支援事例卸売・小売 / 卸売とD2Cの複線化・一次顧客データ
スポーツ玩具の卸売から、自社ECによる消費者直販へ
海外のスポーツ玩具を発掘・輸入し、国内の事業者へ卸してきた企業が、「誰が・なぜ買ったのかが分からない」という卸売の構造に向き合い、卸売と自社ECによる消費者への直販を併せ持つ複線型の事業へ展開する取り組みを整理した、支援事例です。ECを単なる売場ではなく、一次顧客データを得る装置として位置づけています。

- 課題卸売だけでは最終消費者との接点が少なく、購入者・購入理由・支持された商品・不満・次に求めるものを直接把握しにくかった。
- 支援した打ち手卸売に自社ECを加える複線化として整理し、ECの最大の価値を売上ではなく一次顧客データの取得に置いた。
- 目指す状態データを次の商品選定に戻し、卸売と直販が互いを支える循環を整理した。
+OUR SUPPORT
この事例での、ProdX Crowdの支援
事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。
- 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
- 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
- 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
- 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。
01STRENGTHS
既存事業の強み
- 1海外商品の探索市場に出回る前の商品を、見つけ出す目と経路があります。
- 2メーカーとのネットワーク海外のメーカーと直接やり取りできる関係があります。
- 3商品選定日本の消費者に合うかを見極める判断の蓄積があります。
- 4国内の卸売先商品を届ける小売事業者との取引関係があります。
- 5商品知識商品の特徴と使い方を説明できる専門性があります。
02ISSUE
課題|卸売では、消費者の顔が見えない
卸売の事業では、商品は小売店に渡った時点で、自社の手を離れます。その先で、誰が、どの商品を、なぜ選んだのかは、小売店を通してしか、分かりません。
このことは、事業にとって、次のような見えにくい不足を生みます。
- 1誰が買ったか年齢・目的・購入の場面などが、把握できません。
- 2なぜ買ったか商品のどこが選ばれた理由なのかが、分かりません。
- 3どの商品が支持されたか売れた商品は分かっても、使い続けられたかは分かりません。
- 4どんな不満があるか使った後の不満が、メーカー・卸売まで届きにくい構造です。
- 5何を次に求めているか次の商品選定の最も重要な材料が、欠けています。
03REAL ISSUE
本当の課題|商品選定の精度が、情報の不足で頭打ちになる
この企業の価値の源泉は、商品の選定です。しかし、選定の精度を高めるための材料は、最終消費者の反応です。それが見えないまま、探索と選定を続けることは、勘と経験に頼り続けることを意味します。
卸売の事業を強くするためにこそ、消費者の情報を得る必要がある。この認識が、計画の出発点です。
- 1海外メーカー
- 2自社(探索・輸入・選定)
- 3卸売→小売→消費者
- 4自社EC→消費者
- 5一次顧客データ(購入者・理由・不満)
- 6次の商品選定
ECの最大の価値は、一次顧客データを取得できること。
04PROBLEM TREE
課題を掘り下げる
目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。
- 1表面|消費者の反応が見えない誰が・なぜ買ったかが分かりません。
- 2原因|販売経路が卸売に限られている消費者との接点が小売店の先にあります。
- 3さらに奥|商品選定の材料が不足している探索と選定の精度を高める情報が、自社に戻ってきません。
- 4経営上の制約選定の精度が、勘と経験に依存し、頭打ちになります。
05STRATEGY
選んだ打ち手と、その理由
計画の特徴は、卸売を縮小して直販に移るのではなく、二つを併せ持つ複線型にしていることです。卸売には、小売店の売場と信頼があり、量を安定して動かせる強みがあります。D2Cには、価格・見せ方・顧客との関係を自社で決められる強みと、データを得られる強みがあります。
二つを組み合わせることで、卸売の量とD2Cの情報を、互いに生かせます。ただし、小売店との関係には配慮が必要です。同じ商品を、同じ価格帯で直販すれば、卸先と競合します。どの商品を、どの経路で売るかの設計が、計画の核心の一つです。
06BUSINESS BEFORE
支援前の事業
この企業は、海外にあるスポーツ玩具を探し出し、輸入して、国内の事業者へ卸売りしています。国内ではまだ知られていない商品を見つけ、日本の市場に合う形で紹介することが、事業の価値です。
販売先は小売店などの事業者であり、商品を実際に使う消費者に直接届ける経路は、持っていませんでした。
07D2C VALUE
ECを「売場」ではなく「データの入口」として使う
EC(自社の通販サイト)を、売上を増やす売場としてだけ説明すると、事業の本質を見誤ります。この計画でECが担う最大の役割は、一次顧客データを得ることです。
- 1購入の記録誰が、いつ、何を、いくらで購入したかが、記録として残ります。
- 2購入前の行動どの商品ページを見て、何と比べ、なぜ離れたかが、分かります。
- 3購入後の声レビューや問い合わせから、満足と不満を直接知ることができます。
- 4再購入の有無継続して購入されているかが、商品の支持を示します。
- 5次の要望「こんな商品はないか」という声が、探索の方向を決めます。
これらのデータは、卸売の事業にも使えます。支持された商品の特徴を、卸売先への提案に生かし、不満の多い商品は、選定の基準を見直す材料にします。
08LOOP
データから次の商品選定へ
データを集めるだけでは、価値になりません。データ→洞察→商品選定→販売→データ、という循環を設計することが重要です。
- 1自社ECでの購入・行動の記録
- 2何が・なぜ支持されたかの洞察
- 3次の商品の探索・選定
- 4卸売とECの両方で販売
- 5新しいデータが蓄積
卸売の探索力と、ECのデータが、互いを強める。
09ACTION STEPS
実行に向けた段階(目標)
事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。
- 1商品と経路の役割分担どの商品を卸売・ECのどちらで扱うかを決めます。
- 2ECの立ち上げサイト・決済・配送・問い合わせの体制を整えます。
- 3データの記録と洞察購入・行動・声を記録し、週次・月次で見直します。
- 4商品選定への反映洞察を次の探索・選定に使い、卸売先にも共有します。
10TAKEAWAY
この事例から分かること
以下は、この事例から一般的に考えられる経営上のポイントです。実際に行った支援内容とは区別しています。
- 1ECの価値は、売場よりもデータにある一次顧客データが、商品選定の精度を高めます。
- 2卸売とD2Cは、複線で互いを強める量と情報を組み合わせます。
- 3データは循環させて初めて価値になる洞察→選定→販売→データの流れを設計します。
- 4経路の衝突を、先に設計する卸先との関係を守る価値の設計が必要です。
11HOW TO USE
自社の計画に使うときの読み方|卸売から直販へ
この事例を、自社の検討に使うときは、業種の違いに引きずられず、構造を取り出して当てはめると役に立ちます。次の問いに、自社の場合を書き込んでみてください。
- 1自社は、商品を使う人について、何を知っているか知っていること・知らないことを書き出します。
- 2知らないことが、商品選定のどこに響いているか選定の精度に直結する情報を特定します。
- 3直販は、卸売先と競合しないか経路ごとの商品・価格・時期の設計を考えます。
- 4得たデータを、誰が、どう使うか循環の担当と頻度を決めます。
- 5最初に確かめる数字は何かアクセス・購入率・継続の中から、一つ決めます。
12SUMMARY
この支援で整理した主なポイント
- 課題は、卸売では最終消費者の購入理由・不満・次の要望が見えないことだった。
- 戦略は卸売とD2Cの複線化。ECの価値を「売場」ではなく「一次顧客データの取得」に置いた。
- 強みは、海外商品の探索力・メーカーとのネットワーク・商品選定・卸売先・商品知識にあった。
- 得たデータを次の商品選定に戻す循環で、卸売の質も高める構造を描いた。
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※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。
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同じような課題を検討している方へ
同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。
補助金・経営支援顧問

