冒認商標無効・取消係争支援事業
冒認商標無効・取消係争支援事業(中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策))の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。
海外で自社商標を先に出願された中小企業が、取り消しの手続費用の3分の2(上限500万円)を受け取れる補助金
冒認商標無効・取消係争支援事業は、中小機構のJ-Net21で使われてきた呼び名です。ジェトロ(日本貿易振興機構)の現在の案内では「中小企業等海外侵害対策支援事業(抜け駆け商標無効・取消係争支援事業)」と書かれています。同じ事業の旧称と新称と考えてください。この記事では、実際の申請書式や実施要領に合わせて、以降は「抜け駆け商標」と呼びます。
これは補助金です。国の補助金(中小企業等海外展開支援事業費補助金)を財源に、ジェトロが中小企業へ「間接補助金」として交付します。認定や税制ではなく、使った費用の一部が後から戻る仕組みです。
日本で出願または登録している商標と同じ、または似た商標を、海外で第三者が無断で出願・登録してしまった。その相手の権利を取り消すために、自分から異議申立て、無効審判、取消審判を起こす。この係争活動にかかった費用が、対象です。
まず、核心を表にまとめます。
| 項目 | 内容(ジェトロの公式ページ、令和8年度実施要領より) |
|---|---|
| 実施機関 | 日本貿易振興機構(ジェトロ)知的財産課 |
| 助成の対象 | 日本で出願・登録済みの商標が、海外で第三者に無断で出願・権利化された中小企業者等が、相手の出願や権利を取り消すために自ら提起する係争活動の経費 |
| 補助率 | 補助対象経費の3分の2以内 |
| 上限額 | 1企業あたり500万円 |
| 対象となる経費の期間 | 補助金の交付決定の日から、翌年1月15日まで(ジェトロの公式ページには「採択から2027年1月15日まで」と表記) |
| 応募の受付期限 | 2026年10月30日(金)17時00分(予算がなくなり次第終了と表記) |
| 申請の方法 | 申請書(様式第24)のWordファイルと添付書類を、ジェトロ知的財産課へメールで送る。JGrantsでの申請も可能と案内されている |
| 問い合わせ | ジェトロ知的財産課 03-3582-5198、SHINGAI@jetro.go.jp |
この記事は、申請書の書き方、いくらが戻るかの計算、日程、つまずきやすい点、似た制度との違いを、公式資料に沿って順に整理します。
何が「抜け駆け商標」にあたるのか
J-Net21の説明では、自社と無関係の第三者が、海外で自社の社名、ロゴ、商品名を先に商標登録してしまうことを冒認商標と呼びます。多くは、日本の企業がその国で事業を始めそうだと見越して、後で金銭を求められるように先回りして出願している例だとされています。特に中国や台湾で多いという記述があります。
ジェトロの案内は、同じことを「日本国において既に出願又は登録済みの商標が、海外において第三者により無断で商標権を出願又は権利化された」と表現しています。つまり、条件は大きく二つあります。
| 条件 | 公式資料の書き方 |
|---|---|
| 日本に自社の商標がある | 日本で出願または登録済みであること。実施要領は、係争対象国で第三者が出願・登録している商標と同一または類似の商標、または地域団体商標を、1つ以上日本で有していることを求めている |
| 海外で第三者が先に出願・登録している | 相手が現地企業等で、自社の商標と同一または類似の商標を出願・登録している。申請書の第6項に、国、出願者名、出願番号、登録番号、区分を書く |
注意したいのは、日本で商標権が取れていることが入口になっている点です。日本での商標出願も登録もない場合、この制度の前提を満たしません。
また、商標が同一または類似であるだけでなく、商標を使う商品・役務が同一または類似であることも、ジェトロの公式ページに明記されています。たとえば、日本で化粧品の区分(第3類)を取っているのに、相手が海外で自動車関連の区分で似た名前を取っているだけなら、条件に合わない可能性があります。申請書の記入例では、日本の自社商標も相手の商標も「第3類(せっけん)」と書かれており、同じ商品分野で比べる形になっています。
対象になる事業者の条件
申請できる者は、中小企業支援法に基づく中小企業の要件を満たす法人、または中小企業者で構成されるグループ(構成員のうち中小企業者が3分の2以上を占めるもの)です。地域団体商標に関する係争では、商工会議所、商工会、NPO法人等、事業協同組合その他の特別の法律で設立された組合も対象になります。
実施要領の中小企業の範囲は、次の表のとおりです。
| 業種分類 | 資本金または出資の総額 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
資本金か従業員数のどちらかを満たせばよい、と実施要領は書いています。また、従業員には事業主、法人の役員、臨時の従業員を含みません。個人事業者は対象に含まれ、NPO法人は、この表の中小企業としては含まれません。ただし地域団体商標の係争では、NPO法人も対象になります。
さらに、次のような企業は中小企業でも除かれます。実施要領の「みなし大企業」の定義です。申請書の第2項には、このチェック欄があります。
| 除かれるケース | 内容 |
|---|---|
| 同一の大企業が半数以上を所有 | 発行済株式の総数または出資価格の総額の2分の1以上を、同一の大企業が所有している |
| 複数の大企業が3分の2以上を所有 | 発行済株式の総数または出資価格の総額の3分の2以上を、複数の大企業が所有している |
| 大企業の役員・職員の兼務 | 大企業の役員または職員を兼ねる者が、役員総数の2分の1以上を占めている |
| 大規模法人の完全子会社 | 資本金または出資の総額が5億円以上の法人に、直接または間接に100%の株式を保有されている |
| 課税所得が大きい | 申請時点で確定している直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える |
申請書では、直近3年分の課税所得(マイナスの場合は0)を億円単位で書きます。記入例では、13.2億円、12.7億円、10.5億円という数字が書かれています。この数字は平均で15億円を超えない例として挙げられた記入例です。実際の確認のため、納税証明書等の提出を求められることがある、と注意書きがあります。
いくらが戻るのか:計算の考え方と記入例
補助率は3分の2以内、上限は1企業500万円です。対象になる費用を先に払い、後から実績を報告して確定した額が支払われます。実施要領では、必要があると認められる経費は概算払いも可能とされています。
申請書の記入例(様式第24)に、公式の計算が載っています。記入例の数字は次のとおりです。
| 項目 | 記入例の金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 異議申立てにかかる国内代理人手数料 | 150,000円 | 支払予定先は国内の特許事務所の例 |
| 異議申立てにかかる現地代理人手数料 | 200,000円 | 同上 |
| 異議申立て庁費用 | 10,000円 | 同上 |
| 係争経費合計 | 360,000円 | 翌年1月15日までに発生し得る費用の見積り |
| 助成対象経費 | 360,000円 | 見積りが税込の場合は税を抜いた額 |
| 間接補助金申請額 | 240,000円 | 助成対象経費に3分の2を乗じ、小数点以下切捨て |
この例では、36万円の費用に対して24万円が申請額になります。自己負担は12万円です。これは公式の記入例で、実際の相場ではありません。
上限額500万円まで使い切るには、3分の2で割り戻して、助成対象経費が750万円になる計算です。次の表は、ProdX Crowd編集部が作った仮の数字による試算です(公式の数字ではありません)。
| 仮の助成対象経費 | 3分の2の額 | 自己負担 |
|---|---|---|
| 300,000円 | 200,000円 | 100,000円 |
| 900,000円 | 600,000円 | 300,000円 |
| 3,000,000円 | 2,000,000円 | 1,000,000円 |
| 7,500,000円 | 5,000,000円(上限と同額) | 2,500,000円 |
| 9,000,000円 | 5,000,000円(上限で頭打ち) | 4,000,000円 |
最後の行のように、助成対象経費が750万円を超えると、補助は500万円で止まります。超えた分は全額自己負担です。
もう一つ、実績報告では消費税の扱いがあります。実施要領は、間接補助金に係る消費税等仕入控除税額が明らかな場合は、その額を減額して報告することを求めています。完了後に申告で確定した場合は、様式第33で報告し、返還を命じられることがあります。税抜の金額で計画を立てる理由は、ここにあります。
何の費用が対象になるのか
ジェトロの公式ページによる助成対象経費は、二つです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 係争の手続きそのもの | 抜け駆け商標を取り消すための、異議申立て、無効審判請求、取消審判請求に要する費用 |
| 代理人の費用 | 上記の手続きに要する弁護士、弁理士等の代理人費用(和解金・損害賠償金は含まない) |
実施要領には、対象外も具体的に書かれています。
| 対象外 | 出典 |
|---|---|
| 裁判所からの損害賠償額 | 実施要領5(4)① |
| 和解金 | 実施要領5(4)① |
| 拒絶査定不服審判にかかる費用 | 実施要領5(4)① |
| 商標の買取にかかる費用 | 実施要領5(4)① |
相手から商標を買い取る交渉は、実際には現実的な解決策になることがあります。しかし、この補助金は、取り消しを目指す係争の費用のみで、買い取りの費用は対象外です。買い取る方針なのに、この補助金を前提に資金計画を立てると、全額が自己負担になります。
経費の細かい区分(別表)は、交付要綱の第4条に定められていると実施要領が書いています。この記事を書いた時点では、その別表の本文までは確認できていません。個別の項目が対象か判断に迷うときは、着手する前に、ジェトロ知的財産課(03-3582-5198)へ確認してください。ジェトロの流れ資料にも「対象経費についての詳細や不明点は、ジェトロ担当者に着手前にご相談ください」とあります。
弁護士・弁理士の費用は「期間内に終わる業務」だけ
実施要領と申請書の注記に、重要な書き方があります。係争費用のうち弁護士・弁理士等の費用は、この事業の実施期間内に完了する業務の費用のみ、タイムチャージ制等で精算できる、というものです。
係争は時間のかかる手続きです。J-Net21も、補助対象の期間が非常に短いことから、補助されるのは異議申立てや審判請求を行う時点で必要な費用のみであることも多いと説明しています。決着までにかかる期間と、補助されない部分も含めた費用の総額を、先に確認しておくべきだと書かれています。
次の表に、費用の流れの考え方を整理します。
| 段階 | 実施期間内の費用か | 確認すること |
|---|---|---|
| 異議申立書の作成・提出 | 期間内に完了すれば対象になり得る | 代理人の見積書に、この作業の費用が分かれて書かれているか |
| 相手方の答弁への反論書の作成 | 期間内に完了する作業か | 完了日が翌年1月15日を超えないか |
| 審決・判断を待つ期間 | 通常、期間内に終わらない | 待機期間の費用は、対象外になる前提で資金計画を立てる |
| 結果を受けた次の手続き | 別の期間 | 再度同一案件で申請する場合は、上限額から過去の利用分が引かれる |
最後の行は、実施要領の規定です。係争が十分に進展しなかったなどの理由で、再度同じ案件にこの補助金を使う場合、補助上限額は、その年度の交付上限額から過去の利用分を差し引いた額になります。2年にわたって500万円ずつ使えるわけではない、ということです。
事前に着手した費用は対象になるのか
申請書の様式や実施要領には、事前着手に関する大事な文言が二つあります。
一つ目は、補助対象の期間です。ジェトロの流れ資料は、助成対象を「採択通知日から翌年1月15日までにかかった、申請に基づく費用」と書いています。実施要領は「補助金交付決定した日から翌年1月15日まで」です。どちらの表現でも、交付決定前に払った費用が補助対象になるとは書かれていません。
二つ目は、申請の入口です。実施要領は、申請者及び現地法人の名義で、申請前に既に弁護士への相談等、係争活動に着手されている案件であっても、申請できると定めています。
この二つを合わせると、次のように読めます。
| 状況 | 申請できるか | 費用の扱い |
|---|---|---|
| 弁護士に相談しただけ、まだ手続きは出していない | 申請できる | 交付決定後に発生する費用が対象 |
| 申請前に既に異議申立てを出してしまった | 申請できる(案件自体は対象外にならない) | 交付決定前に支払済みの費用が対象になるかは、公式資料に書かれていない。ジェトロに事前に確認する |
| 交付決定を待たずに新しい手続きを始めた | 申請内容と一致するかが問題になる | 計画変更の承認を受けずに実施した内容は認められない(実施要領5(8)) |
申請書の様式第24の確認事項にも、様式第27による計画変更手続きを行わずに実施した、申請・採択された内容と異なる補助事業は認められない、という点が含まれています。
申請から入金までの流れ
ジェトロの「申請から助成までの流れ」の資料は、10の段階で説明しています。順に表にします。
| 段階 | 内容 | 書式・メモ |
|---|---|---|
| 1 申請書・添付書類の提出 | 申請書(Word)と添付書類を、SHINGAI@jetro.go.jp へ送る。現状で記入でき、準備できる範囲の提出でもよい | 様式第24。記入例あり |
| 2 面談 | 抜け駆け商標が判明した経緯などをヒアリング。申請書のブラッシュアップを提案される。内容を確定し、添付書類をそろえて提出 | 実施要領は、申請書提出前に必ずジェトロと面談等の機会を設けられることを要件とする |
| 3 審査・結果通知 | 提出書類に基づく審査。採択または不採択の通知。交付決定通知書の送付 | 様式第25。実施要領では、ジェトロが特許庁と協議して支援の可否を判断する |
| 4 取消にかかる手続きの実施 | 採択後、申請内容に基づいて手続きを実施。内容に変更があるなら、事前に計画変更の申請と承認が必要 | 計画変更は様式第27、承認通知は様式第28 |
| 5 費用支出の証憑の準備 | 実績報告に備え、助成対象の費用を支出したことが分かる書類を保管 | 実施要領の別添に確定時の提出書類 |
| 6 実績報告書の提出 | 実績報告書(Word)と確定時の提出書類を、SHINGAI@jetro.go.jp へ | 様式第31。締切は令和9年1月31日(実施要領) |
| 7 確定支払額の通知 | 助成金額を確定して通知 | |
| 8 精算(概算)払請求書の提出 | ジェトロへ請求 | 様式第32 |
| 9 助成金の支払い | 指定口座に振込 | |
| 10 経過報告 | 3年以内に、進捗についてジェトロに報告 | 様式第34 |
この表のうち、注意が必要なのは、申請の期限と、費用の期限と、実績報告の期限が別だという点です。
今年度の日程を逆算する
公式ページに書かれている日付は、応募受付期限(2026年10月30日17時)、補助対象期間の末日(2027年1月15日)、実績報告の提出期限(2027年1月31日)の3つです。この記事の公開時点は2026年10月中旬で、受付期限まで日数が限られています。
| 時期 | やること | 備考 |
|---|---|---|
| 今すぐ | 相手方の出願・登録の証拠、自社の商標の権利証を確認する | 添付書類の4・5にあたる |
| 申請書の提出前 | 代理人(弁護士・弁理士)に見積りを依頼 | 添付書類の8、支払予定先の見積書 |
| 2026年10月30日17時まで | 申請書と添付書類をジェトロへ送る | 厳守と表記。予算がなくなり次第終了 |
| 採択・交付決定後 | 係争手続きを実施 | この日以降の費用が対象 |
| 2027年1月15日 | 補助対象期間の末日 | これを超える費用は対象外 |
| 2027年1月31日 | 実績報告書の提出期限 | 猶予が認められる場合があると実施要領に記載 |
公式ページは、申請書も添付書類も現状の記入、準備できる範囲の提出でよいと案内しています。完成させてから送るのではなく、面談の中で整えていく流れです。ただし、実際の締め切りまでにジェトロとの面談が必要なので、申請書の提出は期限の直前ではなく、早めに送って連絡を取る方が安全です。
なお、J-Net21の2023年の解説には「毎年ほぼ同じスケジュールで、申請書の提出期限が10月末、補助対象期間の末日が翌年1月15日」とあり、今年度の日程と同じ形です。また場合によって2次募集があることがある、とも書かれていますが、今年度に2次募集があるかどうかは、公式ページには書かれていません。ジェトロへ確認してください。
申請書には何を書くのか
様式第24は、12の項目から成ります。審査で見られる中身が、この項目に表れています。
| 項目 | 書く内容 | 書くときの注意(記入例の注記より) |
|---|---|---|
| 1 申請者種別 | 法人、個人事業者、事業協同組合等 | |
| 2 申請者の概要 | 資本金、従業員数、法人番号、業種。みなし大企業に該当しないことの確認。課税所得の確認 | 提出時点の情報。株主名簿の提出で出資者の欄を代えられる |
| 3 担当者 | 職名、氏名、電話、メール | ジェトロと常に連絡を取れる担当者を置く |
| 4 日本で有する商標 | 出願者名、出願日、出願番号、登録番号、区分、商標の画像 | 1つのみ記入可。ハウスマークと商品ブランドの両方が抜け駆けされていても、支援対象は1つ |
| 5 係争国で有する商標 | 抜け駆けされた国で関連する自社の商標を取得している場合のみ | |
| 6 海外で第三者が出願・登録している商標 | 係争対象国、出願者名、日付、番号、区分 | 4の商標1つに対し、複数の国や、異なる相手方も対象にできる |
| 7 対応状況 | 発見から現在までの時系列 | 記入例は、先行調査で発見、代理人へ相談、異議申立て期限の日付 |
| 8 実施希望内容 | 希望国、被害状況、措置と戦略、取消後の対応予定、補助が受けられなかった場合の対応、専門家の判断、先使用・公知・著名性、利用実績、他機関の補助の有無 | 9項目にわたる記載。審査の中心 |
| 9 交付申請額 | 支払予定先、内容、合計 | 現地通貨の見積りは円に換算 |
| 10 選任代理人 | 弁護士、弁理士など、決まっている場合のみ | |
| 11 確認事項 | 8つのチェック | 全てにチェック |
| 12 添付資料 | 別添の書類 | 現地法人が関係する場合は関係を示す書類も |
審査で見られる点は、実施要領の選定要件にもはっきり書かれています。交付決定の前に、次の4つの全てを満たすと判断される必要があります。
| 要件 | 申請書のどこで示すか |
|---|---|
| 取り消そうとする商標が、日本で有する商標権等と同一または類似 | 項目4・6、項目8(6)の専門家の判断 |
| 抜け駆け商標により、日本企業に何らかの被害が生じている、または生じる可能性が高い | 項目8(2)の被害状況 |
| 取り消された後、自社で当該国に出願または事業活動を行う意思が明確で、係争の結果が有用に利用される | 項目8(4)の取消後の対応予定 |
| 補助を受けられなかった場合の対応策を含め、組織として十分に検討されている | 項目8(3)(5) |
つまり、書類の形式が整っているだけでは足りません。「勝ったら、その国で出願または事業をする意思が明確か」が問われます。取り消すこと自体が目的で、その後の事業計画がない場合は、この要件に合いません。記入例では、現地への輸出の実績や、毎年展示会に出展している実績が、先使用・公知性として書かれています。
申請書の記入例から読み取れる「書き方の型」
公式の記入例は、ある化粧品メーカーのような仮想の会社を使っています。この例を、書き方の型として使えます。
| 記入例の項目 | 型 |
|---|---|
| 対応状況の時系列 | 日本での出願・登録、中国での先行調査の依頼、相手の出願が公告中と判明、代理人に相談、異議申立て期限の日付、という流れで、日付つきで書いている |
| 被害状況 | すでに販売している事実と、具体的な被害は今はないこと、登録されると警告されるおそれがあることを、分けて書いている |
| 措置と戦略 | 公告後3か月以内なので、まず異議申立て。認められなかった場合は、相手の使用状況を調べ、不使用取消審判または無効審判を請求、という段階的な計画 |
| 専門家の判断 | 中国の弁理士によれば同一の可能性が高いとのコメント、書面を別添 |
| 先使用・公知性 | 輸出開始時期、取引先の件数、毎年の展示会出展 |
| 補助を受けられなかった場合 | 自社で異議申立て等を行う |
記入例の注記には、「係争国での当該商標の実績等を証明することが困難な場合は、抜け駆け商標の出願日の以前に日本で使用されていた、独自で創作された造語やデザインで構成されたものであり、偶然の一致は考えられない、などを説明する」とあります。海外でまだ売っていない会社でも、日本での使用の実績と、造語としての独自性で、抜け駆けであることを説明する道が示されています。
また、申請書の項目7の注記に、大事な分岐が書かれています。相手から警告状や差止めを受けて、権利侵害の訴えを起こされており、それに対する対抗措置として商標を取り消す場合は、この事業ではなく、防衛型侵害対策支援事業(様式第13)を利用する、というものです。
添付書類を、いつ誰に頼んで集めるか
別添の提出書類は、法人、個人事業者、事業協同組合等で内容が違います。法人の場合の9点を、集め方の目安と合わせて整理します。
| 書類 | 集める先・つくる人 | 時間のかかりやすさ |
|---|---|---|
| 登記簿謄本等の写し(現在事項全部証明書等) | 法務局 | 申請時点の最新情報であることが確認事項に含まれる |
| 会社の事業概要 | 自社(パンフレットで代用可) | 低い |
| 直近の決算書(貸借対照表、損益計算書)の写し等 | 自社の経理 | 必要に応じて直近以外の期も求められる |
| 日本の商標権の権利証の写し | 自社または特許事務所 | 登録済みの場合に必要 |
| 抜け駆け商標の出願・登録を示す証拠書類等 | 現地代理人、現地の商標検索の結果 | 高い。現地代理人に頼む必要がある場合が多い |
| 暴力団排除に関する誓約事項と役員名簿 | 自社 | 役員名簿は監査役も記載 |
| その他補助事業者が定める事項 | ジェトロの案内に従う | |
| 支払予定先の見積書 | 代理人 | 高い。案件の範囲を決めたうえで見積りが要る |
| 支払予定金額に関する資金計画(自己資金・借入金等) | 自社 | 様式あり(資金計画) |
個人事業者は、登記簿謄本ではなく、マイナンバーの記載がない住民票の写しと、直近の確定申告書の控え等です。事業協同組合等は、定款と組合員名簿が必要です。
時間がかかるのは、現地の証拠書類と、代理人の見積書の二つです。ここが、10月30日の期限に対する隘路になりやすいため、先に代理人へ依頼する順番になります。
採択された後に気をつけること
採択後の義務は、実施要領にまとめて定められています。
| 場面 | 義務・ルール |
|---|---|
| 申請内容を変える | 様式第27の計画変更申請書を、あらかじめ提出して承認を受ける |
| 係争が難しくなった | 速やかに様式第29の事故報告書を提出し、指示を受ける |
| ジェトロから求められた | 様式第30の状況報告書を速やかに提出する |
| 期間が終わった | 翌年1月31日までに、様式第31の実績報告書と必要書類を提出する |
| 金額が確定した | 確定額の通知を受けたうえで精算請求(様式第32) |
| 帳簿・証拠書類 | 他の経理と区分して整理し、事業の完了の日の属する年度の終了後5年間保存する |
| 支援の効果の確認 | 完了した日の属する会計年度終了後3年間、ジェトロの調査に応じる |
| 完了後の進展 | 3年の間に判決、和解などがあれば、様式第34で報告する |
実績報告の際には、支払いの証拠を揃える必要があります。確定時の提出書類(実施要領別添、締切令和9年1月31日)は、次のとおりです。
| 書類 | 国内代理人あり | 現地代理人のみ | 注意 |
|---|---|---|---|
| 国内・現地代理人からの請求書(銀行口座名・口座番号と助成対象経費の内訳が記載されたもの) | 必要 | 必要 | 現地代理人への請求に使った為替レートも記載 |
| 国内代理人から現地代理人への送金の計算書・送金実行通知書 | 必要 | 不要 | 送金先の口座名・口座番号の記載があるもの。ネットバンキングも含む |
| 送金時の為替レートが客観的に分かる金融機関の為替レート表 | 必要 | 必要 | 金融機関発行の書類に記載があれば不要 |
| 支払った事実が確認できる書類 | 必要 | 必要 | 銀行振込受領書で足りる。別に領収書の発行は不要。複数まとめて払う場合は内訳を書く |
| 実施した係争活動を証明できる成果物 | 必要 | 必要 | 提出した申立書など |
実績報告に使うのは、代理人へ払った事実が分かる書類です。支払いは銀行振込が原則と書かれているため、現金払いや、口座名が分からない支払いは避けるのが安全です。
もう一つ、行政書士法に関する注意が実施要領にあります。この事業の各種申請(申請書、交付申請書、実績報告書、各種届出等)について、その作成と官公署への提出等を、報酬を得て他人の依頼で代理することは、行政書士または行政書士法人以外はできない、と書かれています。申請書の確認事項にも「有資格者による手続きであること」があります。申請書類の作成を誰かに頼む場合は、この点の確認が必要です。
賃上げを表明すると、審査で加点される
ジェトロの公式ページによると、この補助事業では、賃上げを実施する企業に対して、審査上の加点措置があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 判断の基準 | 申請後の1事業年度または1年(暦年)の期間で、給与総額または一人あたりの平均受給額が、2.5%以上増加したか |
| 加点を希望する場合 | 申請時の様式に加えて、「従業員への賃金引上げ計画の表明書」を提出 |
| 採択された後 | 賃上げ期間の終了後に、実績を確認する書類(法人事業概況説明書の写し、または給与所得の源泉徴収票合計表の写し)を提出 |
| 書類での証明が難しい場合 | 別の書面や、税理士・会計士等の第三者が同等の賃上げ実績を確認できる書類での提出も可能 |
| 賃上げが2.5%に満たない場合 | 理由書を提出 |
| 表明した賃上げが実行されていない場合 | 実施要領の規定に基づき、交付決定の取消しと補助金の返還となる可能性がある。誓約書・表明書の留意事項を確認 |
加点を取りにいくなら、表明したことが実行できる見通しがあるかが大事です。実行できなかった場合の取消しと返還は、補助金のリスクとして、表明の前に考えておく必要があります。なお、加点の具体的な点数や、審査の中での重みは、公式ページには書かれていません。
どんなときに交付決定が取り消されるのか
実施要領5(16)に、取消しや変更の対象となる場合が列挙されています。次のとおりです。
| 場合 | 具体例 |
|---|---|
| 法令・要綱・要領・ジェトロの処分や指示に違反 | 承認を受けずに内容を変更して実施した |
| 偽りその他不正の手段で申請・交付決定を受けた | 申請書に虚偽を記載した(これは別の項目としても書かれている) |
| 他の用途に使用した | 補助金を、この事業以外の費用に使った |
| 不正、怠慢、その他不適当な行為 | |
| 事情の変更で、事業を継続する必要がなくなった | たとえば、相手が出願を取り下げたなど |
| 暴力団排除の誓約に違反 |
取消しの場合、既に交付された補助金があれば、期限を付して全部または一部の返還が命じられます。返還の期限は命令の日から20日以内で、期限内に納付がない場合、未納額に対して年利10.95%の延滞金が徴収されます。実施要領は、取消しの理由が⑤(事情の変更)の場合を除き、受領の日から納付の日までの期間に応じて、同じ年利10.95%の加算金の納付も命じるとしています。
似た制度との違い:防衛型、模倣品対策、外国出願
同じ「中小企業等海外侵害対策支援事業」には、複数の事業があります。実施要領は同じ年度に、これらを別々に申請できるとしています。
| 事業 | どんな場面か | 補助率・上限(公式資料の表記) |
|---|---|---|
| 抜け駆け商標無効・取消係争支援事業(この制度) | 海外で第三者が自社商標を先に出願・登録。自分から取り消しを求める | 3分の2以内、500万円 |
| 防衛型侵害対策支援事業 | 海外の現地企業から権利侵害の警告や訴えを受け、係争に巻き込まれている | 補助率3分の2以内、上限500万円 |
| 模倣品対策支援事業 | 海外で産業財産権の侵害(模倣品)を受けている。セルフ型とサポート型の2方式 | セルフ型の上限額は、この記事では確認していない。ジェトロの案内を確認 |
| 中小企業等外国出願支援事業 | 先に海外で自社の商標などを出願しておく | J-Net21(2023年1月改訂)によると、助成対象経費の2分の1、1案件につき最大30万円 |
注意したいのは、防衛型との線引きです。実施要領は、警告状や差止めを受けるなどして権利侵害の訴えを起こされており、それに対する対抗措置として商標を取り消す場合は、防衛型を利用するよう書いています。自分から先に動いて取り消す場合が、この制度です。
実施要領は、同じ年度に、この制度とは別に、模倣品対策支援事業と防衛型侵害対策支援事業を申請でき、その上限額には含めないと定めています。ただし、同一の費用について他の補助を受けることはできません(要件④:ジェトロ以外の機関から、同様の補助を受けていないこと)。
外国出願支援(中小企業等外国出願支援事業)の金額は、J-Net21の記載です。最新の公募の金額や条件は、実施する自治体や中小企業団体の案内で確認が必要です。
向く会社と、向かない会社
制度の仕組みから見ると、次のように整理できます。
| 向く会社 | 理由 |
|---|---|
| 日本で商標を出願・登録済みで、海外で第三者が同じ名前を先に出願したことが分かった | 入口の条件を満たす |
| その国で販売または出荷を計画しており、取り消せたら自社で出願・事業をする意思がある | 選定要件の「取消後の対応予定」に答えられる |
| 異議申立ての期限が近い、または公告中に気づいた | 期間内に手続きの費用が発生するので、補助の対象になりやすい |
| すでに代理人(現地を含む)と相談をしており、見積りが取れる | 申請書の第9項に金額を書ける |
| 自己負担の3分の1を、資金計画に入れられる | 資金計画の提出がある |
| 向かない・慎重に考える会社 | 理由 |
|---|---|
| 日本で商標を出願・登録していない | 入口の条件を満たさない |
| 相手から商標を買い取るのが目的 | 買取にかかる費用は対象外 |
| 決着まで1年以上かかる見込みで、その間の費用が大半 | 補助対象期間は翌年1月15日まで。期間外の費用は対象外 |
| 大企業の子会社などで、みなし大企業に当たる | 中小企業の要件を満たさない |
| 他の公的機関から、同じ係争について補助を受けている | 要件④に反する |
| 警告状を受けて対抗する立場にある | 防衛型の対象 |
つまずきやすい点
公式資料から、申請でつまずきやすい点を選びました。
| つまずき | 資料に書かれていること | 対処 |
|---|---|---|
| 申請書の提出後に、面談が必要 | 面談の機会を設けられることが要件。面談で申請書をブラッシュアップ | 提出は期限の直前にしない |
| 日本で持つ商標は1つしか書けない | 記入欄は1つのみ。ハウスマークと商品ブランドの両方が抜け駆けされても、支援対象は1つ | どちらを守るのが事業上重要かを選ぶ |
| 同一年度に複数回の申請はできない | 原則として単年度に複数回の申請は認められない。ただし、同一の商標について複数国や複数の相手方を一度に書ける | 今年度に申請したい内容を全て書く |
| 見積りが税込 | 助成対象経費は税抜 | 見積書の税を抜いて計算 |
| 為替 | 現地通貨の見積りは円に換算して記入。実績報告にも為替レートの記載が必要 | 請求書に使った為替レートを記載してもらう |
| 弁理士費用が期間をまたぐ | 実施期間内に完了する業務の費用のみ | 見積りを、期間内に完了する作業ごとに分けてもらう |
| 内容を変えて実施 | 計画変更の承認なしに実施した内容は認められない | 変更が出るときは先に様式第27 |
| 申請書の作成を他人に頼む | 行政書士または行政書士法人以外は、報酬を得て代理できない | 誰に何を頼むかを事前に整理 |
| 虚偽記載 | 申請無効、交付決定の取消し、返還請求の対象 | 課税所得、出資比率は正確に |
向き合い方の実務:着手の順番
公式資料で分かる範囲で、実務の順番を提案します。これはProdX Crowd編集部の整理で、公式の手順ではありません。
| 順番 | 作業 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 相手の出願・登録の状況を、現地の代理人に確認してもらう(公告中か、登録済みか) | 異議申立てができる期間か、無効・取消審判になるかで、手続きが変わる |
| 2 | 日本の自社商標の権利証と、先使用・公知性の資料(輸出実績、展示会出展、広告)を集める | 申請書の項目8と添付書類に使う |
| 3 | 勝った後の事業計画(出願・販売)を決める | 選定要件の一つ |
| 4 | 代理人へ、期間内に完了する作業と費用の見積りを依頼 | 翌年1月15日まで、の制約 |
| 5 | ジェトロ知的財産課へ連絡し、面談の日程を決める | 03-3582-5198、SHINGAI@jetro.go.jp |
| 6 | 申請書(様式第24)を作成し、現状でよいのでまず提出 | 期限は2026年10月30日17時 |
| 7 | 面談後に申請書と添付書類を確定 |
ジェトロの流れ資料に「申請書・添付書類ともに現状での記入、準備できる範囲での提出で可能」とあるため、完璧に整えてから送る必要はありません。ただし、期限の前に連絡を取らないと、面談の時間が取れなくなるおそれがあります。
よくある質問
| 質問 | 答え(公式資料より) |
|---|---|
| 冒認商標と抜け駆け商標は別の制度ですか | 同じ事業です。J-Net21の旧称が冒認商標無効・取消係争支援事業、ジェトロの現在の名称は抜け駆け商標無効・取消係争支援事業です |
| 融資や貸付ですか | 違います。係争費用の一部を助成する補助金(間接補助金)です |
| 補助率と上限は | 補助対象経費の3分の2以内、1企業あたり500万円です |
| 今年度の応募期限は | 2026年10月30日(金)17時00分です。予算がなくなり次第終了と表記されています |
| 補助の対象になる期間は | 補助金の交付決定の日から翌年1月15日までです |
| 日本で商標を持っていないと申請できませんか | 日本で、同一または類似の商標、または地域団体商標を1つ以上有している必要があります |
| 弁護士や弁理士の費用は対象ですか | 対象です。ただし期間内に完了する業務の費用のみです |
| 和解金や損害賠償金は | 対象外です |
| 商標を買い取る費用は | 対象外です |
| すでに弁護士へ相談した案件でも申請できますか | 申請できると実施要領に書かれています |
| 申請前に面談は必要ですか | 必要です。実施要領の要件に、面談等の機会を設けられることが含まれます |
| 相手が警告状を送ってきている場合は | この制度ではなく、防衛型侵害対策支援事業の対象です |
| 補助金はいつ支払われますか | 実績報告に基づいて金額が確定した後です。必要があると認められる経費は概算払いも可能とされています |
| 申請後に何か報告は要りますか | 完了後3年の間に判決、和解などの進展があれば、様式第34で報告します |
| 申請書はどこでダウンロードしますか | ジェトロの公式ページ(jetro.go.jp/services/ip_service_overseas_trademark.html)に、申請書(様式第24)、記入例、実施要領、資金計画があります |
関連制度とのつながり
この制度は、海外での知的財産の保護という流れの中にあります。同じジェトロのページには、模倣品・海賊版被害の相談窓口や、営業秘密漏えい対策など、知的財産権保護の他のサービスが並んでいます。この記事は補助金に絞っているため、相談窓口などの支援サービスは扱いません。
商標の保護の入口にあたる、海外での自社の商標登録については、自治体や中小企業団体が実施する外国出願の補助があります。J-Net21は、重要な商標は、可能であれば海外でも自社で登録しておくのがよいと説明しています。国を絞れば、費用もそれほど高額にならないとされています。
ジェトロは、中国における悪意の商標出願問題についての情報(日本の地名等の商標登録対策マニュアル、悪意の商標出願対策マニュアル、抜け駆け出願対策リーフレット)を、公式サイトに載せています。申請の前に、これらで対応の方向性を確認する、とJ-Net21も勧めています。
確認先
この記事で扱ったのは、ジェトロの公式ページ、令和8年度の実施要領、申請書の記入例、申請から助成までの流れの資料の内容です。交付要綱の別表(経費区分)の本文、2次募集の有無、加点の具体的な配点は、確認できていません。
| 確認したいこと | 窓口 |
|---|---|
| 申請全般、面談の日程、対象経費の判断 | ジェトロ知的財産課 03-3582-5198、SHINGAI@jetro.go.jp、または最寄りのジェトロ |
| 申請書と実施要領 | ジェトロの公式ページ https://www.jetro.go.jp/services/ip_service_overseas_trademark.html |
| 冒認商標の対応策の概要 | J-Net21の解説 https://j-net21.smrj.go.jp/publicsupport/2019010801.html |
| 中国での悪意の商標出願 | ジェトロ・北京事務所 知的財産部 +86-10-6528-2781 |
補助金の申請は、書類の準備に時間がかかります。海外で自社の商標が先に出願されているのを見つけたら、まず代理人に状況を確認してもらい、並行してジェトロへ連絡する。この順番が、期限の短い今年度の日程には合っています。
この制度を一言でいうと
「冒認商標無効・取消係争支援事業」は、中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策)が実施する認定制度です。対象の地域は全国です。
冒認商標無効・取消係争支援事業は、「中小企業等海外侵害対策支援事業」の1つで、海外で現地企業から自社の所有する商標を冒認出願された中小企業に対し、冒認商標無効・取消係争に要する費用の一部について助成を行うものです。補助の対象となるのは、異議申立、無効・取消審判請求に要する費用で、弁護士・弁理士等の代理人費用も対象となります(和解金、損害賠償金を除く)。これらに要した費用のうち3分の2が、500万円を上限として補助されます。
受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。
| 制度名 | 冒認商標無効・取消係争支援事業 |
|---|---|
| 実施機関 | 中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策) |
| 種類 | 認定制度 |
| 対象地域 | 全国 |
| 受付期間 | 通年(随時)で受け付けています |
「冒認商標無効・取消係争支援事業」の対象になる方
対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。
- 1地域全国
- 2規模従業員数の制約は示されていません
| 確認すること | この制度の内容 |
|---|---|
| 地域 | 全国 |
| 規模 | 従業員数の制約は示されていません |
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 法人 | 法人が対象です。履歴事項全部証明書(登記事項証明書)と、直近の決算書が、基本の提出書類になります。 |
| 団体 | NPO・組合・団体も対象に含まれています。定款や規約、会員の名簿など、団体としての実態を示す書類が必要になることがあります。 |
| 中小企業 | 中小企業者・小規模事業者の定義に当たることが条件です。業種ごとに、資本金や従業員数の上限が決まっています。自社が当たるかを、定義の表で確認します。 |
「冒認商標無効・取消係争支援事業」の経費で気をつけたいこと
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 商標 | 特許・商標などの出願費用が含まれています。出願の時期(補助事業期間内か)と、出願人の名義、弁理士費用の扱いを、確認します。 |
| 海外 | 翻訳・通訳・海外関係の費用が含まれています。為替レートの前提と、海外とのやりとりの証拠(契約書、請求書)が、日本語以外で作られる場合の扱いを、確認します。 |
申請の方法と、そろえる書類
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 商工会 | 商工会議所・商工会・支援機関が関与する手続きがあります。窓口の予約や、確認書の発行に、日数がかかる場合があります。 |
「冒認商標無効・取消係争支援事業」の手続きの流れと日程
この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。
- 計画の作成現状・目標・内容
- 支援機関の確認制度による
- 申請期限・申請先を確認
- 認定設備取得の前に
- 優遇措置の利用税制・融資・加点
- 毎年の報告実施状況
「冒認商標無効・取消係争支援事業」についてのよくある質問
Q&A冒認商標無効・取消係争支援事業
Q. 冒認商標無効・取消係争支援事業の受付期間はいつですか?
通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。
この制度を検討するときの確認リスト
| 確認項目 | 状況 |
|---|---|
| 対象の地域(全国)に、事業所がある | □ はい □ いいえ |
| 交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない | □ はい □ いいえ |
| 後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている | □ はい □ いいえ |
情報の確認元:中小企業基盤整備機構(J-Net21 中小企業支援施策)の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関等のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。
補助金・経営支援顧問