酒類事業者向け補助事業(国税庁)
酒類事業者向け補助事業(国税庁)(国税庁)の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。
酒類業振興支援事業費補助金(国税庁)は、酒類事業者の海外展開と新市場開拓を、最大1,000万円・2分の1で支える補助金
国税庁の「酒類事業者向け補助事業」のうち、現在の公募は「令和8年度 酒類業振興支援事業費補助金」です。日本産酒類の輸出拡大と、酒類業の経営改革・構造転換を目的に、酒類の製造免許または販売業免許を持つ事業者(またはそれを含むグループ)が行う取組の費用を、国が一部負担します。
この記事の対象は、補助金です。融資や認定、税制ではありません。国税庁のページには、過去の採択事業者の一覧や取組事例集も載っていますが、ここでは、いま申請できる第6期の公募要領(令和8年10月)、制度概要、Q&Aを読んだ内容を中心に整理します。
先に、制度の骨格を表にします。
| 項目 | 海外展開支援枠 | 新市場開拓支援枠 |
|---|---|---|
| 狙い | 日本産酒類の輸出拡大、インバウンド需要の開拓 | 国内外の新市場開拓、製造・流通の高度化 |
| 補助率 | 補助対象経費の2分の1 | 2分の1。従業員20人以下(卸売・小売業は5人以下)の小規模酒類事業者は3分の2 |
| 補助金額 | 1件あたり50万円以上、1,000万円以内 | 1件あたり50万円以上、500万円以内 |
| グループ申請の上限 | 3者で1,200万円、4者で1,300万円、5者で1,400万円、6者以上で1,500万円 | 資料に上限の嵩上げは書かれていない |
| 追加の申請要件 | なし | 3〜5年の事業計画で給与支給総額を年率平均1.5%以上増やし、売上額か付加価値額を年率平均3%以上増やす計画 |
| 補助事業期間 | 交付決定日から令和9年2月28日まで(その日までに支払を完了) | 同左 |
予算は、令和7年度補正予算が9.0億円、令和8年度予算が6.0億円と、制度概要に書かれています。
公募の日程は、第6期が令和8年10月8日(木)から10月28日(水)の12:00までです。今日は2026年10月12日ですので、締切まで残り16日です。申請はJグランツでの電子申請のみで、申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。このアカウントは、書類を郵送して取得する場合、1〜2週間ほどかかります。公募要領は、アカウントの準備が間に合わなかった場合の期限の猶予は認めないと、明記しています。まだアカウントを持っていない事業者は、この記事を読み終えたら、真っ先に取得の手続を始めてください。
どんな制度か。令和8年度の公募は第3期から第6期まで続いている
制度概要には、今年度の公募が複数の期に分けて行われていることが書かれています。第3期から第6期までの日程は、次のとおりです。
| 期 | 公募期間 | 採択者の決定 | 事業の開始 |
|---|---|---|---|
| 第3期 | 令和8年7月27日(月)〜8月17日(月) | 令和8年9月下旬 | 令和8年10月上旬 |
| 第4期 | 令和8年7月27日(月)〜9月9日(水) | 令和8年10月中旬 | 令和8年10月下旬 |
| 第5期 | 令和8年8月18日(火)〜10月7日(水) | 令和8年11月中旬 | 令和8年11月下旬 |
| 第6期 | 令和8年10月8日(木)〜10月28日(水)12:00 | 令和8年11月下旬 | 令和8年12月上旬 |
事業の期限は、どの期でも令和9年2月28日(日)です。つまり、公募の期が後ろになるほど、補助事業を実施できる期間は短くなります。第6期で採択された場合、事業の開始は12月上旬の見込みで、期限の2月28日までに事業を終えて、支払まで済ませる必要があります。実質的な実施期間は、約3か月です。
この短さは、計画の立て方に直接影響します。たとえば、新しい醸造設備を導入して試作する計画で、設備の納期が数か月かかるなら、期限に間に合わない可能性があります。展示会への出展や、観光客を受け入れる整備なども、時期と準備期間を、逆算して考える必要があります。採択の結果が出るまでには、各受付締切後、概ね2か月程度かかる(Q&A)とされています。
どんな事業者が申請できるか
補助対象者は、次の2つの要件を満たす、日本国内に所在する者です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 酒類事業者であること | 公募申請時に、酒税法の規定により、酒類の製造免許または酒類の販売業免許を受けている者(その免許を受けた者で構成される酒類業組合等を含む)。または、酒類事業者を1者以上含むグループ |
| 不適当な者に当たらないこと | 公募要領が挙げる11項目のいずれにも当たらない |
不適当な者の11項目は、反社会的勢力に関する4項目、係争中であること、市場獲得を目指す対象国に国連安保理の経済制裁対象国が含まれること、国税の滞納、過去3年の酒税関係法令違反で罰金以上の刑、酒類の公正な取引に関する基準違反で指示を受けた事項の未改善、過去年度(令和3〜6年度)の国税庁の酒類事業者向け補助金の事業化状況報告書の未提出、過去3年間に国や自治体の補助金の不正で交付決定の取消しを受けたこと、です。
このうち、実務で見落としやすい項目を表にします。
| 項目 | 注意すること |
|---|---|
| 国税の滞納 | 公募締切日時点で、納付期限を過ぎた国税(附帯税、地方消費税等を含む)がないこと |
| 事業化状況報告書 | 令和3〜6年度に、国税庁の酒類事業者向け補助金を受けた事業者は、提出期限が来ている報告書をすべて出していること |
| 係争中 | 刑事告訴された、または民事上の不法行為をめぐって係争中である場合は対象外 |
| 輸出先 | 市場獲得を目指す対象国に、経済制裁が行われている国が含まれていないこと |
過去に国税庁の酒類事業者向け補助金を受けた事業者は、事業化状況報告書の提出状況が、この補助金の申請資格に直結します。報告の期限は、補助事業完了日の属する会計年度の翌々会計年度から、毎会計年度終了後90日以内です。まだ報告の時期が来ていない場合は問題ありませんが、過去の期限を過ぎて出していないものがあれば、先に提出してください。
グループ申請もできます。免許を持たない団体(協議会など)も、酒類事業者を1者以上含めれば、申請できます。Q&Aは、申請例として、本補助金の趣旨に合うプランを持つが免許がない場合に、免許を持つ酒類事業者と組む、輸出実績のない事業者が、輸出のノウハウを持つ事業者と組む、という場合を挙げています。
海外展開支援枠で、何ができるか
海外展開支援枠が支援するのは、次の3つの類型です。
| 類型 | 内容 | 公募要領に挙がる取組例 |
|---|---|---|
| 海外販路拡大・商品等の高付加価値化 | 日本産酒類の高付加価値化、海外のニーズを踏まえた新商品開発、認知度向上のための情報発信など、ブランド化を進める取組 | 現地調査とブランド戦略の構築、海外のし好に合う新商品開発、海外での新規取扱事業者の開拓、海外の有名レストランの協力による情報発信、地理的表示(GI)やテロワールを活かしたブランド化、農商工連携や異業種連携 |
| 酒蔵の観光化・酒蔵ツーリズム | インバウンドの需要を拡大するため、酒蔵自体の観光化や、酒類事業者、観光事業者、交通機関、自治体が連携した周遊・滞在型観光の推進 | 観光客の受入整備、酒造りや宿泊などの高付加価値な体験環境の整備、地域連携の機運醸成、ガイド育成や他の観光資源との組合せ、複数の酒販店が連携した「酒販店巡り」の造成 |
| 酒米産地との連携(海外展開またはインバウンド向け) | 酒米の不足や価格高騰を踏まえた取組 | 地元の酒米農家との契約による、地域の風土や田んぼの特性を活かした高付加価値商品の海外展開、地元酒米農家と連携したインバウンド向けの酒米・酒造り体験などの環境整備 |
海外展開支援枠では、給与支給総額の増加計画などの追加要件はありません。補助率は2分の1で、補助金額は1件あたり50万円から1,000万円です。複数の酒類事業者が集まって推進する取組は、グループ申請として、上限が引き上がります。3者で1,200万円、4者で1,300万円、5者で1,400万円、6者以上で1,500万円です。公募要領は、7者以上でも1,500万円で変わらず、下限の50万円もグループ申請で変わらないとしています。
新市場開拓支援枠で、何ができるか
新市場開拓支援枠が支援するのは、国内外の新しい市場の開拓や、製造・流通の高度化です。4つの類型があります。
| 類型 | 目的 | 公募要領に挙がる取組例 |
|---|---|---|
| 商品の差別化による新たなニーズの獲得 | マーケットインの考えを踏まえ、既存商品と差別化された酒類を開発する | 食品とのペアリングに特化した商品、地方産品の特性を生かした商品、地元の休耕田の収穫物を原材料にした商品、個人向けのオーダーメイド商品の開発体制、新しい原材料による高付加価値商品、「伝統的酒造り」を差別化の軸にした商品 |
| 販売手法の多様化による新たなニーズの獲得 | 販売の場面で新しい訴求力を生み、多様なニーズに応える | 二次元コード等で商品のブランドストーリーを提供、顧客体験を重視した販売形態(テイスティング等)、データ分析を用いた顧客の嗜好に合う販売手法 |
| ICT技術を活用した製造・流通の高度化・効率化 | 専門家の経験に頼ってきた作業にICT技術を使い、技能との相乗効果を生む | AI技術等を使った品質管理システム、RFIDやAIカメラ等を使った流通の管理システム |
| 酒米産地との連携を活かした新たな取組 | 酒米の不足や価格高騰を踏まえた取組 | 契約栽培先の多角化など、酒米を安定して確保できる体制の構築、地域の農家との連携を強め、他県産米から自県産米への切替を促す取組 |
Q&Aは、取組例にない取組でも、補助対象事業の4つの事業目的に合えば、補助事業計画書の事業区分「その他」で採択の対象になる可能性があると回答しています。
新市場開拓支援枠には、給与支給総額の増加計画という、ほかの補助金にもよくある条件がついています。内容を表にします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計画期間 | 3〜5年の事業計画 |
| 給与支給総額 | 年率平均1.5%以上の増加 |
| 売上額または付加価値額 | 年率平均3%以上の増加 |
| 給与支給総額に含むもの | 全従業員(非常勤含む)と役員に支払った給料、賃金、賞与、役員報酬、各種手当(給与所得とされるもの) |
| 給与支給総額に含まないもの | 福利厚生費、法定福利費、退職金 |
| 付加価値額 | 営業利益、人件費、減価償却費の合計。人件費には、給与支給総額に加えて、福利厚生費、法定福利費、退職金を含む(Q&A) |
目標が未達の場合は、補助金の一部を返還する可能性があります。次の節で詳しく見ます。
給与支給総額が未達だと、補助金を返すことになるのか
新市場開拓支援枠で、事業計画の終了時点に、給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加が達成できていない場合、補助金の一部返還を求められます。返還額の考え方は、公募要領に、次の式で示されています。
導入した設備等の簿価または時価のいずれか低い額のうち、補助金額に対応する分。式で書くと、残存簿価等×補助金額÷実際の購入金額、です。
仮の数字で、この式を計算してみます。下の数字はすべて、計算の仕組みを示すための仮の数字です。
| 項目(仮の数字) | 金額 |
|---|---|
| 設備の購入金額 | 600万円 |
| 補助金額(3分の2で計算) | 400万円 |
| 計画終了時点の残存簿価(仮) | 240万円 |
| 時価(買取見積りの高いほう、仮) | 300万円 |
| 簿価と時価の低いほう | 240万円 |
| 返還額=240万円×400万円÷600万円 | 160万円 |
実際の計算は、Q&Aが示す方法に従います。簿価は、設備の取得時の価格を、法人の場合は、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアは定額法、それ以外は定率法(機械装置、車両、器具備品は定額法も可)で減価償却した金額、個人事業主は基本的に定額法で減価償却した金額(機械装置、車両、器具備品は定率法も可)です。時価は、2者以上の買取業者などから取得した買取価格の見積りのうち、いずれか高い額です。
返還が免除される場合も、公募要領とQ&Aに書かれています。
| 場合 | 扱い |
|---|---|
| 給与支給総額の年率平均増加率が、「売上額または付加価値額の年率平均増加率÷2」を超えている | 返還を求めない |
| 天災など、事業者の責めに帰することができない理由がある | 返還を求めない |
| 自己都合の退職など、給与支給総額を用いることが適切でない特別な事情がある | 給与支給総額の増加率に代えて、一人あたりの賃金の増加率を用いることを認める(Q&A) |
| 3年の計画で、3年後の給与支給総額が基準年度比で4.5%以上増えている | 2年後に3.0%以上増えていなくても、返還を求めない(Q&A) |
Q&Aの具体例では、3年の計画で、売上額の目標が年率平均3%のところ、実績が年率平均1.9%にとどまったとき、給与支給総額の年率平均の増加が1%であれば、売上の増加率の半分(0.95%)を超えているため、返還は求められません。ここで使われている数字は、公式のQ&Aの説明用の数字です。
給与支給総額を増やす計画は、補助事業の成果とは別に、事業者の経営計画に組み込む必要があります。そのため、申請前に、賃上げ計画を取締役会や社内で合意しておく、決算書から基準年度の数字を整理しておく、などの準備が必要です。
補助額はいくらになるか。金額の計算例
補助額の上限と下限、補助率を使って、必要な経費の規模を逆算する表を作ります。下の金額は、すべて仮の数字です。
| 枠・補助率 | 補助金額の目安(仮) | 必要な補助対象経費(仮) | 自己負担(仮) |
|---|---|---|---|
| 海外展開・2分の1・下限 | 50万円 | 100万円 | 50万円 |
| 海外展開・2分の1・中程度 | 500万円 | 1,000万円 | 500万円 |
| 海外展開・2分の1・上限 | 1,000万円 | 2,000万円 | 1,000万円 |
| 新市場開拓・2分の1・上限 | 500万円 | 1,000万円 | 500万円 |
| 新市場開拓・3分の2(小規模)・上限 | 500万円 | 750万円 | 250万円 |
| 新市場開拓・3分の2(小規模)・中程度 | 300万円 | 450万円 | 150万円 |
補助対象経費は、消費税及び地方消費税を除いた金額で数えるのが原則です。公募要領の9「その他」は、公募申請書の補助金申請額の算定段階で、消費税等は補助対象経費から除外して補助金額を算定するよう求めています。ただし、消費税の納税義務者にならない事業者、免税事業者、簡易課税事業者、国や地方公共団体の事業者、課税売上割合が低いなどの理由で仕入控除税額確定後の返還を選択する事業者などは、消費税等を補助対象経費に含めて算定できます。自社がどちらに当たるかは、申請前に整理してください。
また、公募要領は、採択された場合でも、予算の都合等により希望金額から減額される場合があると、明記しています。申請額が、そのまま交付されるとは限りません。
補助金の下限の考え方も、Q&Aに出ています。確定検査の結果、補助対象経費に補助率(2分の1または3分の2)を掛けた額が補助金の下限(50万円)を下回ることになっても、補助金全額が不交付になるわけではなく、その計算額が交付額になります。また、確定検査で、交付決定額を超える経費を支出していたことが分かっても、交付決定額が交付額の上限です。
何の経費が対象になるか。17の経費区分
補助対象経費は、本事業の対象として明確に区分できるもので、必要性と金額の妥当性を証拠書類で確認できる経費です。交付決定を受けた日以降に発注し、補助事業期間内に支払を完了したものに限ります。経費区分は、次の17です。公募要領は、これ以外は補助対象と認めないとしています。
| 区分 | 内容の要点 | 主な注意点(公募要領から) |
|---|---|---|
| 設備等費 | 機械装置、器具備品、情報システム等の購入、制作、構築、改良、据付など | この補助事業に必要なものに限る。通常の事業活動での使用は不可。ソフトウェア構築の委託費・外注費もここに入る。土地の取得費や、華美・過大な設備は対象外 |
| 謝金 | 専門家や委員への謝礼 | 補助事業者・参画事業者は支出の対象にできない。単価は規程等で根拠が必要。申請書類の作成支援を依頼した費用は対象外 |
| 旅費 | 情報収集、調査、会議、販路開拓の旅費 | グリーン車、ビジネスクラス等の追加料金は対象外。補助事業以外の用務が含まれる場合は按分 |
| 借損料 | 設備等のリース、レンタル | 事業所の賃借料(家賃)は対象外。契約が年度を超える場合は、補助事業期間分のみ |
| 通訳・翻訳費 | 通訳や翻訳の依頼 | 展示会出展に伴うものは「展示会等出展費」に計上 |
| 会議費 | 会議、講演会、シンポジウムの会場借料、機材借料など | 参画事業者への謝礼は対象外 |
| 広報費 | パンフレット、動画、写真などの作成、広告媒体の利用 | 単なる会社のPRは対象外。交際費は対象外。作成物は必要最低限で、期間中に配布しきる。未配布分は対象外。「令和8年度 国税庁酒類業振興支援事業費補助金」で作成した旨の明記が必要 |
| 委託費 | 自ら実行が困難な業務の一部の委託(委任・準委任契約) | 契約書が必要。委託先の設備購入費は対象外。クラウドファンディング、EC事業者への利用費も含む |
| 外注費 | 業務の一部の外注(請負契約、成果物の納品に対して支払う) | 契約書が必要。外注先の設備購入費は対象外 |
| マーケティング調査費 | ユーザーニーズ調査、調査員への支払 | 記念品代、謝礼は対象外 |
| 産業財産権等取得等費 | 特許権、商標権等の取得 | 日本の特許庁に納付する出願手数料、審査請求料、特許料は対象外。出願が補助事業完了日までに完了している必要がある |
| 展示会等出展費 | 展示会、ECサイト等への出展・出品 | 出展料の請求書の発行日または支払日が交付決定日前だと対象外 |
| 雑役務費 | 臨時に雇ったアルバイトの賃金と交通費 | 作業日報が必要。役員の民法上の親族は対象外 |
| 原材料等費 | 試作品等の原材料、副資材 | 必要最小限で、期間中に使い切る。受払簿の作成、購入時の写真、仕損じ品の保管が必要 |
| 設計・デザイン費 | 試作品等の設計、デザイン、製造、改良、検査、実験 | |
| 出演料 | プロモーションに著名人を起用する経費 | |
| 運営費 | プロモーション等の運営(熱中症や感染症の対策費、保険料を含む)、郵送料、運搬費 |
経費の全般的なルールで、特に大事なものを抜き出します。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 交付決定日より前の発注は対象外 | 発注、購入契約を交付決定日前にしたものは、補助対象にならない |
| 支払の期限 | 令和9年2月28日(日)までに支払が完了しなかった経費は対象外 |
| 相見積り | 1件あたり10万円以上(税抜)の発注は、原則2社以上から見積りを取る。見積りが困難な場合は、随意契約の理由書が必要 |
| 中古品 | 価格設定の適正性が明確でない場合は対象外。Q&Aは、同種同性能の中古品との相見積り等で示すとしている |
| 区分経理 | 補助事業の経費は、ほかの経理と明確に区分する |
| 自社製品・関係会社からの調達 | 補助事業者の利益等相当額を、補助対象経費から排除する |
| 交付申請時に申請していない経費 | 対象外 |
| 人件費(参画事業者の人件費も含む) | 対象外 |
| 通常の事業活動のための設備投資、パソコン、サーバ、タブレット、プリンタ等の購入費 | 対象外 |
| 事業所の家賃、保証金、敷金、仲介手数料、水道光熱費、通信費 | 対象外 |
| 販売を目的とした製品・商品等の生産に係る経費(テスト販売を除く) | 対象外 |
| 不動産の購入費、自動車等の車両(公道を自走できないものを除く)の購入費・修理費・車検費用 | 対象外 |
| 税理士・公認会計士等への費用、弁護士費用 | 対象外 |
| 公募申請書、交付申請書等の書類作成に係る費用 | 対象外 |
| 借入金などの支払利息、遅延損害金 | 対象外 |
公募申請書の作成そのものを外部に頼んだ場合の費用は、補助対象外です。謝金の欄にも、書類作成の支援を依頼した費用は対象外と書かれています。
設備だけの計画は評価が下がる。計画の組み立て方
この補助金で、他の補助金と大きく違うのは、設備投資だけで終わる計画の評価が下がることです。公募要領の注6、注7にあります。
| 用語 | 公募要領での意味 |
|---|---|
| 事業の経費が全て設備投資 | 補助事業で補助対象となる経費が、すべて「設備等費」であること |
| 設備の導入のみで完結する事業 | 補助事業期間中の取組が、設備の導入だけにとどまっている事業。例は、新商品開発のためのタンクや冷蔵設備等の導入のみ、システム等の導入のみ |
| 該当しない例 | 導入したタンクや冷蔵設備を使って新商品開発に着手する、設備の導入のほかにマーケティング調査等を実施する、導入したシステムをテスト運用して改善点の把握まで行う |
この2つの条件の両方に当てはまる計画は、審査で評価が劣後します。逆に言えば、経費が設備等費だけであっても、設備を使った新商品の試作や、マーケティング調査など、設備の導入以外の取組を行うなら、評価は劣後しません。公募要領は、すべて設備投資の経費で、設備の導入以外の取組も行う場合は、経費が発生するかどうかにかかわらず、その取組を確実に補助事業計画書に書くよう求めています。
この規定は、申請前の計画づくりで、次のような使い方ができます。
| 計画の組み方 | 評価の見え方 |
|---|---|
| 発酵タンクの購入だけ | 設備の導入のみで完結。評価が劣後 |
| 発酵タンクの購入と、そのタンクで新商品を試作し、飲み手へのアンケートで反応を調べる | 設備の導入以外の取組があり、劣後の対象にならない |
| 品質管理システムの導入だけ | 設備の導入のみで完結。評価が劣後 |
| 品質管理システムを導入し、一定期間運用して改善点を整理する | テスト運用して改善点を把握しており、劣後の対象にならない |
もう一つの劣後の条件は、補助事業期間中に、テスト販売を除き、成果物の販売や、販売につながる営業行為が行われる事業です。補助事業期間中は、試作品の販売などの営業活動ができません。ただし、「テスト販売」は例外で、次の要件を満たす場合に補助対象になります。
| テスト販売の要件 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 準備期間と販売期間を合わせて、おおむね半年以内 |
| 回数 | 同じ場所・サイト、同じ趣旨で複数回行わない(試作品の改良や販売予定価格の改定をした場合を除く) |
| 効果検証 | 消費者等にアンケート等を行い、効果検証ができる |
テスト販売の例として、展示会等のブース出展、自社が所有または借り上げた販売スペース、ECサイト(クラウドファンディングを含む)、第三者への委託、が挙がっています。収入があった場合の調整は、Q&Aが具体的に計算しています。補助対象経費が1,000万円、補助事業に要する全体の経費が1,100万円、補助率2分の1の場合、テスト販売の収入が600万円(1,100万円から、1,000万円×2分の1を引いた額)を超えると、補助金が減額されます。収入が700万円なら、減額は100万円です。これらの金額は、公式のQ&Aの説明例です。
優先採択。酒米の価格高騰と米国の関税措置
令和8年度の公募には、2つの優先採択があります。
| 優先採択の対象 | 内容 | 必要な書類 |
|---|---|---|
| 酒米の価格高騰等の影響 | 影響を受けた(受ける見込みを含む)場合で、補助事業計画書等の内容が、その影響への対応として関連性を有すると認められる取組 | 別紙9「酒米の価格高騰等に関する確認書」と、影響が分かる書類(酒米の受払簿、総勘定元帳の該当部分の写し)。地方自治体などから酒米代の高騰分の補助金等を受けた場合は、受給したことが分かる書類 |
| 米国の関税措置の影響 | 同様に、影響への対応として関連性が認められる取組 | 別紙10「米国関税措置に関する確認書」と、米国へ輸出していることが分かる書類(輸出許可書等)、影響を証明する書類(取引先からのメール、帳票書類等) |
酒米の価格高騰等による優先採択は、申請者または参画事業者に、酒類の製造免許を受けた者(製造者)がいる場合に限られます。Q&Aは、その理由を、令和7年度補正予算が、酒米の不足や価格高騰に対応した酒蔵支援の強化を目的の一つとしているためと説明しています。申請者が製造者でない場合も、製造者を補助事業に参画させれば、要件を満たせます。
優先採択の扱いについて、Q&Aは、次のように答えています。
| 疑問 | Q&Aの回答の要点 |
|---|---|
| 優先採択に当たれば採択されるのか | 採択が決まるわけではない。基礎項目を満たさない事業は失格。各評価項目の説明が不十分なら、評価点が低くなり、加点があっても不採択になる場合がある |
| 優先採択に当たらない取組は採択されないのか | 優先採択に当たらない取組でも、採択することを想定している。評価点の合計に応じて採択者を決める |
| 加点項目の優先順位 | 付けることはできない。提出された内容を審査して、妥当性が認められれば適用される |
優先採択の取組例として、酒米については、地元の酒米農家と連携したインバウンド向けの酒米・酒造り体験の環境整備や、地元の酒米農家との契約による、ストーリー性を持たせた高付加価値商品の海外展開が挙がっています。米国の関税措置については、米国以外の国への多角化や、引き続き米国をターゲットにした高付加価値商品の開発が、具体例とされています。これらに限らず、影響を受けて、その影響を踏まえた取組であれば該当します。
審査で見られる点。100点満点と、4つの加点項目
審査は、提出書類をもとに、6名以内の外部有識者の意見を踏まえて、国税庁に組織する審査委員会が行います。非公開で、100点満点の評価です。
審査は、基礎項目と評価項目に分かれます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 基礎項目(1つでも欠けたら失格) | 補助対象者の要件に合っていること。海外展開支援枠または新市場開拓支援枠のいずれかの事業であること。補助事業を遂行するために必要な能力を有すること |
| 現状分析 | 客観的なデータを使った分析をしているか。ターゲット市場での自社製品の優位性を、競合他社製品と比べて説明しているか |
| 新規性・先進性 | 類似事例がない、または少ない取組か |
| 優位性 | 既存商品や競合商品と比べた差別化(性能、価格、知名度、日本産酒類の文化的価値の訴求など)と、その根拠を具体的に書いているか |
| 事業実施体制の妥当性 | 財務状況、ノウハウ、人材。専門家や有識者の起用・連携。参画事業者の役割。国内外での酒類の適正な販売管理への配慮 |
| 目標、事業内容の妥当性 | 課題を踏まえた明確な目標と、現実的で具体的な事業計画か。事業KPIが目標と取組に沿っているか。設備の導入のみで完結する事業や、テスト販売を除く販売につながる営業行為が行われる事業に当たらないか |
| 必要経費の妥当性、事業の収益性 | 経費が事業内容に照らして妥当か。補助金額に対して費用対効果が大きいと認められるか |
| 事業の持続性と将来的な事業展開の可能性 | 補助事業完了後の自走に向けた計画やビジョンが明確・具体的か。複数事業者の連携なら、単独より波及効果が期待できるか |
加点項目は4つで、最大2項目まで加点を受けられます。
| 加点項目 | 内容 |
|---|---|
| 計画の認定 | 公募締切日より過去5年以内に、経営強化法の経営革新計画、異分野連携新事業分野開拓計画、経営力向上計画、中小企業地域資源活用促進法の地域産業資源活用事業計画、農商工等連携促進法の農商工等連携事業計画、みどりの食料システム法の基盤確立事業実施計画、農林水産物及び食品の輸出促進に関する法律の輸出事業計画、戦略産業クラスター計画、地域産業クラスター計画、地場産業成長プランのいずれかの認定を受けている場合など |
| パートナーシップ構築宣言 | 応募締切日時点で、ポータルサイトで宣言を行っている |
| 酒米の価格高騰等の影響 | 確認書(別紙9)が提出され、影響が確認でき、取組が影響への対応として関連性を有する |
| 米国関税措置の影響 | 確認書(別紙10)が提出され、影響が確認でき、取組が影響への対応として関連性を有する |
加点のうち、計画の認定は、すでに認定を受けていれば、通知書の写しを出すことで使えます。経営革新計画や経営力向上計画の認定は、新しく取得するには、申請から承認まで時間がかかるため、公募期間が短い第6期には、間に合わない場合が多いと考えられます。すでに持っているかどうかを、まず確認してください。パートナーシップ構築宣言は、ポータルサイトでの宣言が、応募締切日の時点で行われている必要があります。
提出書類は何か
公募要領の表1が示す、提出書類は次のとおりです。
| 書類 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 補助事業申請書(様式) | ||
| 補助事業計画書(別紙1-1) | 事業計画の中心となる書類 | 評価基準に沿って、各項目に十分な説明を書く |
| 計画表(別紙1-2) | 給与支給総額、売上額等の計画 | 海外展開支援枠では不要 |
| 参画事業者等(別紙2) | ||
| 経費明細表(別紙3) | ||
| 経費一覧表(別紙4) | ||
| 役員等名簿(別紙5) | ||
| 補助事業概要書(別紙6) | ||
| 事業実施に際しての確認票(別紙7) | ||
| 給与支給総額の引上げに関する誓約書(別紙8) | 海外展開支援枠では不要 | |
| 決算書 | 直近2事業年度の貸借対照表と損益計算書 | 設立後1年未満なら、決算書(作成していれば)のほか、事業計画書と収支予算書 |
| 債務超過を解消する具体的な計画等 | 直前の財務状況が債務超過の場合 | |
| 常勤従業員数が分かる資料 | 海外展開支援枠では不要。新市場開拓支援枠で3分の2を使う場合は、代表申請者と参画事業者(酒類事業者に限る)の常勤従業員が確認できる資料 | |
| 計画認定の通知書の写し | 該当する場合 | 加点に使う |
| パートナーシップ構築宣言の写し | 宣言している場合 | |
| 団体規約・構成員名簿 | 人格なき社団等の場合 | |
| 別紙9、別紙10と添付資料 | 優先採択・加点を受ける場合 |
Jグランツで提出できるファイルは、1ファイルあたり16MB未満です。大きい場合は、分割や圧縮が必要です。公募要領は、書類の不備や不足があると不採択になるため、申請前に書類を確認するよう、繰り返し述べています。
常勤従業員の数え方は、Q&Aに説明があります。中小企業基本法上の「常時使用する従業員」で、労働基準法第20条の「解雇の予告を必要とする者」と解されます。日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試みの使用期間中の者は、含まれません。法人役員と専従者も含まれず、アルバイトやパートが該当するかは、個別に判断されます。
申請から入金まで。第6期の日程と、その後の手続
第6期に申請する場合の、全体の流れを表にします。
| 時期 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 今すぐ | GビズIDプライムアカウントの取得(未取得の場合) | 郵送で1〜2週間かかる。取得の遅れによる期限の猶予はない |
| 〜令和8年10月28日(水)12:00 | Jグランツで、主たる事業実施場所を所轄する国税局宛に申請 | 国税局ごとに「申請する」ボタンがある。宛先を間違えない |
| 締切後、概ね2か月 | 審査委員会による審査 | 追加資料の提出や説明を求められる場合がある |
| 令和8年11月下旬 | 採択者の決定(見込み) | 審査結果は、国税庁から申請者に通知 |
| 採択後 | 採択者向けの説明会(原則オンライン、交付決定の前) | 参加が必須。参加できない場合は、交付決定ができないことがある |
| 説明会の後 | 交付申請書を国税庁に提出。国税庁が交付決定通知書を送付 | 採択から交付決定までの間に、事業内容、実施体制、事業規模、金額などが、協議で変わる場合がある |
| 令和8年12月上旬 | 事業開始(見込み) | 交付決定の前に発注した経費は対象外 |
| 令和9年2月28日(日)まで | 事業の完了と、支払の完了 | 正当な理由で期間内に完了できない場合は、予算の繰越手続で、認められた範囲で延長できることがある |
| 事業完了から30日以内 | 実績報告書の提出 | |
| 確定検査の後 | 補助金額の確定、精算払 | 年度途中の事業の進捗確認と、代金の支払確認を経て、概算払になる場合もある |
| 補助事業完了後5年間 | 毎会計年度終了後90日以内に、事業化状況報告書を提出 | 最初の報告は、補助事業を完了した日の属する会計年度の翌々会計年度から |
補助金は、通常、補助事業の完了時に実績報告を受けて、金額を確定した後の精算払です。つまり、事業の支払は、先に自分の資金で行います。第6期の場合、12月に事業を始め、2月末までに支払を終えて、確定後に補助金を受け取るため、補助金が入るまでの間の資金を、確保しておく必要があります。
補助金は、収入として課税の対象になります。法人は法人税、個人事業者は所得税です。収入計上の時期は、補助金額確定通知書の文書日付で、その日の属する事業年度または年分の益金または収入金額に算入します。精算払か概算払かにかかわらず、同じ扱いです。
採択後の義務。5年間の報告と、財産の管理
補助事業者の義務は、採択後も長く続きます。
| 義務 | 内容 |
|---|---|
| 変更・中止・廃止の承認 | 交付決定後に事業の内容を変えたり、中止、廃止、他へ承継したりする場合は、事前に国税庁長官の承認を得る |
| 事業化状況報告 | 完了した日の属する会計年度の終了後5年間、毎会計年度終了後90日以内に報告。報告がなければ補助金の返還を求められることがある。虚偽報告も同様 |
| 収益納付 | 事業化などで収益が得られたと認められる場合、その一部を国に納付(補助金額が限度) |
| 取得財産の管理 | 補助金交付の目的に従って効率的に運用。処分には、国税庁長官の承認が必要。固定資産台帳に記載して管理 |
| 処分制限財産 | 取得価格が単価50万円(税抜)以上の機械、器具、備品等。処分して得た収入がある場合、一部を国に納付 |
| 証拠書類の保存 | 事業の完了の日の属する会計年度の終了後5年間 |
| 実地検査への協力 | 国税局の実地検査、完了後の会計検査院の検査に協力。返還命令等があれば従う |
| 産業財産権等の届出 | 事業に基づく出願・取得を、事業年度か終了後5年以内にした場合は、届出書を提出 |
| 公表用資料 | 事業の成果について、事務局が定める様式で、公表用資料を提出。国税庁が効果検証のためヒアリングを行うことがある |
公表の範囲は、公募要領の6(6)にあります。採択事業について、事業者名、代表者名、法人番号、住所、採択金額、交付決定額、交付年度、補助事業名、補助事業概要、補助事業成果などが公表される場合があります。補助金の交付決定の情報は、gBizINFOにも、原則として掲載されます。
取得財産の扱いは、Q&Aが具体的です。取得価格が50万円(税抜)以上の機械等は、補助事業期間が終わった後、補助事業の目的のための使用をやめて、他の事業に転用する場合、補助金適正化法に基づき、国税庁長官の承認と、残存簿価相当額を基にした金額の国庫納付が必要です。通常の事業活動にも使える機械等でも、補助事業期間中は、補助事業の目的のためだけに使う必要があります。たとえば、果実酒とぶどうジュースの両方に使える容器詰機は、対象にはなりますが、補助事業期間中は果実酒にだけ使います。
つまずきやすい点
公式資料から読み取れる、つまずきやすい点を表にします。
| つまずき | 起きること | 避ける方法 |
|---|---|---|
| GビズIDの取得が遅れる | 申請期限の猶予なし | 郵送なら1〜2週間かかる。今すぐ申請 |
| 申請先の国税局を間違える | 申請が受け付けられない恐れ。公募要領は、申請先に誤りがないか確認するよう求めている | 主たる事業実施場所を所轄する国税局を、表で確認 |
| 書類の不備・不足 | 不採択 | 表1の提出書類を、チェックリスト化 |
| 設備を購入するだけの計画 | 評価が劣後 | 設備の導入以外の取組(試作、調査、テスト運用)を計画書に書く |
| 補助事業期間中に商品を販売する計画 | 評価が劣後。販売目的の生産費は対象外 | テスト販売の要件を満たす形にする |
| 交付決定の前に発注する | 補助対象外 | 交付決定通知を待つ |
| 2月28日までに支払が終わらない | 補助対象外 | 納期、支払条件を、契約の前に確認 |
| 書類作成の外注費を経費に入れる | 対象外 | 申請書類の作成支援の費用は、自己負担 |
| 小規模事業者の判定が変わる | 補助率が3分の2から2分の1に下がる | 採択後、交付決定までの間、補助事業期間の終了までに、従業員数の変更で定義から外れると、補助率が変わる。確定検査で労働者名簿等を確認 |
| 昨年度までと同じ内容で申請 | 採択されない | 過去の成果を踏まえた内容に更新する |
| 同一年度に重複して採択を狙う | 同一の事業者が、同一年度内にすでに採択されていると、重複して採択されない。代表申請者としての複数申請もできない | 1つの計画に絞る |
| 酒類以外の商品の開発 | 原則として対象外 | 酒類を対象にした事業計画にする |
| 新たな製造免許の取得のための設備 | 免許取得の設備要件を満たすために必要な機械等は対象外 | 免許取得は自己資金で。申請は、すでに持つ免許を基準に |
「昨年度までと同じ内容」について、Q&Aは明確です。これまでの国税庁の酒類事業者向け補助金で採択された事業と、全く同じ取組内容では、採択しません。ただし、同じ事業目的でも、実施した成果などを踏まえた取組内容になっていれば、採択される可能性があります。不採択だった事業者は、評価基準を参考に計画を見直したうえで、再度申請できます。
向く事業者・向かない事業者
| 向く事業者 | 理由 |
|---|---|
| 酒類の製造免許か販売業免許を持ち、海外輸出やインバウンド向けの新しい取組を、自社で具体的に描けている | 海外展開支援枠の対象と合う |
| 製造する酒類の新商品開発や、ICTによる品質管理、販売手法の見直しなど、国内向けの新市場開拓に取り組みたい | 新市場開拓支援枠の対象と合う |
| 従業員20人以下の小規模な酒造(卸・小売は5人以下) | 新市場開拓支援枠で、補助率が3分の2になる |
| 酒米の価格高騰や、米国の関税の影響を受けている | 優先採択の対象になる |
| 地域の事業者や観光事業者と連携して、酒蔵ツーリズムや酒販店巡りを進めたい | グループ申請で、上限が引き上がる |
| 設備のほかに、試作、調査、テスト運用といった取組も予定している | 設備だけの計画の劣後を避けられる |
| 向かない事業者 | 理由 |
|---|---|
| 酒類の免許を持たず、免許を持つ事業者との連携もない | 補助対象者の要件を満たさない |
| 酒類以外の商品の開発が目的 | 原則として対象外 |
| 設備を入れるだけで、ほかの取組の予定がない | 評価が劣後 |
| 賃上げの計画を、立てられない(新市場開拓支援枠) | 申請要件を満たせない |
| 補助金の入金まで、事業の支払をつなぐ資金がない | 精算払が基本 |
| 国税の滞納がある、過去の補助金の事業化状況報告書が未提出 | 補助対象者の要件に該当 |
類似の制度との違い
酒類事業者が検討する、ほかの種類の補助金や支援と、この補助金の違いを、公式資料から読み取れる範囲で、表にします。
| 比較する点 | 酒類業振興支援事業費補助金 | 一般的な中小企業向けの補助金 |
|---|---|---|
| 対象者 | 酒類の製造免許・販売業免許を持つ酒類事業者(またはそれを含むグループ) | 業種を限らない |
| 申請先 | 事業実施場所を所轄する国税局 | 事務局や省庁、自治体 |
| 申請方法 | Jグランツのみ | 制度による |
| 重複の扱い | 同一経費の重複補助は不可。事業目的や対象経費が明確に区分され、重複がなければ採択の対象になることがある | 制度による |
| 優先採択 | 酒米の価格高騰、米国の関税措置 | 制度による |
| 事業化報告 | 完了後5年間、毎年 | 制度による |
同じ年度に、国や地方公共団体、国の財源で運営される法人の補助事業と併願する場合、不合理な重複と過度な集中を排除するため、同一経費に対する重複補助は認められません。ただし、事業目的や対象経費が明確に区分され、重複がない場合は、採択の対象になることがあります。ほかの補助金も申請する予定がある場合は、経費を明確に分けたうえで、事前に国税局の酒類業調整官に相談してください。
問い合わせ先
申請書の申請先と、問い合わせ先は、主たる事業実施場所を所轄する国税局です。公募要領に書かれた電話番号は、各国税局の代表番号で、電話では、括弧内の内線番号を伝えます。
| 国税局・事務所 | 担当 | 電話(内線) | 所轄する都道府県 |
|---|---|---|---|
| 札幌国税局 | 課税部 酒類業調整官 | 011-231-5011(4503) | 北海道 |
| 仙台国税局 | 課税第二部 酒類業調整官 | 022-263-1111(3658) | 青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島 |
| 関東信越国税局 | 課税第二部 酒類業調整官 | 048-600-3111(2645) | 茨城、栃木、群馬、埼玉、新潟、長野 |
| 東京国税局 | 課税第二部 酒類業調整官 | 03-3542-2111(3175、3178) | 千葉、東京、神奈川、山梨 |
| 金沢国税局 | 課税部 酒類業調整官 | 076-231-2131(2516) | 富山、石川、福井 |
| 名古屋国税局 | 課税第二部 酒類業調整官 | 052-951-3511(5572) | 岐阜、静岡、愛知、三重 |
| 大阪国税局 | 課税第二部 酒類業調整官 | 06-6941-5331(2225、2226) | 滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山 |
| 広島国税局 | 課税第二部 酒類業調整官 | 082-221-9211(3778) | 鳥取、島根、岡山、広島、山口 |
| 高松国税局 | 課税部 酒類業調整官 | 087-831-3111(625) | 徳島、香川、愛媛、高知 |
| 福岡国税局 | 課税第二部 酒類業調整官 | 092-411-0031(4417) | 福岡、佐賀、長崎 |
| 熊本国税局 | 課税部 酒類業調整官 | 096-354-6171(6199) | 熊本、大分、宮崎、鹿児島 |
| 沖縄国税事務所 | 酒類業調整官 | 098-867-3601(313) | 沖縄 |
メールでの問い合わせ先も、公募要領に各国税局のアドレスが載っています。仙台国税局と熊本国税局については、メールの初回利用には、国税庁ホームページからの事前の登録・疎通確認が必要で、登録までに日数がかかるため、申請期限の間近の問い合わせは、電話を使うよう、公募要領に注意書きがあります。
Jグランツの操作そのものは、国税庁が掲載している「Jグランツ(補助金申請システム)に関するQ&A」と、電子申請マニュアルを参照できます。公式ページは、https://www.nta.go.jp/taxes/sake/boshujoho/hojojigyo.htm です。
よくある質問
| 質問 | 回答(公式資料から) |
|---|---|
| 以前に不採択だった事業を、もう一度申請できるか | できる。評価基準を参考に、補助事業計画の内容を見直したうえで申請する(Q&A) |
| 過去に採択された事業と同じ取組で申請できるか | 全く同じ内容では採択しない。成果を踏まえた取組内容なら、採択される可能性がある(Q&A) |
| 免許のない協議会などは申請できるか | 酒類事業者を1者以上含むグループなら、代表申請者になることもできる(Q&A) |
| 複数のグループに参加できるか | 参加はできるが、代表申請者になれるのは1つの事業のみ。代表申請者が令和8年度の公募ですでに採択されている場合は、重複して採択しない |
| 酒類以外の商品の開発は対象か | 原則として対象外 |
| 設備の導入だけで事業を終えてよいか | 事業者の判断で終了できるが、経費が全て設備投資で、設備の導入のみで完結する事業は、評価が劣後 |
| 通常の事業にも使える機械を買えるか | 補助事業期間中は補助事業の目的のためだけに使う。取得価格50万円(税抜)以上のものを、事業後に他へ転用すると、承認と国庫納付が必要 |
| 外国の事業者に支払う経費は対象か | 支出先が国外でも問題ないが、確定検査時までに必要な書類等を入手する |
| 採択後の説明会は必須か | 必ず参加するよう求められている。原則、交付決定の前にオンラインで開催 |
| 補助金の収入計上の時期は | 補助金額確定通知書の通知日の属する年分または事業年度 |
| 個人事業主の付加価値額は、どう算出するか | 青色申告決算書上の項目で、営業利益、減価償却費、福利厚生費、給料賃金を足して算出(Q&A)。人件費の構成要素の専従者給与と、青色申告特別控除前の所得金額は、付加価値額の算定の人件費に入れない |
| 決算期の変更で、基準年度が12か月に満たない場合は | 12か月相当分に換算して記載。6か月なら2倍にする(Q&A) |
| 設立して間もなく決算がまだ先の場合 | 第1期を基準年度とし、見込み値で記載する(Q&A) |
編集部のまとめ
酒類業振興支援事業費補助金は、酒類事業者という限られた対象者のための、国税庁の補助金です。海外展開支援枠は1,000万円まで(グループで最大1,500万円)、新市場開拓支援枠は500万円までで、小規模な酒類事業者は補助率が3分の2になります。この記事では、公募要領、制度概要、Q&Aで確認できた内容だけを書きました。
ProdX Crowd編集部が、この制度を読んで特に重要だと考えるのは、次の3点です。
| 重要な点 | 理由 |
|---|---|
| 第6期は締切が10月28日12:00で、事業期間は約3か月 | GビズIDの取得と、短い期間で終わる計画の設計の、両方が必要 |
| 設備だけの計画は避ける | 評価が劣後する。試作、調査、テスト運用などを、補助事業計画書に書く |
| 賃上げと報告の義務を、申請前に理解する | 新市場開拓支援枠の給与支給総額の目標、完了後5年間の事業化状況報告が、採択後も続く |
申請をするかどうかの判断の前に、次の確認を進めてください。
| 確認事項 | 確認先 |
|---|---|
| 自社の免許の種類と、申請先の国税局 | 公募要領のP25〜P27の表 |
| GビズIDプライムアカウントの有無 | GビズIDのサイト(https://gbiz-id.go.jp/top/) |
| 国税の滞納がないこと、過去の事業化状況報告書の提出状況 | 税務署、過去の補助金の記録 |
| 計画認定や、パートナーシップ構築宣言の有無 | 認定の通知書、ポータルサイト |
| 取組が優先採択に当たるか | 所轄の国税局の酒類業調整官 |
補助事業計画書の作成や、複数の補助金の組み合わせの検討を、第三者と一緒に進めたい場合は、ProdX Crowd(月額10,000円、初期費用0円、成果報酬0円、最低契約期間なし、いつでも解約OK)の補助金顧問サービスも、選択肢の一つです。ただし、この補助金では、申請書類の作成支援に係る費用は補助対象外です。また、GビズIDのアカウントとパスワードを、外部の支援者などの第三者に開示することは、GビズID利用規約に反すると、公募要領が注意しています。申請の入力と確認は、申請者自身が行うものとされています。
この制度を一言でいうと
「酒類事業者向け補助事業(国税庁)」は、国税庁が実施する補助金・助成金です。対象の地域は全国です。
日本産酒類の輸出拡大及び酒類業の経営改革・構造転換に向けて、酒類事業者による、日本産酒類のブランディング、インバウンドによる海外需要の開拓などの海外展開に向けた取組及び国内外の新市場開拓などの意欲的な取組を支援します。 採択事業者一覧(第3期)(PDF/290KB) 採択事業者一覧(第1期)(PDF/143KB) 採択事業者一覧(第2期)(PDF/352KB)
受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。
| 制度名 | 酒類事業者向け補助事業(国税庁) |
|---|---|
| 実施機関 | 国税庁 |
| 種類 | 補助金・助成金 |
| 対象地域 | 全国 |
| 受付期間 | 通年(随時)で受け付けています |
| 対象者 | 酒類事業者向けの補助事業を完了した事業者 |
「酒類事業者向け補助事業(国税庁)」の対象になる方
対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。
- 1地域全国
- 2対象者酒類事業者向けの補助事業を完了した事業者
- 3規模従業員数の制約は示されていません
| 確認すること | この制度の内容 |
|---|---|
| 地域 | 全国 |
| 対象者 | 酒類事業者向けの補助事業を完了した事業者 |
| 規模 | 従業員数の制約は示されていません |
「酒類事業者向け補助事業(国税庁)」の経費で気をつけたいこと
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 輸出 | 翻訳・通訳・海外関係の費用が含まれています。為替レートの前提と、海外とのやりとりの証拠(契約書、請求書)が、日本語以外で作られる場合の扱いを、確認します。 |
申請の方法と、そろえる書類
| この制度の文章にある言葉 | ProdX Crowd編集部の見方 |
|---|---|
| 第3期 | 公募が複数回に分かれています。回ごとに、期間、予算、要件が変わることがあるため、自社が申請する回の定めを、確認します。 |
「酒類事業者向け補助事業(国税庁)」の手続きの流れと日程
この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。
- 申請計画書・見積書を提出
- 審査1〜3か月
- 交付決定ここから発注できる
- 発注・実施期間内に支払いまで
- 実績報告証拠書類を提出
- 検査・確定補助額が決まる
- 入金お金が入るのは最後
発注・契約は「交付決定」の後。お金が入るのは、最後の「入金」です。
似た取り組みの支援事例
この制度の目的に近いテーマで、当社が事業計画の整理を支援してきた事例です(企業が特定されないよう匿名化しています)。
| 事例 | 内容 |
|---|---|
| 高級食材の販売を、単発購入から継続購入につなげる。 | 高級食材の価値を伝える販促内容と顧客管理を組み合わせ、通販のリピート率向上を狙う。 |
| 店内飲食だけに依存しない、通販・テイクアウトの販売体制へ。 | 既存のテイクアウトにECを加え、店舗外でも商品を購入できる販売体制。 |
| 観光需要を捉え、特殊印刷による高付加価値サービスへ。 | 金銀の装飾表現を用いた特殊印刷と、小ロット・多品種対応による高付加価値な販促物。 |
「酒類事業者向け補助事業(国税庁)」についてのよくある質問
Q&A酒類事業者向け補助事業(国税庁)
Q. 酒類事業者向け補助事業(国税庁)の受付期間はいつですか?
通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。
Q. 酒類事業者向け補助事業(国税庁)の対象になるのは、どんな事業者ですか?
酒類事業者向けの補助事業を完了した事業者
この制度を検討するときの確認リスト
| 確認項目 | 状況 |
|---|---|
| 対象の地域(全国)に、事業所がある | □ はい □ いいえ |
| 対象者の条件に当てはまる | □ はい □ いいえ |
| 交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない | □ はい □ いいえ |
| 後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている | □ はい □ いいえ |
情報の確認元:国税庁の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関等のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。
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