支援事例農業支援 / 農薬散布の自動航行と圃場データの活用
農薬散布の手動飛行から自動航行へ、圃場データを経営資産に変える農業DX
農家から農薬・除草剤の散布を受託し、ドローンを使った散布サービスを提供してきた企業が、散布ドローンの老朽化、手動操作への依存、熟練者による品質差、圃場ごとのデータ未蓄積、夏季の作業集中という課題に対して、測量ドローンで圃場データを取得し、そのデータから散布ルートを設定して自動航行型の散布体制へ転換する取り組みを整理した事例です。目的は単に機体を新しくすることではなく、手動操作という工程の設計上の制約を解き、作業の過程で蓄積するデータを新しい提案サービスの資産に変えることにあります。

- 課題手動操作で操作者が常時拘束され、準備と散布を並行できず、1日の対応面積に上限があった。圃場ごとのデータも蓄積されていなかった。
- 支援した打ち手測量ドローンで圃場データを取得し、散布ルートを設定して自動航行型の散布体制へ転換する取り組みとして整理した。
- 目指す状態年間の散布面積または受託件数の式で評価し、機体の償却・保守・薬剤・移動・人員・保険の費用を含めて見る計画として描いた。
+OUR SUPPORT
この事例での、ProdX Crowdの支援
事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。
- 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
- 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
- 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
- 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。
01BEFORE
この企業の事業と、強み
この企業は、農家から農薬や除草剤の散布を受託し、ドローンを使った散布サービスを提供しています。従来の人手による散布から、ドローンによる散布への転換で、省人化を進めてきた事業です。
すでに一度、作業の方法を変えてきた経験があることは、次の転換にも活きる資産です。
02PROBLEM
直面していた課題と、その本当の原因
散布ドローンの老朽化、手動操作への依存、熟練者による品質の差、圃場ごとのデータが蓄積されていないこと、夏季に作業が集中すること、移動や準備と並行して作業を進めにくいことが、現状の課題でした。
真因は、単に機体の数が少ないことではありません。手動操作では、操作者がずっと拘束されます。そのため、準備と散布を並行できず、1日に対応できる面積に上限が生まれます。工程の設計そのものが、処理能力の制約になっています。
- 1見えていた課題老朽化、品質の差、夏季の集中。
- 2一段奥の原因手動操作で、操作者が常時拘束される。
- 3真因準備と散布を並行できない工程の設計が、1日の対応面積に上限をつくっている。
03PROBLEM TREE
課題を掘り下げる
目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。
- 11日の対応面積に上限がある手動操作で操作者が常時拘束される。
- 2品質に差が出る熟練者の技術に依存している。
- 3データが活かされていない圃場ごとの情報が蓄積されていない。
04STRATEGY
選んだ打ち手と、その理由
構想は、測量ドローンで圃場のデータを取得し、そのデータから散布のルートを設定して、自動航行型の散布の体制へ転換することです。ルートが事前に決まっていれば、操作者が常時操縦する必要が減り、他の作業を並行して進められる可能性があります。
さらに、作業の過程で、圃場の形状、作業の履歴、散布の条件が蓄積されます。この蓄積は、将来、農家へ作業計画や散布方法を提案する、データ活用型のサービスの資産になりえます。散布の代行から、データに基づく提案へ、という拡張の構想です。
- 1測量ドローンで圃場データを取得
- 2散布ルートを設定
- 3自動航行で散布
- 4作業履歴・散布条件を蓄積
- 5農家への作業計画の提案へ
散布の代行から、データを使う提案サービスへ。
05ALT
なぜこの打ち手か|他の選択肢との比較
機体を増やして、人員も増やす選択があります。対応できる面積は増えますが、人員の確保と費用が増え、手動操作による拘束と品質の差は残ります。散布の作業を、別の事業者へ外注する選択もありますが、品質の管理を自社の手から離すことになります。
自動航行に転換する選択は、工程の設計そのものを変え、同じ人員で処理できる量を増やす方向です。加えて、データの蓄積という副産物が、将来の新しいサービスの資産になります。ただし、導入には設備の費用と、安全の体制づくりが必要です。
06ACTION STEPS
実行に向けた段階(目標)
事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。
- 1現状の記録作業時間の内訳を記録します。
- 2測量とルート設定圃場のデータを取得します。
- 3自動航行の試行少数の圃場で精度と安全を確かめます。
- 4データの活用の検討蓄積したデータの提案への利用を検討します。
07DIAGNOSTIC QUESTIONS
自社に当てはめるときの問い
作業の自動化を考えるときの問いです。
- 1作業者が常時拘束されている工程はどこか並行できない作業を書き出します。
- 21日の処理能力の上限は、何で決まっているか人、機械、時間、移動のうち、どれか。
- 3作業の過程で、どんなデータが失われているか記録していない情報を数えます。
- 4蓄積したデータは、次のサービスに使えるか提案や分析につながるかを考えます。
- 5自動化した場合の安全の体制はあるか異常時の対応を決めます。
08POINT
読み方のポイント|作業の代行から、データを持つ事業へ
散布の代行は、作業を行うことで対価を得る事業です。作業の過程で生まれるデータを蓄積すると、事業の性格が変わります。圃場ごとの形状、作業の履歴、散布の条件は、農家にとって有益な情報であり、その情報に基づく提案は、代行とは別の価値になります。
多くの作業代行の事業で、同じ構造が考えられます。作業の記録を、その場限りで終わらせず、次の提案の資産として蓄積する。ただし、蓄積したデータの扱い(農家との取り決め、利用の範囲)は、事前に整理しておく必要があります。
09LEARNINGS
他社が学べること
生産能力の上限は、機械の数ではなく、工程の設計で決まる場合があります。作業者が常時拘束される工程を、自動化や事前の準備で並行できる形に変えることが、処理能力を広げます。
また、作業の過程で得られるデータは、新しいサービスの資産です。ただし、作業時間の短縮と労働生産性の向上は同じ意味ではありません。総作業時間を移動・準備・待機まで含めて測り、安全の体制を先に整えることが前提です。
10SUMMARY
この支援で整理した主なポイント
- 課題は、手動操作に依存し、操作者の拘束、品質差、データ未蓄積、夏季の集中があること。
- 真因は、手動操作という工程設計が、1日の対応面積の上限を決めていること。
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関連するサービス
※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。
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補助金・経営支援顧問

