企業版ふるさと納税~寄附募集事業~
企業版ふるさと納税~寄附募集事業~(八代市)の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。
八代市の企業版ふるさと納税は、補助金ではなく「寄附をして税の負担を軽くする」税制の仕組み
最初に位置づけを押さえておきます。熊本県八代市の「企業版ふるさと納税~寄附募集事業~」は、市が企業に補助金を出す制度ではありません。企業が八代市の地方創生プロジェクトに寄附をし、その寄附に対して、国の税制(地方創生応援税制)で法人関係税の軽減を受ける仕組みです。お金の流れは「企業から市へ」で、受け取る側ではなく、出す側の制度です。
この記事は、「自社の本社が八代市の外にある」「地域貢献や社会貢献に資金を出すことを検討している」「その寄附に税の優遇が付くなら、条件を知っておきたい」という経営者に向けて書いています。八代市の公式ページ(最終更新2026年8月25日・同9月11日)と、内閣府地方創生推進事務局の資料(企業版ふるさと納税ポータルサイト、2026年4月1日付の解説・Q&Aなど)を読んで、確認できた内容だけを整理しました。
先に全体像を表にします。
| 項目 | 内容(出典) |
|---|---|
| 制度の性格 | 寄附に対する法人関係税の税額控除。補助金・助成金ではない(内閣府の制度概要) |
| 寄附先 | 熊本県八代市(市が実施する地方創生プロジェクト) |
| 寄附する側 | 本社が八代市外にある企業(八代市の留意事項) |
| 1回あたりの寄附額 | 10万円以上(八代市の留意事項、内閣府資料) |
| 見返り | 寄附の経済的な利益を受け取ることは禁止(例:補助金の受取、入札参加要件化) |
| 対象期間 | 令和9年度まで延長(令和7年度税制改正。八代市の留意事項) |
| 申込方法 | オンライン申込、ポータルサイト経由、寄附申出書の郵送・メールの3通り(八代市) |
| 税の手続き | 市から交付される受領証を添えて税の申告をする |
| 八代市の窓口 | ふるさと納税推進室 企業版ふるさと納税担当(市役所代表 0965-33-4111) |
なお、補助金の「採択」のような審査に通る必要はありません。寄附の申出をして、市が受け付け、入金を確認して受領証が届く、という流れです。その代わり、税の軽減を受けられるかどうかは、寄附をする企業の側の条件(本社の所在地、青色申告かどうか、見返りがないことなど)と、市の側の条件(国の認定を受けた計画に位置づいた事業であること)の両方で決まります。
税の軽減は、寄附額のどれくらいになるのか
内閣府の資料は、この税制の効果を「損金算入による軽減効果(寄附額の約3割)と、税額控除(寄附額の最大6割)を合わせて、最大で寄附額の約9割が軽減され、実質的な企業の負担が約1割まで軽くなる」と説明しています。1,000万円を寄附した場合に、最大で約900万円の法人関係税が軽くなる、という例が載っています。
ここで大切なのは、「最大」という言葉です。税額控除には、税目ごとに上限があります。内閣府の資料と認定申請編・事業実施編のQ&Aに書かれている控除の組み立てを、表にします。
| 税目 | 控除の割合 | 上限 |
|---|---|---|
| 法人住民税 | 寄附額の4割を税額控除 | 法人住民税の法人税割額の20% |
| 法人税 | 法人住民税で4割に達しない場合に、その残額を税額控除 | 寄附額の1割まで、かつ法人税額の5%まで |
| 法人事業税 | 寄附額の2割を税額控除 | 法人事業税額の20% |
| 損金算入 | 通常の寄附金と同じ扱いで、約3割相当の軽減(資料の説明) | 法人の所得や寄附金の損金算入限度による |
つまり、「税額控除が最大6割」というのは、住民税の4割と事業税の2割を合わせた姿が基本で、住民税の上限に届かないときに法人税で補う、という構造です。上限は「寄附額に対する割合」と「その税目の税額に対する割合」の、小さいほうで決まります。利益が小さい年や、法人税割額が小さい会社では、控除の上限にかかって、税額控除が寄附額の6割に届かないことがあります。
仮の数字で、上限の働き方を見てみます。以下は、制度を理解するための計算であり、実際の控除額ではありません。
| 仮の前提 | 住民税の計算 | 法人税の補い | 事業税の計算 |
|---|---|---|---|
| 寄附額250万円、法人住民税の法人税割額が300万円、法人事業税額が400万円(すべて仮の数字) | 寄附額の4割は100万円。上限は法人税割額300万円の20%で60万円。控除は60万円で頭打ち | 4割相当の100万円から住民税の控除60万円を引いた40万円が候補。ただし寄附額の1割(25万円)が上限で、法人税額の5%の上限も別にかかる | 寄附額の2割は50万円。上限は事業税額400万円の20%で80万円。控除は50万円 |
この仮の例では、住民税60万円、法人税の補い25万円まで(法人税額の5%上限に届く場合)、事業税50万円で、合計135万円が税額控除の目安になります。寄附額250万円の6割(150万円)には届きません。上限にかかって、「最大」より小さくなる例です。実際の金額は、決算の内容で変わります。内閣府のパンフレットにも「税額控除の手続(申告)や算出に関しては税理士や所管する税務署へご相談ください」と書かれていますので、寄附の前に、顧問税理士と試算をしておくことをすすめます。
対象になる会社、ならない会社はどこで分かれるのか
八代市の公式ページは、留意事項として「本社が八代市外にある企業が対象」と書いています。内閣府のQ&A(事業実施編、Q4-6からQ4-8)を読むと、この「本社」の意味と範囲が、もう少し細かく定められています。
| 論点 | 内閣府のQ&Aの内容 |
|---|---|
| 「本社」とは | 地方税法の「主たる事務所又は事業所が所在する地方公共団体」を指す |
| 事業を実施するのが市町村の場合 | 市町村単位で判断する。八代市に本社のある企業の寄附は対象外。同じ熊本県内でも、八代市以外に本社がある企業の寄附は対象 |
| 事業を実施するのが都道府県の場合 | 都道府県単位で判断する。その県内に本社のある企業の寄附は、すべて対象外 |
| 法人の種類 | 外国法人を含め、青色申告書を提出している法人であれば適用を受けられる |
| 寄附額 | 1回あたり10万円以上 |
八代市の寄附募集は、市が実施する事業です。そのため、熊本市や宇城市に本社がある企業であれば、八代市への寄附は対象になりえます。一方で、八代市内に本社のある企業は、この税制の適用を受けられません。支店や工場が八代市にあっても、本社が市外であれば、本社の所在地で判断されます。
また、青色申告書を提出していることが条件です。この制度は法人の寄附を対象にしていて、個人事業主が使えるかどうかは、八代市と内閣府の資料には書かれていません。個人事業主の方は、内閣府の問い合わせ先か、八代市の担当に確認してください。
八代市はどんな事業に寄附を募っているのか
八代市のページは、「第2期八代市まち・ひと・しごと創生推進計画」に位置づけた7つの基本目標に基づく事業のうち、一例を紹介しています。ページに載っている5つの区分と、プロジェクト名を表にします。
| 区分(市のページの見出し) | 内容の概要 | プロジェクト名 |
|---|---|---|
| 地の利、人の利を活かしたまちづくり | 高品質な国産い草産業の存続と復活を目指す | い業機械再生支援事業 |
| 市民格を高める文化薫るまちづくり | 八代地域の歴史文化遺産の魅力を発信し、交流人口の拡大による歴史と文化を活かしたまちづくりを進める | 日本遺産活用推進事業 |
| 災害からの復旧・復興まちづくり | 令和2年7月豪雨からの創造的復興に向けた取り組み。令和8年熊本地震からの復興に向けた取り組み | 広域交流センターさかもと館 復興整備プロジェクト ほか |
| 産み・育て・学べてよかったまちづくり | 結婚から出産、子育てまで切れ目のない支援に取り組む | L&G Families love to live and grow 家族が安心して暮らし、育っていけるまちづくり |
| 元気な暮らしと持続可能なまちづくり | 地域課題の解決とビジネスを結び付け、産学官金の連携で持続可能なまちづくりを図る | やつしろ未来創造塾 |
市のページには、「令和8年7月28日に発生した『令和8年熊本地震』による被害に対する復興支援の受付を行っています」という記載があります。申込ページには、さらに、「令和8年熊本地震」や「日本製紙八代工場復旧応援プロジェクト」へ寄附を希望する場合は、オンライン申込の「寄附の活用を希望する事業」で「日本製紙八代工場復旧応援プロジェクト」を選ぶように、と書かれています。
寄附先の事業は、企業が選べる形になっています。国の資料では、寄附を行う側が事業を選び、寄附活用事業の企画段階から参画する場合もあるとされています。ただし、市のページに載っているのは「一例」です。内閣府のポータルサイトには、「分野別の寄附募集事業一覧に掲載されていない事業であっても、企業版ふるさと納税に係る寄附を充当できる場合がありますので、各地方公共団体の担当部署にお問合わせください」という注意書きがあります。載っていない事業に寄附したい場合は、市に問い合わせるのが近道です。
寄附の申込から税の申告まで、何をどの順番でするのか
八代市のページは、申込方法を3通り示しています。どの方法でも、後半の流れは同じです。表にします。
| 申込方法 | 入口 | 最初にすること |
|---|---|---|
| オンライン申請 | 市のオンライン申込フォーム(24時間受付) | 寄附情報を入力する |
| ポータルサイト経由 | 肥後銀行のコンサルティングサービス、ジチタイリンク、企ふるオンライン、ふるさとコネクトの4つのサイトが案内されている | 各サイトの申込フォームに入力する |
| 寄附申出書 | 市の様式(ワード、19.6キロバイト)を使う | 必要事項と金額を書いて、郵送またはメールで提出する。送付先は八代市役所 ふるさと納税推進室 企業版ふるさと納税担当(〒866-8601 八代市松江城町1番25号) |
申込のあとの流れは、3通りに共通で次のとおりです。
| 順番 | 内容 | 企業がすること |
|---|---|---|
| 寄附の申出 | 上の3通りのいずれかで申し出る | 寄附額、寄附先事業を決めて申し出る |
| 寄附の払い込み | 申出書を受けると、八代市(またはポータルサイトの業務委託事業者)が寄附依頼の文書を郵送する | 依頼文書に従って入金する |
| 受領証の送付 | 入金確認後、税の控除申告に必要な受領証を市が送る | 受領証を保管する |
| 税の申告 | 受領証を添えて税の申告手続きをする | 申告時に、適用のある寄附を行った旨を申告する |
内閣府のQ&A(Q7-2)によると、税の優遇を受けるために企業がする手続きは、租税の申告時に、地方創生応援税制の適用がある寄附を行った旨を申告し、市から交付を受けた受領証の写しを提出することです。法人税の申告では、写しは提出でなく保管とされています。詳しい取扱いは課税庁が発表している情報を見るように、とあります。受領証は、内閣府令で定められた様式(地域再生法施行規則の別記様式第3)で、事業の名称、寄附年月日、寄附金額が書かれます。
寄附の時期は、事業年度との関係で決まる
見落としやすいのが、寄附の「日」です。内閣府のQ&A(Q4-5)には、税額控除は「実際に寄附を行った日が属する事業年度」に適用されると書かれています。たとえば、事業年度が4月1日に始まる法人が、3月31日までに寄附をして、前の事業年度で適用を受けたい場合は、年度内に寄附が受領されるように調整する必要があります。市側では、出納整理期間にずれ込みそうなときは、年度内に納入通知書を出しておく必要がある、とも書かれています。
決算期の近くに寄附をしたい場合は、市と、振込の時期を事前に相談してください。次の表は、寄附の時期に関するQ&Aの内容です。
| 場面 | Q&Aの内容 |
|---|---|
| 寄附を受け付けられる時期 | 地域再生計画の認定後であれば受領できる |
| 事業費が確定する前の寄附 | 計画に書いた「寄附の金額の目安」の範囲内で受領する |
| 事業費が確定した後の寄附 | 事業費の範囲内であれば、目安を超えて受領できる |
| 事業費を超えた寄附 | 認定が取り消されるなど、市に不利益が生じることがある。超えないように管理する |
| 寄附の申出 | 事業の企画から完了まで、随時受けられる。認定後に特例が使われないことがないよう、事前に相談・説明するよう市に求めている |
寄附額が事業費を超えてはならないことは、企業側にも影響します。市が事業費の範囲で寄附を受け付けるため、希望した金額を、そのまま受け付けられない場合があります。金額が大きい寄附は、早めに市に相談しておくほうが確実です。
「見返り」は禁止。何が禁止で、何なら許されるのか
八代市の留意事項は、「寄附を行うことでの経済的な利益を受け取ることは禁止されています。(例:見返りとして補助金を受け取る。寄附を行うことを入札参加要件とする。)」と書いています。この禁止は、地域再生法施行規則第13条に基づくもので、内閣府の解説資料(令和8年4月1日一部改正)が、具体例を示しています。
| 区分 | 具体例(内閣府の解説資料) |
|---|---|
| 禁止される例 | 寄附を理由とした補助金の交付。他の法人より低い金利での貸付け。入札や許認可での便宜の供与。合理的な理由なく市場価格より低い価格での財産の譲渡。商品券やプリペイドカードなど換金性の高い商品の提供。寄附を公共事業の入札参加要件とすること。寄附で整備した施設の専属的な利用。合理的な理由なく他の利用者より低い料金で公共施設を利用させること |
| 許される例 | 感謝状の贈呈。市のホームページや広報誌で、事業の紹介にあわせて寄附企業の名前を他の寄附者と並べて紹介すること。整備した施設への銘板で、名称を他の寄附者と並べて列挙すること。社会通念上許される範囲の記念品の贈呈 |
「地元の公共工事を受注している会社が寄附をしてよいのか」という疑問は、よく出ます。内閣府の解説資料では、寄附を行った法人が、入札・契約の法令と市の条例・規則を守った公正な手続きのなかで契約の相手方になることは、一般に、禁止される見返りにはあたらないとされています。ただし、市が、寄附を理由に、他の法人と別の扱いをする(たとえば、寄附法人しか応札できない条件を合理的な理由なく設ける)場合は、見返りになります。過去や現在、すでに契約関係にある市に寄附をすること自体は、原則として可能です。
見返りが禁止されている理由は、制度の信頼を守るためです。見返りの供与が明らかになった場合は、市の地域再生計画の認定が取り消されることがあります。企業にとっても、寄附の税優遇の前提が崩れる話ですので、寄附の際は、見返りを期待する話を持ち出さないほうが安全です。
令和7年度以降は、公表のルールが強くなっている
内閣府は、令和6年12月に制度改善策をまとめ、令和7年度税制改正で税額控除の特例を3年間(令和9年度まで)延長しました。この改善策で、寄附活用事業の透明性のルールが強まっています。企業が知っておくべき点を表にします。
| ルール | 内容(内閣府の資料) |
|---|---|
| 一者応札などの場合の公表 | 寄附法人や関係会社が、競争入札で一者応札により受託した場合などは、市が国へ実施報告をして、寄附法人名を公表する |
| 非公表を希望する場合 | 正当な理由であることを、第三者を含む審議会等が確認したときだけ、公表しないことができる。「寄附法人が非公表を希望するため」という一般的な理由では足りない |
| 発注先の公表 | 競争入札・随意契約(少額を除く)の契約の相手方を、市が公表する |
| 再委託先 | 寄附法人の関係会社が再委託先になる場合の留意点が、Q&Aに明記された |
| 認定取消し後 | 認定が取り消された自治体は、取消しから2年間、再び認定を受けられない |
| 寄附額・企業名の公表 | 希望しない企業を除き、市と国が企業名や寄附額を公表する |
寄附を受けた事業の契約先に自社やグループ会社が入る可能性がある場合は、とくに注意が必要です。内閣府の実態調査(令和5年度に寄附を受けた1,462団体、5,258事業が対象)では、寄附活用事業の契約先や交付先に寄附法人等が含まれていたケースは、全体の約1%と書かれています。つまり多くの寄附は、契約関係のない社会貢献型です。それでも、契約関係が生じる場合は、公表の対象になります。
人材派遣型という使い方もある
内閣府の資料には、「企業版ふるさと納税(人材派遣型)」が紹介されています。企業が、人件費を含む事業費について寄附を行い、同じ年度に、寄附活用事業に従事する人材を、地方公共団体の職員として任用(または地域活性化事業を行う団体等に採用)される形で派遣するものです。常勤タイプ(常勤職員として出向)と、副業タイプ(派遣元と兼業)があります。派遣した人材の人件費相当額を含む事業費への寄附で、経費の最大約9割に相当する税の軽減を受けられる、と説明されています。
八代市のページには、人材派遣型についての記載は見当たりません。人材派遣型を検討する場合は、市が人材派遣型の受入れを行っているかどうかを、市の担当(ふるさと納税推進室)に確認してください。
実際にどんな会社が向くのか。向かない会社は
制度の性格と、ここまでの条件から、向き不向きを整理します。
| 状況 | 向く/向かない | 理由 |
|---|---|---|
| 本社が八代市外で、青色申告の法人 | 向く(条件を満たす) | 市町村単位の本社判定で、対象になりうる |
| 本社が八代市内 | 向かない | 八代市への寄附は、この税制の適用がない |
| 創業地や縁のある地域への恩返し、社会貢献をしたい | 向く | 内閣府のQ&Aは、創業地など縁のある地域への恩返しをメリットの例に挙げている |
| 寄附の見返りに、補助金や入札での有利な扱いを期待している | 向かない | 見返りの供与は禁止。認定取消しにもつながる |
| その年の利益が小さく、法人税割額や事業税額が小さい | 注意 | 税額控除の上限が、税額に対する割合で決まるため、軽減が小さくなる |
| 単年で10万円未満の少額の寄附を考えている | 向かない | 1回あたり10万円以上が対象 |
| 青色申告書を出していない法人 | 向かない | Q&Aは、青色申告書を提出している法人が適用を受けられるとしている |
内閣府のQ&Aは、法人のメリットとして、社会貢献を通じたイメージアップや認知度の向上、地域社会の活力向上などへの貢献、創業地など縁のある地域への恩返し、SDGsやESGに配慮した経営、地方公共団体や関わる多様な主体との新たな関係の構築、を挙げています。数字として見える節税の効果だけで決めるのでなく、これらの目的と、寄附額を合わせて考えるのが、制度の趣旨にあった使い方です。
つまずきやすい点をまとめる
実務で起きやすい失敗を、表にまとめます。
| つまずき | 起きること | 対処 |
|---|---|---|
| 本社の所在地を勘違いする | 本社が寄附先の市内にあるのに申し込んでしまい、税の優遇が受けられない | 登記上の本社(地方税法の主たる事務所又は事業所)で判断する。迷ったら顧問税理士に確認 |
| 決算期をまたいでしまう | 前の事業年度で適用を受けたかったのに、入金が翌事業年度になる | 市と入金時期を事前に調整する。税額控除は寄附した日が属する事業年度で決まる |
| 控除の上限を考えていない | 試算より軽減が小さい | 税目ごとの上限(税額の20%、5%など)を、税理士と事前に試算する |
| 受領証をなくす | 申告で、適用の確認ができない | 受領証を、申告まで保管する(法人税は保管、住民税・事業税の申告では写しを提出する取扱いがQ&Aにある) |
| 見返りを期待する | 認定取消しなどの問題になる | 契約や補助金の話と、寄附の話を切り離す |
| 寄附先の事業を確認しない | 想定と違う使い道になる | 市のページと、ポータルサイトの事業情報で、寄附活用事業を確認する |
| 物品で寄附しようとする | 価額の算定が難しく、手間が増える | 内閣府のQ&Aは、できる限り現金での受領を求めている |
物品による寄附は、税法上、寄附の時の価額で評価する必要があります。製造メーカーの製品であれば通常の販売価格、土地であれば近隣の売買実例や鑑定評価額などを参考にする、とQ&Aにあります。寄附された物品は、寄附年度に使う分に限って受け取るとされ、翌年度以降に使う物品の寄附は想定されていません。現金での寄附が基本です。
似た制度との違いは何か
企業が地域に資金を出す方法はほかにもあります。混同しやすいものと比べます。
| 比べる点 | 企業版ふるさと納税(八代市) | 通常の寄附(内閣府パンフレットの比較) |
|---|---|---|
| 寄附する人 | 青色申告書を提出している法人 | 法人 |
| 税の扱い | 損金算入(約3割)に、税額控除(最大6割)が加わり、最大約9割の軽減 | 損金算入(約3割) |
| 寄附先の条件 | 国の認定を受けた地域再生計画の事業に限る。本社所在地の自治体は対象外 | 内閣府の資料では触れていない |
| 見返り | 経済的な利益の供与は禁止 | 内閣府の資料では触れていない |
| 1回あたりの最低額 | 10万円 | 内閣府の資料では触れていない |
内閣府の制度概要は、通常の寄附との違いを、損金算入だけ(約3割)か、そこに税額控除(最大6割)が加わるか、で示しています。個人が自治体に寄附をする個人向けのふるさと納税は、税の仕組みも返礼品の扱いも別の制度で、この記事は法人向けの制度だけを対象にしています。
補助金や助成金との関係はどうなるのか
内閣府のQ&Aには、企業版ふるさと納税と他の支援の関係に触れた項目があります。たとえば、寄附企業が地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)を活用する場合は、寄附を、事業所を置く区域の雇用機会の増大に関わる事業への寄附として行い、受領証にその旨を書き添えてもらう必要がある、と説明されています。そのため、寄附を行う側の企業が、助成金の申請書類に、市の受領証を添付して労働局へ提出する、という手続きになります。この場合は、市が、地域再生計画にあらかじめ地域雇用開発助成金を記載している必要があります。
一方で、八代市のページと内閣府の資料は、寄附の見返りとして補助金を受け取ることを禁止しています。寄附を前提にした手続きが国の制度として用意されている助成金と、市が「寄附をしたから補助金を出す」ことは、別の話です。自社の事業と寄附先の事業の関係が複雑になる場合は、市の担当と内閣府のポータルサイトの資料で確認してください。
よくある質問
Q. 補助金のように、審査に通らないと使えませんか。A. 企業側に、採択のような審査はありません。市に申し出て、入金し、受領証を受け取ります。ただし、市の側は、国の認定を受けた地域再生計画に位置づいた事業でなければ、この税制の特例を適用できません。認定は、内閣府が原則として毎年度5月、9月、1月を目途に実施します(認定申請編Q&A)。
Q. 寄附したお金は返ってきますか。A. 寄附は、市の事業の費用に使われます。企業に戻る性格のお金ではありません。税の軽減は、法人関係税の負担が軽くなる、という形で表れます。
Q. 本社が熊本県内の別の市です。対象になりますか。A. 事業を実施するのが八代市の場合は、市町村単位で判断されるため、熊本県内の別の市に本社がある企業の寄附は、対象になりえます(Q&A Q4-8)。
Q. 寄附の金額に上限はありますか。A. 八代市のページには、1回10万円以上という下限が書かれています。上限額の記載は、読んだ資料にはありません。ただし、税額控除には税目ごとの上限があります。また、市の側は、事業費を超えて寄附を受けることができません。
Q. 寄附した企業名は公表されますか。A. 市と国は、公表を希望しない企業を除き、企業名や寄附額を公表します。一者応札などの条件に当てはまる場合は、非公表にするには審議会等の確認が必要です。
Q. 令和9年度より先も、この制度は使えますか。A. 八代市のページは、制度の対象期間が令和9年度まで延長されたと書いています。それ以降については、国の税制改正の情報を確認してください。
申込前の確認事項と、問い合わせ先
寄附を決める前に、次の表の項目を確認すると、手戻りが減ります。
| 確認する項目 | 確認する相手・資料 |
|---|---|
| 本社の所在地が、寄附先の市内でないか | 登記事項証明書、顧問税理士 |
| 青色申告書を提出しているか | 顧問税理士、税務署 |
| 税額控除の見込み額 | 顧問税理士(直近の法人税割額、事業税額で試算) |
| 寄附したい事業と、受付の状況 | 八代市ふるさと納税推進室 企業版ふるさと納税担当 |
| 寄附の入金時期と、事業年度の関係 | 八代市、顧問税理士 |
| 契約や補助金など、市との別の取引がないか | 社内、八代市 |
| 制度の最新の取扱い | 内閣府地方創生推進事務局(TEL 03-6257-1421、メール kigyou-furusato@cas.go.jp。令和8年3月のパンフレットに記載) |
八代市への問い合わせは、市役所の代表(電話 0965-33-4111、業務時間は月曜から金曜日の午前8時30分から午後5時15分。土日・祝日、12月29日から翌年1月3日を除く)、または寄附申出書の送付先として市が示しているメール(furusato-y@city.yatsushiro.lg.jp)です。
ProdX Crowd編集部の見方
編集部が、この制度で大切だと考える点を3つ書きます。
1つめは、「節税のための制度」ではなく、「地域への資金の出し方に税の後押しがある制度」だということです。実質的な負担が約1割になるとはいえ、残りの約1割と、控除の上限にかかった分は、企業の負担になります。寄附額は、事業の社会的な意味と、自社の体力から決めるものです。
2つめは、寄附先の事業を、自社の事業や理念と結びつけて選ぶと、社内外への説明がしやすいということです。内閣府の大臣表彰の事例には、企業の創業地を応援する例や、SDGsに沿った取組みを応援する例が載っています。八代市の事業は、い草産業の存続、日本遺産の活用、災害からの復旧・復興、子育て、産学官金の連携による地域課題の解決と、幅があります。自社が支えたい分野がどれかを、先に決めておくと、申込の段取りが早くなります。
3つめは、見返りと契約関係の扱いです。令和7年度以降、公表のルールが強まりました。市と取引のある企業は、寄附をする前に、市の担当と社内で、取引の有無を確認しておくと安心です。
補助金とこの制度は、「お金の動き」が逆です。補助金を受ける会社が、同時に地域への寄附をする場合は、決算や申告への影響を、税理士と確認しておく必要があります。この記事は、制度の仕組みを整理したもので、税務や会計の判断をするものではありません。
公式資料の確認先
この記事の根拠にした資料の場所を、表にまとめます。
| 資料 | 場所 |
|---|---|
| 八代市「企業版ふるさと納税~寄附募集事業~」 | https://www.city.yatsushiro.lg.jp/kiji00326699/index.html |
| 八代市「企業版ふるさと納税 お申込みはこちら」 | https://www.city.yatsushiro.lg.jp/kiji00326703/index.html |
| 内閣府地方創生推進事務局「企業版ふるさと納税ポータルサイト」 | https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html |
| 同「制度概要」「パンフレット」「令和7年度税制改正」 | 上記ポータルサイトの制度概要の欄 |
| 同「寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」についての解説(令和8年4月1日一部改正) | 上記ポータルサイトのQ&Aの欄 |
| 同「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関するQ&A」認定申請編(第15.1版)、事業実施・実施状況報告編(第15版) | 上記ポータルサイトのQ&Aの欄 |
制度の数値や期限は、改正や更新で変わります。申込の前に、八代市のページの最終更新日を確認し、内閣府のポータルサイトの新着情報も見てください。
この制度を一言でいうと
「企業版ふるさと納税~寄附募集事業~」は、八代市が実施する税制優遇です。対象の地域は八代市・熊本県です。
本市では、「第2期八代市まち・ひと・しごと創生推進計画」に位置付けている7つの基本目標に基づいた事業を実施しています。 そのうち本市で推進しているプロジェクトの一例を紹介します。 1. 地の利、人の利を活かしたまちづくりに資する事業 2. 市民格を高める文化薫るまちづくりに資する事業 3. 災害からの復旧・復興まちづくりに資する事業 4. 産み・育て・学べてよかったまちづくりに資する事業 5. 元気な暮らしと持続可能なまちづくりに資する事業
受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。
| 制度名 | 企業版ふるさと納税~寄附募集事業~ |
|---|---|
| 実施機関 | 八代市 |
| 種類 | 税制優遇 |
| 対象地域 | 八代市・熊本県 |
| 受付期間 | 通年(随時)で受け付けています |
「企業版ふるさと納税~寄附募集事業~」の対象になる方
対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。
- 1地域八代市・熊本県(市区町村の制度のため、その市区町村内に事業所があることが基本)
- 2規模従業員数の制約は示されていません
| 確認すること | この制度の内容 |
|---|---|
| 地域 | 八代市・熊本県(市区町村の制度のため、その市区町村内に事業所があることが基本) |
| 規模 | 従業員数の制約は示されていません |
「企業版ふるさと納税~寄附募集事業~」が目指していること
くらし・手続き子育て・学びしごと・産業組織から探す分類から探すランキングから探すライフイベントから探す子育て・教育引越し・住まい高齢者・介護企業版ふるさと納税~寄附募集事業~最終更新日: 2026年8月25日八代市の寄附募集事業(地方創生プロジェクト)本市では、「第2期八代市まち・ひと・しごと創生推進計画」に位置付けている7つの基本目標に基づいた事業を実施しています。そのうち本市で推進しているプロジェクトの一例を紹介します。
申請の方法と、そろえる書類
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 第2期 | 公募が複数回に分かれています。回ごとに、期間、予算、要件が変わることがあるため、自社が申請する回の定めを、確認します。 |
「企業版ふるさと納税~寄附募集事業~」の手続きの流れと日程
この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。
- 要件の確認対象設備・期限
- 認定・証明書の取得取得の前に
- 設備の取得事業に使い始める
- 決算利益の見通し
- 申告で適用特別償却・税額控除
「企業版ふるさと納税~寄附募集事業~」についてのよくある質問
Q&A企業版ふるさと納税~寄附募集事業~
Q. 企業版ふるさと納税~寄附募集事業~の受付期間はいつですか?
通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。
この制度を検討するときの確認リスト
| 確認項目 | 状況 |
|---|---|
| 対象の地域(八代市・熊本県)に、事業所がある | □ はい □ いいえ |
| 交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない | □ はい □ いいえ |
| 後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている | □ はい □ いいえ |
情報の確認元:八代市の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。
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