募集中地域・自治体の補助金

障害者能力開発助成金

実施機関
高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)
募集期間
通年(随時受付)
地域
全国

障害者能力開発助成金(高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED))の対象者、金額、対象経費、日程、注意点を、この制度の内容にそって整理しました。

障害者能力開発助成金は、障害のある人の職業訓練の「場」と「運営」を支える、訓練事業者向けの助成金

障害者能力開発助成金は、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営する助成金です。対象になるのは、障害のある人に職業訓練を行う事業を営む側です。障害のある人を雇い入れる企業が、雇用管理の費用を受け取るための助成金ではありません。この点を最初に押さえておくと、読み違いがなくなります。

JEEDの制度ページは、この助成金を次のように位置づけています。障害者の能力開発の事業を行うための施設や設備の設置、整備などを行う場合や、その訓練事業を運営する場合に、費用の一部を助成するものです。窓口は、都道府県支部の高齢・障害者業務課、または高齢・障害者窓口サービス課です。

助成金は2つの種類に分かれています。ProdX Crowd編集部は、JEEDの様式ページに掲載されている「支給要領(抜粋)」の第1種と第2種のPDFを読み、要件、金額、手続きを整理しました。

種類助成の対象助成率金額の上限(支給要領より)
第1種(施設設置費)訓練施設や訓練用設備の設置、整備、更新にかかる費用4分の3初めての支給は5,000万円。更新などは1訓練科目につき1,000万円(合算管理あり)
第2種(運営費)訓練事業の運営にかかる費用(指導員の給与、教材費、賃借料など)4分の3。重度障害者等を対象とする場合は5分の4受講者1人あたり月16万円(重度障害者等は月17万円)。重度障害者等の就職加算は1人10万円

この記事では、まず「誰が使う助成金か」を整理し、次に第1種、第2種の順に、対象、金額、計算例、手続き、つまずきやすい点を、支給要領に沿って説明します。支給要領は「抜粋」として公開されており、運用の細部や直近の改定は、窓口で確認する必要があります。その点は、記事の最後にまとめています。

誰が申請できるのか。企業が障害者を雇うための助成金とは何が違うのか

支給要領が定める対象事業主等は、障害者能力開発訓練事業を行う者です。ここでいう訓練事業には、障害者総合支援法の就労移行支援や就労継続支援の事業、そして、国や都道府県が設置する公共職業能力開発施設で行う職業訓練とみなして、それ以外の施設で行われる教育訓練の事業のうち、国の負担によらないものが含まれます。さらに、公共職業安定所(ハローワーク)から、訓練の受講が必要と認められた障害者を受け入れるものに限られます。

申請者の形は、次の4つのいずれかです。

区分内容(支給要領の要件)
事業主、または事業主の団体団体の場合は、代表者または管理人が定められていること、運営の規約があること、経理担当職員を置く事務局があること、の3つをすべて満たす
学校法人等専修学校または各種学校を設置する私立学校法上の学校法人、またはそれに準じる法人
社会福祉法人社会福祉法に定める社会福祉法人
その他の法人障害者の雇用の促進に係る事業を行う法人

これに加えて、支給要領は、就職支援責任者の配置、受講者への相談体制、個人情報の管理を、共通の要件としています。つまり、「施設や設備を持っているか」だけで判断されるのではなく、訓練を受けた人が就職に至るまでの体制が整っているかどうかが、見られています。

雇用する側の企業が、障害のある人の雇用に伴う設備改善や職場環境の整備について助成を探している場合は、JEEDの助成金のページにある「取り組み内容で助成金を探す」から、別の助成金を確認するほうが近道です。この制度は、訓練事業者の側に立った制度だと理解してください。

支給の対象にならない事業主

支給要領は、第1種、第2種のどちらについても、別の章(第3章第1節の1の(4))に定める一定の事業主等を、対象外としています。さらに、障害者雇用納付金を納付していない事業主等には、支給請求の段階で、不支給の決定がなされます。助成金の申請を考える前に、納付金や、他の助成金で不支給措置を受けたことがないかを確認してください。

どんな障害のある人が、訓練の対象になるのか

支給の対象となる障害者は、次の2つの条件を、どちらも満たす人です。

条件内容
障害の種類身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害のある者、難病等にかかっている者のいずれか
公共職業安定所との関係公共職業安定所に求職の申込みを行い、障害者能力開発訓練を受講することが必要であると、公共職業安定所長が認める者

2つめの条件が、実務では大きな意味を持ちます。訓練事業者が自分で募集した人を、そのまま対象にできるわけではありません。ハローワークによる受講の必要性の認定が、前提になります。訓練の計画を立てる段階から、地元のハローワークと、どのような人をどの程度受け入れられるかを、すり合わせておく必要があります。

訓練事業そのものに求められる基準は何か

助成金の対象になるのは、次の10項目を満たす訓練事業です。これは第1種、第2種で共通です。施設や運営のお金を求める前に、事業の中身がこの基準に合っているかを、確認する必要があります。

項目基準の内容(支給要領より)
運営管理者障害者の能力開発のための教育訓練について必要な知識があり、同種の事業の経験がおおむね5年以上ある人
訓練期間6か月以上2年以内。簡易に習得できる技能の訓練科は、3か月以上6か月未満も可
訓練時間6か月間で700時間が基準。1日5〜6時間が標準。実技がおおむね5割以上
訓練科目労働市場から見て雇用機会が大きく、障害者の職業に必要な能力を開発するもの。趣味や教養に偏るものは対象外
就職率の要件訓練終了年度ごとの就職率が、認定申請の時点で2年続けて30%未満の訓練科目は対象外
訓練施設以外の実習雇用関係に入らない実習形式で、実習指導者、訓練評価者、管理責任者を置き、安全衛生の学習を含むこと
訓練人員1単位の定員は、訓練科目ごとにおおむね10人(下限5人、上限15人)。重度身体障害者以外の障害者はおおむね5人から10人
訓練担当者受講者おおむね5人に1人の専任担当者。5人を超えるときは助手を含めて2人以上が標準
訓練施設等教室は受講者1人あたり1.65平方メートル以上。事務室は、教室とは別の部屋として完全に分離(衝立等の仕切りは不可)
費用受講者が所有する教科書等であらかじめ明示したものを除き、受講は無料

就職率の式も、支給要領に示されています。訓練終了3か月後の就職者数に、就職のための中退者を加え、訓練修了者に就職のための中退者を加えた数で割って、100を掛けた値です。年度ごとに計算し、2年続けて30%を下回ると、その訓練科目は対象になりません。

訓練担当者の資格は3通りです。職業訓練指導員免許を持つ者、免許を受けられる者と同等以上の能力があると認められる者、そして、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士のほか、障害者支援に関する資格などで指導能力があると判断され、かつ担当する訓練科目の指導経験が2年以上ある者、のいずれかです。

訓練科目として認められにくいもの

支給要領は、訓練科目として適当でないものを、具体的に挙げています。職業能力の開発に関連しないもの、就職に関連はあっても趣味、教養、生活との結びつきが強いもの、職業能力のごく一部を身につけるだけで通常の就職には必要がないものは、認められません。また、資格の社会的認知度が低いもの、合格者が限られ少ないもの、特別の法律に基づかない医療類似行為で身体への接触が避けられないもの、特定の資格を持つ人だけを対象に同等以上の技能習得を目的とするもの、受講に特別な能力が必要で対象者がきわめて限られるものも、対象になりません。

第1種(施設設置費)助成金:いくらまで、何に使えるのか

第1種は、訓練施設や、そこで使う設備を、設置、整備、更新するときの費用に対する助成です。ただし、賃借による設置は、この種類の対象から外れます。賃借の費用は、第2種の運営費の側で扱われます。

助成率は4分の3です。支給額は、支給対象費用に助成率を掛けた額で、千円未満は切り捨てます。

支給限度額は3通り

ケース限度額
訓練科目の実施のために、施設や設備の設置、整備に対して初めて支給する場合(人材開発支援助成金の障害者職業能力開発コースなど、先行の制度による支給を含む)5,000万円
旧制度の助成金で設置した施設が老朽化し、訓練科目を実施できなくなったため、新たに施設を設置する場合(合わせて行う設備の整備を含む)5,000万円(1回限り)
上記以外(更新など)1つの訓練科目の認定につき1,000万円(令和6年4月1日以降の同種の支給と合算して1,000万円が限度)

3つめのケースでは、令和6年4月1日以降の第1種助成金と、人材開発支援助成金等の施設整備費のうち更新に関する支給とを、合算して1,000万円を限度とする、と書かれています。以前に別の制度から支給を受けたことがある事業者は、残りの枠がどれだけあるかを、あらかじめ確認する必要があります。

何が対象経費になるのか

対象となる施設と設備は、支給要領が次のように分類しています。

分類具体例(支給要領より)
能力開発訓練施設教室(講義室、視聴覚室等)、実習室(調理室、コンピューター室等)、その他の施設(資料室、職能判定室、指導員室)
管理施設能力開発訓練の事業を管理するための施設
福祉施設受講者用の寄宿舎、保健施設、給食施設、託児施設、教養文化施設、購買施設
能力開発訓練施設用設備上記の施設の目的を達成するための設備
施設の改善、設備の更新過去の助成金の支給決定日から10年を経過した施設の改善、法定耐用年数相当期間または10年を経過した設備の更新

対象費用の範囲は、建物の場合、新築、増築、改築、改修に必要な建築主体工事費、建物附属設備工事費、設計監理費の合計額です。購入に必要な額も含まれます。ただし、新築等に伴う既存建物や設備の解体、撤去、廃棄の費用は含まれません。設備の場合は、設置または整備に必要な額で、保守の費用や、既存設備の解体、撤去、廃棄の費用は含まれません。

対象にならないもの

中古製品、自社製品を購入するもの、事業主等を代表する者や役員が代表者となる法人から購入するもの、親会社、特例子会社、関係会社の間の取引、そして、事業主等が自ら設計や施工をするものは、対象外です。利害関係のある相手との取引で、金額を調整できてしまう場合を排除する趣旨です。

金額の計算例(仮の数字)

以下は、仕組みを理解するための、仮の数字を使った計算です。実際の金額は、見積書と認定の内容で決まります。

場面仮の対象費用計算支給額の目安
初めての施設整備で、費用が上限内に収まる4,000万円4,000万円 × 3/43,000万円
初めての施設整備で、費用が上限を超える8,000万円8,000万円 × 3/4 = 6,000万円。限度5,000万円を適用5,000万円
既存の訓練科目の設備更新1,600万円1,600万円 × 3/4 = 1,200万円。限度1,000万円を適用1,000万円

別の補助金などを併せて受けている場合の調整にも注意が必要です。支給要領は、同じ対象費用に補助金等の支給を受けたとき、助成金の支給額は、対象費用から補助金等の額を引いた残りの額と、本来の算定額とのいずれか低い額、と定めています。

見積りの取り方に決まりがある

認定の後に行う発注契約では、見積額が150万円以上1,000万円以下のときは、原則として3者以上の見積書と内訳明細書を取り、そのうちで最も低い金額が対象になります。当初の見積額が1,000万円を超えるときは、原則として一般競争入札または指名競争入札で得られた額です。設計図書の作成費用は、本体工事と別の契約で、明確に区別されている場合に限って、対象費用に含められます。

第1種の手続き:着工前にやるべきことが多い

第1種は、工事や購入の「前」に、手続きの多くを終える必要がある助成金です。流れを、支給要領の順に整理します。

段階内容注意点
事前協議と事業計画書の提出認定申請の前に、JEEDへ事前協議を行い、事業計画書を提出する事業計画書は、JEEDから都道府県労働局職業安定部長へ回付され、教育訓練の基準に適合するかの事前審査を受ける
採択または不採択JEEDが事業計画を審査し、条件を付けて「採択」、または「不採択」とする通知書(様式第501号)で知らされる
受給資格の認定申請採択通知後、JEEDが指定する期限までに認定申請書(様式第512号)と添付書類を提出する原則として、契約予定日の前日から起算して2か月前までの提出が目安
助成審査委員会審査にあたり、JEEDが設置する助成審査委員会に諮る。事業主等は委員会に出席する(オンライン可)過去に支給を受けた訓練科目の更新などでは、委員会を省略できる場合がある
認定または不認定条件を付けて「認定」、または「不認定」とする認定条件に違反すると認定が取り消されることがある
工事、購入、支払い認定を受けた後に着手する認定日から1年以内に、設置、整備、更新と、その支払いを完了させる
支給請求完了日の翌日から2か月以内に、支給請求書(様式第623号)を提出する期限を過ぎると支給されない扱いになりうる
支給決定と振込み審査のうえ「支給」または「不支給」を決定し、指定口座に振り込まれる障害者雇用納付金の未納付などがあると不支給

事前着手の禁止

最も重要な決まりが、事前着手の禁止です。受給資格の認定日より前に、支給対象の施設や設備に関する工事等へ着手することは、できません。ここでいう着手には、工事等の発注、契約を行うことが含まれます。設計図書の作成に係る発注は、例外として扱われています。認定前に契約を交わしてしまうと、その部分は助成の対象から外れてしまいます。

事前協議のために用意する書類の例

事業計画書とともに提出する添付書類は多岐にわたります。支給要領に挙がっているものを、種類別に整理します。

種類書類の例
法人の基本書類法人登記簿謄本、定款、就業規則、賃金規程、退職金規程(労働基準監督署に届出済のもの)
財務の書類過去3年間の決算報告書と勘定科目内訳明細書、確定申告書、減価償却明細、納税証明書、預金と借入残高の証明書、貸付確約書(融資証明書)、法人事業計画書と収支予算書
施設、設備の書類土地と既存建物の登記簿謄本、公図、案内図、設計図書、設計事務所積算による概算見積書、訓練機器と設備の配置図、設備のカタログと見積明細書、事務室の平面図
体制の書類運営管理者、訓練担当者、就職支援責任者などの一覧と経歴書、資格、免許
訓練内容の書類企業実習先の一覧、概要、実習の訓練カリキュラム、助成金申請請求明細書、事業計画書(助添付様式第15号)

既存建物を改修する場合は、建築基準法に適合していることを確認するため、検査済証の提出が必要です。紛失したときは、地方公共団体が発行する検査済証に関する証明書、または一級建築士の報告書と建築確認済証の写しなどで代えられます。建築確認が必要な建物なのに、確認申請をしていない建物の改修は、対象になりません。

第1種を受けたあとの義務:5年間は訓練を続ける

第1種は、受け取って終わりではありません。支給要領は、施設や設備を、支給決定日から継続して5年以上、障害者能力開発訓練の事業に使うことを、支給条件としています。受給資格の要件にも、設置、整備、更新を行った後、対象障害者への訓練を5年以上継続して行うことが挙げられています。

義務内容
使用の継続支給決定日から継続して5年以上、訓練事業のために使用する
資産計上取得価額が50万円以上の場合、支給対象の施設と設備を資産に計上する
書類の保存認定申請書、支給請求書などの写しと、各通知書を、原則として、支給決定日の属する年度の翌年度から5年間(または処分制限期間が経過するまで)保存する
報告支給決定日から5年間、事業の実施状況を報告する
調査への協力施設の設置状況や使用状況の調査に協力する
計画変更の手続き重大な変更は事前協議と変更承認申請が必要。変更承認前の着手は禁止。変更で費用が増えても、助成金の増額は原則として行われない

計画を変えたいときのルールも、細かく決まっています。たとえば、認定から支給請求までの間に、建築面積や建築構造の重大な仕様を変える場合は、変更承認申請の前に、JEEDと協議します。変更承認の申請期限は、原則として、変更しようとする日の2か月前までです。施設の移転、売却、譲渡、廃棄、貸付けなども、重大な変更として扱われます。

第2種(運営費)助成金:何に、どのように支給されるのか

第2種は、障害者能力開発訓練事業の運営にかかる費用への助成です。助成率は4分の3です。重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者、そして就職が特に困難であると公共職業安定所長が認める障害者(支給要領では「重度障害者等」)を対象とする場合は、5分の4になります。

支給対象費用

運営費として認められる費用は、職員給与と、一般管理費などです。

費用の分類具体的な内容(支給要領より)
職員給与指導員と教務職員の基本給、手当(指導員手当、通勤手当、扶養手当、調整手当、期末手当、勤勉手当等)、社会保険料と労働保険料の事業主負担分
謝金と旅費外部講師、嘱託医への謝金。進路指導、関係機関との連絡、研修のための旅費(旅費規程で最も経済的な経路と方法により算定したもの)
庁費教材費、実習経費(原材料、消耗品など)、健康診断費用、被服費、備品費(2万円以上10万円未満)、消耗品費(2万円未満)、印刷製本費、通信運搬費、光熱水料、借料、燃料費、保険料、修繕費や保守料、その他の雑費
土地建物借料訓練施設として借り上げている土地または施設の借料(保証金、敷金の類を除く)
諸税第1種の助成金の対象となった訓練施設に対する不動産取得税、固定資産税、自動車税等

給与の対象になるのは、障害者能力開発訓練事業に専任する指導員と教務職員です。ほかの業務を兼ねている人の給与は、そのまま対象にできません。なお、第6章の助成金における職場適応援助者の業務を兼務している人は、対象から除かれています。

中古品や自社製品の購入と賃借、代表者や役員が代表を務める法人、親会社、関連会社から購入または賃借する設備などは、対象外です。

支給額の計算の仕組み

第2種の支給額は、費用の総額に助成率を掛ける、という単純な形にはなっていません。受講者の人数と、出席の状況に連動します。仕組みを、支給要領に沿って、順に説明します。

まず、支給対象費用の合計を、訓練を受講した対象障害者の総数で割り、1人あたり運営費用額を出します。次に、1人あたり運営費用額に、助成率(4分の3)を掛けます。これを、訓練時間の8割以上を受講した人数分、積み上げます。重度障害者等については、助成率5分の4を使い、同じように人数分を積み上げます。

訓練時間の8割以上を受講しなかった人は、満額の対象にはなりません。その人については、1人あたり運営費用額に助成率を掛け、さらに、支給請求対象期間の訓練時間数を分母、その人の受講時間数を分子にした率を掛けた額が、算入されます。つまり、出席状況が、そのまま支給額に反映されます。

月額の上限

区分月額の上限
一般(助成率4分の3)1人あたり運営費用額に4分の3を掛けた額が、1か月につき16万円を超えるときは、月16万円
重度障害者等(助成率5分の4)1人あたり運営費用額に5分の4を掛けた額が、1か月につき17万円を超えるときは、月17万円

事業主等からの申出により、四半期ごとの運営費にばらつきがあると認められる場合は、上限を、1年間を平均した額になるよう調整して支給することもできます。

計算例(仮の数字)

支給要領の式を使い、仮の数字で動かしてみます。なお、以下は、1人あたり運営費用額を、1か月あたりで考えた簡単な例です。実際の算定は、支給請求対象期間の実績と、窓口が示す様式(助添付様式第89号の計算書)で行います。

場面仮の条件計算結果
一般の受講者、上限内1人1か月あたり運営費用額が12万円。8割以上出席の受講者10人12万円 × 3/4 = 9万円。9万円 × 10人月90万円
一般の受講者、上限を超える1人1か月あたり運営費用額が28万円。8割以上出席の受講者10人28万円 × 3/4 = 21万円。上限16万円を適用。16万円 × 10人月160万円
重度障害者等の受講者1人1か月あたり運営費用額が20万円。8割以上出席の重度障害者等5人20万円 × 4/5 = 16万円(上限17万円以内)。16万円 × 5人月80万円
出席が8割に届かない受講者1人あたり運営費用額12万円。月の訓練時間100時間のうち、60時間を受講した受講者1人12万円 × 3/4 = 9万円。9万円 × 60/1005万4,000円

仮の数字からわかるとおり、訓練の運営費が高い事業者でも、助成は受講者1人あたり月16万円(重度障害者等は17万円)までです。費用の大きな訓練科目ほど、助成されない部分が自己負担になる点を、事業計画の収支に織り込む必要があります。

重度障害者等の就職加算

重度障害者等が就職した場合には、1人につき10万円の加算があります。要件は2つです。

要件内容
就職の形訓練終了日または就職のための中退の日の翌日から90日以内に、雇用保険の被保険者(日雇労働被保険者を除く)として内定を受けた、または雇用された、もしくは雇用保険適用事業主となったこと。有期雇用派遣では、期間内に派遣先で就業していること
除外障害福祉サービス(就労継続支援A型等)の利用者として雇用される場合は対象外

就職状況は、就職状況報告(助添付様式第91号)で確認されます。就職の内定が出た時点で、就職予定日がこの様式から確認できることが、要件になっています。加算の請求は、訓練が終了した日から4か月以内に行います。就職先での労働条件が、いったん週の所定労働時間20時間未満などで対象外であっても、同じ期間内に条件が変更され、雇用保険被保険者になった場合は、対象になります。

第2種の手続きと、四半期ごとの請求

第2種は、訓練の開始前に認定を受け、その後、四半期ごとに請求する流れです。

段階内容時期の目安
事前協議と事業計画書JEEDに事業計画書を提出し、都道府県労働局の事前審査を受ける。過去に運営費の支給を受けた同一の訓練科目では、事前審査を省略できる認定申請の前
受給資格の認定申請採択通知後、JEEDが指定する期限までに、様式第512号と添付書類を提出する。事前審査を要しない事業主等は、訓練を開始する3か月前まで訓練開始前
助成審査委員会原則として、審査委員会に諮られる。事業主等は出席する(オンライン可)審査中
認定認定を受けた後でなければ、運営に着手できない(事前着手の禁止)訓練開始前
概算報告認定日の翌日から2か月後までに、運営費概算報告書、運営費事業実施計画書、運営費期別支出計画書を提出する認定後2か月以内
四半期ごとの支給請求各四半期の末日の翌日から起算して2か月後までに、支給請求書(様式第526号)を提出する四半期ごと
就職加算の請求訓練が終了した日から4か月以内に請求する訓練終了後

提出期限までに支給請求書を出さなかった場合、その請求に係る助成金は支給されません。四半期ごとの締切を見落とすと、その期の助成金を失うことになります。

第2種も、訓練を開始してしまってからの申請はできません。事前着手の禁止は、第1種のように工事の発注ではなく、訓練の開始を指します。開講の日程が先に決まっていて、認定が間に合わないといった事態を避けるため、逆算した日程管理が必要です。

審査で見られる点と、つまずきやすい点

支給要領と様式ページの記載から、申請でつまずきやすい点を、表に整理します。

場面つまずきの内容事前の対策
就職率2年続けて就職率30%未満の訓練科目は、対象外になる過去の訓練科目ごとの就職率を、認定申請の時点から遡って、計算しておく
ハローワークとの関係受講者が、ハローワークで受講の必要を認められた人でなければならない受け入れの枠や時期について、訓練計画の段階から、管轄のハローワークと調整する
施設の分離事務室は、教室と完全に分離し、衝立等の仕切りは認められない平面図の段階で、部屋の分離を確認する
事前着手認定前に工事や購入の発注、契約を行うと、対象から外れる契約書の日付が、認定日より後になるよう、工程を組む
見積り150万円以上は3者以上の見積り、1,000万円超は入札が原則設計図書の作成を、本体工事と別契約にしておく
完了期限第1種は、認定日から1年以内に工事と支払いを完了し、その後2か月以内に請求する工期に余裕のある日程で、認定を受ける
専任の担当者訓練担当者は、複数の科目を兼任できない訓練科目ごとの人員表を、事前に作成する
利害関係者との取引代表者や役員の関係する法人、親会社、関係会社との取引は対象外発注先の選定時に、資本関係と役員関係を確認する
納付金の状況障害者雇用納付金の未納付があると、不支給になる納付状況を、申請前に確認する

向く事業者と、向かない事業者

向く事業者理由
就労移行支援や、同等の教育訓練の事業を運営し、教室、実習室、設備の整備を計画している法人第1種の対象になる施設と設備の整備が、事業の中心にあるため
6か月以上の訓練を、5〜15人の単位で、専任の担当者を置いて実施できる法人訓練期間、人員、担当者の要件に合致しやすい
就職支援責任者を配置し、ハローワークや企業との連携をすでに持っている法人就職支援の体制が、受給資格の要件になっているため
重度障害者等の受け入れに積極的な法人運営費の助成率が5分の4で、月額の上限も高く、就職加算もある
向かない事業者理由
障害のある人を雇用する一般企業で、訓練事業を運営していない対象は訓練事業者であり、雇用管理の助成金ではない
賃借の施設で、設備の購入を考えている賃借による設置は、第1種の対象に含まれない(第2種の運営費では対象となる費用がある)
すでに工事の契約を済ませてしまった認定前の着手は、対象から外れる
受講料を受講者から徴収する運営を考えている受講は原則無料。徴収した受講料等は、他の補助金等と同様に、助成額の調整の対象になる
短期の講座や、趣味、教養の色合いが強い講座を中心としている訓練期間と訓練科目の基準に合わない

関連する制度との関係

この助成金は、障害者雇用納付金制度にもとづく助成金の1つです。JEEDの助成金のページには、雇用する側の企業が活用できる助成金も、別に掲載されています。名称が似ていても、対象者が違います。

制度対象者助成の対象
障害者能力開発助成金(この制度)障害のある人に職業訓練を行う事業者訓練施設、設備の設置と整備、訓練事業の運営費
雇用する事業主向けのJEEDの助成金障害者を雇用する事業主職場環境の整備など。内容は、JEEDの「取り組み内容で助成金を探す」で確認する
人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)支給要領に、過去の制度として登場する令和6年の改正前の規定による支給は、第1種の限度額の合算の対象になる

人材開発支援助成金の障害者職業能力開発コースは、支給要領では、改正前の省令による助成金として、第1種の受給資格の要件や、限度額の合算に出てきます。現在の取扱いは、厚生労働省や、都道府県労働局で、最新の状況を確認してください。

よくある質問

質問答え
障害者を雇っている会社でも申請できるか会社が、障害者能力開発訓練事業を自ら行っている場合は対象になりえます。ただし、事業主の要件、訓練事業の基準、ハローワークとの関係を満たす必要があります。通常の雇用だけでは、対象になりません
賃貸のビルの一室で訓練を行っている。第1種は使えるか第1種は、賃借による設置を除きます。賃借の費用は、第2種の運営費のうち、設備の賃借や土地建物の借料として扱われる場合があります
助成率は何割か第1種は4分の3。第2種も4分の3で、重度障害者等を対象とする場合は5分の4です
上限額はいくらか第1種は、初めての支給が5,000万円、更新などは1訓練科目につき1,000万円です。第2種は、受講者1人あたり月16万円(重度障害者等は17万円)です
工事の契約は、いつ結べばよいか受給資格の認定を受けた後です。認定前の発注や契約は、事前着手として、対象外になります
申請書類はどこで入手するかJEEDの第1種、第2種それぞれの様式ページに、受給資格認定申請、支給請求、変更手続き等の様式が掲載されています
提出先と提出方法は申請事業所の所在地を管轄する都道府県支部です。持参または郵送、またはe-Gov電子申請サービスで提出します。様式と助添付様式は3部、それ以外の書類は2部が必要です
新しく申請を考えている場合の相談先はJEEDの様式ページは、新規で検討している場合は、手続きが異なるため、まず事業主の所在する都道府県の支部に相談するよう案内しています
受講者が途中で就職した場合は運営費の算定では、訓練時間の8割以上を受講していない人は、受講時間数に応じた割合で算入されます。就職のための中退者は、就職率の計算にも出てきます。具体的な扱いは、窓口で確認してください
不正があった場合は不正受給に該当すると、認定や支給決定の取消し、支給の終了、第2章第3節に定める措置の対象になります

申し込む前の最終確認と、確認先

最後に、準備の順序を、表にまとめます。

順序確認すること確認先
1自社が、障害者能力開発訓練事業の事業主等の4区分のどれにあたるかJEEDの支給要領(第1種または第2種)
2訓練科目、期間、時間、定員、担当者、施設が、10項目の基準に合うか同上、およびハローワーク
3就職支援責任者と相談体制を置けるか同上
4工事や訓練の開始日より前に、事前協議を始められるか都道府県支部
5最新の様式、運用の細部、改定の有無都道府県支部の高齢・障害者業務課、または高齢・障害者窓口サービス課

この記事が根拠とした資料は、JEEDの制度ページと、第1種、第2種の様式ページ、そして、そこに掲載されている支給要領(抜粋)のPDFです。支給要領は抜粋で公開されており、記載のない細則や、第3章などの共通規定は、窓口で確認する必要があります。申請を検討する場合は、事業所の所在地を管轄する、JEEDの都道府県支部に、まず相談してください。

制度ページ:https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/s_noukai_joseikin/index.html第1種の様式ページ:https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/s_noukai_joseikin/sub04_1_shisetsusetti.html第2種の様式ページ:https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/s_noukai_joseikin/sub04_2_unei.html

この制度を一言でいうと

「障害者能力開発助成金」は、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が実施する補助金・助成金です。対象の地域は全国です。

障害者の能力開発の事業を行うための施設または設備の設置や整備等を行う場合や、その能力開発訓練事業を運営する場合に、その費用の一部を助成するものです。 助成金の内容や申請手続等については都道府県支部高齢・障害者業務課または高齢・障害者窓口サービス課にて承っております。

受付の期間は、通年(随時)で受け付けています。

制度名障害者能力開発助成金
実施機関高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)
種類補助金・助成金
対象地域全国
受付期間通年(随時)で受け付けています
問い合わせ先助成金の内容や申請手続等については都道府県支部高齢・障害者業務課または高齢・障害者窓口サービス課にて承っております。 相談窓口

「障害者能力開発助成金」の対象になる方

対象になるかどうかを、この制度で定められている条件ごとに整理します。

対象かどうかを、この順に確認します
  1. 1地域全国
  2. 2規模従業員数の制約は示されていません
確認することこの制度の内容
地域全国
規模従業員数の制約は示されていません

「障害者能力開発助成金」の経費で気をつけたいこと

この制度の文章にある言葉ProdX Crowd編集部の見方
設置工事・設置・施設整備に関する経費が含まれています。着工が交付決定の前だと対象外になる制度が多く、工事の写真(施工前・中・後)が証拠として求められます。天候や工期の遅れで期間内に終わらないリスクも、先に見ておきます。
開発試作・開発・試験・実証に関する費用が含まれています。目的と、試験の方法、評価の基準を、計画書に書いておくと、経費の必要性を説明しやすくなります。

「障害者能力開発助成金」の手続きの流れと日程

この制度は通年で受け付けられています。予算がなくなり次第、受付を終了する場合があります。

手続きの流れ
  1. 申請計画書・見積書を提出
  2. 審査1〜3か月
  3. 交付決定ここから発注できる
  4. 発注・実施期間内に支払いまで
  5. 実績報告証拠書類を提出
  6. 検査・確定補助額が決まる
  7. 入金お金が入るのは最後

発注・契約は「交付決定」の後。お金が入るのは、最後の「入金」です。

「障害者能力開発助成金」についてのよくある質問

Q&A障害者能力開発助成金

経営者のイメージ写真
経営者

Q. 障害者能力開発助成金の受付期間はいつですか?

解説役のイメージ写真
ProdX Crowd編集部
A.

通年で受け付けています。予算の状況により終了することがあるため、早めに実施機関へ確認します。

経営者のイメージ写真
経営者

Q. 障害者能力開発助成金の問い合わせ先はどこですか?

解説役のイメージ写真
ProdX Crowd編集部
A.

助成金の内容や申請手続等については都道府県支部高齢・障害者業務課または高齢・障害者窓口サービス課にて承っております。 相談窓口

この制度を検討するときの確認リスト

確認項目状況
対象の地域(全国)に、事業所がある□ はい □ いいえ
交付決定(または承認)の前に、発注・契約をしない□ はい □ いいえ
後払いの資金繰り(つなぎ資金)の目処が立っている□ はい □ いいえ

情報の確認元:高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の公開情報。最新の募集状況・申請書類は、実施機関等のページで入手できます。 情報取得日:2026/10/12。