支援事例経営支援・宿泊 / 事業多角化・インバウンド・顧客理解の転用
外国人支援の知見を生かし、宿泊事業へ事業領域を拡張
日本で生活・起業・事業を行う外国人を支援してきた企業が、「外国人が日本で困ること」への理解を新たな資産として捉え直し、訪日外国人向けの宿泊事業へ事業領域を広げる取り組みを整理した、支援事例です。

- 課題特定の顧客層・単一の事業に収益が寄っており、その顧客層の動向が経営リスクになっていた。
- 支援した打ち手「宿泊業へ参入する」のではなく、外国人顧客を理解してきた経験を、訪日外国人の滞在ニーズへ転用する事業として整理した。
- 目指す状態宿泊の利用者が相談事業の入口になり、相談事業の顧客が宿泊の利用者にもなる双方向の流れを整理した。
+OUR SUPPORT
この事例での、ProdX Crowdの支援
事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。
- 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
- 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
- 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
- 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。
01BUSINESS BEFORE
支援前の事業
この企業は、日本で生活し、起業し、事業を行う外国人を対象に、事業支援と生活支援を提供してきました。相談の内容は、事業の立ち上げに関する手続き、住まいの確保、専門家への橋渡し、日本の商習慣の説明など、日本で暮らし、働くうえで実際に生じる困りごと全般に及びます。
顧客は、日本の制度や商習慣に不慣れなまま事業や生活を始める人が中心です。そのため、サービスの価値は「言葉が通じること」だけではなく、「日本ではどのように物事が進むのか」を、顧客の母国の感覚と照らし合わせながら説明できることにありました。
02ASSETS
会社が持っていた経営資産
事業計画の整理で重要だったのは、この企業の強みを「語学力」と捉えないことでした。語学は、他社も持ちうる能力です。一方で、次のような理解は、長く外国人顧客と向き合ってきた企業だからこそ蓄積できたものです。
- 1日本と海外の商習慣の違い契約・支払い・取引の進め方など、顧客が戸惑う場面を、双方の感覚で説明してきた経験があります。
- 2日本での生活の実情住まい、手続き、生活インフラなど、観光情報には載らない「滞在中の困りごと」を把握しています。
- 3起業時の手続きと専門家との連携手続きの流れと、各場面で相談できる専門家の組み合わせを知っています。
- 4不動産に関する理解外国人が日本で住まい・拠点を確保する際の課題を、実務を通じて理解しています。
- 5日本滞在中の困りごと全体への視点「何に困るか」を知っていることが、サービス設計の出発点になります。
03REAL QUESTION
本当に問うべきこと
新しい収益源を探すとき、最初に出てくる発想は「いま成長している市場はどこか」です。しかし、この構想では、問いの立て方を変えています。
「自社は、誰の、どのような困りごとを、すでに深く理解しているか」。この問いに答えると、顧客は日本に来る外国人であり、困りごとは「日本に滞在するときの不安や不便」である、という整理になります。そこから、宿泊という場面が浮かびます。宿泊は、日本に来た外国人が、最初に、そして必ず必要とするサービスだからです。
04WHY LODGING
なぜ宿泊だったのか
宿泊事業は、既存の相談事業とは業種が異なります。しかし、サービスを受ける人は同じ「日本に滞在する外国人」であり、求められる価値の中心は「滞在中の安心」にあります。清潔さや立地といった基本品質に加えて、困ったときに相談できる相手がいること、日本の習慣をわかりやすく伝えてもらえること、といった価値は、これまでの事業の延長で提供できる可能性があります。
つまり、新事業の差別化の源泉は、設備や立地ではなく、「外国人の滞在を理解している」という既存事業の資産に置かれています。これが、単なる民泊・小規模ホテルの追加と、この計画との違いです。
- 1外国人向けの事業・生活支援
- 2日本滞在時の課題を蓄積
- 3宿泊のニーズを理解
- 4民泊・小規模ホテル
- 5新たな顧客接点が生まれる
- 6既存の相談事業にも波及
サービスではなく「顧客理解」が転用される資産になる。
05BUSINESS MODEL
想定した宿泊事業の姿
支援では、民泊や小規模ホテルといった形態を想定し、利用者の層に合わせた客室を検討しています。想定されたのは、ファミリーで訪れる観光客向けの客室と、若年層やビジネスで利用する人向けの客室です。層が異なれば、求める広さ、設備、料金の水準、滞在中に必要とする情報が変わるため、客室の設計と運営の方法を層ごとに考える必要があります。
重要なのは、既存の事業で出会ってきた顧客の姿から、利用者像を具体化できる点です。観光客の要望を一般論として想像するのではなく、実際に相談を受けてきた経験を設計の材料にします。
06SYNERGY
双方向のシナジーをどう設計したか
計画の特徴は、「シナジー」を抽象的に語らず、人の流れとして具体化していることです。
- 1既存顧客 → 宿泊既存顧客の家族や取引先が日本を訪れる際に、安心して泊まれる場所として紹介できます。信頼関係がある相手からの紹介は、広告よりも安心感のある入口になります。
- 2宿泊客 → 相談事業滞在中に、日本での事業や生活に関心を持つ人が現れる可能性があります。そうした人が、すでに接点のある事業者に相談できることは、顧客にとっても自然な流れです。
- 3運営の知見 → 相談内容への還元宿泊の運営で得られる「外国人の滞在中に起きること」の情報が、相談事業のサービス改善にも使えます。
- 1既存の相談事業の顧客
- 2家族・取引先が日本を訪れる
- 3宿泊を利用する
- 4滞在中に日本での事業・生活の相談が生まれる
- 5相談事業の新たな顧客になる
宿泊事業が、相談事業の新しい入口になる。
07ACTION STEPS
実行に向けた段階(目標)
事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。
- 1顧客理解の棚卸し既存の相談で蓄積した「滞在中の困りごと」を整理し、宿泊の設計に使える形にします。
- 2客室とサービスの設計利用者の層ごとに、客室の広さ・設備・料金・提供する情報を決めます。
- 3運営体制と許認可の確認必要な許認可、衛生・安全の管理、運営の担い手を確認します。
- 4相互送客の仕組みづくり既存顧客への案内と、宿泊客から相談へつなぐ導線を整えます。
08TAKEAWAY
この事例から分かること
以下は、この事例から一般的に考えられる経営上のポイントです。実際に行った支援内容とは区別しています。
- 1資産は商品や設備だけではない「顧客を深く理解していること」は、業種を超えて転用できる経営資産です。
- 2業種の距離ではなく、顧客の連続性を見る宿泊と相談は業種が異なっても、同じ顧客の滞在という体験の中でつながります。
- 3シナジーは人の流れで書くどの顧客が、どちらから、どちらへ移るのかを具体的に描けるかが、説得力を決めます。
- 4依存を減らす新事業は、依存の質も点検する新しい事業が、同じ依存を別の形で強めていないかを確認します。
09SUMMARY
この支援で整理した主なポイント
- 既存事業の本当の資産は「言語」ではなく、日本での生活・起業・手続き・不動産・専門家連携まで含む顧客理解だと整理した。
- 単一の顧客層への依存を、経営リスクとして明確にした。
- 宿泊事業を「新しい業種への参入」ではなく、既存顧客の滞在ニーズの延長として設計した。
- 宿泊客が相談事業へ、相談事業の顧客が宿泊へ流れる双方向のシナジーを具体化した。
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関連するサービス
※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。
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同じような課題を検討している方へ
同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。
補助金・経営支援顧問

