支援事例農業・食品加工 / 保存と洗浄のボトルネック・販売可能量

保存と洗浄のボトルネックを解消し、キクラゲの販売可能量を拡大

農産物の生産・食品加工・食品イベント・営業支援を営む事業者が、生のキクラゲは保存期間が短く、作れても販売の前に傷んで廃棄になること、乾燥品では洗浄の工程が処理の制約になっていることに向き合い、冷蔵設備と洗浄設備によって、製造量ではなく販売可能量を広げる取り組みを整理した、支援事例です。

業種
農業・食品加工
支援テーマ
食品ロス・処理能力
区分
公的支援制度・設備投資
公的支援制度
公的支援制度を活用
農業・食品加工のイメージ
イメージ画像です。実際の支援先を撮影したものではありません。

+OUR SUPPORT

この事例での、ProdX Crowdの支援

事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。

  • 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
  • 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
  • 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
  • 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。

01STRENGTHS

既存事業の強み

  • 1農産物の生産自ら作る力があり、原料の品質を管理できます。
  • 2食品の加工生のものを、乾燥品などの商品に仕立てる技術があります。
  • 3食品イベントの運営消費者・事業者との接点をつくる場を持っています。
  • 4営業の支援商品を売るための活動に関する知見があります。

02SYNERGY

既存事業とのつながり

生産・加工・イベント・営業支援という、複数の事業を持つことが、この計画の強みです。

  • 1生産 → 加工生産した原料を、保存と洗浄の設備で価値ある商品に仕立てます。
  • 2加工 → イベント商品を、自ら運営するイベントで販売し、消費者の反応を得られます。
  • 3イベント → 取引先・紹介イベントで出会った事業者・消費者が、継続の取引や紹介につながる可能性があります。
  • 4営業支援の知見 → 販路の拡大営業の知見を、EC・地域販売など新しい販路の開拓に使えます。

03PROBLEM TREE

課題を掘り下げる

目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。

  • 1表面|作っても売上にならない傷んで廃棄になる量があります。
  • 2原因|保存の期間が短く、洗浄に時間がかかる二つの工程が、処理能力を制約しています。
  • 3さらに奥|製造量を見て、販売可能量を見ていない指標が、事業の実態を映していません。
  • 4経営上の制約設備と販路が、販売できる量の上限を決めています。

04BUSINESS BEFORE

支援前の事業

この事業者は、農産物の生産、食品の加工、食品に関するイベントの運営、そして営業の支援を手がけています。作った農産物を、自ら加工して商品にし、イベントなどを通じて消費者や事業者に届ける、生産から販売までを一貫して行う事業です。

05PROBLEM1

問題1|生のキクラゲは、保存期間が短い

生のキクラゲは、鮮度が落ちやすく、保存できる日数が限られます。収穫・加工して出荷するまでの間に、傷むものが出てしまえば、販売前に廃棄になります。

図解|生産から販売までの流れ
  1. 1生産量
  2. 2保存
  3. 3販売可能な在庫
  4. 4販売

保存の段階で失われた量は、販売可能量に入らない。

つまり、生産量を増やしても、保存の段階で失われる量が多ければ、販売できる量は増えません。保存の期間が、事業の処理能力の一部になっているのです。

06PROBLEM2

問題2|乾燥品では、洗浄が工程のボトルネック

生が傷みやすいため、乾燥品にして販売する方法があります。しかし、乾燥品を作る工程でも、制約が見つかりました。洗浄の工程です。

洗浄に時間がかかれば、次の乾燥・包装の工程に進める量が限られ、全体の処理能力が、洗浄の速さに制約されます。

07INVESTMENT

投資|冷蔵設備とバブリング洗浄設備

二つの制約に対して、二つの設備が計画されています。

  • 1冷蔵設備生の状態での保存の期間を延ばし、傷んで廃棄になる量を減らします。販売できる日数が増え、販売の機会が広がります。
  • 2バブリング洗浄設備洗浄の工程の処理速度を高めます。洗浄の待ちが減り、乾燥・包装の工程に、より多くの量を流せます。
図解|二つのボトルネックと設備

キクラゲの販売可能量

保存の制約

  1. 保存期間が短い
  2. 傷んで廃棄
  3. 冷蔵設備で保存可能日数を延ばす

洗浄の制約

  1. 洗浄に時間がかかる
  2. 次の工程に進める量が限られる
  3. バブリング洗浄設備で処理速度を高める

結果(目標)

  1. 廃棄の減少
  2. 販売可能量の増加
  3. 売上の機会の拡大

08LOGIC

処理能力の考え方|食品では「販売可能な期間」も能力になる

製造業の処理能力は、一般に、設備の稼働量で考えます。しかし、傷みやすい食品では、「販売できる期間の長さ」も、事業の処理能力の一部です。

同じ量を作っても、保存できる日数が長ければ、販売の機会が増え、廃棄が減ります。保存可能日数を延ばすことは、製造量を増やすことと同じくらい、販売可能量を増やす手段になります。

図解|保存日数と売上の関係
  1. 1保存可能日数 ↑冷蔵設備
  2. 2廃棄 ↓傷む前に売れる
  3. 3販売可能量 ↑販売に回せる量
  4. 4売上機会 ↑販路を広げられる

09CHANNEL

販路|増える販売可能量を受け止める

販売可能量が増えても、販路がなければ、売れません。支援では、次の販路が整理されています。

  • 1既存の取引先現在の取引関係を通じた販売です。安定した入口になります。
  • 2イベント自ら運営する食品イベントなどで、消費者・事業者に直接届けます。
  • 3紹介取引先や顧客からの紹介です。
  • 4EC全国の消費者に届ける通販です。保存性が高まれば、配送の選択肢も広がります。
  • 5地域での販売地域の店舗や直売での販売です。

保存期間が延びると、販路の選択肢が広がります。遠くへ届ける、時間をかけて売る、といった販売の方法が、取りやすくなります。

10PUBLIC SUPPORT

公的支援制度の位置づけ

この構想は、経営課題の特定と事業戦略が先にあり、公的支援制度は、投資を実行する際の資金手段の一つとして検討されるものです。制度の対象・要件・公募の時期・手続きは、公式の情報で確認する必要があります。補助金の有無にかかわらず、その投資が事業として成立するかを先に確かめることが重要です。

11STAKEHOLDERS

関係者ごとに見る|誰にとって何が変わるか

設備の構想は、社内の担当者・取引先・消費者のそれぞれに影響します。

  • 1生産・加工の担当者洗浄の待ちと廃棄が減り、作業の見通しが立ちます。新しい設備の運用の教育が必要です。
  • 2既存の取引先供給の安定と、納品の選択肢が広がる可能性があります。
  • 3イベントの来場者・消費者鮮度の高い商品を、選べる機会が増えます。
  • 4EC・地域販売の購入者遠方への配送や、継続的な購入がしやすくなる可能性があります。

12ACTION STEPS

実行に向けた段階(目標)

事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。

  • 1現状の測定廃棄量・保存の日数・洗浄の処理量を記録します。
  • 2設備の選定と導入必要な能力を決め、設備を導入して、運用の条件を確立します。
  • 3販路の整備既存取引先・イベント・EC・地域販売の役割を決めます。
  • 4効果の確認と調整廃棄・販売可能量・在庫を導入前と比べ、製造量と販路を調整します。

13TAKEAWAY

この事例から分かること

以下は、この事例から一般的に考えられる経営上のポイントです。実際に行った支援内容とは区別しています。

  • 1製造量ではなく、販売可能量を見る傷む、売れ残る量を引いた数字が、事業の実力です。
  • 2二つの制約を、別々に特定する保存と洗浄の制約には、それぞれ別の設備が必要です。
  • 3増える量を受け止める販路を、同時に設計する設備だけでなく、販路の拡大と合わせて進めます。

14HOW TO USE

自社の計画に使うときの読み方|傷みやすい商品の販売可能量を増やす

この事例を、自社の検討に使うときは、業種の違いに引きずられず、構造を取り出して当てはめると役に立ちます。次の問いに、自社の場合を書き込んでみてください。

  • 1自社の「作った量」と「売れる状態で届けた量」は、どれだけ違うか廃棄・ロスを、記録して数えます。
  • 2ロスは、どの工程で、なぜ起きているか保存・加工・輸送・販売の段階に分けます。
  • 3工程の中に、処理速度を決めている作業はないか洗浄・選別・包装など、待ちが生じる工程を探します。
  • 4設備は、販売可能量をどれだけ増やすか保存日数と処理量の変化を、売上の算式に置き換えます。
  • 5増えた量を、どの販路で売るか販路ごとの役割と、在庫の考え方を決めます。

15SUMMARY

この支援で整理した主なポイント

  • 経営上見るべき数字は、製造量ではなく「販売可能量」だと整理した。
  • 生の商品は保存期間が短く、傷んで廃棄になる。乾燥品は洗浄が処理能力の制約になる。
  • 冷蔵設備とバブリング洗浄設備で、保存と洗浄の二つのボトルネックに対応する。
  • 既存取引先・イベント・紹介・EC・地域販売という複数の販路で、増える販売可能量を受け止める。

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※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。

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同じような課題を検討している方へ

同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。