支援事例介護 / 夜間の定期巡視から、状態変化に基づく優先対応へ

定期巡視中心の介護から、データを利用した優先対応型の見守り体制へ

高齢者向けの住居と介護サービスを運営する事業者が、夜間帯に定期巡視を行っていることによる職員の巡視負担、状態確認の時間的な限界、紙への記録、情報共有の遅れ、職員の経験への依存という課題を、見守り機器とAIなどで体動・離床・心拍や呼吸の情報を取得・共有し、通知と記録に基づいて必要な確認を優先する仕組みへ変える取り組みを整理した事例です。AI導入の目的を職員の削減ではなく、限られた時間を必要なケアへ配分することに置く考え方が読みどころです。

業種
介護
支援テーマ
定期確認から優先対応へ
区分
公的支援制度・設備投資
公的支援制度
公的支援制度を活用
介護のイメージ
イメージ画像です。実際の支援先を撮影したものではありません。

+OUR SUPPORT

この事例での、ProdX Crowdの支援

事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。

  • 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
  • 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
  • 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
  • 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。

01BEFORE

この企業の事業と、強み

この事業者は、高齢者向けの住居と、介護のサービスを運営しています。夜間帯には、利用者の状態を確かめるために、定期的な巡視を行っています。

介護の現場では、利用者の安全を守ることが最優先です。そのため、夜間の見回りは、職員にとって欠かせない業務ですが、人手が限られる夜間帯では、大きな負担にもなります。

02PROBLEM

直面していた課題と、その本当の原因

現状の課題は、職員の巡視の負担、状態を確認できる時間の限界、紙への記録、情報共有の遅れ、そして職員の経験への依存です。

巡視は、決まった時間に、すべての利用者の様子を見に行く運用です。この運用では、状態が変わった瞬間ではなく、見に行った時点の状態しか分かりません。また、記録が紙であれば、共有に時間がかかります。真因は、確認の頻度と順序が、利用者の状態ではなく、時計で決まっていることにあります。

  • 1見えていた課題巡視の負担、紙の記録、共有の遅れ。
  • 2一段奥の原因確認が、決まった時間ごとの運用になっている。
  • 3真因確認の優先順位が、利用者の状態に基づいていない。

03PROBLEM TREE

課題を掘り下げる

目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。

  • 1夜間の負担が大きい決まった時間の巡視が前提。
  • 2状態の変化に気づくのが遅れる確認が時間で決まっている。
  • 3情報共有が遅れる紙の記録に頼っている。

04STRATEGY

選んだ打ち手と、その理由

構想は、見守りの機器とAIなどを使い、体動、離床、心拍や呼吸などの情報を取得・共有する仕組みを導入することです。通知と記録に基づいて、必要な確認を優先し、職員が対応し、情報を共有します。

業務の流れは、これまでの「時間が来たら巡視し、目視で確認し、紙に記録し、情報を共有する」から、「見守り機器が状態を通知・記録し、必要な確認を優先して、職員が対応し、情報を共有する」へと変わります。

図解|定期巡視 → 状態変化に基づく優先対応
  • BEFORE
  • 時間が来たら巡視
  • 目視で確認
  • 紙へ記録
  • 情報を共有
  • AFTER PLAN
  • 見守り機器
  • 状態の通知・記録
  • 必要な確認を優先
  • 職員が対応
  • 情報を共有

05ALT

なぜこの打ち手か|他の選択肢との比較

巡視の回数を増やす選択は、確認の機会を増やしますが、職員の負担をさらに重くします。職員を増員する選択もありますが、人手不足の中で確保できるとは限りません。

見守り機器を導入し、確認の優先順位を変える選択は、人手を増やさずに、確認の質を高める方向です。ただし、機器への依存が過度にならないよう、人による確認を残す設計が前提です。小さな範囲で運用を確かめ、誤検知や通知の運用を調整してから、広げる順序が望まれます。

06PURPOSE

経営の知見|AI導入の目的は、職員の削減ではない

AIの導入というと、人員を減らすことが目的と受け取られがちです。しかし、この計画の目的は、確認の優先順位を改善し、限られた職員の時間を、必要なケアに配分することです。

全員を一律に、同じ頻度で見に行くのではなく、状態の変化があった利用者を優先して確認できれば、必要なケアに時間を割けます。AIは、職員の判断を置き換えるものではなく、判断のための情報を、より早く、記録として残すための道具です。最終的な対応の判断は、職員が行います。

  • 1目的確認の優先順位を改善する。
  • 2時間の使い方必要なケアに時間を配分する。
  • 3AIの役割判断のための情報を早く伝え、記録する。
  • 4最終の判断職員が行う。

07STAKEHOLDERS

関係者ごとに見る|誰にとって何が変わるか

見守りの仕組みは、複数の立場に影響します。

  • 1利用者・家族見守りの方法が変わるため、説明と同意が重要。
  • 2夜間の職員巡視の負担が変わるが、通知への対応が新しい役割になる。
  • 3事業者の管理者記録の共有と、対応の責任の整理が必要になる。

08ACTION STEPS

実行に向けた段階(目標)

事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。

  • 1現状の整理巡視・記録・共有の流れを整理します。
  • 2機器の選定仕様と安全性を確認します。
  • 3一部での試行通知と対応を確かめます。
  • 4運用の整備ルールと責任を整理します。

09NOTE

補足|職員の納得が、運用の定着を決める

見守りの仕組みは、職員が通知を信頼し、判断に使って初めて機能します。導入の目的や、機器ができること・できないことを、職員と共有し、疑問や不安を聞く場をつくることが、定着の前提です。

職員が、機器に任せきりにも、まったく使わないこともない、適切な距離感で使えるように、運用のルールと教育を、導入と同時に整えておく必要があります。

10DIAGNOSTIC QUESTIONS

自社に当てはめるときの問い

見守りやモニタリングを導入するときの問いです。

  • 1確認は、時間で決まっているか、状態で決まっているか優先順位の基準を確認します。
  • 2通知が来たとき、誰が、何分以内に対応するか対応の流れを決めます。
  • 3誤検知や通知漏れが起きたとき、どう補うか人の確認を残します。
  • 4削減できた時間を、何に使うかケアの質の向上に結びつけます。
  • 5利用者と家族に、どう説明し、同意を得るか情報の扱いを説明します。

11POINT

読み方のポイント|AIは、判断を速くする道具

介護の現場で、最も重要なのは、利用者の安全と尊厳です。機器やAIは、そのための判断を速くする道具であり、判断そのものを代わるものではありません。

導入の評価では、技術の性能だけでなく、運用の設計を見ます。誰が通知を受け、どう判断し、どう記録し、どう共有するのか。この一連の流れが整っていなければ、技術は効果を発揮しません。技術の導入と、運用の再設計を、セットで考えることが重要です。

12LEARNINGS

他社が学べること

決まった時間ごとの確認を、状態に基づく優先対応へ組み替えると、限られた人員を、必要な場所へ配分できます。目的を人員の削減ではなく、時間の使い方の改善に置くことが、現場の理解を得る鍵です。

ただし、安全に関わる分野では、機器の性能を過信せず、誤検知や通知漏れを前提に、人による確認を残す設計が必要です。効果は目標値として扱い、実際の運用で確かめていくことが前提です。

13SUMMARY

この支援で整理した主なポイント

  • 課題は、夜間の定期巡視の負担と、確認の限界、紙の記録、情報共有の遅れ、経験への依存。
  • 構想は、通知と記録に基づいて必要な確認を優先する業務へ組み替えること。
  • 目的は職員の削減ではなく、限られた時間を必要なケアへ配分すること。効果は目標値であり、事故防止などの保証表現は使わない。

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※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。

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同じような課題を検討している方へ

同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。