支援事例手工具製造 / 工程統合・技能継承・海外需要

日本の伝統工具を世界へ。2工程を1工程に統合する生産改革。

盆栽用工具、爪切り、喰切など、日本のものづくり技術を活かした手工具を製造する事業者が、手加工への依存と設備能力の不足で受注残を抱える状況に対し、熟練技能を残しながら、加工工程を統合して供給能力を高める取り組みを整理した事例です。

業種
手工具製造
支援テーマ
設備投資
区分
公的支援制度・設備投資
公的支援制度
公的支援制度を活用
手工具製造のイメージ
イメージ画像です。実際の支援先を撮影したものではありません。

+OUR SUPPORT

この事例での、ProdX Crowdの支援

事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。

  • 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
  • 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
  • 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
  • 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。

01COMPANY

この企業の事業と、強み

この事業者は、盆栽用工具、爪切り、喰切など、日本のものづくりの技術を活かした手工具を製造しています。特に盆栽用の工具は海外からの評価も高く、「日本製であること」自体が商品の価値になっています。

日本製であることが価値になる手工具の製造技術と、熟練者の技能が最大の強みです。

盆栽用工具などは、国内に加えて海外からの評価も高く、需要が伸びています。供給能力を高めることが、海外需要を取り込む前提になります。

02PROBLEM

直面していた課題と、その本当の原因

事業支援では、手加工への依存と設備能力の不足によって生産性が低く、受注残を抱える状態だったと整理されています。複数の工程にまたがるたびに段取りを替える必要があり、これが加工能力の制約になっていました。需要はあるのに供給が追いつかない状態が、成長を止めている構造でした。

03STRATEGY

選んだ打ち手と、その理由

事業支援では、パレットチェンジャーを搭載したマシニングセンターを導入し、従来2つに分かれていた工程を1工程に統合して、段取り替えを減らす方針が整理されています。治具、クランピング、センサーの活用や、技能の数値化によって、加工精度を標準化し、若手でも対応しやすい生産体制をつくります。伝統技術を機械に置き換えるのではなく、熟練技能を残しながら、設備で再現性と供給能力を高めます。

04ACTIONS

取り組みの具体像

構想には、パレットチェンジャー搭載のマシニングセンター、2工程の1工程化、段取り替えの削減、治具・クランピング・センサーの活用、技能の数値化が含まれています。

  • 1パレットチェンジャー搭載の加工機一つの製品を加工している間に、次の製品を準備できる仕組みです。機械が止まる時間を減らし、少量多品種の製造に向きます。
  • 22工程の1工程化工程が分かれると、そのたびに段取り替えと運搬が必要です。統合は、時間の削減に加えて、位置ずれなどの品質のばらつきも減らします。
  • 3治具・クランピング・センサー熟練者が感覚で行っていた固定と位置決めを、治具やセンサーで再現します。誰が行っても同じ位置で加工できる状態をつくります。
  • 4技能の数値化熟練者の力加減や手順を、数値と条件として残します。後継者の育成と、品質の標準化の両方に役立ちます。
  • 5加工精度の標準化製品ごとの精度の基準を揃え、若手でも対応できる生産体制にします。
  • 6海外需要への供給能力評価が高くても、供給が追いつかなければ機会を逃します。受注残の解消は、海外需要を取り込む前提です。
  • 7熟練技能の仕上げとして残す部分何を機械に任せ、何を熟練者の仕上げとして残すのかを、製品ごとに決めます。「日本製の価値」を支える部分を守るための線引きです。
  • 8最初に確かめること手工具製造の事例では、まず「手加工への依存と段取り替えで生産性が低く、受注残が発生」という状況を、数字で確かめることから始めます。時間、件数、費用のうち、いちばん大きな制約になっているものを特定し、それが改善されたときに全体がどう変わるかを見ます。

05PUBLIC SUPPORT

公的支援制度の活用

加工設備の導入は投資の規模が大きくなりやすいため、公的支援制度を資金計画の一つとして活用しています。事業支援では、事業内容、導入する設備、実施時期を整理し、工程の統合が、品質を保った供給能力の拡大にどう結びつくのかが伝わる内容にしています。

06VISION

この取り組みが目指す姿

支援した内容は、工程統合による段取りの削減と、技能の数値化による、安定した供給体制の構築です。

07POINT

この事例から考えられること

伝統的なものづくりでは、「機械化すると良さが失われる」という不安が、設備投資の壁になることがあります。何を残し、何を機械に任せるのかを先に決めることが重要です。技能を数値にして残す取り組みは、後継者の育成にもつながります。

伝統的なものづくりでは、「機械化すると良さが失われる」という不安が、設備投資の壁になることがあります。先に、製品ごとに「残す技能」と「機械に任せる工程」を整理することが重要です。技能の数値化は、導入の前から熟練者と一緒に始めると、設備の設定にそのまま活かせます。

08SUMMARY

この支援で整理した主なポイント

  • 日本製であること自体が価値になる強みを整理した。
  • 手加工依存と段取り替えを、供給制約の原因として捉えた。
  • 2工程を1工程に統合する加工設備を設計した。
  • 技能の数値化と、加工精度の標準化を設定した。
  • 海外需要への供給能力の強化を、目標に置いた。
  • 熟練技能を残しながら、安定供給する体制を描いた。

09RELATED SERVICES

関連するサービス

※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。

10RELATED CASES

関連する支援事例

食品・精米省力化経営支援

小袋米の需要増に、包装・積込工程の自動化で対応。

小袋商品の安定供給と販路拡大を目指す。

当初の課題
大袋中心の設備では、小袋の包装・積載が追いつかない。
支援した打ち手
計量包装設備とロボットアーム・コンベアで積載まで自動化。
目指す方向
小袋商品の安定供給と販路拡大を目指す。

化学製品製造業省力化経営支援

外部委託していた成分分析を内製化し、開発対応力を高める設備投資計画。

開発・品質確認の迅速化を目指す。

当初の課題
外部委託による待ち時間と、技術者の移動・立会いの負担。
支援した打ち手
元素分析設備の導入と分析の社内実施を整理。
目指す方向
開発・品質確認の迅速化を目指す。

化学製品製造業省力化経営支援

分析設備の高度化によって、品質トラブルへの対応力を強化する計画。

品質トラブルへの対応力強化を目指す。

当初の課題
設備の老朽化と熟練者への依存で、分析件数・対応速度が制約。
支援した打ち手
高精度分析設備の更新と分析の標準化を整理。
目指す方向
品質トラブルへの対応力強化を目指す。

同じような課題を検討している方へ

同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。