募集中認定制度

食料システム法計画認定制度

実施機関
農林水産省
募集期間
通年(随時受付)
地域
全国

食料システム法計画認定制度(農林水産省)の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。

食料システム法の計画認定は、補助金そのものではなく、税制や補助事業の優遇につながる「農林水産大臣の認定」

食料システム法計画認定制度は、お金が直接振り込まれる補助金ではありません。食品の製造・卸売・小売・外食を営む事業者が、「持続可能な食料供給」に資する取組を事業活動計画にまとめ、農林水産大臣の認定を受ける制度です。認定を受けると、税制の特例や、農林水産省の一部の補助事業での優遇(認定を応募の要件とする、審査でポイントを加算する、など)を活用できる道が開けます。

この記事を書いているProdX Crowd編集部は、制度の位置づけを最初にはっきりさせておくことが大切だと考えています。この制度は「認定制度」です。認定されること自体に給付金は付きません。認定は、ほかの支援を使うための入口、あるいは自社の取組を対外的に示す看板として働きます。

内容は、農林水産省の「食料システム法計画認定制度」のページ、同省の申請の手引き(2026年7月版)、Q&A(令和8年7月版)、令和7年度補正予算・令和8年度予算概算決定の「補助事業の優遇措置」資料を読んで整理しました。認定に伴う支援・特例措置のうち、融資や債務保証などの金融面の措置は、このサイトでは扱わない方針のため、ここでは説明しません。税制、補助事業での優遇、認定マークなどに絞ります。

最初に、制度の骨格を表にします。

項目内容(農林水産省の資料より)
制度の性格計画の認定制度(補助金の交付制度ではない)
根拠食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律(通称:食料システム法)
認定する人農林水産大臣(窓口は地方農政局等)
申請できる人食品等事業者(食品製造業者、食品卸売業者、食品小売業者、外食業者等)
認定の対象4種類の事業活動計画
実施期間原則5年以内
申請の受付通年(事前相談が前提)
審査期間の目安申請時点から原則45日。内容によっては、それ以上かかる場合がある
提出方法原則メール(やむを得ない場合は郵送も相談可)
認定後各年度の事業終了後3か月以内に実施状況を報告
問い合わせ農林水産省 新事業・食品産業部 企画グループ(03-6744-2054)

4種類の事業活動計画は、何がどう違うのか

認定の対象は、次の4種類です。1つの計画で複数を同時に申請することもできます。ただし、目標・目標値・内容・「寄与する程度」は、事業活動ごとに分けて書く必要があります(Q&A 2-8、2-9)。

計画の種類目的農林水産省が例示している取組
安定取引関係確立事業活動農林漁業者との安定的な取引関係の確立新たな産地との原材料調達契約の締結、原材料の国産への切り替えに伴う地域の農業者との直接取引、契約先農業者への収穫機械や選別機の貸与、農林漁業者への出資、食品等事業者自らの農林漁業への参入
流通合理化事業活動流通経費の削減、付加価値の向上、新たな需要の開拓中継共同物流拠点の整備による長距離輸送の削減、航空・新幹線輸送などによるモーダルシフト、植物性由来原材料を用いた代替食品の開発・販売、優れた冷蔵設備等による品質保持・衛生管理の高度化、海外の製造・販売拠点の設置
環境負荷低減事業活動環境への負荷の低減、資源の有効利用新たな鮮度保持技術による食品ロス削減、紙などの代替素材への切り替えによるプラスチックの排出抑制、製造・物流拠点への省エネ設備の導入による温室効果ガス削減
消費者選択支援事業活動持続的な供給に配慮した食品を消費者が選べるようにする情報伝達小売店舗での環境・人権への配慮等の情報の映像発信、食品のコスト構造の見える化、生産現場への理解を深める体験型イベント

手引きは、研究開発や事業再編(株式取得など)も、この4つに関連する取組として位置づければ認定の対象になるとしています。例として、環境負荷低減に関連する代替タンパク食品の開発や、地元農家と連携する豆腐製造業者の株式取得が挙げられています。省力化投資、標準化・デジタル化、フードテック、事業承継も、4つの事業活動の中の取組として位置づければ対象になります(Q&A 1-7)。

対象品目に制限はありません(Q&A 1-10)。「国産でなければ」「特定の品目でなければ」といった絞り込みはなく、食品等の製造、加工、流通、販売の事業を行う者であれば、計画の中身で勝負する制度です。

認定を受けると何ができるのか。金融以外の柱は3つ

手引きの「特例措置等一覧」には、金融・税制・技術・手続きの特例が並んでいます。このサイトでは融資・債務保証に当たるものは扱わないため、それ以外の主な柱を整理します。

柱内容条件・注意点
中小企業経営強化税制認定された計画に基づき対象設備を取得して事業に使った場合、税額控除または特別償却(即時償却を含む)を選択して適用できる青色申告の中小企業者等が対象。中小企業等経営強化法の「特定事業者等」に当たる必要がある。経営力向上計画の認定要件を満たす必要がある
中小企業投資育成株式会社の投資対象の拡大資本金が3億円を超える場合でも、投資を受けられる経営力向上計画の認定要件を満たす必要がある
農研機構の研究開発設備の利用認定計画に沿った研究開発で、農研機構の設備を専門家の指導のもと有償で利用できる現時点の対象は高圧処理装置、マイクロ波減圧乾燥機、ヒト胃消化シミュレーターの3つ(Q&A 4-2)

このほか、カーボンニュートラル投資促進税制(環境負荷低減事業活動のみ。産業競争力強化法の事業適応計画の認定要件を満たすことが条件)や、事業再編時の登録免許税の軽減、会社法の手続き緩和などの特例も用意されています。いずれも、それぞれの要件を満たす場合に限られ、要件は特例ごとに違います。

食料システム法の認定で受けられる中小企業経営強化税制は、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定で受けられる税制と、要件・内容に違いはありません(Q&A 3-4)。食料システム法の窓口で、認定と税制の特例の手続きをまとめて進められる、という位置づけです。一方で、経営力向上計画の認定で受けられる事業承継等に係る不動産取得税の特例や、中小企業事業再編投資損失準備金は、食料システム法の特例には含まれません(Q&A 3-5)。

税制の特例は、どんな設備なら対象になり、いくら控除されるのか

中小企業経営強化税制は、設備の種類(類型)ごとに要件が異なります。手引きの一覧を表にまとめます。

類型要件の概要対象設備(取得価額の下限)特例の内容
A類型(生産性向上設備)生産性が旧モデル比で平均1%以上向上(単位時間当たり生産量、歩留まり率、投入コスト削減率のいずれか)機械装置160万円以上、工具40万円以上(A類型は測定工具・検査工具に限る)、器具備品40万円以上、建物附属設備60万円以上、ソフトウェア70万円以上10%の税額控除(資本金3,000万円超は7%)または即時償却
B類型(収益力強化設備)投資利益率が年平均7%以上の投資計画に係る設備機械装置160万円以上、工具40万円以上、器具備品40万円以上、建物附属設備60万円以上、ソフトウェア70万円以上同上
D類型(経営資源集約化設備)修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定割合以上の投資計画に係る設備同上同上
E類型(経営規模拡大設備等)売上高100億円超を目指す事業者向け。投資利益率が年平均7%以上、売上高成長率が年平均10%以上を目指す、など機械装置160万円以上、工具40万円以上、器具備品40万円以上、ソフトウェア70万円以上、建物及び附属設備1,000万円以上(生産性向上に資する設備の導入に伴うもの)10%の税額控除(資本金3,000万円超は7%)または即時償却。建物等は賃上げ率に応じた税額控除または特別償却

注意点を手引きから抜き出します。事務用器具備品、本店・寄宿舎等に係る建物附属設備、福利厚生施設に係るものは、対象になりません。中古資産や貸付資産でないこと、国内への投資であることも要件です。E類型の細部(前年度売上高10億円超90億円未満、最低投資額1億円または前年度売上高の5%以上、賃上げ率2.5%または5.0%以上、設備投資総額の上限60億円など)は、手引きに詳しく書かれています。表は手引きの一覧を簡略化したものです。実際に使うときは、手引きの該当ページと税理士の確認で、類型ごとの要件を確かめてください。

税制の適用は、認定を受けただけでは足りません。手引きは、「税務の要件(取得価額や事業の用に供する等)を満たさない場合は、税制の適用が受けられない」と明記しています。

税制の特例を使うときに、事前に何を用意するのか

A類型とB・D・E類型では、事前に必要なものが違います。

類型事前に準備するもの誰が発行するか
A類型生産性向上要件証明書(様式1)とチェックシート(様式2)。設備取得前に依頼する設備メーカーが工業会等の確認を受けて発行。証明書の日付は計画申請日以前である必要がある
B類型確認申請書(様式1)と事前確認書(様式2)、経済産業局の確認書(様式3)公認会計士または税理士が事前確認書を発行し、経済産業局が申請内容の説明を受けてから概ね1か月以内に確認書を発行
D類型B類型と同様の確認書に加え、事業承継に係る誓約書、事業承継等の内容を証明する書面、事前調査チェックシート同上
E類型確認申請書と事前確認書、経済産業局の確認書。供用事業年度の給与増加割合の報告も必要同上

B・D・E類型では、導入者の企業規模にかかわらず、公認会計士または税理士の確認が必要です(会計監査人や顧問税理士でなくても可)。経済産業局への提出前には、事前連絡(予約)が求められます。税務申告の際は、工業会証明書または確認書、認定申請書一式、認定通知書の写しを添付します。

Q&A 2-5は、税制の特例を使う場合は準備する書類が多いので、地方農政局等に早めに事前相談するよう求めています。税制の特例を考えるなら、設備の発注前に動き出すことが前提です。

補助事業の優遇とは、具体的にどういうことか

令和7年度補正予算と令和8年度予算概算決定の資料では、認定を受けた事業者への優遇が3つの形で整理されています。

優遇の形内容
認定を要件とする認定を受けていないと応募できない事業
審査時にポイントを加算認定者の審査で加点される事業
みなし措置食料システム構築計画の承認を受けたものとみなす

令和8年度予算概算決定の資料(2026年4月)から、事業名と対象になる計画の種類を表にします。金額や補助率などは、事業ごとに違うため、ここでは書きません。応募前に、各事業の公募要領を確認してください。

区分事業名対象になる計画の種類問合せ先(資料の記載)
認定を要件化持続可能な食品等流通総合対策事業流通合理化事業活動新事業・食品産業部 食品流通課 物流生産性向上推進室、卸売市場室
認定を要件化強い農業づくり総合支援交付金(卸売市場施設等支援タイプ)流通合理化事業活動食品流通課 卸売市場室
認定を要件化食品産業省力化投資促進事業のうち飲食業労働生産性向上推進事業流通合理化、環境負荷低減外食・食文化課
ポイント加算食品産業省力化投資促進事業のうち業種横断型技術開発実証事業4種類すべて食品製造課
ポイント加算食品ロス削減総合対策事業安定取引、流通合理化、環境負荷低減、消費者選択支援外食・食文化課、食品ロス・リサイクル対策室
ポイント加算食品産業プラスチック資源循環対策事業4種類すべて外食・食文化課、食品ロス・リサイクル対策室
ポイント加算強い農業づくり総合支援交付金(産地基幹施設等支援タイプ)安定取引関係確立事業活動農産局 総務課 生産推進室
ポイント加算新基本計画実装・農業構造転換支援事業(再編新事業)安定取引関係確立事業活動農産局 総務課 生産推進室
ポイント加算持続的生産強化対策事業のうち花き支援対策4種類すべて農産局 園芸作物課
ポイント加算持続的生産強化対策事業のうち国産野菜周年安定供給強化事業安定取引関係確立事業活動農産局 園芸作物課
ポイント加算地域資源活用価値創出推進事業(創出支援型)のうち地域資源活用・地域連携推進支援事業安定取引関係確立事業活動農村振興局 都市農村交流課
ポイント加算地域資源活用価値創出整備事業(産業支援型)安定取引関係確立事業活動農村振興局 都市農村交流課
ポイント加算鳥獣被害防止総合対策交付金のうち鳥獣被害防止総合支援事業安定取引、流通合理化農村振興局 鳥獣対策・農村環境課
ポイント加算持続可能な水産加工流通システム推進事業のうち水産加工連携プラン支援事業安定取引、流通合理化水産庁 加工流通課
ポイント加算浜の活力再生・成長促進交付金のうち水産業強化支援事業(加工流通構造改善目標)4種類すべて水産庁 加工流通課
みなし措置強い農業づくり総合支援交付金のうち食料システム構築支援タイプ安定取引関係確立事業活動農産局 総務課 生産推進室

この一覧から読み取れることが2つあります。ひとつは、「流通合理化」と「安定取引」の計画が、補助事業との結びつきが強いことです。もうひとつは、計画の種類によって、使える補助事業がかなり違うことです。計画の種類を選ぶ段階で、将来応募したい補助事業の対象計画を確認しておくと、認定後の動きが滑らかになります。

一例として、持続可能な食品等流通総合対策事業の概要には、標準パレットの導入、デジタル化・データ連携、ラストワンマイル配送の取組、中継共同物流拠点の整備などが並んでいます。この事業の事業目標は、飲食料品卸売業の売上高に占める経費の割合を12.4%(令和5年度実績)から10%(令和12年度まで)に削減することです。事業の流れは、国から民間団体等へ、さらに食品流通業者等で構成される協議会などへ、という形で、補助率は定額または1/2以内、中継共同物流拠点の整備は4/10以内または1/3以内と資料に書かれています。ただし、これは令和8年度予算の概算決定時点の資料です。実際の公募の内容や、認定が要件かどうかは、各事業の公募要領で確認してください。

みなし措置は、強い農業づくり総合支援交付金(食料システム構築支援タイプ)などの申請に必要な「食料システム構築計画」の承認が、安定取引関係確立事業活動計画の認定でカバーされる仕組みです。ただし、別添9に、対象品目とそのニーズの分析、事業者と農業者の連携による課題、取組内容など、食料システム構築計画の趣旨に沿った内容を書く必要があります(Q&A 10-4)。

相談・申請の窓口は、どこで、誰に連絡するのか

窓口は、申請者の住所地(主たる事務所の所在地)を管轄する地方農政局等です。手引きに掲載されている連絡先を表にします。

地方農政局等担当部署電話担当都道府県
北海道農政事務所生産経営産業部 事業支援課011-330-8810(農林水産省のウェブページ掲載)北海道
東北農政局経営・事業支援部 食品企業課022-221-6146青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
関東農政局経営・事業支援部 食品企業課048-740-0397茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、静岡
北陸農政局経営・事業支援部 食品企業課076-232-4149新潟、富山、石川、福井
東海農政局経営・事業支援部 食品企業課052-746-6430岐阜、愛知、三重
近畿農政局経営・事業支援部 食品企業課075-414-9024滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
中国四国農政局経営・事業支援部 食品企業課086-222-1358鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知
九州農政局経営・事業支援部 食品企業課096-300-6367福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島
内閣府沖縄総合事務局農林水産部 食料産業課098-866-1673沖縄

北海道農政事務所の電話番号は、手引き(PDF)と農林水産省のウェブページで表記が異なります。ウェブページ側の番号を掲載しましたが、連絡前に最新のページで確認してください。

次の場合は、地方農政局等ではなく、農林水産省 新事業・食品産業部 食料システム連携推進室(03-3502-8051)が窓口になります。

窓口が本省になる場合
農研機構の設備等の供用等の特例を使いたい
日本政策金融公庫の海外展開支援の特例を使いたい
産業競争力強化法の特例を使いたい
食品等持続的供給推進機構による債務保証を使いたい
計画に要する経費に国の補助が見込まれる(認定を要件とする補助事業を使う場合。ただし安定取引関係確立事業活動を申請する場合で他の項目に当たらないときは、地方農政局等)
計画が複数の地方農政局等の管轄区域にまたがる

メールアドレスは、迷惑メール対策として「@」が「★」と表記されています。実際に連絡するときは、農林水産省のページで、正しい宛先を確認してください。

申請書には、何を、どのくらい具体的に書くのか

必須の書類は、別記様式第1号(認定申請書)と別記様式第2号(事業活動計画)です。法人の場合は、定款またはこれに代わる書面、最近2期間の事業報告書・貸借対照表・損益計算書(書類がない場合は、最近1年間の事業内容の概要)も添付します。特例を使うなら、特例ごとの別添書類が加わります。

別記様式第2号には、手引きの記載例と「記載のポイント」が付いています。主な記載事項と、手引きが示す注意点を表にします。

記載事項手引きが示すポイント
申請者の概要法人番号はハイフンなしで記入。業種欄は主な業種。事業活動計画の対象となる事業は、日本標準産業分類の中分類(2桁コード)から選ぶ。複数の食品等事業者で申請するときは「申請者(共同)」欄を追加する
事業活動の目標定性的な目標を書き、進捗の確認に適した定量的な目標値(指標)を1つ以上設定。数式で算出する目標値は、考え方や計算方法を書く
目標値の例安定取引:地域農産物を用いた食料品の製造量、付加価値額。流通合理化:付加価値額、労働生産性、流通コスト。環境負荷低減:温室効果ガス排出量、食品ロス、プラスチック排出量。消費者選択支援:地域農産物売上高、サステナビリティに配慮した商品の販売量
取組の内容具体的に書く。各事業活動の目的に資する内容にする
実施時期原則5年以内。開始は計画の申請日以降
実施事業所実際に取組を行う事業所の名称・所在地・事業開始年月日・事業内容
必要な資金の額と調達方法実施者、使途・用途ごとに分けて、事業費と調達方法(補助金、借入金・出資金、自己資金等)を記載。補助金は、金額と活用する補助事業の名称を書く
寄与する程度農林漁業及び食品産業の成長発展、一般消費者の利益の増進への寄与を、定量的または定性的に書く
確認事項営業秘密の保護、計画の概要の公表への同意、特例関係機関への情報提供への同意などにチェック

記載例では、国産原材料を用いた食品の製造量を、現状0.5トン/年から計画終了時に2.0トン/年にする(変化率300%)という目標値が示されています。これは、手引きの記載例の数字です。実際の目標値は、自社の事業に合わせて設定します。

特に注意したいのが、「寄与する程度」の欄です。手引きは、自社事業の持続性に寄与するという内容のみでは、認定基準を満たさないおそれがあると書いています。取引先の農林漁業者・産地の収入の安定化、食品産業全体の効率化・生産性向上、環境負荷の低減、消費者の利益の増進など、自社の外にまで届く効果を書く必要があります。

審査では、何が見られるのか

Q&A 2-12は、認定の基準を2層で示しています。まず、次の3つのすべてに適合する必要があります。基本方針に照らして適切なこと、確実に実施されることが見込まれること、農林漁業及び食品産業の成長発展並びに一般消費者の利益の増進に寄与すること、です。そのうえで、審査では次の7点が確認されます。

審査で確認される点申請者が準備すること
事業の内容が、申請者の事業や食品産業を取り巻く環境の変化に応じた具体的な課題に対処し、基本方針に照らして適切か自社の課題と取組のつながりを、具体的な事実で書く
内容、実施期間、スケジュール、人員、経営状況等から、円滑かつ確実に実施できるか工程表、担当者、決算書の整合
目標が、事業内容や実施期間を踏まえて妥当か現状値の根拠、計画終了時の値の算出方法
必要な資金の額が設定され、調達方法が適切か事業費の内訳、資金調達の裏づけ
農林漁業及び食品産業の成長発展並びに一般消費者の利益の増進に寄与する程度が確実と見込まれるか取引先や消費者に生じる変化を具体的に書く
必要な書類がすべて提出されているか別添・添付書類のチェック
その他、認定にふさわしくない特段の事情がないか法令遵守、営業秘密の扱いの整理

設備や機械の導入は必須ではありません(Q&A 2-16)。設備投資のない計画でも、上の要件に適合すれば認定を受けられます。また、支援・特例措置を使う予定がなくても、申請はできます(Q&A 2-17)。

手続きの流れと、いつまでに動くべきか

流れは、事前相談、申請、審査、認定・公表、計画の実施、の順です。手引きは、事前相談を「必ず」行うよう書いています。

段階内容留意点
事前相談地方農政局等に連絡。計画の開始予定時点から、時間的余裕を持って税制の特例を使うなら、準備書類が多いので早めに
申請申請書と添付書類をメールで提出受付は通年
審査地方農政局等が審査。必要に応じて関係省庁等と調整申請時点から原則45日が目安
認定・公表認定通知。計画の概要が農林水産省のウェブページで公表される公表への同意が確認事項に含まれる
計画の実施特例措置を活用しながら実施各年度の事業終了後3か月以内に実施状況を報告

日程を逆算するうえで最も大事なのが、Q&A 2-14と2-15です。計画に位置づける取組は、認定を受ける前に実施すると、支援・特例措置の対象になりません。設備を計画に含める場合、設備の取得(引き渡し)や施設の着工(工事の開始)までに認定を受ける必要があります。契約済みでも、認定日までに取得や着工が行われていなければ、特例の対象になるとされています。判断に迷う場合は、窓口に確認してください。

仮の数字で、逆算の例を示します。設備の引き渡しを2027年1月中旬と見込む事業者が、税制の特例を使うとします。審査の目安は申請から45日ですので、遅くとも2026年11月中には申請を済ませたいところです。ただし、B・D・E類型では、公認会計士・税理士の確認書や、経済産業局での手続き(説明から概ね1か月以内に確認書が発行されます)が先に必要です。実際には、その1か月以上前から動き出すことになります。上の日付は、あくまで仮の数字です。

認定を受けたあと、何をしなければならないのか

認定後の義務を表にします。

項目内容根拠
実施状況の報告計画実施期間の各事業年度の終了後3か月以内。国の補助事業を活用していて、その事業が報告を求める場合は、時期の変更を相談できるQ&A 2-18
特例ごとの報告中小企業等経営強化法の特例や産業競争力強化法の特例は、特例ごとの期限・様式で報告Q&A 2-18
フォローアップ報告を踏まえ、必要に応じて指導や助言Q&A 2-19
計画の変更軽微な変更も含め、変更の可能性が生じた段階で地方農政局等に相談。法第7条にもとづく変更手続が必要Q&A 2-21
目標が未達の場合未達を理由とするペナルティや支援措置の取消しはない。ただし、目的外使用や、初めから達成する気がないなど悪質と認められる場合は、認定取消しもあり得る。未達の原因は分析して報告Q&A 2-20

目標を達成できなかっただけで不利益を受けないというのは、安心材料です。一方で、毎年度の進捗確認と報告は欠かせません。実施期間が最長5年ですので、その間、報告の担当者を社内で決めておくと、抜けを防げます。

認定マークは、何のために、どう使うのか

認定を受けた事業者は、認定マークを使えます。Q&A 11の内容を整理します。

項目内容
種類4種類の事業活動計画ごとに4種類。認定を受けた計画のマークのみ使用可
使える場面認定計画に係る広報活動、販売活動(自社ホームページ、店舗での事業紹介、計画を通じて製造・流通する商品やサービス、商品パッケージなど)
使える期間申請書に記載した実施期間のみ
入手方法認定申請を行った地方農政局等に連絡。画像データはPNGとIllustratorの2種類
してはいけないこと譲渡・担保提供・転貸・代理使用、色の変更・影付け・縁取り・変形・回転などの加工、認定年を外しての使用
不適切な使用の場合罰則はないが、使用の取消し、停止などの措置がある。認定計画に関連しない広報・販売への使用、個別商品の品質を保証するかのような誤解を与える使い方は不可

マークの使い道は、取引先や消費者に、取組の裏づけを示すことです。ただし、「品質を保証するマーク」ではありません。個別の商品やサービスの品質を保証するかのような使い方は、不適切な使用に当たります。パッケージに載せる場合は、認定を受けた事業活動計画に基づく商品であることを確認してください。

向く事業者、向かない事業者

この制度は、計画の中身を文章と数値で組み立てられる事業者に向きます。向く場合と向かない場合を表にします。

向く場合向かない場合
国産原材料への切り替えなど、農林漁業者との継続的な取引を広げたい食品製造・卸・小売・外食の事業者今すぐ現金の支援が欲しい(この制度は認定であり、給付金ではない)
設備投資を予定しており、税制の特例を検討したい中小企業すでに設備を取得・着工してしまっていて、その設備を特例の対象にしたい
将来、認定を要件やポイント加算の対象とする補助事業への応募を考えている取組が自社の効率化のみで、取引先や消費者への効果を説明できない
物流、食品ロス、プラスチック、情報発信など、持続可能性に関する取組を整理し、対外的に示したい計画を作る時間や、年1回の報告を続ける体制がない
設備投資を伴わない取組(情報発信、取引の見直し等)でも認定を受けたい(設備は必須ではない)農林漁業者のみで、食品等の製造・加工・流通・販売を行っていない(食品等事業者に当たるか、窓口に確認が必要)

農林漁業者は、食品等事業者に当たる場合は申請主体になれる場合があります(Q&A 2-3)。農林水産物の生産に加えて、食品等の製造・加工・流通・販売を行っているケースです。該当するかどうかは、窓口に相談してください。

似た制度との違いは、どこにあるのか

手引きでは、特例措置を通じて、ほかの計画認定制度とつながっています。食料システム法の認定を、他制度と混同しないための整理です。

制度認定・承認の主体食料システム法との関係
経営力向上計画(中小企業等経営強化法)事業所管大臣食料システム法の税制特例は、経営力向上計画の認定要件を満たす必要がある。税制の内容は同じ(Q&A 3-4)
事業適応計画(産業競争力強化法)事業所管大臣カーボンニュートラル投資促進税制の特例は、事業適応計画の認定要件を満たす必要がある
事業再編計画(産業競争力強化法)事業所管大臣事業再編時の登録免許税の軽減、会社法の手続き緩和は、事業再編計画の認定要件を満たす必要がある
食料システム構築計画(強い農業づくり総合支援交付金の申請要件)農林水産省の事業側安定取引関係確立事業活動の認定で、承認を受けたとみなされる

食料システム法の認定は、これらを一つの窓口でまとめて申請できるようにしたものです。税制だけを使いたい場合は、経営力向上計画の認定を直接受ける方法もあり、どちらが自社に合うかは、取組の中身と、ほかの特例を併せて使うかで決まります。

つまずきやすい点

次の点は、手引きやQ&Aの記載から、実務でつまずきやすいと考えられるところです。

つまずきやすい点避け方
認定前に設備を取得・着工してしまう引き渡し・着工日と、認定日を並べて工程表をつくる。迷ったら窓口へ
「自社の効率化」だけを書いてしまう取引先の農林漁業者、食品産業全体、消費者に生じる効果を書く
目標値の算出方法が書かれていない現状値と目標値の根拠、計算式、単位を書く
複数計画をまとめて申請して、目標や内容を混ぜてしまう事業活動ごとに、目標・目標値・内容・寄与する程度を分けて書く
税制の特例の事前準備を後回しにする工業会証明書や、税理士の事前確認書、経済産業局の確認書には時間がかかる。最初の事前相談で伝える
計画が複数の地方農政局等の管轄にまたがるのに、通常の窓口に出す食料システム連携推進室(03-3502-8051)に相談
認定後の報告を忘れる事業年度終了後3か月以内。担当者とカレンダーを決める
認定マークを他の商品に使う認定計画に基づく商品・活動のみ。加工も禁止

よくある質問

Q. 認定を受けると、お金がもらえますか。A. この制度自体に給付金はありません。税制の特例や、補助事業での優遇(認定が応募の要件になる、審査で加点される)につながります。補助事業の金額や採否は、各事業の公募・審査で決まります。

Q. 申請期限はありますか。A. 受付は通年です(Q&A 2-4)。ただし、事前相談と審査に時間がかかるため、余裕を持って相談するよう求められています。審査の目安は、申請時点から原則45日です。

Q. 計画の実施期間は、どのくらいにすればよいですか。A. 原則5年以内です。開始は申請日以降にします。税制の特例を使う場合は、対象機械・装置の耐用年数に照らした期間にします(Q&A 2-11)。

Q. すでに取り組んでいることも、対象になりますか。A. 既に実施中の取組に加えて、新たに持続的な供給に資する取組を行う場合は対象です。社内で決定済みで、これから実施する取組も対象になります。ただし、特例措置の対象になるのは、認定後の取組のみです(Q&A 2-23)。

Q. 書類は郵送ですか。A. 原則メールです。やむを得ない場合は郵送も可能なため、窓口に相談します(Q&A 2-6)。

Q. 認定された計画は公表されますか。A. 計画の概要が、農林水産省のウェブページで公表されます(Q&A 2-24)。申請書の確認事項に、公表への同意が含まれています。

Q. 目標を達成できなかったら、認定は取り消されますか。A. 目標未達のみを理由とする取消しはありません。ただし、悪質と認められる場合は取消しもあり得ます。未達の原因は、実施状況報告で分析して書きます(Q&A 2-20)。

Q. 農林漁業者と共同で申請できますか。A. 申請できるのは食品等事業者ですが、取引先の農林漁業者や研究開発を行う者の取組を、別紙1・別紙2で合わせて申請できます(特例措置を使わない場合、別紙の提出は不要。Q&A 2-26)。

問い合わせ先

制度全般は、農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 企画グループ(代表03-3502-8111 内線4012、ダイヤルイン03-6744-2054)です。計画の相談・申請は、住所地を管轄する地方農政局等(前掲の表)、または食料システム連携推進室(03-3502-8051)に連絡します。申請書式、手引き、Q&A、事務取扱要領、基本方針、認定された計画の一覧は、農林水産省の「食料システム法計画認定制度」のページ(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/keikaku/gaiyou.html)から入手できます。

なお、本記事は2026年10月時点で確認できた資料にもとづきます。手引き、Q&A、優遇措置の資料は、更新されることがあります。申請の前に、農林水産省のページで最新版を確認してください。

この制度を一言でいうと

「食料システム法計画認定制度」は、農林水産省が実施する認定制度です。対象の地域は全国です。

1.安定取引関係確立事業活動等(食品等事業者向け) 食品等事業者(食品製造業者、食品卸売業者、食品小売業者、外食業者等)による持続可能な食料供給の取組を推進するため、4つの事業活動計画について、農林水産大臣が認定する制度が創設されました。認定を受けた食品等事業者は、金融・税制等上の総合的な支援・特例措置を受けることができます。 2.連携支援事業(地方公共団体等支援機関向け) 地域における食ビジネスの発展を支援するため、地方公共団体等、食品産業に対する支援の事業を行う者(支援機関)が連携して行う事業(連携支援事業)に関する計画を認定する制度が創設されました。

受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。

制度名食料システム法計画認定制度
実施機関農林水産省
種類認定制度
対象地域全国
受付期間通年(随時)で受け付けています

「食料システム法計画認定制度」の対象になる方

対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。

対象かどうかを、この順に確認します
  1. 1地域全国
  2. 2規模従業員数の制約は示されていません
確認することこの制度の内容
地域全国
規模従業員数の制約は示されていません
この制度の文章にある言葉ProdX Crowd編集部の見方
団体NPO・組合・団体も対象に含まれています。定款や規約、会員の名簿など、団体としての実態を示す書類が必要になることがあります。
認定認定・登録・承認を受けていることが、条件になっている場合があります。取得に時間がかかるものは、申請より先に手続きを始めます。

「食料システム法計画認定制度」の経費で気をつけたいこと

この制度の文章にある言葉ProdX Crowd編集部の見方
認定認証・規格の取得に関する費用が含まれています。審査費用、コンサルティング費、更新費用のうち、どれが対象かを、制度の定めで確認します。

申請の方法と、そろえる書類

この制度の文章にある言葉ProdX Crowd編集部の見方
事前確認事前の相談や確認が、申請の条件になっている可能性があります。相談の予約が埋まることがあるため、早めに窓口へ連絡します。
支援機関商工会議所・商工会・支援機関が関与する手続きがあります。窓口の予約や、確認書の発行に、日数がかかる場合があります。

この制度で、特に注意したいこと

区分内容
その他統計情報 トップ / 新着統計情報等 / 農家数、担い手、農地に関する統計 / 作付面積・生産量、家畜頭数等の統計 / 経営収支、産出額、物価等の統計 / 卸売市場の統計・市況 / 日別グラフ / 森林・林業に関する統計 / 水産業に関する統計

「食料システム法計画認定制度」の手続きの流れと日程

この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。

手続きの流れ
  1. 計画の作成現状・目標・内容
  2. 支援機関の確認制度による
  3. 申請期限・申請先を確認
  4. 認定設備取得の前に
  5. 優遇措置の利用税制・融資・加点
  6. 毎年の報告実施状況

「食料システム法計画認定制度」についてのよくある質問

Q&A食料システム法計画認定制度

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経営者

Q. 食料システム法計画認定制度の受付期間はいつですか?

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ProdX Crowd編集部
A.

通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。

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経営者

Q. 食料システム法計画認定制度で、注意すべきことはありますか?

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ProdX Crowd編集部
A.

統計情報 トップ

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経営者

Q. 食料システム法計画認定制度で、注意すべきことはありますか?

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ProdX Crowd編集部
A.

新着統計情報等

この制度を検討するときの確認リスト

確認項目状況
対象の地域(全国)に、事業所がある□ はい □ いいえ
交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない□ はい □ いいえ
後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている□ はい □ いいえ

情報の確認元:農林水産省の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。