支援事例金属加工 / 加工技術の福祉製品への転用
精密金属加工の技術を福祉関連製品へ応用し、新たな販路を開拓
金属加工製品・部品を製造販売する企業が、既存事業は安定しているものの従来製品の販売だけでは売上の伸びに限界があるとして、既存の加工技術を福祉関連製品へ転用し、展示会とECで新しい顧客に届ける取り組みを整理した事例です。展示会とECを同じ役割として扱わず、役割を分ける考え方が読みどころです。

- 課題既存事業は比較的安定しているが、従来製品の販売だけでは売上成長に限界があった。
- 支援した打ち手加工技術を福祉関連の新製品へ転用し、展示会とECの役割を分けて新しい販路を整理した。
- 目指す状態車椅子向けハンドリムや浴室用手すりなどの製品開発と、法人・個人双方への販路を計画として描いた。
+OUR SUPPORT
この事例での、ProdX Crowdの支援
事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。
- 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
- 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
- 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
- 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。
01BEFORE
この企業の事業と、強み
この企業は、金属加工製品・部品を製造し、販売しています。既存事業は比較的安定していて、すぐに困っている状態ではありません。持っている力は、金属を精密に加工する技術です。
安定は強みですが、同時に、成長の方向を探しにくくする面もあります。急ぐ理由がないため、新しい取り組みが後回しになりやすいからです。この企業は、安定している今のうちに、次の売上の柱を考えようとしました。
02PROBLEM
直面していた課題と、その本当の原因
表面の課題は、従来製品の販売だけでは、売上の成長に限界があることでした。真因は、既存の製品を既存の販路で売るかぎり、市場の大きさが決まっている点にあります。技術が優れていても、売り先が同じなら、売上の伸びは頭打ちになります。
そこで視点を変えます。「何を作れるか」ではなく「その技術が、どこで必要とされているか」を問うのです。
- 1見えていた課題従来製品の販売だけでは成長に限界。
- 2一段奥の原因既存の製品と既存の販路に限られている。
- 3真因加工技術が、他の市場で使われる形になっていない。
03PROBLEM TREE
課題を掘り下げる
目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。
- 1売上の成長に限界がある従来製品の販売先が、既存の販路に限られている。
- 2技術が別の市場で使われていない加工技術を、他の用途の製品へ転用していない。
- 3新しい顧客と出会う機会が少ない展示会やECなど、新しい接点が不足している。
04STRATEGY
選んだ打ち手と、その理由
構想は、既存の金属加工技術を使って新製品を開発し、新しい市場へ、展示会とECを通じて、新しい顧客へ届けるというものです。新製品は、車椅子向けのハンドリム、浴室用の手すりなど、福祉関連の製品です。
販路は、既存製品と新製品で分けて考えます。既存製品は、産業展示会などで新しい取引先を開拓します。新製品は、福祉関連の展示会で新しい顧客と出会います。さらに、ECを構築して、直接販売の可能性も検討します。
- 1既存の技術金属の精密加工
- 2新製品の開発ハンドリム・手すり
- 3新しい市場福祉関連
- 4展示会・EC接点と購入
- 5新しい顧客法人・個人
05CHANNEL
展示会とECは、同じ役割ではない
この計画の重要な考え方は、展示会とECの役割を分けていることです。展示会は、認知、商談、法人取引のための場です。ECは、商品の理解、問い合わせ、購入のための場です。
展示会では、実物を見せ、対面で話し、取引につなげます。ECでは、時間や場所を選ばずに、商品の情報を確かめ、問い合わせたり、購入したりできます。同じ「販路」でも、顧客の段階が違います。役割を分けておけば、どちらが何を担い、何で成果を測るのかが明確になります。
- 1展示会認知・商談・法人取引。
- 2EC商品の理解・問い合わせ・購入。
- 3成果の見方展示会は商談の件数、ECはアクセス数と購入率。
06STAKEHOLDERS
関係者ごとに見る|誰にとって何が変わるか
新しい市場では、関わる人が増えます。
- 1製品を使う人使いやすさと安全性を求める。
- 2購入を決める法人価格、供給の安定、実績を求める。
- 3製造する企業既存事業と並行して、新製品を開発する。
07COMPARISON
既存製品と新製品|販路の違い
既存製品は、産業向けの展示会で新しい取引先を開拓します。取引先は産業分野の企業で、仕様や価格を中心に商談が進みます。
新製品は、福祉関連の展示会で出会う顧客が異なります。使う人の視点が加わり、使いやすさや安心を示す情報が、より重要になります。
08PRODUCT
製品の考え方|機能だけでなく、使う場面から
ハンドリムや手すりは、金属の加工精度を示す製品である前に、毎日の生活で使われる道具です。握りやすさ、滑りにくさ、取り付けやすさなど、使う場面で感じる点が、製品の価値を決めます。加工の技術を、使う人の言葉に翻訳することが、新しい市場で選ばれる条件になります。
技術を持つ製造業が新しい市場へ入るとき、仕様書の言葉をそのまま使うと、使う人には伝わりません。展示会でもECでも、「この製品で何が楽になるのか」を示す説明が必要です。
- 1使う人の言葉で説明する加工精度ではなく、使う場面での変化を伝える。
- 2写真や実物で示す展示会では実物を触ってもらい、ECでは使う場面を示す。
- 3問い合わせの入口を用意する仕様や取り付けに関する質問を、受け付ける窓口を設ける。
09ACTION STEPS
実行に向けた段階(目標)
事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。
- 1要件の確認福祉関連製品に求められる条件を整理します。
- 2試作試作品を作り、使う人の声を集めます。
- 3展示会への出展商談の件数と内容を記録します。
- 4EC の構築商品の情報と、購入までの流れを整えます。
- 5改善商談とアクセスの結果から、製品と販路を見直します。
10DIAGNOSTIC QUESTIONS
自社に当てはめるときの問い
技術を別の市場へ転用するときの問いです。
- 1自社の技術は、どんな課題を解決できるか製品名ではなく、解決できる課題から考えます。
- 2その市場の顧客は、誰か製品を使う人と、購入を決める人が異なる場合があります。
- 3市場に求められる安全や性能の条件は何か根拠なく性能を語らず、条件を先に確認します。
- 4展示会とECの役割は分けられているか商談と購入の段階を別に設計します。
- 5試作の段階で、使う人の声を聞けるか早く声を集めるほど、手戻りが減ります。
- 6既存事業の安定を、どう保つか新しい取り組みを、既存事業の負担にしないようにします。
11LEARNINGS
他社が学べること
この事例は、「うちの技術を、まだ使っていない市場はないか」と問い直す方法を示しています。加工、設計、素材といった技術は、用途を変えると、別の顧客にとって価値になります。
また、展示会とECのように、複数の販路を持つときは、どちらが何を担うかを先に決めると、成果の測り方も、改善の打ち手も、はっきりします。販路を増やすことと、役割を分けることは、セットで考えるものです。
12SUMMARY
この支援で整理した主なポイント
- 課題は、安定している既存事業だけでは売上の成長に限界があることだった。
- 手がかりは、金属を加工する技術が、別の市場でも価値を持ちうることにある。
- 構想は、展示会を法人取引の入口に、ECを商品理解と購入の入口に、役割を分けて設計する。
13RELATED SERVICES
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※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。
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同じような課題を検討している方へ
同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。
補助金・経営支援顧問

