支援事例電子機器検査 / 顧客集中のリスクを分散する新事業
受託検査業の顧客集中リスクを背景に、リユース品買取・販売の新事業へ進出
電子機器や制御設備の検査・調整、技術者の派遣などを法人向けに行ってきた企業が、主要な取引先への依存、受注の減少、外部環境の変化、固定費の負担、既存事業の売上の減少といった課題を背景に、既存の技術の延長ではなく、異なる市場であるリユース品の買取・販売へ進出して、事業の収益源を分散する取り組みを整理した事例です。無理にシナジーをつくらず、主な目的を「依存リスクの分散」と位置づけた点が特徴です。

- 課題主要取引先への依存、受注の減少、固定費の負担などから、既存事業の売上が減少していた。
- 支援した打ち手フランチャイズのモデルを活用して、リユース品の買取・販売の店舗を新たな収益源とし、既存人材の配置転換で運営する取り組みとして整理した。
- 目指す状態顧客集中のリスクを分けるため、異なる市場のリユース事業へ進出する計画。
+OUR SUPPORT
この事例での、ProdX Crowdの支援
事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。
- 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
- 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
- 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
- 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。
01BEFORE
この企業の事業と、強み
この企業は、電子機器や制御設備の検査、調整、技術者の派遣などを行っています。顧客は主に法人です。技術者の力に基づく事業で、顧客の設備に関わる専門性が強みです。
法人向けの受託の事業は、取引が大きい一方で、特定の取引先に売上が集中しやすい構造を持っています。
02PROBLEM
直面していた課題と、その本当の原因
既存事業では、主要な取引先への依存、受注の減少、外部環境の変化、固定費の負担、既存事業の売上の減少といった課題が重なっていました。
真因は、収益を生む事業が一つの市場と少数の取引先に集中していることです。依存の程度が高いほど、取引先の事情が、そのまま自社の売上の変動になります。技術の質を高めるだけでは、この構造は変わりません。
- 1見えていた課題取引先への依存、受注の減少、固定費の負担。
- 2一段奥の原因収益が、一つの市場と少数の取引先に集中している。
- 3真因外部の変化の影響を直接受ける事業構造。
03PROBLEM TREE
課題を掘り下げる
目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。
- 1売上が減っている主要取引先への依存と、受注の減少。
- 2固定費の負担が重い売上の減少に、固定費が追いついていない。
- 3外部の変化の影響を受ける収益が一つの市場に集中している。
04ALT
なぜこの打ち手か|他の選択肢との比較
既存の検査事業の取引先を増やす方法は、技術の延長で進められますが、同じ市場の変動を受け続けます。同業の別分野(別の機器の検査)へ広げる方法も、顧客が法人である点は変わりません。
リユースという別の市場を選んだのは、顧客層も景気の影響の受け方も異なる事業を持つことで、全体の揺れを小さくするためです。フランチャイズを活用することで、立ち上げの知識と仕組みを借り、既存の人材を配置転換して費用を抑える点も、合理的です。
05SYNERGY
この事例の分析|シナジーを無理につくらない
新事業には、既存事業と直接のシナジーが弱い場合があります。この事例も、技術的なつながりは強くありません。受託検査の技術と、リユース品の買取・販売は、顧客も、仕事の中身も異なります。
そのため、この事例では、技術シナジーを無理に説明しません。新事業の主な目的は、顧客や業界への依存のリスクを分散することです。シナジーがなくても、事業の目的が「リスクの分散」であれば、新事業は成立しうる、という考え方です。
- 1新事業の目的顧客・業界への依存リスクの分散。
- 2技術のつながり強くない。無理に説明しない。
06ACTION STEPS
実行に向けた段階(目標)
事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。
- 1依存の度合いの把握取引先ごとの売上の割合を整理します。
- 2新事業の条件確認許認可と、契約条件を確認します。
- 3見直し既存事業との売上の割合を確認します。
07STAKEHOLDERS
関係者ごとに見る|誰にとって何が変わるか
新事業の立ち上げは、複数の立場に影響します。
- 1既存の技術者新事業へ配置転換される場合、役割と待遇が変わる。
- 2フランチャイズの本部研修と仕組みを提供するが、条件は契約で定まる。
- 3経営者既存事業と新事業の両方の判断を担う。
08NOTE
補足|守りの新事業は、小さく試して見極める
収益源を分ける新事業は、会社全体の不安を和らげますが、同時に経営者の時間と資金を、新しい領域へ向けることでもあります。既存事業の水準を保ちながら、新事業を小さく始めて、実際の買取件数と利益を測ってから、規模を広げる順序が、守りの投資では特に重要です。
届かない場合に、撤退や縮小を決める基準をあらかじめ決めておくことも、投資を守ることになります。
09DIAGNOSTIC QUESTIONS
自社に当てはめるときの問い
収益源を分散するときの問いです。
- 1売上は、何社の取引先に依存しているか上位の取引先の割合を数えます。
- 2既存の人材は、新事業に配置できるか配置転換の影響を確認します。
- 3必要な許認可は何か先に確認します。
- 4既存事業の水準を、保てるか新事業に力を割いて、既存が落ちないかを確認します。
10POINT
読み方のポイント|分散は、守りの投資
収益源を分散する新事業は、成長のための投資というより、守りの投資としての性格を持ちます。既存事業が揺らいだときに、会社全体が揺らがないための備えです。
守りの投資には、見えにくい特徴があります。効果が出るのは、問題が起きたときだからです。そのため、平時には、費用だけが目立ちます。投資の評価では、新事業の利益だけでなく、既存事業が落ち込んだ場合に、全体の落ち込みをどれだけ抑えられるかも、見ておく必要があります。
11LEARNINGS
他社が学べること
新事業には、必ずしも既存事業とのシナジーが要るわけではありません。目的が、依存の分散であれば、異なる市場でも成立します。
許認可、契約条件、運営の人員を先に確認し、進めるかどうかを判断します。
12SUMMARY
この支援で整理した主なポイント
- 課題は、主要な取引先への依存と、受注の減少、固定費の負担にあること。
- 構想は、既存技術の延長ではなく、異なる市場に進出して収益源を分散するものである。
- 新事業との技術的なシナジーは弱く、主な目的は依存リスクの分散にある。
13RELATED SERVICES
関連するサービス
※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。
14RELATED CASES
関連する支援事例
店舗支援会社が、低人員運営の冷凍食品無人販売を新たな収益事業として構想
人員に依存しない小売事業として、冷凍食品の無人販売所を構想。
- 当初の課題
- 既存事業は専門性と人員に依存し、成長に伴って人員・管理の負担が増えやすかった。
- 支援した打ち手
- 商品の開発・製造は商品力のある仕入れ先に任せ、立地・販売場所・運営設備・集客に集中する無人販売所を、フランチャイズのモデルで構想した。
- 目指す方向
- 人員に依存しない小売事業として、冷凍食品の無人販売所を構想。
外国人支援の知見を生かし、宿泊事業へ事業領域を拡張
宿泊の利用者が相談事業の入口になり、相談事業の顧客が宿泊の利用者にもなる双方向の流れを整理した。
- 当初の課題
- 特定の顧客層・単一の事業に収益が寄っており、その顧客層の動向が経営リスクになっていた。
- 支援した打ち手
- 「宿泊業へ参入する」のではなく、外国人顧客を理解してきた経験を、訪日外国人の滞在ニーズへ転用する事業として整理した。
- 目指す方向
- 宿泊の利用者が相談事業の入口になり、相談事業の顧客が宿泊の利用者にもなる双方向の流れを整理した。
中古車事業の販促力を生かし、若年層向け飲食事業へ進出
若年層に向けた飲食店で、既存の販促力が顧客獲得に使えるかを検証する多角化の取り組みを整理した。
- 当初の課題
- 自動車という単一の領域に事業が集まっており、市場の変化に対する事業の幅が限られていた。
- 支援した打ち手
- 飲食を「中古車の派生事業」として無理に説明せず、販促・ネットワークの運用力という転用可能な資産に絞って事業を整理した。
- 目指す方向
- 若年層に向けた飲食店で、既存の販促力が顧客獲得に使えるかを検証する多角化の取り組みを整理した。
同じような課題を検討している方へ
同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。
補助金・経営支援顧問

