デジタルガバナンス・コード/DX 推進指標/DX 認定制度/DX セレクション
デジタルガバナンス・コード/DX 推進指標/DX 認定制度/DX セレクション(経済産業省)の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。
DX認定制度は、お金をもらう制度ではなく、「DXに取り組む準備ができている会社」を国が認定する制度
デジタルガバナンス・コード、DX推進指標、DX認定制度、DXセレクション。経済産業省がまとめて案内しているこの4つは、補助金ではありません。中小機構のJ-Net21でも、この情報の種類は「認定制度」に分類されています。実施機関は経済産業省で、DXの取組みの進み具合に合わせて、認定や優良企業の選定など、いくつかの施策を用意している、という位置づけです。
ProdX Crowd編集部は、この4つのうち、中小企業が実際に手続きを踏むことになるDX認定制度を中心に、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表している案内ページ、申請要項、FAQ、「よくある不備」の資料を読んで整理しました。先に4つの関係を表にします。
| 名称 | 何をするものか | 性格 | 費用・応募 |
|---|---|---|---|
| デジタルガバナンス・コード | 経営者が企業価値向上のために実践すべき事項をまとめた指針。認定基準の元になる | 指針(申請手続きはない) | なし |
| DX推進指標 | 経営者や関係者が、DXの現状と課題を共有するための自己診断 | 自己診断ツール | IPAのDX推進ポータルから提出。ベンチマークレポートを受け取れる |
| DX認定制度 | DXに取り組む準備が整っている事業者を、申請にもとづいて国が認定する | 認定(情報処理促進法にもとづく) | 申請・認定・維持に費用はかからない。通年で申請できる |
| DXセレクション | DXで成果を出している中堅・中小企業等の優良事例を選定する | 表彰・事例選定 | 公募。DX認定を受けていると自薦で応募できる |
この記事の結論を先に書きます。DX認定は、取れば補助金が出る制度ではありません。ただし、認定を受けていることが、金融や人材育成などの他の施策で要件や優遇に使われる場合がある、と経済産業省とIPAは案内しています。どの施策でどう使えるかは、その施策の窓口の公表内容で確認する必要があります。
何が「DX認定」されるのか。審査されるのは、DXの達成度ではなく「準備」
IPAのFAQは、DX認定制度を、デジタル技術による社会変革を踏まえて経営者に求められる対応をまとめた「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応し、DX推進の準備が整っていると認められる企業を国が認定する制度、と説明しています。審査の対象は、ウェブサイトなどで公表されている内容から見て「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」かどうかです。
ここで誤解されやすい点を、公式資料の言い方に沿って表にします。
| よくある思い込み | 公式資料の説明 |
|---|---|
| 大企業しか取れない | 法人も個人事業者も対象。会社だけでなく公益法人等も含む。業態、業種、規模は問わない |
| すでにDXが進んでいないと取れない | 「これからDXに取り組む体制を整備している企業」でよい。申請時点でDXの推進ができていなくても、取り組むための準備が整っていると確認できれば認定される |
| 他社との比較で決まる | 他の事業者との比較は行わない。DXの達成度合いを測る制度でもない |
| ITツールを入れていれば認定される | ツールの導入だけでは足りない。データとデジタル技術を使って自社をどう変革するかを、経営者が示している必要がある |
| 顧客向けにDXサービスを売っているから取れる | 顧客向けサービスの提供のみでは認定対象にならない。自社自身の変革の取組みを示す必要がある |
| 公表前の計画でも申請できる | 設問1から4は、申請時点で対外的に公表済みであることが必要。公表予定の内容や非公表の内容のみでは申請できない |
IPAの資料は、「DXに取り組んでいる企業」を次のように定義しています。経営者が、データとデジタル技術を活用して自社をどのように変革させるかを明確にし、実現に向けたDX戦略をつくり、自らが対外的にメッセージとして発信している状態。企業全体としては、必要となる組織や人材を明らかにし、ITシステム環境の整備に向けた方策とサイバーセキュリティ対策を示し、DX戦略の成果指標を設定して、課題の分析・把握を行う準備ができている状態です。この定義の一つ一つが、後で見る申請書の設問に対応しています。
認定を受けると何が起きるのか。得られるものと、得られないもの
IPAの案内ページには、認定取得のメリットが3つ挙げられています。
| メリット | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 取り組みの対外的なアピール | IPAの認定事業者一覧に公表される。ロゴマークをホームページや名刺などで使える | ロゴは認定の適用期間中だけ使える。認定証の発行はないが、認定通知メールにデジタル署名が組み込まれており、認定証と同等の効力がある(再送はできない) |
| 金融・人材育成の施策での活用 | 優遇や助成などの要件として活用できる施策がある | 各施策の概要は経済産業省のサイトで確認する。IPAの事務局は、関連する制度の申請について案内していない。各制度の窓口に直接確認する |
| DX銘柄・DXセレクションへの応募 | 上場企業はDX調査への回答時にDX銘柄の選定対象になる。中堅・中小企業等はDXセレクションに自薦で応募できる | DXセレクションは選定制で、応募すれば選ばれるわけではない |
得られないものも、はっきりさせておきます。認定を受けても、現金は交付されません。認定の証明書類は紙で発行されません。認定は2年で切れ、更新には最新の基準を満たすことが必要です。また、融資や信用保証にあたる施策は、このサイトでは解説の対象にしていません。認定をそうした施策の要件として使えるかどうかは、各施策の窓口で確認してください。
認定の基準は何か。申請書の設問6つと、審査で見られる点
認定基準は、経済産業省令で定められ、デジタルガバナンス・コードの「基本的事項」の認定基準に対応しています。申請書には6つの設問があり、それぞれがデジタルガバナンス・コードの項目に対応しています。IPAの申請ガイダンスをもとに、設問ごとの審査の観点を表にします。
| 設問 | 求められること | 審査で見られる点(申請ガイダンスより) |
|---|---|---|
| 設問1 経営ビジョンとビジネスモデルの方向性 | データ活用やデジタル技術の進化による社会・競争環境の変化も踏まえた、経営ビジョンとビジネスモデルの方向性を公表していること | 経営ビジョンと、情報処理技術活用の方向性の両方があるか。データとデジタル技術の活用の観点が含まれるか。設問2のDX戦略の方向性を示す内容か。機関承認を得た公開文書であることが示されているか |
| 設問2 DX戦略 | 設問1のビジネスモデルを実現するための方策としてのDX戦略を公表していること | 設問1と同程度の抽象度で終わっていないか。データ利活用の方法と、活用による自社の変革が具体的か。ツール導入や環境整備だけになっていないか。顧客向けサービスの説明だけになっていないか |
| 設問2の1 体制と人材 | DX戦略の推進に必要な体制・組織と、人材の育成・確保を示していること | 体制・組織と人材育成・確保の両方があるか。組織図だけが示されていないか。DX戦略との関連が読み取れるか |
| 設問2の2 ITシステム環境整備 | DX戦略の推進に必要なITシステム環境の整備方策を示していること | DX戦略そのものではなく、それを支える環境整備になっているか。データの収集・活用の環境、予算配分や投資が示されているか |
| 設問3 成果指標 | DX戦略の達成度を測る指標を公表していること | 企業価値創造に係る指標、DX戦略の効果を評価する指標、計画の進捗を評価する指標のいずれかが示されているか。DX戦略との関連が不明な指標だけになっていないか |
| 設問4 経営者の情報発信 | 経営ビジョンやDX戦略について、経営者が自ら対外的にメッセージを発信していること | 経営者名のメッセージか。DX戦略の資料そのものを発信内容としていないか。対外的に発信されているか |
| 設問5 課題の把握 | 経営者のリーダーシップのもとで、デジタル技術の動向や自社のITシステムの現状を踏まえた課題を把握していること | DX推進指標を使った自己診断を実施し、結果を提出していれば要件を満たすと判断される。独自の方法なら、課題把握の結果と、経営者が主導したことがわかる資料が必要 |
| 設問6 サイバーセキュリティ | DX戦略の前提となるサイバーセキュリティ対策を推進していること | サイバーセキュリティ経営ガイドライン等に基づく対策と、セキュリティ監査(内部監査を含む)の実施が確認できるか。中小企業は、SECURITY ACTIONの二つ星の自己宣言で確認する方法でもよい |
このうち、設問1から4は「公表」が必須の要件です。設問5と6は、公表は必要なく、自社内で事前に実施しておくべき事項を確認するものです。未実施の場合は、実施してから申請します。
申請の前に何を準備するか。いちばん時間がかかるのは「公表」の整備
申請書の書き方より前に、多くの会社がつまずくのは、そもそも公表している内容が足りないことです。IPAの申請ガイダンスは、認定取得のために必要と想定されるプロセスのイメージ例を示しています。
| 順番 | 準備すること | 公表・承認の要否 |
|---|---|---|
| 1 | 経営ビジョンとビジネスモデルを策定する。自社のビジネス状況と経営環境を整理し、データ活用とデジタル技術の進化が自社に与える影響を分析する | 取締役会等の機関承認を取り、公表する |
| 2 | DX戦略を策定する。体制・組織と人材、ITシステム環境の整備方策もあわせて検討する | 取締役会等の機関承認を取り、公表する |
| 3 | DX戦略の達成度を測る指標を決め、推進管理の仕組みを検討する | 公表する |
| 4 | 経営者がDX戦略の推進状況などを対外的に発信する | 公表する |
| 5 | DX推進指標などで自己分析し、課題を把握する | 公表は不要。事前に実施する |
| 6 | サイバーセキュリティ対策を推進し、セキュリティ監査等の概要をまとめる | 公表は不要。事前に実施する |
審査では、申請書に書かれた内容が実際に公表されているかを確認します。公表の媒体は、コーポレートサイトのページのほか、アニュアルレポート、統合報告書、ITレポート、CSRレポートなどの公開文書が一般的で、申請時にはURLを示します。FAQは、次のような資料は対外的な公表とみなせないとしています。
| 公表とみなされないもの | 理由 |
|---|---|
| 社内ポータルにのみ掲載されている資料 | 対外的に公開されていない |
| 取引先や入社希望者など、特定の対象者に限定した資料 | ウェブサイトなどで広く公開されていない |
| 閲覧に会員登録が必要な記事 | 誰でも見られる状態ではない |
| URLは有効だが、トップページからたどれない、探しにくい、検索にかからないページ | 対外的に公表しているとみなされず、基準を満たさないと判定されることがある |
また、設問1から3は「公開文書」に記載されている事項で説明することが決まっているため、動画だけを公表媒体にすることはできません。動画の文字起こしや、動画内で使った資料が公開されていれば、それらのページや文書は使えます。設問4の経営者の発信は、動画での提示が可能です。
機関承認も落とし穴です。設問1と2の内容は、取締役会設置会社なら取締役会の承認を得た公開文書、またはその承認された方針にもとづいて作成された公開文書に書かれている必要があります。取締役会以外(たとえば経営会議)を意思決定機関として書く場合は、取締役会から承認権限が委譲されている、あるいは取締役会設置会社ではないため取締役会に準ずる機関である、といった補足説明が必要だと、「よくある不備」の資料に例が出ています。
申請から認定までの流れと日程。「約4か月以上」で計画する
申請は、IPAのDX推進ポータルのウェブフォームから行います。2025年8月27日から、申請方法がウェブフォームに切り替わりました。ポータルへのログインにはGビズIDが必要で、未取得の場合は新規取得に時間がかかることがあるため、並行して準備するよう申請ガイダンスは案内しています。GビズIDのアカウント種別は、プライム、メンバー、エントリーのいずれも使えますが、エントリーには制約があります。
| 手順 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 制度の理解 | 申請要項(申請ガイダンスと3つの別添資料)、デジタルガバナンス・コードを読む | 申請要項は、デジタルガバナンス・コードの改訂などに伴って見直される。最新版を使う |
| 要件の確認 | 自社の公表情報が、認定基準を満たす内容を含んでいるか確認する。足りなければ公表を追加する | 設問1から4は公表が必須 |
| 回答の準備 | 認定申請書(様式第16)を下書き用にダウンロードして、各設問の回答を作る | Word形式の書式がIPAのページで配布されている |
| 申請 | GビズIDでDX推進ポータルにログインし、ウェブフォームに入力して提出する | 入力ガイドが公開されている |
| 審査・不備対応 | IPAが審査する。不備があればメールで不備連絡が届き、修正して再申請する | 再申請に回数の制限はなく、受付期限もない |
| 認定決裁・通知 | 審査通過後、経済産業省が認定する。新規申請は原則、審査通過日の月末に決裁され、翌月初旬に通知と公表が行われる | 認定通知はメール。認定事業者一覧にも公表される |
期間については、IPAの資料「申請から認定取得までの期間について」が具体的です。申請受理から認定結果の通知までの標準処理期間は60日(営業日換算)で、実際のカレンダーでは約3か月になります。審査は毎月15日ごろに締め、認定結果は翌月初旬に通知されます。このため、審査に合格した日が締日の前か後かで、認定日が1か月ずれます。同資料の例では、審査合格が12月10日で締日が12月10日の場合は翌年1月1日付、12月13日の場合は2月1日付の認定になっています。IPAは、通常でも約4か月以上、不備による再申請が2回ある例では約6か月かかる場合があるとして、その前提で計画するよう求めています。
仮の数字で、日程を逆算してみます。社内の取引先審査などに「DX認定の取得」を間に合わせたい会社が、ある年の10月1日に申請するとします。標準処理期間のとおりに進んでも、認定の通知は翌年の1月から2月ごろになります。不備連絡が1回あれば、そこからさらに1か月以上延びることがあります。年度末までに認定を示したい場合は、公表の整備を済ませたうえで、秋の早い時期までに申請するのが現実的です。ここで挙げた日付はすべて計算のための仮のもので、実際の処理日数は申請の混み具合や内容によって変わります。
認定の有効期間と更新。2年ごとに、最新の基準で出し直す
認定の有効期間は、適用日から2年です。更新するには、認定後2年を経過する日の60日前までに、更新申請書を提出する必要があります。IPAの例では、2021年4月1日に認定された場合、有効期間は2023年3月31日までで、更新申請期限は2023年1月31日です。
更新に関する重要な点を、申請ガイダンスから表にします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受付開始 | 原則として、認定更新の適用日の4か月前から。受付開始日から申請期限までは約2か月間 |
| 申請期限 | 認定を受けてから2年を経過する日の60日前まで |
| 更新の中身 | 申請を出すだけでは更新されない。最新の認定基準を満たしていることが必須。前回の申請書類をベースに、必要な箇所を最新化して申請する |
| 認定基準の改訂 | 基準の元になるデジタルガバナンス・コードは、おおむね2年ごとに改訂される。最新の基準に沿った内容で申請する |
| 期限までに更新されなかった場合 | 認定の効力は適用期限日で失われる。その後でも新規申請をすれば、改めて認定を取得できる |
| 受付開始前の申請 | 受付開始日より前の更新申請は不備となり、開始日以降の再申請が必要になる例が示されている |
| 申請内容の変更 | 事業者名、代表者名、住所、法人番号などが変わったときは、速やかに変更届出を出す |
担当者の交代も、見落とされやすい点です。GビズIDエントリーで申請した場合、申請書の情報はその利用者個人に紐づくため、審査状況の確認、更新申請、変更届出、ロゴのダウンロードは、その本人しかできません。認定取得後は、GビズIDプライムかメンバーを使うことを、IPAは推奨しています。担当者が代わるときは、ロゴファイル、使用規約、連絡先登録の内容を引き継ぐことが必要です。
よくある不備はどこか。審査側が公表している「つまずきの型」
IPAは、申請要項の別添資料3で、設問ごとの「よくある不備」と対処方法を公表しています。同じ型の不備で再申請になると、認定までの期間が延びます。主なものを表にします。
| 設問 | よくある不備 | 対処の考え方 |
|---|---|---|
| 設問1から4 | 子会社が、親会社の申請内容に一行ほどの補足を足しただけで申請している | 申請事業者自身の公表媒体で、各社の取組みが確認できる必要がある。グループ全体の資料をもとにした同一内容の申請は認定対象にならない。親会社だけが申請するか、子会社独自の取組みで内容を見直す |
| 設問1 | 経営ビジョンはあるが、データとデジタル技術の活用の方向性がない | 事業概要、顧客向け事業の方向性、営業戦略、市場拡大戦略だけでは基準を満たさない。AIや各種データを活用してどう実現するかを書く |
| 設問1・2 | 取締役会設置会社なのに、経営会議などを意思決定機関として書き、取締役会との関係の説明がない | 取締役会から承認権限を委譲されている旨などの補足を書く |
| 設問2 | 設問1の方向性と同程度の内容で、具体的な方策がない | どのデータを、どのデジタル技術で、どう利活用して、自社をどう変えるかまで書く |
| 設問2 | ペーパーレス化、ネットワーク整備、ツール導入、データの一元化だけで、データ活用の取組みが確認できない | これらは環境整備に近い。データそのものの活用方策と、それによる変革の内容までを書く |
| 設問2 | DXコンサルティングや自社システムの提供など、顧客向けサービスの説明だけ | 認定の対象は、申請事業者自身の業務の変革。自社の取組みに見直す |
| 設問2の1 | 組織図だけを公表資料としている。人材の育成・確保が書かれていない | DX戦略との関連と、体制・人材の両方を示す |
| 設問3 | DX戦略と関連の不明な財務指標だけを出している。戦略の内容をそのまま指標としている | DX戦略の効果や進捗を評価する指標を示す。財務指標を使う場合は、DX戦略の取組みがどう結びつくかを明確にする |
| 設問4 | 戦略の説明文そのものを「発信」としている。経営者以外の発信になっている | 経営者名でのメッセージを示し、DX戦略の推進状況などを自らの言葉で発信する |
| 設問5 | 「DX推進指標を提出した」と書いたが、入力サイトでの提出がされていない | 提出し、受付番号を入力する。独自の課題把握なら、結果の資料と経営者主導の説明を添える |
| 設問6 | サイバーセキュリティ対策の説明がない。監査の説明が確認項目に沿っていない | 対策の概要と、監査の目的・対象・期間・実施者・手続きの概略を書く。中小企業は二つ星の自己宣言のIDで確認する方法がある |
別添資料3の冒頭には、例文は考え方の参考であり、そのまま引用しないよう注意書きがあります。FAQにも、設問文をそのままウェブページの見出しに使うと、表現が形式的になり、ステークホルダーに意図が伝わりにくくなるため、デジタルガバナンス・コードの記述を参考にするよう勧める記載があります。
中小企業が最初につまずくのは、設問6と設問5。どう準備するか
設問5と6は公表が不要な分、自社内で先に実施しておく必要があります。規模の小さい会社では、ここが認定取得の最初の壁になることが多い、というのが編集部の見方です。公式資料に書かれている手順に沿って、準備を表にします。
| 設問 | 準備する内容 | 公式資料にある取り扱い |
|---|---|---|
| 設問6 | SECURITY ACTIONの二つ星の自己宣言をする | IPAのサイトから自己宣言に申し込み、自己宣言IDを取得する。一つ星の宣言では足りない。審査は原則、IPAの専用サイトへの掲載の有無で確認する。掲載前に申請するときは、「自己宣言IDのお知らせ」メールなどを添付する |
| 設問6 | 二つ星以外の方法をとる場合 | サイバーセキュリティ経営ガイドライン等に基づく対策と、セキュリティ監査(内部監査を含む)の概要を、ウェブフォームに入力する |
| 設問5 | DX推進指標で自己診断し、DX推進ポータルから提出する | 提出済みなら添付は不要で、受付番号を入力する。審査では実施の有無を確認し、記入内容は審査しない。必須項目は無効回答基準を目安にすべて入力する |
| 設問5 | 独自の方法で課題を把握する | 経営者のリーダーシップのもとで、デジタル技術の動向と自社のITシステムの現状を踏まえた課題を把握し、結果がわかる資料を添付する |
DX推進指標については、IPAのページに重要な更新があります。2026年9月18日から、DX推進指標の提出方法がWebフォームに変わり、従来のExcelファイルによる提出受付は終了しました。社内共有用の設問一覧のExcelは配布されていますが、提出には使えません。自己診断は、現在のレベルと3年後に目標とするレベルを、レベル0からレベル5までの6段階で評価する形式で、経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門などの関係者が集まり、議論しながら記入することをIPAは勧めています。提出すると、5分から10分ほどでベンチマークレポートを取得できます。
設問5に使うときは、申請書に書く受付番号の入力手順が、提出方法の変更で変わっている可能性があります。最新の申請ウェブフォーム入力ガイドとDX推進ポータルの利用者マニュアルで確認してください。
設問ごとに、公表ページをどう作るか。仮の例で考える
実務では、既存のウェブサイトに「DXへの取組み」のページを新設し、そこに設問1から4の内容を整理して公表する会社が多くなります。ここでは、仮の会社(従業員50人の金属加工業)を想定して、公表ページの見出し構成を考えます。会社も内容も架空の例で、実在の事業者とは関係ありません。
| ページの見出し(仮) | 対応する設問 | 書く内容の例(仮) |
|---|---|---|
| 経営ビジョンとDXの方向性 | 設問1 | 少量多品種の受注を、データを使って安定した収益に変える、という経営ビジョン。その実現のために、見積・工程・品質のデータを活用するというビジネスモデルの方向性 |
| DX戦略 | 設問2 | 過去の見積と実績の工数データを蓄積し、見積の根拠を標準化する。加工機の稼働データから段取り替えの時間を分析して工程を組み直す。これらによる自社業務の変革の中身 |
| 推進体制と人材育成 | 設問2の1 | 社長直轄の推進担当を置く。現場リーダーへのデータ活用研修の計画 |
| ITシステムの環境整備 | 設問2の2 | 稼働データ収集の仕組み、クラウド上のデータ基盤、そのための予算配分 |
| 成果指標 | 設問3 | 見積作成にかかる時間、段取り替え時間、納期遵守率などの指標と目標値 |
| 社長メッセージ | 設問4 | 社長名で、DXで何を変えたいのかを自分の言葉で書く |
この例で大事なのは、設問2が「ツールの導入」ではなく「データを活用して自社をどう変えるか」の記述になっている点です。別添資料3は、ペーパーレスやグループウェアの導入だけでは、設問2ではなく設問2の2に近い内容になる、と指摘しています。また、公表したページは、会社のトップページからたどれるようにし、公表日を記録しておきます。取締役会設置会社なら、取締役会の承認を議事録などで確認しておくと、設問1と2の「意思決定機関の決定に基づいていることの説明」を書くときに困りません。
DXセレクションとは何か。認定とは別の、事例の選定
DXセレクションは、デジタルガバナンス・コードに沿った取組みを通じてDXで成果を出している中堅・中小企業等の、モデルケースになる優良事例を選ぶ取組みです。2022年に始まり、IPAは2025年度から共催団体として加わり、経済産業省とともに推進しています。選定と公表を通じて、地域内や業種内での横展開を図り、各地域での取組みを活性化することが目的とされています。
IPAのページから読み取れる、2026年の回の実績を表にします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 応募期間 | 2025年12月1日から12月22日(18時締切)。すでに終了 |
| 応募方法 | DX推進ポータルから、応募様式のファイルを直接提出(前年のメール送付から変更)。GビズIDが必要 |
| 最終選考進出 | 11者 |
| 最終選考・表彰式 | 2026年5月20日に開催 |
| 選定結果 | グランプリ1者、準グランプリ2者、優良事例8者の計11者 |
| DX認定との関係 | DX認定を受けていると、中堅・中小企業等は自薦で応募できる |
次の回の募集時期や応募要件は、このページには書かれていません。経済産業省とIPAのDXセレクションのページで、募集の開始が公表されたときに確認してください。応募をめざす場合も、DX認定の取得が前提になるため、認定の取得に約4か月以上かかることを織り込んで準備を始める必要があります。
DX認定、経営革新計画、先端設備等導入計画。似た「認定」との違い
中小企業が使う「認定」「承認」の制度は他にもあり、混同されがちです。この記事で読んだ資料の範囲で、DX認定との違いを整理します。他の制度の詳細は、それぞれの制度ページで確認してください。
| 比べるポイント | DX認定制度 | 計画の承認・認定型の制度(経営革新計画など) |
|---|---|---|
| 審査するもの | DXに取り組む準備が整っているか(経営者の戦略、体制、指標、発信、課題把握、セキュリティ) | 新事業活動や設備投資などの計画の内容と、数値目標 |
| 申請の根拠 | 対外的に公表している情報 | 計画書。公表は要件ではない |
| 申請の窓口 | IPA(DX推進ポータル)。審査後に経済産業省が認定 | 制度により、都道府県、市町村など |
| 有効期間 | 2年。更新に最新基準での申請が必要 | 計画期間による(制度ごとに異なる) |
| 費用 | 申請・認定・維持に費用はかからない | 制度ごとに確認が必要 |
| 認定のあと | ロゴの使用、認定事業者一覧への公表、DXセレクションへの自薦応募 | 制度ごとの支援策の検討 |
DX認定は、会社全体の経営姿勢と準備状況を審査し、対外的な公表を前提にしています。一方、計画の承認・認定型は、個別の事業計画を審査します。両方を取得している会社もあります。目的が違うので、どちらかを取れば他方が不要になる、ということはありません。
この制度が向く会社と、向かない会社
編集部の整理を、表にします。判断の根拠は、ここまで読んだ公式資料の記述です。
| 区分 | 向く会社 | 向かない(または今は急がない)会社 |
|---|---|---|
| 経営者の関与 | 経営者自身が、DXの方針を自分の言葉で発信できる | 経営者が関与せず、担当者に任せきりにしたい |
| 公表の姿勢 | 経営ビジョンやDX戦略を、自社のウェブサイトで公表することに抵抗がない | 戦略を一切公表したくない。公表前の計画だけを見せたい |
| 目的 | 取引先、金融機関、採用の場で、DXへの取組姿勢を示したい。他の施策の要件として認定が求められている | 認定そのものに現金給付を期待している |
| 準備の余力 | 設問1から4に当たる内容を、2から3か月かけて整える時間がある | 数週間で認定を取りたい。標準処理期間だけで約3か月かかる |
| 事業の中身 | 自社の業務を、データとデジタル技術で変えていく計画がある | 顧客向けのDXサービスを売ることだけが、DXの中身になっている |
| 体制 | 設問5と6(課題把握、セキュリティ)の準備を社内で進められる | セキュリティ対策や自己診断に、まだ手がついていない。その場合は、先にその整備から始める |
認定を急ぐ理由が、特定の取引先や他の制度の要件にあるなら、その要件の側に、認定が必須なのか、認定中でもよいのか、更新のたびの確認があるのかを、先に問い合わせるのが近道です。IPAの事務局は、関連する制度の申請や運用を案内していません。
問い合わせ先と、確認すべき一次資料
IPAのDX認定制度事務局への問い合わせは、メールのみです。電話窓口はありません。窓口応対時間は、土日祝日と年末年始(12月29日から1月3日)を除く平日の10時から18時(12時30分から13時30分を除く)です。制度の申請に関する問い合わせは、まずIPAのFAQで確認する、と案内されています。申請内容の事前確認や事前アドバイスは、事前審査の扱いになり、他の申請者との公平性の観点から行っていません。
| 内容 | 問い合わせ・確認先 | 備考 |
|---|---|---|
| DX認定の申請に関する質問 | IPA DX認定制度事務局(メール ikc-dxcp@ipa.go.jp) | 電話窓口なし。申請要項別添資料1に記載 |
| DX認定制度全般 | 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 情報技術利用促進室(電話 03-3501-1511、内線3971から3975) | IPAのFAQに記載 |
| DX推進指標の記入・回答方法 | IPAの当該ページ記載のメールアドレス | 提出方法がWebフォームに変わっている |
| DXセレクション | IPA DXセレクション事務局(メール) | 募集時期は公式ページで確認 |
| GビズID | デジタル庁のGビズIDサイト | 取得や変更の窓口 |
| 認定事業者の申請書の例 | IPAの「DX認定制度 認定事業者の一覧」 | 認定期間とキーワードで検索でき、申請書をダウンロードできる。毎月初旬に更新 |
IPAのDX認定制度のトップページは https://www.ipa.go.jp/digital/dx-nintei/ 、申請方法は https://www.ipa.go.jp/digital/dx-nintei/shinsei.html 、FAQは https://www.ipa.go.jp/digital/dx-nintei/dx-nintei-faq.html です。J-Net21の元の情報ページは https://j-net21.smrj.go.jp/snavi2/articles/181527 で、掲載日は2026年4月28日です。なお、経済産業省と中小企業庁のページは、編集部の環境では取得できなかったため、この記事では、IPAが公開している資料の範囲で書いています。デジタルガバナンス・コードの全文や、認定を要件にした各種施策の最新の内容は、経済産業省のページで確認してください。
よくある質問
| 質問 | 答え(公式資料の記述にもとづく) |
|---|---|
| 費用はかかりますか | 申請手続き、認定の適用時、認定の維持において、費用は発生しません。 |
| 個人事業主でも申請できますか | 申請できます。通常は屋号で申請し、審査通過後に、確定申告書(開業から1年未満なら開業届)などの営業実態を確認できる書類を提出します。 |
| 海外の現地法人は対象ですか | 対象になりません。日本国内で法人設立登記をしている法人が対象です。 |
| グループ会社をまとめて認定できますか | できません。法人番号単位で、親会社、子会社がそれぞれ申請し、審査されます。 |
| 受付期間はありますか | 通年で受け付けています。不備があった場合も、修正して何度でも再申請できます。 |
| 審査に落ちたらどうなりますか | 不備連絡が届きます。内容を見直して再申請でき、期限はありません。 |
| 申請前に内容を見てもらえますか | 申請物の事前確認や事前アドバイスは行っていません。申請後に、全体を審査します。 |
| 認定の証明書は出ますか | 認定証は発行されません。デジタル署名つきの認定通知メールが同等の効力を持ちます。再送はできません。 |
| 認定後に公表内容が変わったら | 認定は適用時の申請書の公表内容にもとづくため、特段の手続きは不要です。公開されている申請書の誤字訂正などをしたい場合は、変更届出を出します。 |
| 合併したらどうなりますか | 認定を受けた会社が存続するなら、認定も継続します。消滅する会社の認定は効力を失うため、事務局に連絡が必要です。 |
| 認定が切れたらどうなりますか | 適用期限日で効力が失われます。新規申請をすれば、改めて認定を取得できます。 |
| 認定を受けると補助金がもらえますか | 認定自体に給付はありません。認定が要件や優遇に使われる施策については、各施策の窓口に確認してください。 |
DXの取組みをウェブサイトに整理して公表するところから、認定申請書の下書き、社内の機関承認の段取りまで、順番に進めたい場合は、ProdX Crowdの月額10,000円(初期費用0円、成果報酬0円、最低契約期間なし、いつでも解約OK)のサービスでご相談いただけます。
この制度を一言でいうと
「デジタルガバナンス・コード/DX 推進指標/DX 認定制度/DX セレクション」は、経済産業省が実施する認定制度です。対象の地域は全国です。
事業者のDXの取組の進捗に合わせて、認定制度や優良企業の選定など様々な施策を提供しております。
受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。
| 制度名 | デジタルガバナンス・コード/DX 推進指標/DX 認定制度/DX セレクション |
|---|---|
| 実施機関 | 経済産業省 |
| 種類 | 認定制度 |
| 対象地域 | 全国 |
| 受付期間 | 通年(随時)で受け付けています |
「デジタルガバナンス・コード/DX 推進指標/DX 認定制度/DX セレクション」の対象になる方
対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。
- 1地域全国
- 2規模従業員数の制約は示されていません
| 確認すること | この制度の内容 |
|---|---|
| 地域 | 全国 |
| 規模 | 従業員数の制約は示されていません |
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 認定 | 認定・登録・承認を受けていることが、条件になっている場合があります。取得に時間がかかるものは、申請より先に手続きを始めます。 |
「デジタルガバナンス・コード/DX 推進指標/DX 認定制度/DX セレクション」の経費で気をつけたいこと
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 認定 | 認証・規格の取得に関する費用が含まれています。審査費用、コンサルティング費、更新費用のうち、どれが対象かを、制度の定めで確認します。 |
「デジタルガバナンス・コード/DX 推進指標/DX 認定制度/DX セレクション」の手続きの流れと日程
この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。
- 計画の作成現状・目標・内容
- 支援機関の確認制度による
- 申請期限・申請先を確認
- 認定設備取得の前に
- 優遇措置の利用税制・融資・加点
- 毎年の報告実施状況
「デジタルガバナンス・コード/DX 推進指標/DX 認定制度/DX セレクション」についてのよくある質問
Q&Aデジタルガバナンス・コード/DX 推進指標/DX 認定制度/DX セレクション
Q. デジタルガバナンス・コード/DX 推進指標/DX 認定制度/DX セレクションの受付期間はいつですか?
通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。
この制度を検討するときの確認リスト
| 確認項目 | 状況 |
|---|---|
| 対象の地域(全国)に、事業所がある | □ はい □ いいえ |
| 交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない | □ はい □ いいえ |
| 後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている | □ はい □ いいえ |
情報の確認元:経済産業省の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。
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