支援事例商社 / 卸売から自社ブランドの海外販売へ

美容機器の輸入卸から、自社ブランド製品の海外販売へ転換

海外の工場と連携して美容機器を企画・調達し、国内の企業へ卸売してきた会社が、仕入れて販売する立場から、企画・ブランド・品質管理・販売チャネルを自社側で持つ立場へ移るために、自社ブランドの製品を企画して海外市場へ販売する構想を整理した事例です。卸売の経験で蓄えた力を、ブランドを持つ事業へ転換する構造を読み解きます。

業種
商社・美容機器
支援テーマ
輸入卸から自社ブランドへ
区分
経営コンサルティング
商社・美容機器のイメージ
イメージ画像です。実際の支援先を撮影したものではありません。

+OUR SUPPORT

この事例での、ProdX Crowdの支援

事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。

  • 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
  • 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
  • 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
  • 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。

01BEFORE

この企業の事業と、強み

この企業は、海外の工場と連携して、美容機器を企画し、調達し、国内の企業へ卸売しています。強みは、海外工場との関係、製品の企画、調達のノウハウ、品質の管理、美容機器の市場への理解です。

卸売という立場にいながら、製品の企画や品質の管理にも関わってきた点は、他の単純な卸売とは異なる特徴です。

02PROBLEM

直面していた課題と、その本当の原因

卸売は、メーカーと販売先の間に立つ事業です。製品のブランドを持っているのは、国内のメーカーなどの取引先であり、自社の名前では、最終の顧客に届きません。

真因は、企画や品質管理の力を持っているのに、その価値が「ブランド」という形で自社に残らないことです。仕入れと販売の差額が利益の中心になるため、取引先の都合に左右される面もあります。

  • 1見えていた課題卸売の利益が、仕入れと販売の差に限られる。
  • 2一段奥の原因ブランドと販売チャネルを、取引先が持っている。
  • 3真因企画・品質管理の力が、自社のブランドとして蓄積されない。

03PROBLEM TREE

課題を掘り下げる

目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。

  • 1利益が限られる仕入れと販売の差額が中心である。
  • 2ブランドが自社に残らない取引先が、ブランドと顧客を持っている。
  • 3成長の方向が限られる企画・品質管理の力が、自社ブランドに結びついていない。

04STRATEGY

選んだ打ち手と、その理由

構想は、自社で製品を企画し、海外で製造し、自社のブランドで、海外へ販売するというものです。経営上の変化は、単なる仕入れと販売から、企画、ブランド、品質管理、販売チャネルを自社側で持つ構造への転換です。

販売は、海外の代理店や、現地の流通チャネルを検討しています。海外の市場に、自社のブランドで出ていくことで、国内の卸売では得られなかった、最終の顧客との関係と、ブランドの価値を築く可能性があります。

図解|輸入卸 → 自社ブランド → 海外販売
  • BEFORE
  • 海外工場
  • 輸入
  • 国内メーカーへ卸売
  • AFTER PLAN
  • 自社の企画
  • 海外で製造
  • 自社ブランド
  • 海外で販売

05ACTION STEPS

実行に向けた段階(目標)

事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。

  • 1市場と規制の確認販売する国の条件を調べます。
  • 2製品の企画市場の要望に合わせて企画します。
  • 3試作と確認性能・安全性を確かめます。
  • 4販売チャネルの確保代理店と条件を詰めます。

06EXEC

実行の考え方|製造・販売・規制を並行して進める

自社ブランドの製品を海外で販売するには、企画、製造、販売先の確保、規制への対応が、すべて関わります。これらを順番に進めると時間がかかり、すべてを同時に進めると、費用が先に増えます。

そこで、規制の確認と販売先の確保を、製造の本格化より先に進めます。規制の条件が分かれば、製品の仕様が決まります。販売先の意向が分かれば、数量の見通しが立ちます。製造の数量は、その後に決める。この順序が、先に費用が出るリスクを小さくします。

卸売で培った品質管理の経験は、試作と量産の間の確認に生かせます。品質の基準を先に文書にしておくと、工場との間で認識のずれが起きにくくなります。また、販売国の消費者の使い方や好みは、国内とは異なる場合があります。現地の代理店から使い方の情報を集めて、製品の仕様や説明書に反映することも、ブランドの価値を高める作業です。

  • 1規制の確認販売国ごとの要件を、仕様の前に確認する。
  • 2販売先の確保代理店の意向と条件を確かめる。
  • 3試作品質の基準を文書にして共有する。
  • 4量産の判断規制と需要の見通しが揃ってから決める。

07STAKEHOLDERS

関係者ごとに見る|誰にとって何が変わるか

自社ブランドの事業は、複数の立場に関わります。

  • 1海外の工場企画に沿った製造と、品質の安定を求められる。
  • 2海外の代理店売れる製品と、販売の支援を求める。
  • 3最終の顧客品質と安全に対する信頼を求める。

08NOTE

補足|卸売の経験が、ブランドの前提になる場合とならない場合

卸売で培った調達と品質管理の経験は、自社ブランドの製品づくりの土台になります。ただし、ブランドの価値は、顧客が選ぶ理由によって決まります。卸売では、価格と納期と品質が選ばれる理由でしたが、ブランドでは、製品の特徴と信頼が選ばれる理由に変わります。

選ばれる理由が変わるため、販売の先も、営業の方法も、必要な情報も変わります。この変化を、事前に具体的に書き出しておくことが、構想を現実に近づけます。

09POINT

読み方のポイント|ブランドは、時間をかけて築く資産

しかし、ブランドは製品を作った瞬間に生まれるものではなく、品質の安定、顧客の信頼、販売先との関係を、時間をかけて積み重ねて築くものです。

そのため、構想の最初の段階では、製品の完成度を高めることと、販売先の条件を確かめることを、並行して進めます。小さな数量で出して、販売先の反応と市場の要望を知り、品質と規制の条件を満たすことを確かめてから、数量を増やす。この順序が、在庫と費用のリスクを抑えます。

卸売の経験で蓄えた調達と品質管理の力は、ブランドを築く際の土台になります。ただし、土台があることと、ブランドが成立することは別です。顧客に選ばれる理由を、製品の価値として示せるかが問われます。

10DIAGNOSTIC QUESTIONS

自社に当てはめるときの問い

卸売から自社ブランドへ移るときの問いです。

  • 1自社の力の中で、ブランドの価値になるのはどれか企画・品質管理など、他社が真似しにくい点を探します。
  • 2販売する国の規制と認証は何か製造の前に、条件を確認します。
  • 3最初の数量を、どの程度にするか在庫のリスクを抑えて、小さく出します。
  • 4販売先は、誰が、なぜ選ぶか代理店と最終の顧客を分けて考えます。
  • 5ブランドを築く費用は、どこまで見込むか先に発生する費用を、計画に入れます。

11LEARNINGS

他社が学べること

卸売や仲介の事業は、間に立つ立場の力を持っています。企画、調達、品質管理の力が蓄積されているなら、それを自社のブランドへ転換する道があります。

ただし、ブランドを持つことは、利益を取る立場に移ると同時に、リスクを負う立場に移ることでもあります。製品の安全性や規制への責任、在庫、ブランドを築く費用を、先に計画に入れておくことが前提です。

12SUMMARY

この支援で整理した主なポイント

  • 既存事業は、海外工場と連携した美容機器の企画・調達・国内卸売だった。
  • 構想は、企画・ブランド・品質管理・販売チャネルを自社側で持つ構造への転換である。

13RELATED SERVICES

関連するサービス

※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。

14RELATED CASES

関連する支援事例

研究開発・製造新市場進出経営支援

医療向けに培ったVR技術を量産化し、ゲーム市場へ展開

研究・医療教育・量産・ゲーム市場という成長の順序を、一つの経営ストーリーとして描いた。

当初の課題
技術と需要はあるのに、手作業中心の製造が量産のボトルネックになっていた。
支援した打ち手
製造工程のデジタル化で量産能力をつくり、同じコア技術を医療BtoBからゲームBtoCへ移す二段階の取り組みとして整理した。
目指す方向
研究・医療教育・量産・ゲーム市場という成長の順序を、一つの経営ストーリーとして描いた。

美容・製造現場経験の商品開発への転用経営支援

エステサロンの施術経験と顧客の声を、業務用美容機器の開発へ転用

施術の現場で得た顧客理解を、業務用美容機器の企画・開発に転用する計画。

当初の課題
売上がスタッフ数・営業時間・対応人数に制約されるサービス中心の構造だった。
支援した打ち手
施術経験と顧客の声から必要な機能を定義し、協業先と開発して自社サロンで検証し、他の美容サロンへ販売する取り組みとして整理した。
目指す方向
施術の現場で得た顧客理解を、業務用美容機器の企画・開発に転用する計画。

教育・ITオンラインと対面の組み合わせ経営支援

法人向けオンライン教育の教材資産を活かし、地域密着型のリスキリング教室へ展開

教材と講師の資産を使い、対面教室とオンラインを組み合わせて個人向けにも広げる計画。

当初の課題
オンライン教育は理解度の確認・質問・実技の確認がしにくく、法人研修への依存が大きく、個人向けの需要を十分に取り込めていなかった。
支援した打ち手
既存の教材と講師を使い、Python・AI基礎・データ分析・DXツール活用などの対面教室を設け、録画・配信と組み合わせる取り組みとして整理した。
目指す方向
教材と講師の資産を使い、対面教室とオンラインを組み合わせて個人向けにも広げる計画。

同じような課題を検討している方へ

同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。