支援事例農業・観光 / 交通・観光・販売の一体化

農業・観光・交通をつなぎ、地域内で消費が循環する事業モデルを設計

農産物の栽培・加工・販売に加えて旅行・観光事業にも広げてきた企業が、「観光地へ行く手段がない」という移動の制約に着目し、バス・周遊・カフェ・直売所をひとつの顧客動線としてつなぐ事業を整理した事例です。需要を集めるだけでなく、需要を地域内で動かす仕組みそのものを事業にしている点が特徴です。

業種
農業・観光
支援テーマ
地域内消費の循環
区分
経営コンサルティング
農業・観光のイメージ
イメージ画像です。実際の支援先を撮影したものではありません。

+OUR SUPPORT

この事例での、ProdX Crowdの支援

事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。

  • 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
  • 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
  • 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
  • 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。

01BEFORE

この企業の事業と、強み

この企業は、地域の農産物を育て、加工し、販売してきました。独自性のある農産物を持ち、加工の技術があり、ECを通じて顧客とつながっています。さらに旅行・観光事業にも進出し、農業体験や観光ツアーを運営した経験があります。デジタル技術を使ってきた経験や、地域との関係も、積み重ねてきた力です。

ここで大切なのは、これらが「農業」「加工」「EC」「観光」という別々の事業に見えて、実は一人の顧客の体験として連続しうる素材だという点です。農産物を知った人が現地を訪れ、体験し、食べ、買う。その流れを、事業の側から設計できる立場にいる企業でした。

02PROBLEM

直面していた課題と、その本当の原因

真因は、さらにその奥にあります。地域内の移動手段が足りなければ、観光地を訪れた人が、ほかの地域施設へ回遊しにくくなります。魅力的な施設が点在していても、そこへ行く足がなければ、需要は施設の数だけ分断されます。この企業は、「集客が足りない」のではなく「集まった需要を動かす手段が足りない」という構造に目を向けました。

  • 1真因地域内の移動手段が不足し、訪れた客が回遊できない。

03PROBLEM TREE

課題を掘り下げる

目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。

  • 1訪れた人が他の施設に回遊しない観光地へ行ける移動手段が地域内で不足している。
  • 2農業と観光が収益として連動していない顧客が現地で消費する流れが、設計されていない。

04STRATEGY

選んだ打ち手と、その理由

整理した事業は4つです。都市部と観光地域を結ぶバス、地域の観光地を結ぶ周遊バス、農産物を使ったカフェ、農産物の直売所です。交通・観光・農産物販売・飲食を一体化します。

単純な新規事業の追加ではない、という点が重要です。移動手段を提供することで、観光地へ行けなかった人が移動できるようになり、観光客が増え、飲食や直売所を利用し、地域内の消費が増える、という流れを設計しています。バスは利益の源泉であると同時に、他の三つの事業へ顧客を運ぶ装置として機能します。

図解|地域周遊・顧客回遊マップ
  1. 1移動手段がない行きたくても行けない
  2. 2移動できる都市部・周遊バス
  3. 3観光客が増える体験・ツアー
  4. 4飲食・直売を利用カフェ・直売所
  5. 5地域内で消費が循環農産物の販売へ

需要を獲得するだけでなく、需要を動かす仕組みを事業にする。

05CUSTOMER

顧客が解決したいこと

この計画で想定する顧客は、都市部から地域を訪れたい人と、すでに地域を訪れた人です。前者は「行きたいが交通手段がない」、後者は「次の場所へ行きたいが移動できない」という悩みを持ちます。どちらも、観光そのものへの関心はあるのに、移動が障壁になっている点が共通です。

顧客が本当に買っているのは、バスという乗り物ではなく、「行きたい場所へ、迷わず、無理なく行ける」という状態です。この視点に立つと、交通は単独の事業ではなく、観光・飲食・直売の入口として位置づけられます。

06MODEL

事業モデル|WHO・WHAT・HOW・CHANNEL・REVENUE・COST

  • 1WHO都市部から訪れる人、地域内を回遊したい観光客。
  • 2WHAT移動手段と、観光・飲食・農産物購入を一つにつないだ体験。
  • 3HOWバス運行、周遊の設計、農産物を使うカフェ、直売所の運営。
  • 4CHANNEL既存のEC・ツアー・地域との関係を入口とした送客。
  • 5REVENUE運賃、周遊料金、飲食売上、直売所売上。
  • 6COST車両・運行体制、施設運営、人員、仕入、広告。

07STAKEHOLDERS

関係者ごとに見る|誰にとって何が変わるか

移動を事業にすると、立場ごとに見え方が変わります。

  • 1訪れる人行きたい場所へ移動でき、次の場所へ回れる。
  • 2地域の施設送客が増える可能性があるが、受け入れの準備が必要。
  • 3運営企業運行と施設の両方に責任を持ち、固定費を管理する。

08ACTION STEPS

実行に向けた段階(目標)

事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。

  • 1運行体制の確認必要な許認可と、運行・安全の体制を整理します。
  • 2周遊の小規模な試行乗車率と、施設への来訪率を測ります。
  • 3施設の準備カフェと直売所の運営を整えます。
  • 4路線の拡張都市部との路線を加え、顧客動線を完成させます。
  • 5収益の点検運賃と施設収入のバランスを見直します。

09DIAGNOSTIC QUESTIONS

自社に当てはめるときの問い

この事例の構造を自社へ移すときは、次の問いから確認します。

  • 1顧客が次の場所へ移れない理由は何か施設や商品が点在していても、移動の手段がなければ需要は分断されます。
  • 2集まった人は、どこで止まっているか来訪者の動きを記録すると、回遊を妨げている場所が分かります。
  • 3同じ人を重ねて数えていないか売上の見積もりで、利用者が二重に現れていないかを確かめます。
  • 4固定費の大きい運行を、需要の変動に耐えて続けられるか乗車率の低い時期の損失を、あらかじめ見ておきます。
  • 5許認可や安全の条件は何か交通のように規制のある領域では、先に条件を整理します。

10LEARNINGS

他社が学べること

この事例から取り出せる考え方は、「需要を獲得する」だけでなく「需要を動かす」ことを事業にできる、という点です。自社の施設や商品が点在している業種、たとえば観光・小売・宿泊・体験事業では、顧客が次の場所へ移れない理由を探すと、新しい事業の入口が見つかることがあります。

一方で、複数の事業を連ねると、売上の見積もりは一気に甘くなりやすくなります。同じ利用者を重ねて数えていないか、各段階の通過率を別々に確認しているか。この二つを確かめることが、計画を読む側の基本です。

11SUMMARY

この支援で整理した主なポイント

  • 課題は、農業と観光を別々に運営しているために、顧客接点が収益へつながりきらないことだった。
  • 真因は、観光地への移動手段が不足し、訪れた客が他の施設へ回遊できないことにあった。

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※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。

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