募集中認定制度

障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)

実施機関
厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所
募集期間
通年(随時受付)
地域
全国

障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)(厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所)の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。

もにす認定制度は、お金をもらう補助金ではなく、障害者雇用の取組と成果を国が評価して「認定マーク」を与える制度

もにす認定制度(正式名称は「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度」)は、補助金でも助成金でもありません。障害者雇用促進法第77条にもとづき、障害者雇用の取組の実施状況が優良な中小事業主を、厚生労働大臣が認定する制度です。受け取るのは現金ではなく、認定そのものと、認定にともなう社会的な信用の裏づけです。

ProdX Crowd編集部は、このページを「補助金検索」に載せる以上、まず位置づけをはっきりさせておくべきだと考えています。認定を受けても、国から支給金は出ません。一方で、厚生労働省の申請マニュアルは、認定を受けた事業主が使える仕組みを複数挙げています。この記事では、厚生労働省の制度ページと「申請マニュアル(事業主向け)」(令和8年7月一部改正版)を読み、何をどう評価されるのか、点数をどう積み上げるのか、どんな会社に向くのかを整理します。

制度の骨格を、先に表で押さえます。

項目内容(厚生労働省の資料より)
制度の種類認定制度(補助金・助成金ではない)
根拠障害者雇用促進法第77条第1項、同法施行規則第36条の17
認定する人厚生労働大臣。申請の窓口は、主たる事業所を管轄する都道府県労働局(ハローワーク経由も可)
対象常時雇用する労働者が300人以下の事業主。株式会社以外の法人(社会福祉法人など)や個人事業主も申請できる
愛称「もにす」。企業と障害者が「ともにすすむ」という思いを込めたもの
審査期間標準審査期間は原則3か月。認定を受けたい時期の概ね3か月前までに提出する
認定の有効期限なし。辞退または取消しがない限り有効
申請の締切資料に締切の記載はなく、随時の申請

この制度に費用の補助はありません。申請書類をつくる手間と、実地確認に対応する時間が、事業主の負担です。その負担に見合うかどうかを考える材料を、順にまとめます。

認定を受けると、具体的に何が変わるのか

厚生労働省の制度ページと申請マニュアル第3章は、メリットを4つ挙げています。ここで大切なのは、4つが同じ重さではないという点です。

メリット内容読むときの注意
認定マークの使用商品、役務の提供に用いる物、広告、取引書類、営業所・事務所、ウェブサイト、求人広告などに「もにす」の認定マークを付けられる認定を取り消された日以後は、マークを使った製造・販売・サービス提供はできない
周知広報厚生労働省と都道府県労働局のホームページに掲載される。ハローワークの求人票に認定マークが表示される。認定事業主に限った合同面接会が企画される場合がある。認定通知書の交付式が地元紙で取り上げられる場合がある「場合がある」と書かれている項目は、実施が約束されているわけではない
公共調達等での加点評価地方公共団体の公共調達、国と地方公共団体の補助事業で、加点評価を受けられる場合がある国の公共調達での加点は認められていない(後述)
金融面の優遇日本政策金融公庫の低利融資の対象になると、資料に書かれている融資はこのサイトの対象外のため、制度の中身は解説しません。気になる方は日本政策金融公庫に確認してください

「公共調達等での加点」は、読み違えやすい点です。マニュアルの脚注は、国の公共調達で認定事業主を加点することは、優先調達の法的根拠がなく、認定の評価項目と契約の成果物の関係が抽象的だとして、認められていないと説明しています。加点があり得るのは、地方公共団体の公共調達と、国と地方公共団体の補助事業です。しかも、障害者活躍推進計画作成指針で、地方公共団体に加点評価を「勧奨」している段階であり、実施するかどうかは、公共調達を行う自治体ごとに決まります。

そのため、「認定を取れば入札で有利になる」と一般化して社内で説明するのは危険です。自社が受注したい自治体の入札要領や、国・自治体の補助事業の公募要領に、障害者雇用の認定を加点項目に入れているかを、一件ずつ確かめるのが先です。

誰が申請できるのか。まず「中小事業主」の数え方を確かめる

申請できるのは、常時雇用する労働者が300人以下の事業主です。この「300人」の数え方に、マニュアルの用語解説が細かい決まりを置いています。

論点数え方(申請マニュアル 表2より)
短時間労働者週所定労働時間が30時間未満の人は、1人を0.5人として数える
数えない人週所定労働時間が20時間未満の人は、常時雇用する労働者として考えない
常時雇用の意味期間の定めがない人、1年を超える雇用期間の人、反復更新で過去1年を超えて雇われている人、または採用時から1年を超えて雇用される見込みの人
昼間学生・掛け持ち週所定労働時間が20時間以上なら常時雇用する労働者になる
除外率中小事業主かどうかの判定では、除外率は考慮しない
申請の単位事業主単位。事業所ごとの申請はできない

小規模な会社にも道は開かれています。法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数が37.5人未満で、法定雇用障害者数が0人になる事業主でも申請できます。ただし、その場合でも、雇用率制度の対象障害者を実人員で1人以上雇用していることが必要です。短時間労働の対象障害者でも、実人員として1人以上いれば、この要件は満たします。

法定雇用障害者数は、算定の基礎となる労働者数に障害者雇用率を掛けて、1人未満の端数を切り捨てて求めます。マニュアルの用語解説では、民間企業の障害者雇用率は2.7%と書かれています。仮の数字で確かめると、算定の基礎の労働者数が37.5人なら、37.5 × 2.7% = 1.0125で、法定雇用障害者数は1人です。37.4人なら0.9998で、端数を切り捨てて0人になります。マニュアルが「37.5人未満」と書く理由は、この計算にあります。

認定の4つの基準は何か。点数だけでなく、雇用の実態も問われる

認定されるには、次の4つの基準を、すべて満たす必要があります。

基準内容
評価点取組(アウトプット)、成果(アウトカム)、情報開示(ディスクロージャー)の3つの大項目で、合計50点満点のうち20点以上(特例子会社は35点以上)。かつ、各大項目で合格最低点を超える
雇用障害者数雇用率制度の対象障害者を、法定雇用障害者数以上、事業主単独で雇用している
対象障害者の雇用就労継続支援A型の利用者を除き、雇用率制度の対象障害者を1人以上雇用している
欠格事由過去に認定を取り消されて3年を経過していない、暴力団関係、風俗営業関係、雇用関係助成金の不正受給、重大な法令違反などに当たらない

2つ目の基準は、特に見落とされがちです。特例子会社制度、関係会社特例制度、関係子会社特例制度、事業協同組合等算定特例を使っている親会社や事業協同組合が申請するときは、これらの特例を適用しなくても、その事業主自身が法定雇用障害者数以上を雇用している必要があります。グループ全体で達成していても、申請事業主単体で未達成なら、認定されません。

また、申請時には対象障害者を雇用していても、その後に離職などで0人になった場合は、基準に該当しなくなります。認定は取って終わりではなく、維持する制度です。

50点満点の中身は、3つの大項目でどう配点されているのか

評価点の配点は、次のとおりです。小項目は⑰まであり、ひとつの小項目で複数の評価基準に当てはまる場合は、最も高い得点だけが付きます。

大項目小項目の数満点合格最低点得点の付き方
Ⅰ 取組(アウトプット)10項目(①〜⑩)20点5点各項目が「特に優良2点」「優良1点」
Ⅱ 成果(アウトカム)4項目(⑪〜⑭)24点6点各項目が「特に優良6点」「優良4点」「良2点」
Ⅲ 情報開示(ディスクロージャー)3項目(⑮〜⑰)6点2点各項目が「特に優良2点」「優良1点」
合計17項目50点20点(特例子会社は35点)3つの大項目すべてで最低点を超えること

数字から読み取れるのは、配点の重心が「成果」にあるということです。取組は10項目で20点ですが、成果はわずか4項目で24点あります。しかも成果の1項目は、最高6点です。取組を整えるだけで合格最低点の20点に届くのは難しく、雇用率、定着、満足度、キャリア形成といった結果の側から、点数を積み上げる設計になっています。

大項目ごとの最低点も、落とし穴です。全体で20点に達しても、情報開示が1点なら不合格です。情報開示の最低点は2点で、厚生労働省と労働局のホームページへの掲載を許可するだけで、各項目1点が付く仕組みです。この項目は、取りこぼさないよう、先に決めておくのが現実的です。

取組(アウトプット)は、何をしていれば点になるのか

取組の10項目は、体制づくり、仕事づくり、環境づくりの3つの中項目に分かれます。マニュアルの評価要素を、表にまとめます。

小項目特に優良(2点)優良(1点)主な評価要素の例
①組織面評価要素A〜Dのうち2つ以上1つ社長自らの方針メッセージ、部署横断の推進チーム、障害当事者の参画、支援担当者の配置、PDCAの確立
②人材面評価要素E〜Gのうち2つ以上1つ外部研修の活用、社内の専門的な研修、理解促進のための研修・セミナー
③事業創出A〜Cのうち1つ以上D・Eのうち1つ以上経常利益の黒字、売上高対経常利益率3%以上、障害者雇用による新事業の創出
④職務選定・創出FとGの両方どちらか1つ障害特性に配慮した職務の選定・創出、適切な方法でのマッチング
⑤障害者就労施設等への発注H・Iのうち1つ以上J・Kのうち1つ以上障害者就労施設や在宅就業障害者等への年間100万円以上の発注
⑥職務環境A〜Cのうち2つ以上1つ作業施設・設備の整備、作業マニュアルの調整、健康管理・福利厚生
⑦募集・採用D〜Gのうち2つ以上1つ職場実習生の受入れ、他企業の見学・ヒアリング、見学の受入れ、セミナー講師
⑧働き方H〜Oのうち4つ以上2つ以上3つ以下テレワーク、フレックス、時差出勤、短時間勤務、時間単位の年休、傷病休暇、両立支援プランなど
⑨キャリア形成P〜Rのうち2つ以上1つキャリアプラン(支援計画)の作成、教育訓練制度、人事・給与制度の明確化
⑩その他の雇用管理S〜Vのうち2つ以上1つ業務日報の作成、手話通訳等の手配、通勤配慮、外部機関との連携

事業創出の「経常利益が黒字」という要素は、福祉的な観点とは違って、事業の持続性を見る項目です。マニュアルは、障害者雇用を持続的に進めるために、各事業主の経営の持続性が重要だと述べています。特例子会社が申請する場合でも、その特例子会社単体の経常利益が黒字である必要があります。

⑧働き方は、数え方に注意が必要です。H〜Nの各制度は、障害者が適用される規定を整備したうえで、過去3年間に障害者の利用実績がある場合に、1要素として数えます。規定の整備だけ、または利用実績だけの場合は、1/2要素です。要素を足し上げたあと、小数点以下を切り捨てます。制度が就業規則にあっても、障害者が使った記録がなければ、満点には届きません。

⑤発注の「100万円」は、金額の基準が明示されています。優良(1点)は、過去3年間のうち1年以上、障害者就労施設に対して年間100万円以上の業務を発注していること。特に優良(2点)は、過去5年間のうち3年以上、年間100万円以上です。単年度の少額の発注では、点に結びつきません。

成果(アウトカム)は、雇用率・定着・満足度・キャリアで測られる

成果は4項目で最大24点、合格最低点は6点です。この大項目は、数字の根拠を決算や名簿で示すことになるため、申請前に自社の数字を計算しておく価値があります。

小項目特に優良(6点)優良(4点)良(2点)
⑪雇用状況実雇用率が法定雇用率の3倍以上(A)、または除外率適用前の実雇用率が法定雇用率以上(B)実雇用率が法定雇用率の2倍以上(C)、または除外率適用前で障害者不足数ゼロ(D)実雇用率が法定雇用率以上(E)、または過去3年間障害者不足数ゼロ(F)
⑫定着状況G〜Jのうち2つ以上G〜Jのうち1つK〜Mのうち1つ以上
⑬満足度・ワーク・エンゲージメント調査を毎年1回以上実施し、直近3回とも障害者の8割以上が肯定的直近3回とも6割以上で、いずれかの回に8割以上直近3回とも6割以上
⑭キャリア形成D〜Fのうち2つ以上G〜Iのうち2つ以上J〜Lのうち2つ以上

⑪のBとDは、除外率が設定されている業種の事業所がある事業主だけが対象です。それ以外の事業主は、A、C、E、Fの要素で判定されます。

実雇用率の数字を、仮の数字で確かめます。申請時の法定雇用率が2.7%だとすると、3倍は8.1%、2倍は5.4%、1倍は2.7%です。実雇用率がたとえば5.5%の会社は、2倍以上のCに該当し、⑪で優良の4点になります。この計算では、重度身体障害者・重度知的障害者を1人で2人に数える、重度の短時間労働者は1人、精神障害者の短時間労働者は1人、などのカウントの決まりを使います。自社の数え方を、障害者雇用状況報告書と同じにそろえておくことが、後の食い違いを防ぎます。

⑫の定着率は、計算式が決まっています。

要素計算の考え方水準
G過去3年間に雇い入れた障害者のうち、雇入後6か月経過時点で在籍している割合90%以上
H同じく雇入後1年経過時点80%以上
K6か月経過時点80%以上
L1年経過時点70%以上
I障害者の平均勤続年数が、従業員全体の平均勤続年数以上。ただし、障害者の平均勤続年数が5年以上、または5年以上の障害者が半数以上同等以上
J障害者の平均勤続年数が10年以上、または10年以上の障害者が半数以上10年以上
M障害者の平均勤続年数が5年以上、または5年以上の障害者が半数以上5年以上

仮の数字で計算してみます。過去3年間に雇い入れた常時雇用の障害者が10人で、そのうち雇入後6か月以内に離職した人が1人、1年以内に離職した人が合計2人だったとします。6か月定着率は(10 − 1)÷ 10 = 90%、1年定着率は(10 − 2)÷ 10 = 80%です。この場合、GとHの両方に該当し、⑫は「G〜Jのうち2つ以上」を満たして、特に優良の6点になります。

分母には、雇用率制度の対象でない障害者や、雇入後6か月・1年を経過していない人も含めます。ただし、6か月(または1年)以上の雇用見込みのない人は、除外してもよいとされています。数え方次第で割合が変わるため、名簿に採用日と離職日を整理しておく必要があります。

⑬の満足度調査は、質問の立て方まで決められています。調査は毎年1回以上、間隔は少なくとも1か月以上あけて実施します。無記名の調査でも、回答者が障害者かどうか区別でき、障害者の肯定的回答の割合が分かれば使えます。「肯定的な回答」とは、選択肢の上位50%より上を指し、5段階評価なら上位2つです。知的障害のある方の場合は、家族または支援機関の支援者による代筆が認められ、上司や同僚の代筆は認められません。

⑭キャリア形成の「特に優良」には、管理職の障害者が1人以上在籍していること(Dは2要素分として数える)、賃金が最低賃金より2割以上高いことなどがあります。賃金の要素は、障害者の平均年収が3年間で1割以上上昇している場合も該当します。

情報開示(ディスクロージャー)は、どう得点するのか

情報開示は3項目で満点6点、合格最低点が2点です。内容は、審査で出した取組と成果の内容を、厚生労働省と労働局のホームページに載せることを許可するかどうか、です。

小項目特に優良(2点)優良(1点)
⑮体制・仕事・環境づくり①〜⑩の取組内容の掲載を許可し、毎年、更新情報を都道府県労働局に報告することを誓約掲載を許可
⑯数的側面⑪・⑫の内容の掲載を許可し、毎年の更新報告を誓約掲載を許可
⑰質的側面⑬・⑭の内容の掲載を許可し、毎年の更新報告を誓約掲載を許可

この項目は、点数としては取りやすい一方、自社の取組の中身が公に載るという面があります。社内で、載せてよい情報の範囲を、経営者と人事担当者で確かめておいてください。さらに、毎年の更新報告を誓約すると、認定後は毎年6月1日時点の情報を、7月15日までに都道府県労働局へ提出する義務が生まれます。点数は2点取れても、その後の事務が増えることを、織り込んでおく必要があります。

⑯Aと⑰Cの「特に優良」は、⑪・⑫、⑬・⑭の評価要素をひとつも満たしていない場合は該当しません。数字の成果がなければ、公開する内容がない、という考え方です。

申請の流れと、認定後のフォローアップはどうなっているか

申請は、都道府県労働局に書類を出します。審査は、書面審査、事業所への実地確認、補正の3段階です。

段階やること事業主の準備
申請書類の提出基準適合事業主認定申請書、認定基準確認申立書、障害者業務提供等事業の利用に係る該当申告書、評価基準自己採点表、評価要素該当申告書、障害者雇用状況報告書などを提出全書類の写しを事業主控として保管する。個人情報を記載する際は本人の同意を得る
書面審査最低合格点、評価要素該当申告書と添付書類の食い違い、雇用障害者数、欠格事由を確認添付書類と申告内容の整合を、提出前に突き合わせる
事業所の実地確認ハローワークの職員が訪問し、評価要素該当申告書に沿って確認。取組全般のヒアリングもある事業主本人または代表者と、障害者雇用の担当者が対応。就労支援機関等の証明を使った場合は、可能な範囲で担当者も同席
補正自己採点表や申告書の補正の指示があれば、所定の期間内に補正指示に従い期限内に対応する
認定・不認定基準をすべて満たせば認定通知書、そうでなければ不認定通知書標準審査期間は原則3か月

申請書類のうち、評価要素該当申告書(別紙3)は、記載例集が公開されています。マニュアルは、先に別紙3を作ってから自己採点表(別紙2)を作ると採点が楽になる、と案内しています。一方、認定基準確認申立書(別紙1-1)は、自己採点表と障害者雇用状況報告書を先に用意すると作りやすいとあります。作る順番にも、資料に手がかりがあります。

認定後は、次のフォローアップがあります。

区分対象内容
障害者雇用状況報告書の確認常時雇用する労働者が37.5人以上で、毎年6月1日時点の状況を報告している事業主毎年の報告書で、法定雇用障害者数以上を雇用しているかを確認
更新情報の報告取組・成果の更新情報を毎年報告することを誓約した事業主認定した年の翌年から、毎年6月1日時点の情報を、7月15日までに労働局へ提出
そのほか上記のどちらにも当たらない事業主定期報告は不要。労働者からの通報などがあれば、電話・訪問・書類で確認する場合がある

フォローアップに協力しない場合は、障害者雇用促進法第82条第1項にもとづく報告徴収などの対象になる場合があります。さらに、認定基準に適合していないことが分かった場合には、是正指導書による改善指導があります。

認定が取り消されるのはどんなときか

認定には有効期限がありませんが、取消しの定めがあります。

取消しの場合内容
辞退認定辞退申出書を提出したとき
雇入れ計画の作成命令障害者雇用促進法第46条第1項にもとづく、対象障害者の雇入れに関する計画の作成を命じられたとき
不正不正の手段で認定を受けたと認められるとき
基準不適合・法令違反改善指導によってもなお、基準に適合しなくなった、または関係法令に違反したと認められるとき

取消しの手続きでは、辞退による場合を除き、行政手続法にもとづく聴聞を行ってから決定します。取り消されると、認定マークを使った製造・販売・サービス提供はできなくなります。ただし、取消し前にすでに流通している製品の自主回収までは求められません。

また、取り消された日から3年を経過しないと、再び申請できません。認定を維持するための体制づくりが、申請と同じくらい重要になります。

欠格事由は、どこまで確認が必要か

欠格事由のうち、実務で確認に時間がかかるのは、労働関係法令の重大な違反です。マニュアルは、具体例を細かく示しています。

確認する内容見る期間
重大な労働関係法令に関して、労働基準監督署から是正勧告書を交付されたが、是正していない過去1年間
労働保険料の滞納がある事業所がある直近2年度
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などに違反して勧告を受けた過去1年間
労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法違反で送検された過去1年間
重大な労働関係法令の同一条項に複数回違反した過去1年間
職業安定法にもとづく公表がされた、高年齢者雇用安定法・労働者派遣法の勧告に従わず公表された過去1年間
使用者による障害者虐待に該当する行為が確認された過去1年間

申請時には、申請日の前日時点の状況を確認します。障害者雇用だけを整えても、労務管理に問題があれば認定されません。障害者雇用に取り組む会社だからこそ、賃金の支払い、労働時間、社会保険の手続きを、先に総点検しておくのが、遠回りに見えて近道です。

雇用関係助成金の不正受給にも注意が必要です。偽りその他不正の行為により、雇用関係の助成金等の支給を受けたり、受けようとしたことで、支給要件を満たさなくなった事業主は、欠格事由に当たります。

就労支援機関の証明を使うと、何が変わるのか

評価要素に当てはまらない取組や、証明書類を出せない取組でも、連携する就労支援機関等が評価基準に該当すると証明すれば、得点できる仕組みがあります。

論点内容
使える場面評価要素には該当しないが評価に値する取組がある場合。評価要素に該当するが、証明書類を出せない場合
対象の項目大項目Ⅰ・Ⅱの小項目のうち、最大2項目
得られる評価小項目①〜⑩は「優良(1点)」、⑪〜⑭は「良(2点)」まで
証明できる機関地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、就労系障害福祉サービス等の提供事業者、事業主団体や事業協同組合等、これらに準ずるもの
条件申請事業主に対して、雇入れ、定着支援、その他の雇用管理の支援を提供した実績があること。申請事業主と同じ法人内の機関は不可

この仕組みで得られる得点は、小さく限られています。20点に届くかどうかの、最後の1〜2点を補う用途と考えるのが現実的です。就労支援機関の証明を使う場合も、通常の項目と同じように、労働局の審査の対象になります。

点数の組み立ては、どんなイメージになるか

以下は、仮の数字による一例です。実在の会社を示すものではなく、点数の積み上げ方を理解するための例です。

大項目小項目と得点(仮の数字)小計
Ⅰ 取組①組織面2点、②人材面1点、③事業創出1点、④職務選定・創出1点、⑥職務環境1点、⑧働き方1点7点(最低5点を超える)
Ⅱ 成果⑪雇用状況4点、⑫定着状況4点、⑬満足度0点、⑭キャリア形成2点10点(最低6点を超える)
Ⅲ 情報開示⑮特に優良2点、⑯特に優良2点、⑰0点4点(最低2点を超える)
合計21点(20点以上で、各最低点も満たす)

この例で見てほしいのは、20点という合格ラインが、満点50点の4割にすぎない点です。すべての項目で満点を取る必要はなく、自社の強みの項目から積み上げていけばよい制度です。反面、各大項目の最低点を下回れば不合格なので、得意な項目に偏った組み立ては通りません。

どんな会社に向くのか、向かないのか

区分向く会社向かない・時期尚早な会社
雇用の実態法定雇用障害者数以上を、単独で雇用している法定雇用障害者数に届いていない。対象障害者が0人
雇用の継続定着率や勤続年数の実績を、名簿で示せる採用と離職の記録が整理されていない
社内体制担当者、推進チーム、研修の記録がある障害者雇用が特定の担当者1人に依存している
目的求人票へのマーク表示、自社ウェブサイトでの発信、自治体入札の加点などを活用したい現金の支援を期待している
規模常時雇用300人以下で、書類整備に人手を割ける労務管理の遵守状況に不安があり、先に是正が必要

認定の目的を、「求人で選ばれること」「取引先や自治体への信頼の裏づけ」に置くと、制度の使い道がはっきりします。厚生労働省のリーフレットは、認定により厚生労働省と労働局のホームページに掲載され、ハローワークの求人票にマークが表示され、求職者からの応募の増加が期待できる、と説明しています。「期待できる」という書き方のとおり、効果は事業主の取組や地域の状況に左右されるため、数値で約束できるものではありません。

似た制度や関連する制度とは、何が違うのか

障害者雇用に関する制度は複数あります。ここでは、申請マニュアルの本文に出てくる制度と、この認定制度の関係を整理します。

制度位置づけもにす認定との関係
障害者雇用率制度一定割合以上の障害者を雇用する法律上の義務認定の前提。法定雇用障害者数以上の雇用が基準になる
障害者雇用納付金制度未達成の事業主から納付金を徴収し、雇用の経済的負担を調整する。その財源で各種助成金を支給認定そのものは、納付金や助成金とは別の仕組み。助成金の不支給措置を受けていることは欠格事由
特例子会社制度などの算定特例子会社等の障害者を親事業主が雇用しているとみなして実雇用率を算定認定の判定では、特例を適用せずに単体で達成しているかを見る。特例子会社は合格点が35点に上がる
障害者業務提供等事業農園などの就業場所と業務を提供する事業利用している場合、申告書の提出が必要。取組の評価でも、事業主自身の主体的な判断かが厳しく見られる
就労継続支援A型障害福祉サービスの一つ。雇用契約に基づく就労の機会を提供A型の利用者は、雇用率制度の対象障害者の1名以上の要件から除かれる

特に、障害者業務提供等事業を利用している事業主は、評価で注意が必要です。マニュアルは、事業主が農園などの就業場所や業務の提供を受けるだけでは、職務内容に関する申請事業主自身の主体的な判断による取組とはいえないとして、事業創出や職務選定・創出の評価対象にならないと説明しています。取組を評価するにあたり、事業主が自ら雇用管理を担っているかが重視されています。

つまずきやすい点は、どこか

編集部が、資料を読んで気づいた、準備段階で止まりやすい点を、表にします。

つまずきやすい点資料での根拠対処の方向
合計点は足りているのに、情報開示が1点で不合格になる各大項目に合格最低点がある情報開示の掲載許可を、早めに社内で決める
制度があるのに点にならない⑧働き方は、規定の整備と障害者の利用実績の両方がそろって1要素利用実績の記録を整理する。規定のみなら1/2要素
定着率の分母の数え方で、結果が変わる対象障害者以外や、6か月・1年を経過していない人も含めて数える採用日・離職日・手帳の有無を一覧にしておく
特例子会社の親会社が、単体で未達成特例を適用せずに法定雇用障害者数以上が必要申請前に、単体の雇用障害者数を確認
満足度調査の対象や代筆の扱い上司・同僚の代筆は不可。知的障害の場合は家族・支援者の代筆が可調査の方法を、申請前に設計する
労務管理の問題で欠格事由に当たる過去1年間の勧告・送検・是正勧告未是正、直近2年度の労働保険料の滞納労務管理の総点検を、先に行う
審査の期間を読み違える標準審査期間は原則3か月認定を受けたい時期の3か月以上前に提出

よくある質問

Q. 認定を受けると、補助金や助成金がもらえますか。A. いいえ。この制度に、現金の給付はありません。受けられるのは、認定マークの使用、厚生労働省・労働局・ハローワークによる周知広報、地方公共団体の公共調達や補助事業での加点評価(実施される場合)などです。助成金を探している場合は、別の制度を検討する必要があります。

Q. 従業員が10人の小さな会社でも申請できますか。A. 申請できます。法定雇用障害者数が0人になる事業主でも申請は可能です。ただし、雇用率制度の対象障害者を実人員で1人以上雇用していることが条件です。

Q. 申請の締切はありますか。A. 厚生労働省の資料に、締切の記載はありません。認定を受けたい時期の概ね3か月前までに書類を提出する、という案内があります。

Q. 申請書類はどこで手に入りますか。A. 厚生労働省のもにす認定制度のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/monisu.html)から、申請書、各別紙、記載例集、申請マニュアル、業務取扱要領、リーフレットを入手できます。

Q. 申請はどこに出しますか。A. 事業主の主たる事業所を管轄する都道府県労働局です。管轄のハローワークを通じて提出することもできます。窓口の詳細は、各都道府県労働局またはハローワークに確認してください。

Q. 認定は何年で更新が必要ですか。A. 有効期限はありません。ただし、毎年のフォローアップに協力する必要があり、基準に適合しなくなれば取り消される場合があります。

Q. 就労継続支援A型の事業所でも申請できますか。A. 申請はできますが、A型の利用者を除いて、雇用率制度の対象障害者を雇用している必要があります。A型の利用者に対する取組は、評価の対象外です。ただし、⑪雇用状況の評価では、対象障害者以外の障害者を除き、A型の利用者も対象になります。

Q. 日本政策金融公庫の低利融資は、どの程度有利ですか。A. 融資の内容はこのサイトの対象外のため、取り扱いません。資料には「詳しくは日本政策金融公庫にお問い合わせください」とあります。

参考にした公式資料

資料発行元URL
障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/monisu.html
障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度 申請マニュアル(事業主向け)(令和8年7月一部改正)厚生労働省職業安定局https://www.mhlw.go.jp/content/11700000/001718043.pdf
障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度 リーフレット厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークhttps://www.mhlw.go.jp/content/11700000/000646644.pdf
認定制度の紹介(J-Net21)中小機構https://j-net21.smrj.go.jp/snavi2/articles/184392

認定の申請や制度の解釈は、制度ページとマニュアルの記載が優先されます。申請を検討するときは、最新の様式と、管轄の都道府県労働局またはハローワークの案内を、あわせて確認してください。ProdX Crowd編集部は、補助金・助成金の申請だけでなく、こうした認定や登録の制度を、経営の信用づくりの手段として使う場面にも目を配っています。

この制度を一言でいうと

「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」は、厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所が実施する認定制度です。対象の地域は全国です。

障害者の雇用の促進・雇用の安定に関する取組の状況等が優良な中小事業主について、障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)に基づき、厚生労働大臣が認定する制度です。好事例の横展開や社会的メリット等の確保・向上を図ることで中小事業主における障害者雇用の取組を推進していきます。

受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。

制度名障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)
実施機関厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所
種類認定制度
対象地域全国
受付期間通年(随時)で受け付けています

「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」の対象になる方

対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。

対象かどうかを、この順に確認します
  1. 1地域全国
  2. 2規模従業員数の制約は示されていません
確認することこの制度の内容
地域全国
規模従業員数の制約は示されていません
この制度の文章にある言葉ProdX Crowd編集部の見方
認定認定・登録・承認を受けていることが、条件になっている場合があります。取得に時間がかかるものは、申請より先に手続きを始めます。

「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」の経費で気をつけたいこと

この制度の文章にある言葉ProdX Crowd編集部の見方
雇用人件費に関する項目があります。対象になる人の範囲(新規採用者のみ、など)と、計算の方法が決まっていることが多いので、算定の方法を、先に確認します。
認定認証・規格の取得に関する費用が含まれています。審査費用、コンサルティング費、更新費用のうち、どれが対象かを、制度の定めで確認します。

「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」の手続きの流れと日程

この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。

手続きの流れ
  1. 計画の作成現状・目標・内容
  2. 支援機関の確認制度による
  3. 申請期限・申請先を確認
  4. 認定設備取得の前に
  5. 優遇措置の利用税制・融資・加点
  6. 毎年の報告実施状況

「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」についてのよくある質問

Q&A障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)

経営者のイメージ写真
経営者

Q. 障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)の受付期間はいつですか?

解説役のイメージ写真
ProdX Crowd編集部
A.

通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。

この制度を検討するときの確認リスト

確認項目状況
対象の地域(全国)に、事業所がある□ はい □ いいえ
交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない□ はい □ いいえ
後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている□ はい □ いいえ

情報の確認元:厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。