支援事例伝統工芸 / 和紙の現代的な商品開発

伝統和紙の技術と現代的なデザインを組み合わせ、新しい顧客層を開拓

伝統的な手漉き和紙、型染め和紙、加工品の製造と販売を手がけ、工芸の体験や関連施設の運営も行い、セレクトショップや小売店との取引を持つ和紙のメーカーが、取引先や消費者から、現代的でシンプルなデザインの和紙製品への需要を把握していたものの、従来の伝統工芸品だけでは一部の顧客のニーズに十分応えられていなかったという状況から、デザインの検討、シワや折れ線の加工、金型の設計、プレス加工を組み合わせた新しい紙製品を開発し、展示会に出展して販路を広げる取り組みを整理した事例です。伝統産業の事業革新は、伝統の技術を捨てることではなく、既存の技術を、顧客のニーズ、デザイン、外部の加工技術によって別の価値へ転換することにある、という点が読みどころです。

業種
伝統工芸・紙製品
支援テーマ
伝統技術を、デザインと外部加工で新しい価値に
区分
経営コンサルティング
伝統工芸・紙製品のイメージ
イメージ画像です。実際の支援先を撮影したものではありません。

+OUR SUPPORT

この事例での、ProdX Crowdの支援

事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。

  • 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
  • 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
  • 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
  • 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。

01BEFORE

この企業の事業と、強み

この会社は、伝統的な手漉き和紙、型染め和紙、加工品の製造と販売を行い、工芸の体験や関連施設の運営も行っています。既存のセレクトショップや小売店との取引があります。

02PROBLEM

直面していた課題と、その本当の原因

取引先や消費者から、現代的でシンプルなデザインの和紙製品への需要を把握していました。従来の伝統工芸品だけでは、一部の顧客のニーズに十分応えられていませんでした。

真因は、伝統の技術が、現代の暮らしに合う形(デザインと加工)に翻訳されていないことです。

  • 1見えていた課題現代的でシンプルなデザインへの需要。
  • 2一段奥の原因従来の商品の形が、需要と合っていない。
  • 3真因伝統技術を新しい形にする設計・加工の手段が自社にない。

03PROBLEM TREE

課題を掘り下げる

目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。

  • 1需要と商品の不一致現代的なデザイン。
  • 2技術が従来の形に限られる翻訳する手段がない。
  • 3販路が限られる既存の取引先のみ。

04STRATEGY

選んだ打ち手と、その理由

戦略は、伝統の和紙に、デザイン、金型の製作、プレスの加工を組み合わせて、新しい和紙の商品を作ることです。具体的には、デザインの検討、シワの加工、折れ線の加工、金型の設計、プレス加工、新しい紙製品、展示会への出展です。

協業のモデルは、和紙メーカーが、デザイナー、金型とプレス加工の会社とつながり、製品化し、セレクトショップや百貨店などへ届ける流れです。自社に足りない設計と加工の技術を、外部と組むことで補います。

図解|和紙メーカー → デザイナー → 金型・プレス加工 → 製品化 → セレクトショップ等
  1. 1和紙メーカー伝統の技術
  2. 2デザイナー現代的な形
  3. 3金型・プレス加工外部の技術
  4. 4製品化新しい紙製品
  5. 5販売先セレクトショップ等

05ALT

なぜこの打ち手か|他の選択肢との比較

従来の商品を磨く選択は、技術の強みを活かせますが、現代的なデザインの需要には応えにくいままです。

外部のブランドに技術を提供するOEMの選択は、販路が得られますが、自社の価値の発信は限られます。自社の商品として開発する選択は、価値を所有できますが、開発の責任を負います。

06ACTION STEPS

実行に向けた段階(目標)

事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。

  • 1需要の確認求める形を聞きます。
  • 2試作デザインと加工を試します。
  • 3展示会反応を集めます。
  • 4販売取り扱いを増やします。

07NOTE

補足|ブランドと技術の見せ方

現代的なデザインの商品でも、伝統の技術を使っていることは、価値の一つになります。ただし、デザインを前面に出すか、技術を前面に出すかで、買う人が変わります。展示会や販売店での反応を聞いて、伝え方を調整します。

協業するデザイナーや加工の会社とは、役割、費用の分担、権利の帰属、販売後の改良の進め方を、最初に文書で決めておくと、後の食い違いを避けられます。

商品のラインを増やす場合も、最初の商品の反応を確かめてからにします。

08NOTE

補足|自社で試すときの順序

最初に、取引先や消費者から寄せられた要望を、具体的な形(サイズ、色、使い方)に書き直します。次に、自社の技術で作れる部分と、外部の技術が必要な部分を分けます。

試作は、少数で作り、販売店や展示会で反応を聞きます。金型は費用が大きいため、反応を確かめてから発注します。販売店ごとの個数の構想は、実際の取り扱いが決まるまで、仮の数字として扱います。

また、協業する会社との間で、デザインの権利、金型の所有、費用の分担を文書にしておきます。

09DIAGNOSTIC QUESTIONS

自社に当てはめるときの問い

伝統技術の事業革新を考えるときの問いです。

  • 1顧客の求める形(デザイン)は何か需要を具体化する。
  • 2自社に足りない技術は何か外部との協業を設計する。
  • 3販売先との取り扱いは決まっているか計画と確定を分ける。
  • 4デザインの権利は誰に帰属するか契約で確認。

10POINT

読み方のポイント|伝統を守るために、形を変える

伝統の技術は、使われてこそ続きます。顧客の暮らしに合う形に翻訳することは、技術を捨てることではなく、技術の使い道を広げることです。

足りない力は外部と組んで補い、権利の関係を最初に整理します。

11HOW TO USE

自社の計画に使うときの読み方|伝統の技術を持つ事業者

この事例を、自社の検討に使うときは、業種の違いに引きずられず、構造を取り出して当てはめると役に立ちます。次の問いに、自社の場合を書き込んでみてください。

  • 1顧客が求める新しい形は何か聞き取り。
  • 2自社に足りない技術は何か外部との協業。
  • 3デザインや金型の権利は誰にあるか契約で確認。

12SUMMARY

この支援で整理した主なポイント

  • 課題は、従来の伝統工芸品だけでは、現代的でシンプルなデザインへの需要に応えられないこと。
  • 打ち手は、和紙+デザイン+金型+プレス加工による新しい紙製品と、展示会での販路開拓。
  • 実在の取引先名・職人名・固有のデザインを公開せず、権利関係を確認する。

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※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。

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