなし大企業の見落とし該当すると人件費が計上できない株主構成を事前に確認する
ステージの誤判定臨床ステージの条件はプロトコール作成の有無で決まるステージゲートのページと事業担当課で確認する
海外展開の出口が書けない採択条件(C)で出口戦略が求められる市場、薬事、保険、収益のロードマップを提案書に具体的に書く
研究開発代表者の重複同じ公募年度に代表者として本事業に参画予定の人は応募できない同一人物を複数提案の代表にしない(分担者としては複数参加できる)

また、AMEDの関係者に対して、評価や採択についての働きかけを行うことは禁止されています。審査の途中経過についての問い合わせには、一切応じられないとも書かれています。応募後は、AMEDからの事務確認への回答を除き、結果を待つ時間になります。

採択された後に何が待っているのか

採択の通知を受けても、それは交付の約束ではありません。要領は、研究開発開始予定日はあくまで目安で、契約締結や交付決定をお約束するものではないと明記しています。採択時に、計画や経費の見直しを求められ、金額の変更を伴う採択条件が付くこともあります。ここで修正された目標は、中間評価や事後評価の指標になります。

実施中は、プログラムスーパーバイザー(PS)、プログラムオフィサー(PO)が進捗を見て、助言をします。進捗によっては、計画の見直しや、補助事業における課題の廃止(計画達成による早期終了を含む)が行われることがあります。サイトビジットで進捗が不十分と判断されると、課題の中断や補助金の変動もあり得ます。AMEDが指示した提出物の遅れや未提出は、重大な違反と見なされ、研究開発費の全部または一部の返金につながることがあります。

AMEDの公募ページには、令和6年度採択課題の中間評価結果が令和8年1月19日に公表されたことも載っています。補助期間の途中で評価を受ける仕組みがあることを、前提に計画を作る必要があります。

自社に向く会社と、向かない会社

判断軸向く会社向かない会社
開発段階非臨床の試験計画、または治験・臨床研究のプロトコールがすでにある基礎研究・試作の初期段階で、非臨床の計画もまだない
製品の性格医薬品医療機器等法上の医療機器で、A〜Gのいずれかに当てはまる医療機器に該当しない健康関連製品
市場米国など海外市場を最初から見ている国内販売だけで考えている
体制医療機関と組める。製造販売業許可を持つ企業との連携先もある臨床の相談先がなく、医療機関との関係もまだない
資金補助率2/3の自己負担分(対象経費の3分の1)と、期間中の資金繰りを賄える自己資金や調達の目処がなく、財務の健全性を説明しにくい
経理専任の経理担当者を置ける経理を兼任者1名で回している
時間採択後も、報告、調査、フォローアップに応じられる事務の余力がない

財務状況の健全性は、スタートアップにとって特に重い論点です。要領は、審査時に財務状況が著しく脆弱と判断されると不採択になる場合があり、採択後でも研究開発の履行能力がないと判断されれば契約を結べないことがあるとしています。補助金は後から精算される部分があるため、手元資金が薄い会社は、資金繰り表を現実的に作れるかを先に確認してください。

類似の制度とどう違うのか

医療機器の開発に関わる支援は、AMEDの事業だけではありません。違いを、資料で確認できた範囲で表にします。

制度・事業位置づけこの事業との違い
医工連携イノベーション推進事業令和2年度から令和6年度まで実施された前身事業令和7年度から本事業に引き継がれた。重点が国際展開に移った
AMEDの医療機器関連の他の公募同じ医療機器・ヘルスケア分野で、公募ごとに対象と段階が異なる公募情報の一覧で、段階と対象を比較して選ぶ
PMDAの「革新的医療機器等相談承認申請支援事業」一定条件の中小・ベンチャー企業の、相談・承認申請の手数料を全額納付後に5割助成する研究開発費の補助ではなく、PMDAに納める手数料への助成
各地の医療機器開発の拠点地域のものづくり企業を医療分野につなぐ。グローバル進出拠点事業はこの機能を強める事業個別企業への補助ではなく、地域の体制整備

PMDAの手数料助成は、AMEDの補助事業と別枠の仕組みです。PMDAのページには、国からの補助金事業として、要件を満たす医療機器等に係る相談・承認申請の手数料について、全額納付後に5割を助成すると書かれています。臨床ステージの初年度にPMDAとのプロトコール相談が要件になる本事業と、組み合わせて検討できる余地があります。ただし、併用の可否や条件は、各制度の窓口で確認してください。

関連する税制や他制度との関係

資料に記載がある範囲では、補助金と税制優遇の併用についての定めは、公募要領からは確認できませんでした。補助金は、一般に益金に算入される場合があるため、会計処理や税務上の扱いは、顧問税理士に確認してください。

同じ研究開発課題に、複数の公的資金が重複して入ることには制限があります。要領は、複数の公募への応募を認める一方で、研究費の不合理な重複と過度の集中に該当しないことを確認するため、同時に応募した研究開発課題の情報を、提案書の該当欄に必ず記載するよう求めています。応募中の課題が採択された場合は、速やかにAMEDの本事業担当課に報告します。

中小機構のJ-Net21は、医療機器開発の情報収集先として、医療機器開発支援ポータルサイトMEDIC(https://www.med-device.jp/)や、INPITの知財総合支援窓口を紹介しています。MEDICは、事業化のステージ別に、資金調達、知財戦略、保険償還・薬事戦略、海外展開などの情報を集めたサイトです。国際展開伴走支援事業が、MEDIC機能の強化に取り組むことも、公募説明会資料に書かれています。

提案書を書くときの組み立て方

この章は、資料の記載をもとに、ProdX Crowd編集部が考える構成の整理です。審査項目と採択条件に対応させると、提案書は次のように組み立てられます。

提案書で答える問い対応する審査項目・条件書くべき中身
誰のどんな課題を解くのか事業趣旨との整合性、社会的ニーズ臨床上の課題、対象患者、現行の治療や診断との差
なぜ自社の技術が優位か科学的・技術的な意義と優位性独創性、知財、競合との比較、これまでの実績
どの国で、どう売るのか採択条件(C)、事業で定める項目米国等の市場、対象顧客、薬事・保険・収益の道筋
いつまでに何を終えるのか計画の妥当性、ステージごとの到達点年度ごとの計画、事業終了時の到達点、ステージゲートの工程
誰と組むのか実施体制医療機関、製販企業、大手企業との連携(関心表明を含む)、役割分担
いくら使うのか所要経費費目別の内訳、見積の根拠、消費税を除いた金額
終わった後も続けられるのか応募資格(事業終了後の推進)上市までの資金計画、体制整備のロードマップ

提案書の作成にあたって、要領は、研究全体の目標達成のロードマップを作り、研究開発項目ごとの節目の到達点を書くこと、研究終了後の将来構想として想定する波及効果を書くこと、体制図で役割と相互連携関係を示すことを求めています。また、エビデンスを示すためにAIを使う場合は、使ったツールやモデルの名称を記載し、必要な専門家と連携するよう求めています。

よくある質問

質問回答
令和8年度の公募はまだ受け付けていますか受付は令和8年2月25日で終了し、採択課題は令和8年4月30日に公表されています
次の公募はいつですか確認した範囲では、予告や要領は見当たりませんでした。AMEDの公募情報ページで確認してください
大学や医療機関は代表になれますか令和8年度要領の応募資格は、民間企業の研究開発部門、研究所等に所属する研究開発代表者です。医療機関は分担機関として必須です
製造販売業許可を持っていないと応募できませんか令和8年度要領では、製造販売業を持つ企業が体制に入ることは「推奨」です。令和7年度のFAQには、許可を持つ分担機関が共同体に入っていれば要件を満たすとの回答がありました
海外の医療機関と組めますか令和8年度FAQでは、米国の医療機関を分担機関とすることは可能で、承諾書の提出が必要と回答されています
補助率はいくらですか非臨床・臨床とも補助対象経費の2/3です
消費税は補助対象ですか補助事業では、消費税を計上できません
問い合わせは電話でできますかできません。E-mailのみで、アドレスはAMEDの公募ページに記載があります
応募すれば採択されますか審査は外部有識者による非公開の書面審査とヒアリングで、予定は0〜5課題程度でした。採択数は応募内容によって増減します
採択後に補助金は一括で入りますか要領には、支払額は四半期ごとに、当該年度の直接経費と間接経費の合計額を均等4分割した額とするのが原則と書かれています

編集部のまとめ

医工連携グローバル展開事業は、補助率2/3、非臨床で年間7,000万円、臨床で年間1億円までという、医療機器開発としては大きな規模の補助事業です。そのぶん、応募できる会社は絞られます。非臨床または臨床の段階に達していること、医療機関との共同体制があること、米国などの海外市場に向けた出口戦略を説明できること、財務が健全であることが、採択の前提です。令和8年度の公募は終了しており、次の公募の情報はまだ確認できていません。いま準備できるのは、開発段階の判定、医療機関との連携、e-Radの登録、PMDAやFDAとの相談の計画、海外展開の出口戦略の整理です。公募が出てからの1か月で書ける内容は限られるため、前もっての準備が、そのまま提案書の質になります。

補助金の申請支援をお考えの場合は、ProdX Crowd(月額10,000円、初期費用0円、成果報酬0円、最低契約期間なし、いつでも解約OK)で、補助金の探索から申請書づくりまでを相談できます。制度の最新の要件は、必ずAMEDの公募要領とFAQで確認してください。

参照した主な公式資料は、AMED「医工連携グローバル展開事業」事業案内ページ、令和8年度公募ページと公募要領・FAQ・公募説明会資料、令和7年度公募ページ(研究開発事業、国際展開伴走支援事業、グローバル進出拠点事業)、PMDA「医療機器・体外診断用医薬品の相談業務について」、中小機構J-Net21の解説ページです。

この制度を一言でいうと

「医工連携グローバル展開事業」は、中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策)が実施する補助金・助成金です。対象の地域は全国です。

医工連携グローバル展開事業は、米国をはじめとする海外展開を見据えた医療機器の開発・事業化を支援する事業です。中小企業やスタートアップが、医療機関、製造販売業者、研究機関などと連携しながら、革新的な医療機器の実用化やグローバル展開を目指す場合に活用できる可能性があります。本記事では、医工連携グローバル展開事業の概要、各事業の目的や役割、研究開発事業の対象、応募前に確認したいポイントを整理します。 医工連携グローバル展開事業は、米国をはじめとする海外展開を見据えた医療機器の開発・事業化を支援する事業です。

受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。

制度名医工連携グローバル展開事業
実施機関中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策)
種類補助金・助成金
対象地域全国
受付期間通年(随時)で受け付けています

「医工連携グローバル展開事業」の対象になる方

対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。

対象かどうかを、この順に確認します
  1. 1地域全国
  2. 2規模従業員数の制約は示されていません
確認することこの制度の内容
地域全国
規模従業員数の制約は示されていません
この制度の文章にある言葉ProdX Crowd編集部の見方
中小企業中小企業者・小規模事業者の定義に当たることが条件です。業種ごとに、資本金や従業員数の上限が決まっています。自社が当たるかを、定義の表で確認します。

「医工連携グローバル展開事業」の経費で気をつけたいこと

この制度の文章にある言葉ProdX Crowd編集部の見方
開発試作・開発・試験・実証に関する費用が含まれています。目的と、試験の方法、評価の基準を、計画書に書いておくと、経費の必要性を説明しやすくなります。
海外翻訳・通訳・海外関係の費用が含まれています。為替レートの前提と、海外とのやりとりの証拠(契約書、請求書)が、日本語以外で作られる場合の扱いを、確認します。

「医工連携グローバル展開事業」の手続きの流れと日程

この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。

手続きの流れ
  1. 申請計画書・見積書を提出
  2. 審査1〜3か月
  3. 交付決定ここから発注できる
  4. 発注・実施期間内に支払いまで
  5. 実績報告証拠書類を提出
  6. 検査・確定補助額が決まる
  7. 入金お金が入るのは最後

発注・契約は「交付決定」の後。お金が入るのは、最後の「入金」です。

「医工連携グローバル展開事業」についてのよくある質問

Q&A医工連携グローバル展開事業

経営者のイメージ写真
経営者

Q. 医工連携グローバル展開事業の受付期間はいつですか?

解説役のイメージ写真
ProdX Crowd編集部
A.

通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。

この制度を検討するときの確認リスト

確認項目状況
対象の地域(全国)に、事業所がある□ はい □ いいえ
交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない□ はい □ いいえ
後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている□ はい □ いいえ

情報の確認元:中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策)の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関等のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。