支援事例地域振興 / 対面型事業からオンライン体験プラットフォームへ

地域体験をオンライン化し、生産者と都市部の消費者をつなぐ新事業を構想

地方自治体などに対して地域ブランディングや観光コンテンツ制作、イベント企画を行ってきた企業が、感染症の拡大でイベントや観光関連の案件が延期・中止となり、対面型の事業に依存する事業の構造の弱点が見えたことを受けて、地域の魅力をオンラインで届け、生産者と都市部の消費者をつなぐサービスを構想した事例です。2020年頃の環境を背景にした計画であり、構想の組み立てを読み解きます。

業種
地域振興・観光
支援テーマ
体験のオンライン化
区分
経営コンサルティング
地域振興・観光のイメージ
イメージ画像です。実際の支援先を撮影したものではありません。

+OUR SUPPORT

この事例での、ProdX Crowdの支援

事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。

  • 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
  • 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
  • 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
  • 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。

01BEFORE

この企業の事業と、強み

この企業は、地方自治体などに対して、地域のブランディング、マーケティング、観光コンテンツの制作、イベントの企画などを行ってきました。強みは、地域の生産者や事業者とのネットワーク、地域の魅力を商品や体験に変える企画力、デザイン・広告・Web制作の実行力、そして地域向けのプロモーションの経験です。

これらは、一つひとつが受託の仕事の中で磨かれた力です。受託の仕事は、依頼があって初めて成り立つため、依頼の数と時期に収益が左右されます。

02PROBLEM

直面していた課題と、その本当の原因

感染症の拡大により、イベントや観光に関する案件が延期・中止となり、対面型の事業に依存する事業の構造の弱点が表れました。地域の魅力を消費者へ届けるには、これまでは現地への来訪やイベントの開催が必要でした。

真因は、価値の届け方が「現地へ来てもらう」ことに固定されていた点にあります。企画力もネットワークもあるのに、届ける手段が一つに限られていたため、その手段が使えなくなると、事業全体が止まります。

  • 1見えていた課題イベント・観光案件の延期・中止で、収益が落ちる。
  • 2一段奥の原因対面型の事業への依存。
  • 3真因地域の魅力を届ける手段が、現地への来訪に固定されている。

03PROBLEM TREE

課題を掘り下げる

目に見える問題から、その原因、さらにその奥にある経営上の制約まで、順に掘り下げて整理しました。表面の症状に対処するだけでは、同じ問題が形を変えて戻ってくるためです。

  • 1案件の延期・中止で収益が落ちる対面型の事業に依存している。
  • 2地域の魅力を届けられない届ける手段が、現地への来訪に限られている。
  • 3事業が受託にとどまる蓄積した力を、他の事業者が使える形にしていない。

04STRATEGY

選んだ打ち手と、その理由

構想は、対面型の地域体験を、オンラインの体験に置き換え、地域の生産者や観光事業者に参加してもらい、都市部の消費者との接点をつくり、体験の販売や商品の購入につなげることです。具体的な打ち手として、オンラインのマルシェ、バーチャルツアー、オンライン予約、会員管理、商品販売、360度の映像などの活用、配信機器の事業者向けの貸出が挙がっています。

この事業は、単にイベントをオンラインで開催するだけではありません。これまで受託で蓄積した地域のネットワーク、企画力、集客のノウハウを、複数の地域事業者が利用できるプラットフォームへ転換する計画です。受託の仕事を一件ずつ請ける立場から、事業者が使える場を運営する立場への移行です。

図解|地域生産者と消費者の二面市場
  1. 1地域事業者
  2. 2オンライン体験
  3. 3都市部の消費者
  4. 4体験・物販
  5. 5地域への売上還流

出店する事業者と、利用する消費者の両方を集める必要がある。

05ALT

なぜこの打ち手か|他の選択肢との比較

対面イベントの再開を待つことも、選択肢のひとつでした。ただしその間、収益は延期や中止の影響を受け続けます。自治体からの受託を増やす方法もありますが、依頼に依存する構造は変わりません。

オンライン体験を独自のプラットフォームにする選択は、依存の構造そのものを変える点で、最も大きな転換です。同時に、二面市場の立ち上げという難しさを抱えます。そのため、特定の地域と少数の体験から始め、参加者の反応を見て広げる順序が、現実的です。受託で築いた地域との信頼関係は、最初の出店者を集める際の、最大の資産になります。

06MODEL

事業モデル

  • 1WHO参加する地域の生産者・観光事業者と、都市部の消費者。
  • 2WHATオンラインの地域体験、物販、予約・会員の管理。
  • 3HOW受託で培った企画・制作力と、配信機器の事業者向け貸出。
  • 4CHANNEL既存の地域ネットワークと、集客のノウハウ。
  • 5COST配信の機器・制作、運営人員、集客、決済。

07ACTION STEPS

実行に向けた段階(目標)

事業計画で整理された実行の順序を、段階として示します。時期や規模は、策定時点の想定です。

  • 1体験の候補の整理参加を望む事業者と、体験の内容を決めます。
  • 2試行少数で開催し、参加人数と満足を確かめます。
  • 3仕組みの整備予約・会員・決済の仕組みを整えます。
  • 4拡大地域と事業者の数を広げます。

08DIAGNOSTIC QUESTIONS

自社に当てはめるときの問い

受託の経験を、プラットフォームにするときの問いです。

  • 1受託の仕事の中で、繰り返し使っている力は何か企画、ネットワーク、集客など、仕事を超えて使える力を選びます。
  • 2供給する側は、参加する理由を持てるか費用に見合う効果を示せるかを確かめます。
  • 3利用する側は、何度も使いたくなるかリピートの理由を、体験の内容から考えます。
  • 4最初の絞り込みは、どの地域・分野か広く薄くではなく、狭く濃く始めます。
  • 5環境が変わっても、成り立つ設計か特定の環境に依存しすぎていないかを確認します。

09POINT

読み方のポイント|対面とオンラインは、置き換えではなく選択肢

この事例は、対面からオンラインへの置き換えとして読むこともできますが、より重要なのは、届ける手段の選択肢を増やしたことです。手段が一つのときは、その手段が使えない時に事業が止まります。複数の手段を持てば、環境の変化に耐えやすくなります。

オンラインの体験には、遠くの人が参加できる、天候に左右されない、記録を残せるといった特徴があります。一方で、現地の空気や、実際に会う価値は、対面にしかありません。どちらが優れているかではなく、顧客が求めるものに合わせて、手段を選べる状態をつくることが、企業の強さになります。

10LEARNINGS

他社が学べること

受託型の事業は、仕事の数と時期に収益が左右されます。蓄積した力を、複数の相手が使える仕組みにできれば、受託の合間にも収益を生む基盤になります。

ただし、仕組みにするには、供給する側と利用する側の両方に、続ける理由が必要です。二面市場の立ち上げは、どちらかを先に十分に集めるか、特定の地域・分野で同時に小さく始めるかを決めることから始まります。

11SUMMARY

この支援で整理した主なポイント

  • 課題は、対面型の案件に収益が偏り、延期・中止の影響を受けやすいこと。
  • 資産は、地域の生産者・事業者とのネットワーク、企画力、集客のノウハウにある。
  • 構想は、受託の経験をプラットフォームに転換する構想で、二面市場の課題を伴う。

12RELATED SERVICES

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※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。

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同じような課題を検討している方へ

同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。