中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)
中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)(中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策))の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。
JICA Bizは「補助金」ではなく、途上国の課題解決に向けた調査をJICAが企業に委託するODA事業
中小企業・SDGsビジネス支援事業(通称JICA Biz)は、国際協力機構(JICA)が実施する制度です。J-Net21(中小機構)の解説では、自国の開発課題を解決したい途上国のニーズと、課題解決につながる中小企業の製品・サービス・技術・ノウハウをマッチングさせ、JICAが開発課題の解決に向けた事業を民間企業に委託するODA(政府開発援助)事業、と説明されています。
ここで最初に押さえたいのは、お金の性格です。一般の補助金は「自社が先に事業をして、かかった経費の一部が後から交付される」仕組みが多いのに対し、JICA Bizは「JICAが企業に調査を委託する」契約の形をとります。公募要項の用語や経理のルールも、補助金とは違う部分があります。この記事では、2026年度の公示に向けた案内資料(JICA民間連携事業部、2026年8月3日付)とJICAの公開ページ、J-Net21の解説をもとに、ProdX Crowd編集部が制度の骨格を整理します。
| 項目 | 内容(出典) |
|---|---|
| 実施機関 | 国際協力機構(JICA)民間連携事業部 |
| 位置づけ | 開発途上国の課題解決に資する民間企業の事業を、JICAが企業に委託するODA事業 |
| 支援メニュー | ニーズ確認調査/ビジネス化実証事業の2つ |
| 経費・期間の上限 | ニーズ確認調査は12か月・1,500万円まで、ビジネス化実証事業は2年6か月・4,000万円まで(2026年度公示に向けた案内) |
| 2026年度の日程 | 公示9月1日、応募書類の提出締切9月30日正午、採否通知は12月下旬の予定(案内資料)。JICAの公開ページには、9月30日正午に募集を締め切ったと掲載されている |
| 直近の採択実績 | 2025年度は62件(ニーズ確認調査47件、ビジネス化実証事業15件) |
| 対象国 | JICAの在外拠点が置かれたODA対象国が原則 |
2026年10月12日時点では、2026年度の募集は締め切られています。したがって、これから読む方にとっての実務上の意味は、「次年度(2027年度)の公示に向けて、いまから何を準備するか」にあります。J-Net21の解説は2025年5月の内容改訂版ですが、金額・日程などの数字は、より新しい2026年度の案内資料を優先して使っています。
2026年度の募集はいつ、どう進んだのか
2026年度の流れは、案内資料と公開ページから次のように追えます。来年度も同じ時期になるとは限りませんが、準備を逆算するときの目安になります。
| 時期 | 出来事 | 資料から読み取れること |
|---|---|---|
| 2026年5月15日 | 2026年度募集に向けた説明会 | 動画と、記載ガイド付きの企画書(案)、調査経費の説明資料が公開された |
| 2026年8月3日 | 「公示に向けたご案内」を公開 | 支援メニュー、応募資格、スタートアップの扱い、応募勧奨分野などを事前に提示 |
| 2026年8月19日(水)17:00 | 事前コンサルテーションの申込締切 | 8月31日(月)までの日程で調整。最寄りのJICAお問合せ窓口が担当 |
| 2026年9月1日(火) | 公示(募集要項の公開) | 公示日以降は、公平確保のため事前コンサルテーションは受けられない |
| 2026年9月16日(水)正午 | 公示内容への問合せの受付締切 | 募集要項についての質問が対象 |
| 2026年9月30日(水)正午 | 応募書類の提出締切 | 専用ウェブサイトから応募する |
| 2026年12月下旬 | 採否結果の通知(予定) | 前年度(2025年度)は12月22日に採択決定が公表された |
ここから分かる大事な点は、事前相談の受付が公示の前に終わることです。公示後は、相談という形での個別の助言は受けられず、質問は募集要項の内容に限られます。応募を考えるなら、公示が出てから動き始めるのでは遅く、夏のうちに最寄りのJICA窓口へ連絡しておく必要があります。
2つの支援メニューは、どう使い分けるのか
2024年度から本格的に整備された新制度では、ビジネス検討の段階に応じて、次の2つから選びます。J-Net21は、対象国のビジネス環境の確認状況に応じて、どちらかを選択できると説明しています。
| 比較項目 | ニーズ確認調査 | ビジネス化実証事業 |
|---|---|---|
| 調査の概要 | 対象国の基礎情報をもとに、途上国のニーズ、顧客ニーズと自社製品・サービスとの適合性を分析し、競争優位性を含めた初期的なビジネスモデル(市場規模の把握、顧客の特定、流通チャネルなど)を検証する | 製品・サービスに対する顧客の受容性、現地パートナー候補を含むビジネスモデル策定に関する調査を通じ、収益性の検証、提供体制・オペレーションの構築、ビジネスプラン(事業計画)の策定を行う |
| 想定される企業 | 基礎情報をもとにビジネス環境を整理しながら、自社のビジネスモデルを検証したい企業 | ビジネスモデルの仮説を検証済みで、バリュープロポジション(顧客が自社の製品・サービスを選ぶ理由)や受容可能な価格帯を把握し、実証調査項目の設定や必要な許認可取得の目途がある企業 |
| 調査期間・経費の上限 | 12か月・1,500万円 | 2年6か月・4,000万円 |
| 対象法人 | 中小企業、中堅企業、非営利法人、中小企業団体 | 中小企業、中堅企業、大企業、非営利法人、中小企業団体 |
| 位置づけ | 入口。仮説を検証する段階 | 次の段階。事業計画まで詰める段階 |
大企業が対象に入るのはビジネス化実証事業だけです。ニーズ確認調査の対象法人に大企業は含まれていません。
上限額を月あたりに直すと、何が見えるか
公示案内の数字だけで計算できる目安を置いておきます。上限額を期間で割った単純な平均で、実際の経費の配分や対象経費の範囲は、募集要項と経費の説明資料で確認が必要です。
| メニュー | 上限額 | 上限期間 | 単純平均(1か月あたり) |
|---|---|---|---|
| ニーズ確認調査 | 1,500万円 | 12か月 | 125万円 |
| ビジネス化実証事業 | 4,000万円 | 30か月(2年6か月) | 約133万円 |
月あたりの水準は両メニューで近く、違いはおもに期間の長さにあります。つまり、ビジネス化実証事業は「調査の密度が上がる」というより、「現地での実証や体制づくりに時間をかけられる」メニューだと読めます。上限いっぱいの計画を立てる必要はなく、調査の内容に見合った規模を提案することになります。
応募できるのはどんな会社か
資格要件は、J-Net21の解説(2025年5月改訂)と2026年度案内で、次のように示されています。最終的な要件は、毎年の公示日に公開される募集要項で確認します。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 対象法人の区分 | 中小企業、中小企業団体(事業協同組合など)、中堅企業、非営利法人、大企業(メニューにより異なる) |
| 中小企業の定義 | 中小企業基本法第2条第1項から第4項のいずれかに該当する企業。ソフトウェア業・情報処理サービス業は中小企業支援法施行令第1条に該当する企業 |
| 中堅企業の定義 | 常時使用する従業員数が2,000人以下の企業等(中小企業者を除く) |
| 非営利法人 | 社団法人、学校法人、医療法人、NGO、NPOなど |
| 中小企業団体 | 事業協同組合、事業協同小組合、企業組合、協同組合、商工組合 |
| 法人格 | 日本で施行されている法令に基づき登記されている法人 |
| 設立年数 | 法人設立後1年以上(J-Net21) |
| 財務指標 | 当期純利益が直近の過去3期連続で赤字、直近の年商の3年平均が2,000万円または3,000万円未満(J-Net21の表記による)、直近期の貸借対照表が債務超過、のいずれかに該当しないこと |
| 欠格事由 | 外国会社等に該当しない/破産・更生中でない/税金の未納がない/措置を受けていない/暴力団関係にない/JICAとの間に未履行債務がない/過去3年に採択取消・辞退等がない |
| 実績要件 | 提案する製品・サービス・技術・ノウハウの、国内外いずれかの販売実績が必要 |
J-Net21の解説では、年商の3年平均の基準が「2,000万円/3,000万円未満」と2つの金額で並んでいます。どちらがどの区分に当たるかは、解説からは読み取れないため、自社が該当するかどうかは必ず募集要項の財務指標の定義で確認してください。
スタートアップ企業の特例
2026年度案内には、スタートアップからの応募という扱いがあります。次の3つをすべて満たす企業が対象で、販売実績や財務要件といった一部の応募資格要件が緩和されます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 設立 | 15年以下 |
| 上場 | 未上場 |
| 外部資金 | スタートアップ企業向け外部資金の獲得額が500万円以上 |
この外部資金には、ベンチャーキャピタルからの投資実績のほか、公的機関からのスタートアップに関する助成金や委託事業などを合算できると、案内資料の注記に書かれています。
応募すると一律で不採択になるのは、どんな場合か
J-Net21は、応募の要件として、次のいずれかに該当する応募は一律不採択になると説明しています。応募後でも、要件の欠如・喪失や発覚があれば、採択解除・契約解除の事由になる場合があるとされています。
| 該当する場合 | 実務上の注意 |
|---|---|
| 各スキームの対象と法人区分が合致していない応募 | たとえば大企業がニーズ確認調査に応募する、といった組み合わせ |
| 不備・虚偽のある応募 | 書類の記入漏れ、数字の食い違いも含めて、提出前の点検が要る |
| 提案企業(共同企業体を含む)に、提案する製品・サービス・技術・ノウハウの販売実績がない応募 | スタートアップ特例に該当する場合は要件が緩和される(2026年度案内) |
| 本支援事業への複数応募 | 中小企業・中堅企業に該当しない営利法人は、対象国と提案製品が異なれば複数応募できる |
| 他機関やJICAの他事業との重複応募 | 同じ内容を別の公的資金に出している場合は、整理が必要 |
| 環境社会に重大な影響を及ぼす応募 | 提案内容の環境社会配慮が問われる |
販売実績の要件は、この制度の性格をよく表しています。J-Net21は、対象国での持続的なビジネスの実現には、安定した経営基盤と、実証された製品・技術・ノウハウが重要だからだと理由を述べています。試作段階のアイデアそのものを検証する制度ではなく、すでに売れている、または使われている製品・技術を、途上国で展開できるかを検証する制度だと考えると、理解しやすくなります。
どんな提案が、2026年度は強く求められたのか
案内資料は、2023年6月に改定された開発協力大綱が民間企業などとの共創による開発協力を推進すると明記したことを背景に、2026年度募集では次の6分野で高い開発効果が見込まれる提案の応募を強く推奨するとしています。
| 推奨された分野・課題 | 案内資料の説明(要旨) |
|---|---|
| 日本成長戦略でODAの活用が念頭に置かれている分野 | 日本成長戦略本部・会議の資料で示された分野の課題解決に資する提案 |
| 経済強靭化 | 重要資源の国際供給網や産業の多角化への支援などを通じ、世界経済の安定と成長、日本経済への裨益につながる好循環をつくる提案 |
| DX・AI関連 | デジタル技術やデータに基づく価値創出による課題解決、または経済・社会の発展の基盤となるAI関連の提案 |
| 気候変動への対応・GX・防災 | 温室効果ガスの排出削減・吸収増進(緩和策)、防災・減災などを通じて強靭な社会をつくること(適応策)に貢献する提案 |
| 保健 | 健康安全保障のための予防・備え・対応(PPR)の強化、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に貢献する提案 |
| 主要な国際会議・外交イベントのフォローアップや準備 | 重要性の高い提案 |
これは推奨であり、これ以外の分野の応募が受け付けられないという意味ではありません。ただ、年度によって推奨分野は変わります。次回の公示で、どの分野が示されるかを確認し、自社の製品・技術と重なるかを見極めることが、応募判断の最初の一歩になります。
どの国で事業を検討できるのか
対象国は、JICAの在外拠点(在外事務所および支所)が置かれているODA対象国が原則です。そのうえで、案内資料には次の除外と注意が書かれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 除外される国・地域 | 公示日時点で、外務省海外安全情報(危険情報)でレベル3・レベル4とされている国・地域、JICA安全対策措置で「渡航禁止」とされている国・地域は、対象国にできない |
| ミャンマー | 情勢が流動的であることから、応募を検討する場合は、公示日前までに最寄りのJICAお問合せ窓口へ相談する |
| ベトナム | 外国の個人・法人・機関等がベトナムの公的機関等と協働で調査や実証事業を行う場合、事業開始にあたり、政令313号に関する手続きが必要になる旨の留意事項が案内に載っている。詳細は案内資料と募集要項を確認する |
ベトナムの留意事項は、現地の法制度に関わるため、応募前に手続きの要否と所要期間を窓口で確認しておくのが安全です。
直近の採択結果から、何が読み取れるのか
JICAは2025年12月22日、2025年度分として合計62件の採択を決定したと公表しました。内訳と傾向は、次のとおりです。
| 項目 | 数字(JICA 2025年12月22日付の発表より) |
|---|---|
| 採択件数 | 62件(ニーズ確認調査47件、ビジネス化実証事業15件) |
| 中堅・中小企業向け | 62件中60件 |
| 中堅・中小企業への支援の通算件数 | 延べ1,288件(2012年度開始の前身制度「中小企業海外展開支援事業」からの通算) |
| 全都道府県からの採択 | これまでに全都道府県の企業の提案が採択されている |
| ニーズ確認調査から移行した案件 | 2023年度・2024年度にニーズ確認調査に採択され、今年度のビジネス化実証事業にも採択されたものが5件 |
地域別の割合は、東南アジア・大洋州が48.4%、アフリカが17.7%、中南米が12.9%、南アジアが11.3%、東・中央アジアが6.5%、中東・欧州が3.2%です。分野別では、農業が22.6%、保健医療が16.1%、インフラ整備・運輸交通が14.5%、防災・災害対策が12.9%、環境が8.1%、廃棄物管理が8.1%、産業振興が6.5%、水の浄化・水処理が4.8%、その他が6.4%となっています。
| 分野 | 割合 |
|---|---|
| 農業 | 22.6% |
| 保健医療 | 16.1% |
| インフラ整備・運輸交通 | 14.5% |
| 防災・災害対策 | 12.9% |
| 環境 | 8.1% |
| 廃棄物管理 | 8.1% |
| 産業振興 | 6.5% |
| 水の浄化・水処理 | 4.8% |
| その他 | 6.4% |
発表資料には、ニーズ確認調査からビジネス化実証事業へ進んだ例として、福島県須賀川市の神田産業株式会社が紹介されています。高強度の段ボールを素材にしたパネル組立型の医療室を、ザンビアの農村部での医療施設不足や、雨季の洪水後に頻発する感染症への応急医療などに使うという構想です。2024年8月から2025年3月のニーズ確認調査では、ザンビア政府関係者や援助機関から高い関心が確認された一方、販売先の開拓や現地気候への製品適合の必要性、将来の現地生産に向けた体制づくりの情報収集も行われました。調査で見えた課題を次の段階の実証に持ち込む流れが、2つのメニューの設計意図をよく示しています。
J-Net21の解説は、累積の採択数が1,573件で、そのうち中小企業への支援が1,228件あり、事業終了後の約8割の企業がビジネス活動を継続しているとも述べています。この数字は2025年5月時点の解説のものです。件数は年度ごとに更新されるため、引用するときは出典と時点を併記してください。
この制度に参加すると、お金以外に何が得られるのか
J-Net21は、参画のメリットとして次の4点を挙げています。委託費の上限額だけでなく、こうした「ODAの枠組みで動く」ことの価値が、この制度の特徴です。
| メリット | 解説の内容 |
|---|---|
| 現地へのアクセス | 民間企業だけでは難しい現地パートナーへのアクセスや、JICAと信頼関係のある途上国政府・自治体・業界団体などの紹介を得られる。JICAは国内15か所以上、世界約100か所の拠点を持つ |
| 専門的な助言 | 途上国でのビジネスに造詣の深いコンサルタントから、事業化に向けた助言が得られる |
| 発信と認知 | JICAと共同で成果を発信することで、国内外での認知度向上やパートナーの拡大が期待できる |
| 実績と継続率 | 豊富な採択実績と、事業終了後の高い事業継続率がある |
さらにJ-Net21は、参加により、関係国での知名度の向上、金融機関からの信用力の向上、海外に関心の高い新卒人材からの求人の問合せにつながるケースもある、と述べています。これらは、あくまで解説に記された事例上の傾向です。個別の企業で同じ効果が得られると保証されるものではありません。
申請書づくりで、何を準備しておくべきか
2026年度の案内資料では、応募には公示日に公開される募集要項の附属書類にある企画書を使うこと、5月の説明会の時点で公開された企画書(案)は変更される場合があること、が明記されています。つまり、書式は公示日に確定します。ただし、企画書(案)は記載ガイド付きで事前に公開されるため、書く内容の準備は、公示前から進められます。
| 準備する内容 | 確認の観点 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 提案製品・サービス・技術の販売実績 | 国内外どちらでもよいが、実績を示す資料が必要。スタートアップ特例に該当するかも確認 | 公示前 |
| 財務の確認 | 直近の過去3期の当期純利益、年商の3年平均、直近期の貸借対照表の債務超過の有無 | 公示前 |
| 対象国の候補 | 在外拠点のあるODA対象国か。危険情報レベルや渡航禁止の指定を受けていないか | 公示前 |
| 開発課題との対応 | その国のどの課題に、自社の製品・サービスがどう寄与するか | 公示前から |
| ビジネスモデルの仮説 | ニーズ確認調査なら初期仮説、ビジネス化実証事業なら検証済みの仮説と受容可能な価格帯 | 公示前から |
| 許認可の目途 | ビジネス化実証事業では、必要な許認可取得の目途があることが想定企業の条件 | 公示前から |
| 実施体制 | 調査を担う社内体制、現地の協力者や外部の専門家 | 公示後 |
| 経費の見積り | 経費の説明資料に基づき、上限額の範囲で対象経費を積算する | 公示後 |
| 事前相談の申込み | 最寄りのJICA窓口へ。2026年度は8月19日17:00が締切だった | 公示の約2か月前 |
案内資料が紹介している各種の機会も、準備に使えます。2026年度は、募集に向けた説明会のアーカイブ動画、開発途上国ビジネスニーズセミナー2026、応募を検討する企業向けのオンライン研修が案内されていました。次年度も同様の機会が設けられるかどうかは、JICAの民間連携事業のページで確認してください。
つまずきやすい点は何か
資料から読み取れる、判断を誤りやすい点を表にします。
| つまずきやすい点 | 背景 | 対処の方向 |
|---|---|---|
| 補助金と同じ感覚で経費計画を立てる | 本事業は委託契約の形で、JICAが企業に調査を委託する | 募集要項と経費の説明資料で、対象経費・契約の仕組み・精算の方法を確認する |
| 事前相談の機会を逃す | 申込みは公示前に締め切られ、公示後は個別の相談ができない | 夏までに最寄りのJICA窓口へ連絡し、メニューの選択を相談する |
| メニューの選び方を誤る | 実証済みの仮説がないのにビジネス化実証事業へ応募する、など | 想定企業の条件(仮説の検証、価格帯の把握、許認可の目途)を自社に当てはめる |
| 販売実績を示せない | 国内外いずれかの販売実績が必要 | スタートアップ特例の3条件に該当するかを確認し、該当しなければ実績資料を整える |
| 財務指標に該当してしまう | 3期連続赤字、年商の3年平均、債務超過のいずれかで要件を満たさない | 公示前に自社の決算を指標に当てはめる |
| 重複応募 | 他機関やJICAの他事業との重複は一律不採択の事由 | 同じ内容を別の公的支援に出していないか、社内で一覧にして管理する |
| 対象国の選定 | 危険情報レベル3・4や渡航禁止の国・地域は対象外。ミャンマーは事前相談が必要 | 公示日時点の指定を、外務省の情報で確認する |
| 提出が締切直前に集中する | 2026年度は正午が締切で、専用ウェブサイトから応募する | 最終日の前に、画面上の入力と添付の確認を終える |
この制度に向く会社、向かない会社
| 向く会社 | 理由 |
|---|---|
| すでに国内外で製品・サービスの販売実績があり、途上国への展開を検討している企業 | 販売実績が要件のため |
| 途上国の社会課題(農業、保健医療、防災、水、廃棄物、環境など)と自社の技術が重なる企業 | 採択の分野に、こうした課題領域が並んでいる |
| 現地の政府機関・自治体・業界団体とのつながりを、自社だけでは作りにくい企業 | JICAの拠点網と信頼関係を使えるのが、メリットの一つ |
| ビジネスモデルの検証と事業計画づくりを、段階を追って進めたい企業 | 2つのメニューを段階的に使える。5件は、ニーズ確認調査から実証事業へ進んだ |
| 向かない会社 | 理由 |
|---|---|
| 国内向けの設備投資や販路開拓の費用を補助してほしい企業 | 本事業は途上国での調査・実証を委託する制度で、国内の設備投資向けではない |
| 販売実績がまだなく、スタートアップ特例にも該当しない企業 | 応募要件を満たさない |
| 財務指標に該当する企業 | 当期純利益の3期連続赤字、債務超過などは要件を満たさない |
| 営利のみを目的とし、開発課題への貢献が説明できない企業 | ODA事業であり、開発途上国の課題解決に資することが前提 |
| 短期間で現地売上をつくりたい企業 | 本事業は調査と事業計画の策定が中心。ニーズ確認調査は12か月、実証事業は最長2年6か月 |
類似の制度とは何が違うのか
海外展開に関わる公的な支援は複数あり、窓口と性格が異なります。ここでは、JICAの公開ページで同じ民間連携事業として並べられている制度との違いを、資料の記載の範囲で整理します。
| 制度 | 実施主体 | 性格(資料の記載) | JICA Bizとの違い |
|---|---|---|---|
| 中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz) | JICA | 調査・実証をJICAが企業に委託する | 本記事の対象 |
| 海外投融資 | JICA | JICAの民間連携事業のメニューの一つ。2026年4月10日に、2026年度の協力準備調査(海外投融資)が公示された | 融資・出資の性質を含むため、本サイトの解説の対象外。詳細はJICAの案内を参照 |
| 企業共創プラットフォーム、スタディツアー、各種セミナー | JICA | 情報提供、ネットワークづくり、現地視察などの機会 | 費用を委託する事業ではなく、応募前の情報収集や関係づくりに使う機会 |
海外投融資や、各国の現地視察の企画は、JICAの民間連携事業のページに並んでいます。本事業と組み合わせて検討する場合は、それぞれの募集要項で、対象や重複の扱いを確認してください。他機関の海外展開向けの補助金と同じ内容を重ねて応募すると、本事業では重複応募として不採択の事由になる点に注意が必要です。
採択のあと、何が起きるのか
採択の通知は、前年度の例では12月でした。2026年度の案内では、12月下旬の予定です。採択後は、JICAとの契約に基づいて調査を実施します。J-Net21は、採択された場合でも、要件の欠如や発覚があれば、採択解除や契約解除の事由になりうると説明しています。契約の手続き、経費の精算、成果報告の方法などの詳細は、公開されている資料からは読み取れません。募集要項と、最寄りのJICAお問合せ窓口で確認してください。
調査が終わったあとの動きは、制度の設計に表れています。ニーズ確認調査は、市場規模の把握、顧客の特定、流通チャネルの検討など、初期的なビジネスモデルの検証を目的とします。ビジネス化実証事業は、収益性の検証、提供体制とオペレーションの構築、ビジネスプランの策定が目的です。J-Net21は、成果をJICAと共同で発信できることも利点に挙げています。報道や展示会、事例紹介のかたちで公表されると、取引先や金融機関、求職者に対する信用につながる場合がある、という趣旨です。
税制や、ほかの制度との関係はどう考えるか
この制度が、特定の税制と自動的に結びつくという記述は、確認した資料にはありません。委託費の受取りの会計・税務上の扱い(収益の計上時期、消費税の区分など)は、契約の内容と、企業の会計方針によって変わります。実際の処理は、顧問税理士に、契約書や精算ルールを示したうえで確認してください。
他の公的資金との関係では、重複応募の扱いが最も重要です。J-Net21は、他機関およびJICAの他事業との重複応募を、一律不採択の事由に挙げています。スタートアップ特例の外部資金の算定では、公的機関からの助成金や委託事業を合算できる一方で、同じ内容で二重に支援を受けることとは別の話です。自社が受けている、または申請中の公的支援がある場合は、対象事業と対象経費の範囲が重ならないかを、募集要項と照らして確認し、不明な点は窓口に相談してください。
よくある質問
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 2026年度の募集はまだ受け付けていますか | JICAの公開ページによると、2026年度の公示(9月1日)の募集は、9月30日正午に締め切られています。次回の公示は、JICAの民間連携事業のページで確認してください |
| 補助金とは何が違いますか | JICAが企業に事業を委託するODA事業で、途上国の開発課題の解決に資する調査・実証が対象です。国内の設備投資などを補助する制度ではありません |
| 大企業は応募できますか | ビジネス化実証事業は対象法人に大企業が含まれます。ニーズ確認調査の対象法人は、中小企業・中堅企業・非営利法人・中小企業団体です |
| 上限額はいくらですか | 2026年度の案内では、ニーズ確認調査が12か月・1,500万円、ビジネス化実証事業が2年6か月・4,000万円です |
| 設立したばかりでも応募できますか | 法人設立後1年以上であることが要件とされています。販売実績の要件は、設立15年以下・未上場・外部資金500万円以上のすべてを満たすスタートアップでは緩和されます |
| 販売実績は国内のものでもよいですか | 国内外いずれかの販売実績が必要とされています |
| 応募前に相談できますか | 最寄りのJICAお問合せ窓口の事前コンサルテーションがあります。2026年度は8月19日17:00までの申込みで、公示後は受けられません |
| どの国でもよいですか | JICAの在外拠点があるODA対象国が原則で、危険情報レベル3・4、渡航禁止の国・地域は対象外です |
| 複数の案件に同時に応募できますか | 本事業への複数応募は不採択の事由です。中小企業・中堅企業に該当しない営利法人は、対象国と提案製品が異なれば複数応募ができます |
| 採択される確率はどのくらいですか | 応募件数は、確認した資料にありません。2025年度の採択数は62件です。応募件数と採択の関係は、JICAの公表資料でご確認ください |
次年度に向けて、いま何から始めるとよいか
最後に、公示前の時期に取り組める作業を、時期順にまとめます。2026年度の日程をもとにした目安で、実際の日付は次回の公示で確認してください。
| 時期の目安 | やること | 確認先・使う資料 |
|---|---|---|
| 公示の半年前ごろ | 自社の販売実績と決算を、要件に当てはめて確認する。対象国の候補と、開発課題との接点を整理する | J-Net21の解説、JICAの民間連携事業ページ |
| 公示の4か月前ごろ | 募集に向けた説明会の動画や、記載ガイド付きの企画書(案)が出ていれば確認する | JICAの説明会・イベント・セミナー情報 |
| 公示の約2か月前 | 「公示に向けたご案内」を確認し、事前コンサルテーションを申し込む | 最寄りのJICAお問合せ窓口 |
| 公示日 | 募集要項と附属書類(企画書)を確認し、要件と日程を確定する | JICA公式サイト |
| 公示から約2週間後 | 募集要項への問合せの締切(2026年度は9月16日正午) | JICA民間連携事業部の案内 |
| 締切の1週間前 | 専用ウェブサイトでの入力と添付資料の確認を終える | 募集要項 |
窓口は、最寄りのJICA機関のお問合せ窓口です。JICAの民間連携事業のページに、お問合せ・アクセス情報が掲載されています。JICAの公式ページ(https://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/index.html)と、J-Net21の解説(https://j-net21.smrj.go.jp/publicsupport/2019012301.html)の双方を、公示前に読み直すことをおすすめします。
ProdX Crowdでは、補助金・助成金・委託事業の公募要領を読み込み、自社の事業計画と要件の突き合わせを支援しています。月額10,000円、初期費用0円、成果報酬0円、最低契約期間なしで、いつでも解約できます。制度が自社に合うかの判断材料が必要な場合は、ご相談ください。
この制度を一言でいうと
「中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」は、中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策)が実施する補助金・助成金です。対象の地域は全国です。
中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz) JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」は、自国の開発課題を解決したい途上国の開発ニーズと、開発課題解決につながる中小企業の製品/サービス・技術・ノウハウをマッチングさせ、JICAが開発課題の解決に向けた事業を民間企業に委託するODA(政府開発援助)事業です。 少子高齢化により国内需要が縮小しているわが国では、経済のグローバル化が加速しています。マーケットの拡大やビジネスチャンスを求めて海外進出を行う中小企業は増加しており、成長が著しく人口も増加している途上国や新興国に進出する企業も増えています。
受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。
| 制度名 | 中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz) |
|---|---|
| 実施機関 | 中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策) |
| 種類 | 補助金・助成金 |
| 対象地域 | 全国 |
| 受付期間 | 通年(随時)で受け付けています |
「中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」の対象になる方
対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。
- 1地域全国
- 2規模従業員数の制約は示されていません
| 確認すること | この制度の内容 |
|---|---|
| 地域 | 全国 |
| 規模 | 従業員数の制約は示されていません |
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 中小企業 | 中小企業者・小規模事業者の定義に当たることが条件です。業種ごとに、資本金や従業員数の上限が決まっています。自社が当たるかを、定義の表で確認します。 |
「中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」の経費で気をつけたいこと
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 委託 | 外注費・委託費が対象です。委託先との契約書に、業務の内容・期間・金額を書き、納品物(成果物)を保存します。自社で行う工程と外注する工程を、計画書で分けて書くと説明しやすくなります。 |
| 開発 | 試作・開発・試験・実証に関する費用が含まれています。目的と、試験の方法、評価の基準を、計画書に書いておくと、経費の必要性を説明しやすくなります。 |
| 海外 | 翻訳・通訳・海外関係の費用が含まれています。為替レートの前提と、海外とのやりとりの証拠(契約書、請求書)が、日本語以外で作られる場合の扱いを、確認します。 |
「中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」の手続きの流れと日程
この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。
- 申請計画書・見積書を提出
- 審査1〜3か月
- 交付決定ここから発注できる
- 発注・実施期間内に支払いまで
- 実績報告証拠書類を提出
- 検査・確定補助額が決まる
- 入金お金が入るのは最後
発注・契約は「交付決定」の後。お金が入るのは、最後の「入金」です。
「中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」についてのよくある質問
Q&A中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)
Q. 中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)の受付期間はいつですか?
通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。
この制度を検討するときの確認リスト
| 確認項目 | 状況 |
|---|---|
| 対象の地域(全国)に、事業所がある | □ はい □ いいえ |
| 交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない | □ はい □ いいえ |
| 後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている | □ はい □ いいえ |
情報の確認元:中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策)の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関等のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。
補助金・経営支援顧問