支援事例食品 / D2C・サブスクリプション・熟練技術の商品化・工程の標準化

コーヒー加工で培った品質管理を、D2Cスイーツ事業へ展開

飲食店等へコーヒー豆を販売してきた企業が、取引先の業績や仕入価格などの外部環境に左右されるBtoB販売の構造と、最終消費者との接点がない状況に向き合い、デザート商品を開発・製造して、既存取引先への卸・EC・D2C・サブスクリプションで販売する事業へ展開する取り組みを整理した、支援事例です。

業種
食品
支援テーマ
D2C
区分
経営コンサルティング
食品のイメージ
イメージ画像です。実際の支援先を撮影したものではありません。

+OUR SUPPORT

この事例での、ProdX Crowdの支援

事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。

  • 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
  • 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
  • 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
  • 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。

01STRENGTHS

既存事業の強み

  • 1焙煎とブレンド豆の特性を見極め、狙った味に仕上げる技術があります。
  • 2顧客ごとの味づくり取引先の店の個性に合わせた味を設計してきた経験があります。
  • 3品質管理一定の品質を保つための、確認の仕組みがあります。
  • 4加工マニュアル手順を文書にして、誰でも再現できるようにしてきました。
  • 5生産工程の改善工程を見直し、効率と品質を高め続ける習慣があります。

02REAL ISSUE

本当の課題|強みが一つの経路にしか届いていない

焙煎と品質管理の力は、最終的な商品の味を決める力です。しかし、その価値は、取引先を通してしか消費者に届かず、消費者の評価も取引先を通してしか返ってきません。

強みはあるのに、消費者との直接の接点がない。この状況が、外部環境への依存と、商品開発の情報不足の両方を生んでいました。

図解|BtoB卸からD2C・サブスクへ
  1. 1BtoB卸(最終消費者との接点なし)
  2. 2商品の開発
  3. 3製造
  4. 4D2C・ECで販売
  5. 5消費者のデータ
  6. 6継続購入(サブスクリプション)
  7. 7次の商品開発へ

消費者との接点を持つことで、商品開発が変わる。

03ISSUE

課題|BtoB販売の構造

卸の事業では、販売先は飲食店などの事業者です。商品を最終的に飲む人は見えません。取引先の業績が悪くなれば、注文が減ります。仕入れ価格が上がれば、利益が圧迫されます。外部の環境に左右される構造です。

また、最終的な消費者の反応は、取引先を通してしか分からず、商品開発に生かしにくい面がありました。どの味が好まれ、何が足りないのか。その情報が、自社に届きにくい構造でした。

04PROBLEM TREE

課題を掘り下げる

目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。

  • 1表面|外部環境に売上が左右される取引先の業績と仕入価格の影響を受けます。
  • 2原因|最終消費者との接点がない商品の評価と需要が、取引先を通してしか見えません。
  • 3さらに奥|強みが一つの経路にしか届いていない味と品質の価値が、卸という一つの経路に限られています。
  • 4経営上の制約収益の予測と、商品開発の学習が、取引先に依存しています。

05BUSINESS BEFORE

支援前の事業

この企業は、飲食店などに向けて、コーヒー豆を販売しています。豆を焙煎し、ブレンドし、取引先ごとの好みに合わせた味をつくる。品質を管理し、加工の手順をマニュアルにまとめ、生産の工程を改善し続ける。味と品質を支える技術と運営が、事業の強みです。

06NEW BUSINESS

新事業|デザート商品のD2Cとサブスクリプション

新事業として整理されたのは、チョコレート系のプリンなどのデザート商品の開発・製造と、その販売です。販売は、既存の取引先への卸、EC、D2C(自社から消費者への直接販売)、そしてサブスクリプション(定期購入)を組み合わせます。

コーヒーの事業で培った、味の設計と品質管理は、デザートにも生かせます。素材の選び方、配合、仕上がりの確認など、味を安定させる考え方は、共通しているからです。

07CHANNEL

販売経路の組み合わせ

  • 1既存取引先への卸既存の関係を使い、最初の販売の入口にできます。取引先の店での提供が、商品の認知にもなります。
  • 2EC消費者が、自分で選び、購入できる経路です。購入の記録が、データになります。
  • 3D2C自社が価格・見せ方・顧客関係を決められる、直接販売です。
  • 4サブスクリプション定期購入により、継続的な収益と、購入の予測を得られます。

経路ごとに、収益の性質が異なります。卸は大口で安定しやすく、D2Cは単価が高く、顧客のデータが得られます。サブスクリプションは、継続した購入を前提に、収益の見通しを立てやすくします。

08SKILL

熟練の技術を商品設計に、量産は標準化する

この計画の設計の特徴は、商品の開発と、量産の製造を、分けて考えることです。新しい味づくりには、熟練の感覚と技術が必要です。一方、量産の工程は、手順を標準化し、品質を安定させる必要があります。

コーヒーの加工で、マニュアル化と工程の改善に取り組んできた経験は、この分野でも生かせます。味の設計を担う人と、量産を担う人の役割を分け、熟練者が、より高度な商品開発に集中できる形を目指します。

図解|熟練と標準化の役割分担
商品の開発量産の製造
担うもの

熟練の感覚と技術

標準化された手順

重視すること

味の独自性・新しさ

品質の安定・生産性

記録するもの

配合・工夫・評価

手順・条件・確認項目

改善の方法

試作と消費者の反応

工程の見直し

09BOTTLENECK

製造のボトルネックと設備

デザートの製造では、冷却などの工程に時間がかかり、全体の生産量を決める場合があります。このような工程が制約になる場合は、設備によって時間を短縮し、全体の流れを整える設計が含まれています。ただし、設備の詳細や効果の数値は、この事例では扱いません。製造の工程のうち、どこが最も時間を要するかを、実際の記録で確かめることが、設備の選定の前提です。

10DATA

消費者データを商品開発に戻す

D2Cの最も大きな価値の一つは、消費者のデータです。誰が、何を、どのくらいの頻度で購入し、どの商品で継続をやめたのか。これらを記録できれば、次の商品の企画に生かせます。

データ→洞察→商品開発→新しい売上という流れを設計することで、D2Cは、販売の経路であると同時に、商品開発の学習の仕組みにもなります。ただし、個人情報の取り扱いについて、利用目的と管理の方法を、利用者に分かる形で示す必要があります。

11ACTION STEPS

実行に向けた段階(目標)

事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。

  • 1商品の設計と試作味・素材・価格を設計し、試作と評価を行います。
  • 2量産工程の標準化手順・条件・確認項目をまとめ、ボトルネックの工程を確認します。
  • 3卸とECでの販売開始既存の取引先とECで販売し、反応を記録します。
  • 4D2C・サブスクの開始継続購入の仕組みを整え、データを次の商品開発に生かします。

12TAKEAWAY

この事例から分かること

以下は、この事例から一般的に考えられる経営上のポイントです。実際に行った支援内容とは区別しています。

  • 1卸の強みを、消費者との接点に変えるD2Cは、販売経路であり、学習の仕組みでもあります。
  • 2熟練技術と標準化を、役割で分ける開発は熟練、量産は標準化です。
  • 3継続購入を前提に設計する単発の売上ではなく、継続率を重視します。
  • 4データの扱いを先に決める利用目的と管理の方法を、明確にします。

13HOW TO USE

自社の計画に使うときの読み方|卸から消費者との接点へ

この事例を、自社の検討に使うときは、業種の違いに引きずられず、構造を取り出して当てはめると役に立ちます。次の問いに、自社の場合を書き込んでみてください。

  • 1自社の売上は、誰の業績に左右されるか取引先の構成と、依存の度合いを確認します。
  • 2最終消費者の反応を、どう知っているか取引先経由でしか分からない情報を、書き出します。
  • 3強みを、どの商品で消費者に直接届けられるか既存の技術が使える商品を考えます。
  • 4開発と量産を、どう分けるか熟練が必要な部分と、標準化できる部分を分けます。
  • 5データを、次の企画にどう戻すか記録する項目と、見直しの頻度を決めます。

14SUMMARY

この支援で整理した主なポイント

  • 既存の強みは、焙煎・ブレンド・顧客ごとの味づくり・品質管理・加工マニュアル・生産工程の改善にあった。
  • 課題は、BtoB販売が外部環境の影響を受けやすく、最終消費者との接点がないことだった。
  • 卸・EC・D2C・サブスクリプションを組み合わせ、消費者データを次の商品開発に戻す構造を描いた。
  • 味の設計は熟練、量産は標準化という役割分担で、品質と生産性を両立させる考えを示した。

15RELATED SERVICES

関連するサービス

※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。

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同じような課題を検討している方へ

同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。