支援事例動物医療 / 診療工程の改善・顧客ライフサイクルの拡張
診療工程を改善しながら、動物医療から介護まで顧客関係を拡張
総合的な動物医療を提供する病院が、検査工程が手術の枠を占有して実質的な手術可能数を制約しているという上流のボトルネックを解消しつつ、高齢化に伴う介護のニーズに応えて、宿泊・短期滞在・日中預かりなどのサービスへ顧客との関係を広げる取り組みを整理した、支援事例です。

- 課題検査に長い時間がかかり、手術の枠を占有して、手術の可能数を制約していた。
- 支援した打ち手診療工程の改善と、高齢期の介護・宿泊サービスへの拡張を、顧客の時間軸に沿った一連の取り組みとして整理した。
- 目指す状態病気のときだけの関係から、生涯にわたる関係へ。
+OUR SUPPORT
この事例での、ProdX Crowdの支援
事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。
- 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
- 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
- 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
- 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。
01PROBLEM TREE
課題を掘り下げる
目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。
- 1表面|手術の件数が増えない手術の需要があるのに、件数が限られます。
- 2原因|検査が手術の枠を使う上流の工程が下流の枠を消費します。
- 3さらに奥|顧客との関係が診療のときに限られる高齢期のニーズに応える事業が、まだありません。
- 4経営上の制約|収益が診療に集中している時間軸に沿った収益源がありません。
02PHASE 1
第一段階|診療工程の改善
総合的な動物医療を提供しています。課題は、画像検査に長い時間がかかることです。週2回の手術の時間帯があっても、検査が手術の枠を使うため、実質的な手術は週1件程度に限られていました。
- 1検査【長時間】
- 2手術の枠を消費
- 3手術可能数の制約
需要がないのではなく、前の工程が後の工程の能力を決めている。
03UPSTREAM
論点|上流のボトルネック
手術の需要がないわけではありません。売上を直接生む工程ではない検査が、後の工程の能力を止めています。見るべきなのは、工程単体ではなく、その工程が後の工程に与える影響です。
04PHASE 2
第二段階|顧客ライフサイクルの拡張
これまでは、病気になったときに診療を受ける関係でした。高齢化に伴い、介護のニーズが生じます。飼い主からは、生まれてから高齢期まで継続して支援してほしいという声があります。
- 1幼齢
- 2一般診療
- 3予防
- 4高齢化
- 5介護
- 6宿泊・日中預かり
05SERVICES
新サービス(目標)
- 1ペットホテル宿泊の提供です。
- 2ショートステイ短期の滞在です。
- 3デイサービス日中の預かりです。
- 4介護・運動関連サービス高齢期の生活を支える提供です。
- 5ドッグラン運動の場の提供です。
06PROCESS MAP
工程の連鎖を見る|検査が手術の枠を使う
総合的な診療では、検査、診断、処置、手術が連なっています。検査に長い時間がかかると、その時間は手術のために確保した枠の中で使われます。結果として、手術の需要があっても、枠が検査で埋まり、手術の件数が増えません。売上を直接生む手術の件数を、売上を直接生まない検査が決めているという構造です。
07CAPACITY MAP
処理能力の考え方
手術の枠が週2回あっても、実質は週1件程度という状況は、「枠の数」と「実際に使える数」の差を示しています。見るべきは、設備の性能ではなく、全体の処理能力を決めている最も遅い工程です。上流の検査工程が短くなれば、下流の手術の可能性が広がります。
08LIFECYCLE
顧客ライフサイクルの時間軸
ペットの一生は、幼齢、成年、高齢という時間軸で進みます。診療は、そのうち「病気になったとき」に利用されます。高齢になると、日常の世話そのものへのニーズが生じます。顧客を「今来院している人」だけで見ずに、この先の時間軸に事業の機会を探すのが、ライフサイクル拡張の考え方です。
ここで重要なのは、医療の効果ではなく、顧客との関係の時間を長くすることです。診療を利用している飼い主が、高齢期にも同じ事業者に相談できる。介護や宿泊の利用者が、必要に応じて診療に進める。この双方向の動線が、事業としての意味です。
09CARE BOTTLENECK
介護工程のボトルネック
介護の工程では、共用のシンクと手作業での乾燥が、作業を止める点になっています。診療の工程と同じく、最も遅い工程を特定して設備を置くという発想です。
10STAKEHOLDERS
関係者ごとに見る|誰にとって何が変わるか
関係者ごとの意味を整理します。
- 1診療の飼い主高齢期の相談先が、同じ事業者に広がります。
- 2介護・宿泊の利用者必要に応じて診療に進める動線ができます。
- 3スタッフ診療と介護で、役割と配置の設計が必要になります。
11FACT PLAN
資料の読み分け|事実・計画・前提・編集部の解釈
同じ重みで読まないために、次の4つに分けて整理しました。公開する説明は、この区別を保ったものです。
- 1事実(FACT)総合的な動物医療を提供していること。検査に長い時間がかかり、手術の枠を使うこと。
- 2計画(PLAN)診療工程の改善、ペットホテル・ショートステイ・デイサービス・介護・運動関連サービス・ドッグランの新設。
- 3前提(ASSUMPTION)利用者数、利用率、単価。
- 4編集部の解釈(INFERENCE)「顧客ライフサイクルの拡張」は、資料から合理的に読める整理です。
12ACTION STEPS
実行に向けた段階(目標)
事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。
- 1工程の可視化検査と手術の流れを測ります。
- 2診療工程の改善設備と手順を整えます。
- 3新サービスの小規模な開始ホテルなどから段階的に始めます。
- 4動線の確認診療と介護の行き来を記録します。
13TAKEAWAY
この事例から分かること
以下は、この事例から一般的に考えられる経営上のポイントです。実際に行った支援内容とは区別しています。
- 1前の工程が、後の売上を止めることがある上流のボトルネックを探します。
- 2顧客の時間軸上に、次の事業機会があるライフサイクルで見ます。
14HOW TO USE
自社の計画に使うときの読み方|顧客ライフサイクル
この事例を、自社の検討に使うときは、業種の違いに引きずられず、構造を取り出して当てはめると役に立ちます。次の問いに、自社の場合を書き込んでみてください。
- 1顧客の時間軸の、次の段階は何か現在・以前・以後を書き出します。
15SUMMARY
この支援で整理した主なポイント
- 第一段階:検査に長時間を要し、手術の枠を使うため、実質的な手術可能数が制約されていた(上流のボトルネック)。
- 第二段階:高齢化で介護へのニーズが高まり、生涯にわたる支援を求める飼い主の声がある。
- 新サービス:宿泊、短期滞在、日中預かり、運動関連サービス、ドッグラン。
- 双方向の顧客動線として説明(効果ではなく流れ)。
16RELATED SERVICES
関連するサービス
※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。
17RELATED CASES
関連する支援事例
シャンプー工程の設備制約を解消し、サロン全体の施術能力を高める
設備だけでなく、施術の動線・予約・複数メニュー・清掃・作業手順も整理し、サロン全体の対応人数を広げる取り組みを整理した。
- 当初の課題
- スタッフが不足しているのではなく、特定の設備の数が全体の工程を止めていた。
- 支援した打ち手
- 受付→施術→カラー等→【シャンプー】→仕上げという流れの中で、シャンプーがボトルネックだと特定し、設備の増設で同時処理を増やして待ちを減らす投資とした。
- 目指す方向
- 設備だけでなく、施術の動線・予約・複数メニュー・清掃・作業手順も整理し、サロン全体の対応人数を広げる取り組みを整理した。
設備待ちを解消し、施術可能数と紹介販路の拡大を計画
設備能力→待ち時間→処理能力→空き時間→営業→新規顧客という一連の流れを描いた。
- 当初の課題
- 繁忙時間に特定の設備が足りず、待ち時間が処理能力の上限を決めていた。
- 支援した打ち手
- 設備の追加で待ちを減らし、空いた時間を営業活動に充て、紹介による新規顧客につなげる取り組みとして整理した。
- 目指す方向
- 設備能力→待ち時間→処理能力→空き時間→営業→新規顧客という一連の流れを描いた。
5軸加工の技術を高め、高付加価値眼鏡市場へ進出
新たな5軸加工能力とCAMにより、曲面・複雑加工を要するデザイン性の高い市場へ進出する取り組みを整理した。
- 当初の課題
- 既存の機械では、曲面・角度・複雑なデザイン・滑らかな加工面に限界があり、相談を受けても断っていた高付加価値案件があった。
- 支援した打ち手
- 設備を、生産性向上ではなく「受けられなかった仕事を受けられるようにする」投資として位置づけ、低〜中価格帯から高付加価値市場へ移る流れを整理した。
- 目指す方向
- 新たな5軸加工能力とCAMにより、曲面・複雑加工を要するデザイン性の高い市場へ進出する取り組みを整理した。
同じような課題を検討している方へ
同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。
補助金・経営支援顧問

