支援事例飲食・医療 / 新分野展開・訪問サービス・IT・高齢化社会
飲食店経営で培った顧客対応力を、訪問型の薬局サービスへ。
複数の飲食店を運営し、地域住民・会社員・観光客に食事と接客を提供してきた企業が、来店を前提とする事業モデルの弱さが外部環境で表面化するなか、高齢化・医療人材不足・服薬ミスといった社会課題に向き合い、介護施設等を主な顧客とする訪問型の調剤・服薬支援サービスを構想した、支援事例です。

- 課題店に来てもらうことを前提にした事業モデルそのものの脆さが課題になっていた。外部環境の変化に、経営が直接左右される構造だった。
- 支援した打ち手飲食で培った接客・人材教育・地域の関係を活かし、介護施設等へ訪問して調剤・服薬管理・オンライン研修・緊急時対応を行うサービスを構想した。薬剤師が専門業務に集中できる役割分担と、訪問の体制もあわせて設計した。
- 目指す状態価格ではなく服薬管理・教育・オンライン対応・緊急時対応で選ばれる、地域に寄り添う訪問型のサービスを目指す。制度で価格が決まる分野で、中身で選ばれる設計を目指す。
+OUR SUPPORT
この事例での、ProdX Crowdの支援
事業の構想と計画を、経営の判断としてたどれるように整理する支援を行いました。支援の範囲は構想・計画の整理までで、実施や成果を示すものではありません。
- 課題と真因の整理表面の問題と、その奥の原因を切り分けました。
- 強みの棚卸しと打ち手の検討すでにある経営資源を、どう使うかを複数の選択肢で比べました。
- 取り組みの具体化進める順序と、現場で何が変わるのかを、言葉と図で整理しました。
- 実行の条件の整理法令・安全・体制など、進める前に確かめることを洗い出しました。
01STRENGTHS
会社が持っていた強み
飲食店で培われてきた強みは、次のように整理されています。
- 1地域密着型のサービス地域に根ざした営業は、地域の人々の暮らしや課題を知ることにつながります。
- 2顧客との継続的な関係繰り返し訪れるお客様との関係は、信頼の蓄積です。
- 3従業員の接客技術相手に寄り添い、安心してもらう振る舞いは、飲食以外の分野でも価値を持ちます。
- 4地元企業とのネットワーク地域の事業者とのつながりは、新しい事業の協力先・紹介先になりえます。
02CORE ISSUE
本質的な経営課題
本質的な課題は、「店に来てもらうことを前提とする事業モデルの弱さ」です。来店がなければ売上がない構造では、外部環境の変化に経営が左右されます。
一方で、飲食店の経営で積み上げた、地域の人々と信頼関係をつくる力や、人を育てる力は、来店を前提としない事業でも使えるはずです。課題は、「この無形の資産を、どの分野で活かせるか」でした。
03STRATEGY
選んだ打ち手と、その理由
新事業の分野は、飲食のように人が集まる場に頼らず、訪問して関係をつくる事業が選ばれました。
価格は、制度によって決まる部分が大きく、他の薬局との差別化には使えません。そこで、価格ではなく、サービスの中身で選ばれることが戦略の核になります。具体的には、服薬管理、教育、オンラインでの対応、緊急時の対応です。
- 1飲食店で蓄積した接客・地域との関係・人材育成
- 2医療専門人材と組み合わせる
- 3訪問するサービスとして設計する
- 4服薬管理・オンライン教育・緊急時対応で選ばれる
04COMPANY / BUSINESS
どのような会社だったのか
この企業は、複数の飲食店を運営しています。顧客は、地域に住む人々、会社員、観光客など。提供しているのは、食事だけではありません。接客、そして店でのコミュニケーションを含めた体験全体です。
飲食店の運営では、毎日多くのお客様と顔を合わせます。顔なじみのお客様の好みを覚え、体調や様子の変化に気づき、声をかける。そうした積み重ねが、地域の中での信頼をつくっています。
05BACKGROUND
経営環境に何が起きていたのか
コロナ等の外部環境の変化により、飲食店の来店数が不安定になりました。来店してもらうことを前提とした事業は、外部環境の変化の影響を直接受けます。
06VISIBLE PROBLEM
当初見えていた問題
経営者が認識していた問題は、来店数の不安定さと、費用の上昇でした。飲食店の経営改善としては、メニューの見直し、価格の調整、営業時間の工夫など、さまざまな方法が考えられます。しかし、これらは、店に来てもらうことを前提にした改善です。
07SOCIAL CONTEXT
社会課題との接点
新事業の分野として選ばれたのは、医療・薬局の領域です。背景には、いくつかの社会課題が整理されています。
- 1高齢化介護を必要とする人が増え、介護施設での薬の管理の重要性が高まっています。
- 2離島など医療資源の限られた地域医療の人材が不足している地域では、薬の提供や相談の機会が限られます。
- 3薬剤師の不足専門人材の不足が、訪問や相談の対応を難しくしています。
- 4服薬ミスや情報不足複数の薬を飲む高齢者の服薬には、誤りが起きやすく、介護スタッフへの情報共有も課題になります。
08KEY QUESTIONS
事業計画を考える上で整理した論点
整理された論点は次のとおりです。
- 1誰を顧客にするのか介護施設、入居者、介護スタッフ、看護師、ケアマネージャー、医師など、複数の関係者の立場の違い。
- 2何を解決するのか服薬の管理、誤飲の防止、情報の共有、緊急時の対応。
- 3既存の何を転用できるか接客、地域の関係、人材教育、サービス運営。
- 4新たに必要なものは何か薬剤師などの医療専門人材、制度に沿った運営、訪問の体制。
- 5どこで差別化するか価格は制度上差別化しにくいため、サービスの中身で差別化する。
- 6人材をどう確保するか薬剤師が不足する市場で、専門業務に集中できる体制をどうつくるか。
- 7IT をどう使うかオンラインセミナーや、教育コンテンツの蓄積・管理。
09EXISTING ASSETS
新事業に活用できる経営資源
飲食業と薬局は、商品としては大きく異なります。しかし、事業を支える無形の資産には共通点があります。
- 1地域に寄り添う接客高齢の入居者や施設のスタッフと、安心できる関係をつくる土台になります。
- 2人材教育の経験訪問する人員や、研修の運営に活かせます。
- 3顧客ネットワーク地元の事業者との関係が、紹介や協力の入口になります。
- 4サービス運営の経験複数店舗を運営してきた経験は、拠点や担当を調整する運営に役立ちます。
10MARKET / CUSTOMER
どの顧客・市場を狙ったのか
主な顧客は、介護施設等です。ただし、サービスの関係者は、施設だけではありません。入居者本人、介護スタッフ、看護師、ケアマネージャー、医師など、立場の異なる複数の人々が、それぞれ異なる関心を持っています。
介護スタッフは、服薬の管理を日常業務の中で担っています。誤った薬を渡したり、飲み忘れたりすれば、重大な問題になりかねません。そのため、スタッフにとっては、服薬の管理を確実に行える仕組みや、判断に迷ったときにすぐ相談できる相手が、大きな価値になります。
11SERVICE / PRODUCT DESIGN
商品・サービスをどう設計したのか
サービスは、薬を届けるだけではありません。
- 1訪問と服薬管理施設を訪問し、入居者一人ひとりの服薬を管理します。
- 2オンライン指導訪問できない時間にも、画面越しに相談できます。
- 3誤飲等に関する研修介護スタッフが、服薬の安全について学べる機会を提供します。
- 4緊急時のホットライン急な状況の変化があったときに、すぐ連絡できる窓口をつくります。
- 5医療スタッフとの情報共有医師や看護師、ケアマネージャーと、必要な情報を共有します。
薬機法や医療に関する制度への適合は、事業を実施する段階で、専門家と確認しながら進める必要があります。
12SALES / MARKETING
どう顧客を獲得する計画だったのか
最初の接点は、地元企業とのネットワークや、地域の関係を通じた紹介です。その後、施設の運営者に向けて、服薬管理、教育、緊急時対応のサービスの中身を丁寧に説明し、信頼を得ていく流れが想定されます。オンラインのセミナーを通じて、施設のスタッフに、サービスの価値を知ってもらう機会もつくります。
13REVENUE STRUCTURE
事業の仕組みをどう考えたのか
収益の中心は、調剤や服薬管理に関わる対価です。これに加え、教育や研修といったサービスの価値をどう収益として位置づけるかが、検討の対象になります。
14IMPLEMENTATION PLAN
実行に向けて何を準備する計画だったのか
最も重要な準備は、人材の体制です。薬剤師が不足している市場だからこそ、薬剤師が専門的な業務に集中できるよう、訪問の体制や役割分担を設計することが、運営モデルの核になります。
また、オンラインセミナーの仕組みや、将来的には教育コンテンツを蓄積・管理する仕組みも検討されています。
15DECISION AXES
意思決定の背景|なぜ「訪問」であり、なぜ「価格以外」で選ばれようとするのか
飲食店の弱さは、来店してもらわなければ売上が生まれないことでした。この弱さを解消するには、事業の形を、「来てもらう」から「出向く」へ変える必要があります。介護施設への訪問は、まさにその形に合っています。一度信頼を得れば、施設とは継続した関係が生まれます。
一方で、薬局の分野では、価格が制度によって大きく決まり、他の薬局との差別化には使えません。価格で選ばれないなら、サービスの中身で選ばれるしかありません。服薬の管理、スタッフへの教育、オンラインで相談できること、緊急時に連絡できる窓口。これらは、施設のスタッフが日々感じている不安や負担に、直接応えるものです。
ここで、飲食店で培った力が活きると考えられています。施設のスタッフに安心してもらい、困ったときに頼ってもらえる関係をつくること。これは、お客様の好みや様子を覚えて接してきた飲食店の接客と、本質的に同じ種類の仕事です。
16RISKS & CHECKS
実行前に確認しておきたい点
医療に関わる事業であるため、通常の新規事業よりも、確認すべき事項が多くなります。
- 1制度と許認可への適合薬局や調剤に関する制度は厳格です。事業を始める前に、必要な許可や、運営の要件を、専門家とともに確認する必要があります。
- 2薬剤師の確保薬剤師が不足している市場で、必要な人員を確保できるかは、事業の成立に直結します。
- 3責任の範囲服薬に関する誤りは、重大な結果につながりえます。訪問時の確認手順や、記録の方法、緊急時の連絡の流れを、事前に定めておく必要があります。
17WHAT IT MEANS
この計画が意味していること
この事例は、「全く異なる業種への転換」に見えますが、事業を支える無形の資産の視点で見ると、連続性があります。地域の信頼、接客の技術、人を育てる経験、サービスを運営する力。これらは、業種が変わっても持ち運べる資産です。
同時に、事業の価値を「価格」以外で説明することが、制度で価格が決まる分野での事業設計の要点であることも示しています。
18FOR THE CUSTOMER
施設と入居者から見たときの変化
施設のスタッフにとって、この計画が意味するのは、「服薬の不安を、一人で抱えなくてよくなる」ことです。判断に迷ったときに連絡できる窓口があり、誤飲などへの備えを学ぶ機会があり、医師や看護師との情報共有も整う。日々の業務に伴う心理的な負担が、仕組みとして軽くなります。
入居者にとっては、薬を正しく、安心して飲める環境が整うことが、最も大きな変化です。顔なじみのスタッフと、地域に根ざした事業者が連携して見守る。飲食店で培った「人に寄り添う力」が、その見守りの質を支えます。
19CONSULTING PERSPECTIVE
この事例から分かる経営上のポイント
以下は、この事例から一般的に考えられる経営上のポイントです。実際に行った支援内容とは区別しています。
- 1商品の違いではなく、無形の資産で事業を見る接客・信頼・人材育成は、業種を超えて使える資産です。
- 2来店を前提とする事業のリスクを点検する外部環境に左右されにくい、訪問や提供の形を考える視点です。
- 3価格で差別化できない市場では、中身で選ばれる設計を制度で価格が決まる分野ほど、サービスの質を言葉にする必要があります。
- 4専門人材が不足する市場では、役割分担から考える専門家にしかできない仕事に集中できる体制が、事業を続ける条件です。
20SUMMARY
この支援で整理した主なポイント
- 地域密着の接客、継続的な顧客関係、従業員の接客技術、地元企業とのネットワークを、経営資源として整理した。
- 来店を前提とする事業モデルの弱さを、本質的な課題に置いた。
- 介護施設等を主な顧客とする、訪問型の調剤・服薬支援サービスを設計した。
- 制度上、価格で差別化しにくいため、服薬管理・教育・オンライン対応・緊急時対応で差別化する方針を置いた。
- 薬剤師が専門業務に集中できる役割分担を、人材戦略として設計した。
21RELATED SERVICES
関連するサービス
※掲載事例は、過去の支援内容(事業の構想・計画の整理)をもとに、企業・個人が特定されないよう情報を匿名化・再構成しています。
22RELATED CASES
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治療中心から、予防型サービスへ。
パーソナルトレーニングを新たな収益サービスとして設計。
- 当初の課題
- 治療だけでなく予防の継続サービスを強化したい。
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- 目指す方向
- パーソナルトレーニングを新たな収益サービスとして設計。
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- 当初の課題
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- 自社で車両を持って対応するBtoCモデルから、他の保険代理店へ事故受付・レンタカー・レッカー・修理の機能を一括提供するBtoBモデルへの転換を構想した。パートナーの事業者をネットワーク化し、本部が一次窓口を担う形を設計した。
- 目指す方向
- 加盟代理店が増えても自社車両を同じ割合で増やさずに済む、資産保有型からネットワーク型への事業モデル転換を目指す。拡大のしかたそのものを変える取り組みとして整理した。
足場工事会社が持っていた「筋力」の専門性を、二毛作型ジム事業へ。
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- 目指す方向
- 建設とは異なる収益源を持ち、同じ施設・設備を時間帯で使い分けて稼働率を高める、市況に左右されにくい経営を目指す。既存の関係の中から顧客を迎える、再現性のある進め方を示した。
同じような課題を検討している方へ
同じ業種・同じ取り組みでなくても構いません。設備投資、新規事業、販路開拓、AI活用など、現在考えていることを伺い、まず何を整理すべきか一緒に考えます。
補助金・経営支援顧問

